ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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クリスマスパーティー、大丈夫かな……?

「……ってわけで、雄介くんたちさえ良ければあたしんちでクリスマスパーティーしない? お父さんたちがこういう日に揃って時間取れるの珍しいし、いい機会だと思ってさ!」

 

「お、おぉ……!」

 

 学校にて、ひよりさんと二人きりで昼食を取っている最中にクリスマスの予定について切り出された僕は、彼女が語る内容に若干圧されてしまった。

 まさかのお誘いというのもあるが、これは実質彼女の親御さんからの提案というわけで……ひよりさんと付き合っている身としては、どうしたって緊張してしまう。

 吾郎さんや睦美さんに悪意がないこともわかっているが、やっぱりこういう時って身構えちゃうよなと思いながらも、僕はひよりさんへと答えた。

 

「もちろん大丈夫だよ。母さんたちもOKしてくれると思う」

 

「本当に大丈夫? 緊張してない?」

 

「ははは……! してないって言ったら嘘になるけど、別にひよりさんのご両親を警戒してるわけじゃないよ。なんかこう、慣れないシチュエーションに心がざわめいてるだけ」

 

 僕とひよりさんの家族が一堂に会するのはこれで二度目だ。

 僕や母だけでなく、弟たち二人も一緒にひよりさんたち一家と顔を合わせたのは、夏休み前の話し合いの時だけだったと思う。

 

 あれから数か月が経ったわけだが、まだ微妙な緊張感はお互いの間に残っていて当然だと思う。

 折角だし、クリスマスパーティーを一緒に楽しむことでその緊張感を解消できたらいいなと考える僕へと、ひよりさんが言った。

 

「一応、料理とかはこっちが全部用意するって話になってるからさ。ケーキも何が好きか、お義母さんたちから聞いて教えてもらえると嬉しいかも」

 

「えっ? いいの? 合計七人分だし、かなり大変じゃない?」

 

「いいの、いいの! 多分だけど、あたしがほぼ毎日雄介くんたちにお世話になってるから、その恩返しもしたいんだと思う。あたしが言うのもなんだけど、世話になりっぱなしっていうのは申し訳ないし、お礼をするうってつけの機会ってことで、ねっ?」

 

 そう言えば、ひよりさんも自分の食費について母に相談していたような気がする。

 母はあの性格だし、家族一同ひよりさんと一緒にご飯を食べることを心の底から楽しんでいるから、食費を取るつもりはないと言っていたし、多分それは睦美さんや吾郎さんにも言っていたのだろう。

 

 ここでクリスマスパーティーの費用を折半なんてことになったら、七瀬一家はさらに申し訳なさを募らせてしまう気がするし、ひよりさんの言う通り、普段のお礼という形で甘えさせてもらった方が良さそうだ。

 母には僕から言っておけば大丈夫だろう……と考えたところで、僕はひよりさんに問いかける。

 

「わかった、母さんには僕から伝えておくよ。それで、何か用意するものとかはある? 手伝えることがあれば、僕も手伝うよ」

 

「う~ん……特にはないかな? プレゼント交換とかもやるつもりはないし、飾りつけとかもそんな凝ったりはしないだろうしさ」

 

 ご馳走と一緒に会話を楽しみ、ゆっくりと時間を過ごす……人数もそこまで多いわけじゃないし、大人が半分近いわけだからビンゴやプレゼント交換のようなゲームをする予定もない。ただ純粋に、二家族が一緒に聖夜を過ごすだけのパーティーだが、そういうのも悪くないと思う。

 ただまあ、プレゼントが必要ないというのはあくまでクリスマスパーティーだけでの話だ。

 僕が個人的に渡すプレゼントは用意しておかないとなと考えつつ、問題は目を怪我しているひよりさんに隠れてどうやってプレゼントを用意するかだな……と思案を巡らせる僕の前で、ひよりさんが小さく舌打ちを鳴らしてから言う。

 

「にしても……残念だなぁ。みんなでクリスマスパーティーができるのは嬉しいけど、用意したものが無駄になっちゃった」

 

「え? ひよりさん、何か用意してたの?」

 

 実に残念そうなひよりさんの声を耳にした僕は、思わずそう彼女に聞き返してしまったのだが……そうするべきじゃなかった。

 大体の場合、こういう時の彼女は僕をからかおうとして、敢えてこういうことを言っているのだ。

 その予想は正しく、ごそごそとスマホを鞄から取り出したひよりさんは、その画面を僕へと見せつけてきた。

 

「うん! このミニスカサンタのコスプレ衣装、買っちゃった!」

 

「ぶふっ!?」

 

「かわいいでしょ!? この見えそうで見えないミニスカのチラリズムを雄介くんに楽しんでもらおうと思ったんだけど、流石に親の前で着るわけにはいかないからね。本当に残念だよ」

 

 冬のこの時期には寒そうに見える衣装を見せつけながら、無念そうにひよりさんが語る。

 やっぱりこのパターンかと、見せつけられた衣装を着たミニスカサンタバージョンのひよりさんの姿を妄想しつつもそれを追い出した僕は、咳払いをした後でぼそりと呟いた。

 

「……吾郎さんに誘ってもらって正解だったかもなぁ。ちょっと助かった気がしてならないよ」

 

「え~? ホントに~? ちょっとはあたしのコスプレ姿、見たかったんじゃないの~?」

 

 見たくはあるけど、片目を怪我してる今じゃない方がいい……ということにしておこう。

 というより、自分の親の前で見せられない姿を僕の家族の前で見せないでほしい……という本音を飲み込んだ僕へと、ひよりさんは実に楽しそうに笑いながら言った。

 

「でも、楽しみだね! 両家揃ってのクリスマスパーティー! 絶対面白いことになるよ!」

 

「まあ、そうだね……変な面白さが爆発しないといいけど……」

 

 楽しそうではあるが、不安もある。そんなクリスマスパーティーの開催が決まったことに、僕はどう反応すればいいのかわからなかった。

 ただ、うきうきと期待しているひよりさんを見ていると、僕も聖なる夜への期待が高まってしまって……お互いの家族にとってもいい日になるといいなと、改めて思うのであった。

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