ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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先生からの事情聴取

「……つまり、君たちは部長の藪瀬くんをはじめとした部員たちがチームを結成したことも、大会に参加するつもりだったことも知らなかったんだね?」

 

「はい。知ったのは大会当日、会場でチーム名を見た時です」

 

「俺たちが大会に参加することを決めた時、藪瀬先輩たちもチームに誘いました。でも断られたんで、そういう動きをすることはないんだろうなって思ってたんですけど……」

 

「ちなみにそれを証明できるものとかって何かあるかな?」

 

「部長たちから送られてきたメッセージでいいなら……これでどうですか?」

 

 放課後、僕と楽人はバスケ部の顧問である田沼先生と校長先生と話をしていた。

 大会での一件について、チームの代表として事情聴取に応じている感じだ。

 

 田沼先生はわかるが、僕も楽人も校長先生が出てくるとは思っていなかったため、予想外の登場に緊張してしまっている。

 事は僕たちが思っている以上に大きな話になっているのかもしれない……と、状況もあって緊張を高める僕たちへと、楽人のスマホに残されたメッセージの履歴を確認した校長先生が言う。

 

「なるほど、確かに確認しました。今回の一件、君たちは藪瀬くんたちが何をしていたかは全く知らなかったみたいですね」

 

 そう言った後、校長先生は持参していた厚めの書類をぺらり、ぺらりと捲って中を見やる。

 あの中に何が書かれているのかと怯えながら見守る僕たちの方を見ないまま、先生は言った。

 

「田沼先生からの報告書にもありましたが、君たちのチームは休日にボランティアに参加するなどして、バスケ部再開に向けて動いていたようですね。地域バスケットボール大会への参加も、その一環だった、と……」

 

「参加を提案したのは僕です。部外者が出過ぎた真似をしてしまい、申し訳ありませんでした」

 

「いや、それは違うぞ尾上。少なくともお前たちの行動に問題はなかった。騒ぎになってしまってはいるが、友達やバスケ部のために動いてくれたお前が責任を感じる必要はない」

 

「田沼先生の言う通りです。確認できる限り、君たちのグループに問題行動の報告は上がってこなかった。こういった形で話を聞かせてもらっているせいで緊張させてしまっているとは思いますが、尾上くんや遊佐くんが自分たちを責める必要はありませんよ」

 

 そう、二人からフォローが入るが、僕の気持ちは複雑だ。

 わかっていたことではあるが、先生たちは僕たちに対して、何か罰則を与えるつもりはない。

 今しがた言われたように騒ぎにこそなっているが問題行動はしていないのだから、当然と言えば当然だ。

 

 しかし、校長先生の口ぶりからは問題を起こした生徒たちへの強い怒りが感じられる。

 同時に僕たちではないグループには問題行動の報告が上がってきていたんだなと、先の言葉から推察した僕は、この後の展開を想像し、渋い表情を浮かべた。

 

「遊佐、尾上、すまないな……折角、優勝という結果で終わったというのに、気分を台無しにするようなことになって……」

 

「いえ、そんな……」

 

 肩を落とし、謝罪する田沼先生を見ると、気分の複雑さにも拍車がかかる。

 ボランティア活動の時も自分を責めていた先生だが、今日はその時よりもさらに落ち込んでいるように見えた。

 

 どうにか前向きになって、ここからバスケ部の活動再開に向けて動いていこう、と思っていたところにこんなニュースが飛び込んできたのだから、当然といえば当然なのかもしれない。

 焼肉屋でも言っていたが、田沼先生は藪瀬先輩に目をかけていたはずだ。部長にまで指名した生徒が部活の仲間を率いて問題を起こしたことに、責任を感じている部分もあるのだろう。

 

 本来ならば、先生も僕たちの大会優勝を手放しで喜びたかっただろうな……と、田沼先生にどんな言葉をかければいいのかわからずに押し黙ることしかできない僕たちが気まずい時間を過ごす中、教室の扉が開き、別の先生が顔を出してきた。

 

「校長先生、バスケ部全員の話を聞き終わりました。全員、大体の話は事実として認めています」

 

「そうですか……では、こちらに連れて来てください」

 

 報告を受けた校長先生が、新しい指示を飛ばす。

 そうした後、僕たちの方へと再度向き直り、申し訳なさそうに言った。

 

「君たちには申し訳ないが、もう少しだけお付き合いしてください。特に遊佐くんにとっては、バスケ部の今後に関する重要な話になると思いますので」

 

「は、はい……」

 

 校長先生の言葉を受けた楽人がごくりと息を飲みながら頷く。

 バスケ部の今後……という発言から、最悪の展開を想像してしまったであろう親友の顔色がみるみるうちに青くなっていく様を横目で見ながら、万が一の時に備えて心を強く持とうと僕が自分自身に言い聞かせる中、再び教室の扉が開き、バスケ部のメンバーを引き連れた先生が中に入ってきた。

 

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