ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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VSいいおっぱいの日(逆バニー編)

「ぎゃく、ば、にぃ……!?」

 

 彼女の口から飛び出した言葉に驚愕した僕が、それをオウム返しする。

 そんな僕を小悪魔の笑みを浮かべて見つめるひよりさんが、囁くような声で話をし始めた。

 

「一応、雄介くんのために説明しておくとね……普通のバニーガールの衣装は、競泳水着みたいな感じで布があるでしょ? あたしのこの写真はパンストを履いてるから脚も隠れてるけどね」

 

 ひらり、ひらりと数日前に僕に送ったバニーガール衣装の写真を見せるようにスマホを持った手を振りながらひよりさんが言う。

 超展開についていけず固まる僕へと、彼女は話を続けていった。

 

「逆バニーはこれの逆……露出してる肩とか腕とか脚は隠すけど、胸とかお腹とか大事なところは丸出しって衣装だよ。まあ、一言で言っちゃうと……スケベな衣装、ってことだね♥」

 

「す、すけ……っ!?」

 

 そういう話に疎い僕だが、流石に逆バニーというものは知っていた。

 しかし、せいぜいネタ的なイラストとかでしか見たことがないわけで、実物を目にすることなんて一生ないと思っていたのだが……そんな予想をひっくり返されそうになって焦る僕へと、蠱惑的な笑みを浮かべたひよりさんが言う。

 

「ぶっちゃけ、こっちの方が楽そうだな~って思ったんだよね~……! あたしの背丈で、胸とお尻のサイズに合うバニースーツを探すの、本当に大変でさ……その点、逆バニーなら腕と脚を隠すだけでいいでしょ? ウサ耳は流用できるし、問題もなさそうだったしさ……!」

 

 衣装の流用よりも何よりも大きい問題があることに気付いてほしい、というツッコミを入れる余裕もなかった。

 妖しい光を目に宿すひよりさんから目を離せずにいる中、微笑みを浮かべる彼女がぽちぽちとスマホを操作していく。

 

「あ、あの、ひよりさん? ちょっ、ちょっと待って……!!」

 

「とりあえず、今回も送っとくね♥ いいおっぱいの日の特別サービス♥ 雄介くんに喜んでほしいな~って思いながら、かわいく撮ったからさ……♥」

 

 僕の制止も聞かず、甘い声で囁いたひよりさんがスマホをタップする。

 僕のスマホが振動で彼女から写真付きのメッセージが送られてきたことを告げる中、視線をこちらに向けたひよりさんがにま~っと笑いながら口を開く。

 

「ほら、前みたいに開けてみてよ♥ 雄介くんに褒めてもらいたいしさ……♥」

 

 ……欲望とは恐ろしいものだ。そこに罠が仕掛けられていると頭では理解していても、愛する彼女のこの囁きに刺激された自分の中にある男としての欲求には逆らえない。

 震える指で今しがた送られてきたメッセージをタップした僕は、添付されていた写真を展開し、そして――!

 

「……えっ?」

 

 ――そこに映し出された()()()()()()()()()()()を纏ったひよりさんの姿を見て、間抜けな声を漏らした。

 

 前回とは違い、胸を強調するポーズを取った結構にスケベな写真ではあるのだが……ここまでの話で色々と意識させられていた僕は予想外の展開に安堵しながらも混乱してしまっている。

 頭の中にはてなマークが浮かび上がり続ける僕がひよりさんから送られてきた写真をぽかんとしたまま見つめる中、そのひよりさんがくすくすと笑いながら言った。

 

「あれれ~? 雄介くん、どうしたの~? かわいい彼女のコスプレ姿♥ それもおっきなおっぱいをアピールしたバニーガール衣装の写真だよ~? 嬉しくないのかな? やっぱりお尻好きの雄介くんには刺さらなかった?」

 

「ち、違うって! 嬉しいよ! でも、その……」

 

「ふふっ♥ もしかして、あたしが逆バニーのコスプレしてると思った? あたしはただ、雄介くんに逆バニーを知ってるか聞いて、どういうものか説明しただけで……一言も着たとは言ってないんだけどな~?」

 

「~~~~~~~~~っ!?」

 

 そうだ、その通りだ。ひよりさんは逆バニーについて質問し、説明し、感想を語っただけで、着たとも写真を撮影したとも言っていない。

 全ては僕が勝手に勘違いし、動揺しただけだと……こうなるように誘導してきたひよりさんに嵌められたのだと、そのことに気付いた僕が羞恥に顔を赤らめる中、彼女からの追い打ちが飛んでくる。

 

「あ~♥ そっかそっか~♥ あたしがそういうスケベなコスプレの写真を送ってくるんじゃないかって、期待しちゃってたんだ~♥ 雄介くんも男の子だね~♥ あたしの逆バニーコスプレが見たかったのに普通のバニーガールの写真送っちゃって、ごめ~んね♥」

 

「ぐっ、ぐぐぐ……っ!」

 

 やられた……完全敗北だ。ラインを守った写真(?)のみを用意した上で、巧みな話術で耐性を得たはずの僕を動揺させてきたひよりさんに、完全に手玉に取られてしまった。

 しかも完全に思考を見抜かれた形で負けた僕が崩れ落ちる中、にまにまと笑う彼女がこう言葉を投げかけてくる。

 

「ちなみにだけど、雄介くん……十二月八日が逆バニーの日だってことは知ってる? ほら、バニーを数字に当てはめて逆さにしたら、そうなるでしょ?」

 

 ずずいっ、と距離を詰めたひよりさんが僕をじっと見つめる。

 勝利の笑みを浮かべる彼女は、余裕と歓喜に満ちた声で僕へと囁いた。

 

「その日だったら、雄介くんのリクエストに応えてあげられるかもね~……♥ 雄介くんが正直に、あたしのえっちなコスプレが見たいです! って言ってくれれば……逆バニー、見せてあげるよ♥」

 

「ぐふっ……」

 

 完全にトドメを刺された僕が床に倒れ伏す。

 メスガキひよりさんもかわいいことを知れたのは良かったが、僕はこの日、大事な何かを失った気がした。

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