ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
いい○○の日たちとの開戦
十一月……それは、季節が冬に移り変わり始め、同時に近付く年末の足音が聞こえてくる時期。
クリスマスのようなイベントは少ないが祝日は多く、印象は薄いが地味に好まれているであろう時期でもある。
そして、そういった部分の他にも、十一月にはちょっとした特徴があった。
これは、変わった特徴を持つ十一月において、一人の青年が色んなものと戦い続けた記録である……!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「そういえば雄介くん! 今日は何の日だかわかる!?」
「えっ……?」
十一月が始まって間もないある日のこと、僕はひよりさんからそんな質問を投げかけられていた。
突然の質問に驚きながらも、僕は頭を働かせ、その答えを探り始める。
「文化の日……は、昨日だよね? 祝日とかじゃあないし……」
昨日は祝日だったわけだが、今日は特に何の日とか言えるようなものはない。
楽人たちと集まってバスケの練習をした時に何かそれっぽい話はしたっけな? と昨日の記憶を辿る中、妙に楽しそうなひよりさんが言う。
「う~ん、わかんないか~? じゃあ、ヒントね! 雄介くんが大好きなものと関係があるよ!」
「僕が大好きなもの……?」
えっへんと胸を張りながらのひよりさんの言葉に、思わず眉をひそめる。
バスケや料理といった好きなものを考えつつも、それに関連したイベントの情報は耳に入っていないよなと考えた僕は、彼女を真っすぐに見つめながら言った。
「……もしかして、ひよりさんに何か関係してる? 誕生日……じゃあないし、付き合って何ヵ月記念日だとかだったら忘れててごめん」
「んっ……!? す、好きなものって言われて、真っ先にあたしのことを考えるとか、嬉しいけどちょっと恥ずかしいんですけど……!!」
僕のこの発言は予想外だったのか、不意打ちを食らったひよりさんが顔を赤らめながら呻く。
この感じからすると、ひよりさんに関係したものでもないのか……? と考えたところで、僕は彼女の違和感に気付く。
(そういえばひよりさん、さっきから妙に楽しそうなんだよな……? こういう時って、大体は……)
話を振ってきた時から、ひよりさんは妙に楽しそうだった。
こういう時の彼女は、大体が僕をからかうつもりだということを経験で学んでいる僕は、この質問の答えが割としょうもないものだと勘付く。
「雰囲気から察するに、そこまでシリアスな内容じゃあないね。だとしたら、う~ん……?」
「いや、ある意味
「???」
この質問に答えられなかったとしてもひよりさんに失望されたり怒られたりはしなさそうだなと安堵した僕が呟けば、彼女はどこか意味深なことを言ってきた。
ある意味シリアス、とはどういうことだろうか? もう本当にわからなくなってきた。
「本当にわからない? 雄介くんは大好きだと思うんだけどな~?」
にししと笑いながらそう言うひよりさんは実に楽しそうだ。
この反応から見ても、彼女が僕をからかおうとしているのは間違いない。だが、ある意味シリアスだというのだから、ちょっと答えがわからなくなってしまう。
「今日は十一月四日でしょ? 何かあったっけ……?」
「そう! 十一月四日だよ! 十一月ってことは……ねっ!?」
十一月、という部分に意味があると暗に伝えてくるひよりさんの言葉を受けた僕が、その理由を考察していく。
一番わかりやすいのは語呂合わせだろう。十一月はいい夫婦の日みたいに十一の部分をいい、と呼んで日付の方で○○の日とする語呂合わせ記念日のようなものが多い。
だが、四日の部分で何を作ればいいのだろうか?
いいよんの日も、いいしの日もしっくりこないと考える僕へと、ひよりさんがダメ押しのヒントを出してくる。
「ゼロ! 四の前のゼロに注目して! ゼロをアルファベットのOだと考えると~!?」
「え……? Oだから、そのまま使っていいおよん……は違う。じゃあいいおし――」
そこまで言ったところで、僕は口を閉ざす。
色々とツッコミたいところがあった僕がジト目でひよりさんを見つめれば、彼女はそんな僕の湿度を吹き飛ばすようなカラッとした笑みを浮かべながら答えを言ってくれた。
「そう! 今日、十一月四日は