ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

400 / 426
諸々の話し合いは終わったので、家で彼女とイチャイチャします

「そっか……お義母さん、俵山くんにそんな話をしたんだ……深いなぁ……!」

 

「うん、なんかすごいなって思っちゃったよ」

 

 その日の夜、僕は学校であったことをひよりさんに報告していた。

 あぐらをかいている僕の膝の上に大きめのお尻を乗せる彼女を後ろから抱き締めながらの会話は、色々落ち着いたり落ち着かなかったりする。

 

 僕に寄りかかるように体重を預けながらしみじみと呟く彼女の感想通り、深いと言えばその通りだなと、そんなことを考えながら頷く僕へと、ひよりさんは続けて言う。

 

「あの場にいて、実際に雄介くんが怪我させられるところも見てるのに、そんなふうに言えるのは本当にすごいよね。なんか、流石って感じだ」

 

「思うところはあったんだろうけど、俵山くんを責めても意味がないって思ったんだろうなって……実際、あの対応で良かったって、僕も思うな」

 

 あの場で俵山くんを責めても何も問題は解決しなかったと思う。逆に、彼のご両親とだけ話して帰ることもできたのだろうが、それで俵山くんが救われるとは思えない。

 反省を促しつつ、心境を吐露させつつ、この先どうするかを指し示しつつ……そうやって俵山くん自身の気持ちを整理させたことも含めて、母の行動は彼のためになったと素直に思えた。

 

「俵山くんも、これで反省してくれるといいな……」

 

 色々あったが、全部水に流した方がいい気がする。いつまでも恨んだりしていても、いいことなんてないんだから。

 バスケ部のみんながしっかりと罪を償って、再度歩き始めてくれることを期待する僕へと、ひよりさんが言う。

 

「なんか、あれだな……あたしも下手したら、俵山くんみたいになってたのかな……?」

 

「え……?」

 

 妙なことを言うひよりさんへと訝し気な視線を向ければ、ひよりさんは一層僕に体を預けながら今の言葉の真意を話し始めた。

 

「ほら、俵山くんって簡単に言えば、コンプレックスを抱えてたところを紫村に利用されちゃったわけじゃん? あたしの場合も江間の奴に浮気されて、精神的にぐらついてた時期があったしさ……そこで雄介くんじゃなくって別の変な人に捕まってたら、良くない未来もあったのかな~って……」

 

 そう語るひよりさんも、色々と考え込んでしまっているようだ。

 今回の一件は本当にたくさんの波紋を呼んだなと思いつつ、僕は彼女を抱き締める腕に力を込めながら言う。

 

「そんなことはないって、僕は思うよ。少なくとも、ひよりさんは誰かにそそのかされて他人を傷付けるような真似はしないでしょ?」

 

「う~ん……それはそうだけど……」

 

「大丈夫だよ。ひよりさんは強い人だし、熊川さんや鉢村さんみたいないい友達だっている。だから、僕と出会ってなくても立ち直れてたはずだよ」

 

「ん……そっか……」

 

 少し悩んだりしたようだが、ひよりさんは僕の言葉に納得してくれた。

 そうした後、僕の顔を見上げながらいたずらっぽい笑みを浮かべ、言う。

 

「確かに雄介くんの言う通り、立ち直れはしてたかもしれないけど……こんなに幸せにはなってなかったはずだよ。雄介くんと出会えたから、あたしは今、幸せだって胸を張って言えるわけだしね!」

 

「あはは……! そう言ってもらえて光栄です。でも、これからもっともっと幸せにするから、覚悟しておいてね?」

 

「それはあたしだって同じだから! 雄介くんに幸せにしてもらった分、あたしだって雄介くんを幸せにするからね!」

 

 楽しそうにそう言ったひよりさんが、にま~っと笑う。

 僕たちが視線を合わせて笑い合う中、キッチンから声が聞こえてきた。

 

「は~い、そこの二人~! 仲睦まじいのはいいことだけど、そろそろご飯ができるわよ~! そっちに運んで~!」

 

 母からの叱責とも取れる声かけに苦笑しつつ、返事をした僕たちが言われるがままに料理をテーブルへと運んでいく。

 そのうち弟たちもやって来て、賑やかな夕食の時間が始まった。

 

「そういや母さん、今日、雄介の学校に行ってきたんだよね? どうだった?」

 

「必殺マザー光線で校舎ごと爆撃してきた? それともギロチンでぶった斬ってきた系?」

 

「何よ、その選択肢……? 普通に話してきたわよ、普通にね」

 

 食事をしながら弟たちにそう尋ねられた母が、軽くツッコミを入れつつ今日の話し合いについて説明する。

 話を聞いた弟たちは、渋い表情を浮かべながらこう言ってきた。

 

「え~! それで終わり? まあ、必要以上に叩いても仕方ないってのはわかってるけどさ……」

 

「紫村二奈だっけ? 元凶はあいつなんだし、そこにペナルティを与えなきゃ意味なくね?」

 

 弟たちが珍しくまともなことを言ったことに、僕は少し驚いた。

 それは僕も思っていたことで、一連の事件の元凶である紫村が何のお咎めもなしというのは引っ掛かっているものがある。

 

 しかし、母はそんな僕たちに対して、ふぅと小さくため息を吐いた後でこう言ってきた。

 

「ああ、それね。多分だけど、学校側も敢えてそうしてるのよ。少なくとも、今はあの対応でいいと思うわ」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。