ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
というわけで翌日の放課後、あたしたちはよく通うショッピングモールを訪れていた。
様々なお店にレストラン街、傍には映画館も併設されているここは、多くの人たちで賑わう人気スポットだ。
あたしたちも以前に休日デートで使ったことがあるし、他にも普通に友達とかとの遊びでお世話になっている。
今回は真理恵さんに贈るプレゼントを探しにやって来たわけだが、少しタイミングが悪かったのか、母の日フェアはまだ開催されていなかった。
「時期が少し早かったかな。母の日の前にはゴールデンウイークもあるし、お店側もそっちに開催するイベントの準備を進めてるだろうしね」
「でも、逆に良かったよ。そういうフェアで売られてるありきたりな物は避けたいかなって思ってたところだったからさ」
母の日の贈り物の定番であるカーネーションなんかが悪いわけではないが、ベタベタにベタというのも考え物だ。
折角のプレゼントだし、記憶に残る物を贈りたいという雄介くんの気持ちはあたしにも理解できた。
「かといって、あまり奇をてらい過ぎるのも良くないとは思うけどね。やっぱりプレゼントって難しいよなぁ……」
「そうだね。ちなみにだけど、雄介くん的にはプレゼントの候補とかって考えてあるの?」
「う~ん……普段使いするような物がいいかなって思ったんだけど、そういう物は母さんが使いやすいのを揃えてるだろうしさ。僕たちに気を遣って合わない物を使わせることになったら嫌だよな~って……」
詳しい職業は知らないが、真理恵さんが働いていることはあたしも知っている。
そこで使う物をプレゼントするのもありなのだろうが、仕事で使う物は大体が本人が気に入っている物であることが多い。
使いやすい物を使っているところに合わない物をプレゼントして、お仕事に支障が出てはいけないという雄介の考えは気を遣い過ぎなような気もするが、彼がそう思うのならばその意志を尊重すべきだとあたしは思った。
「あとは服とかアクセサリー類なんだけど、ひよりさんはどう思う?」
「う~ん……微妙かな。真理恵さんは喜んでくれると思うけど、やっぱりご本人の趣味とか好みがあるじゃない? そういうのにどんぴしゃりと嵌るのは難しいんじゃないかな? あと、シンプルに値段が張りそう。プレゼントは嬉しいけど、あんまり高い物を贈られると息子に無理させちゃったとか思っちゃうかもよ?」
「そうだよね。僕もそう思ってさ……あとはハンカチとかバスタオルみたいな物なんだけど、それだと花がなさ過ぎる気しかしないんだよね。折角の母の日だし、もっと華やかな物を贈りたいと思うんだけど、僕の知識じゃいい案が出なくって……」
雄介くんも一生懸命に考えたようだが、そこで詰まってしまったようだ。
ヘアアクセサリーという枠の中から選べたあたしへのプレゼントに対して、ほぼ何でもありという状況が逆に真理恵さんへのプレゼントを何にするかを決められなくなっているのだろう。
ここらでアドバイザーとして協力を依頼されたあたしの出番だなと思いながら、悩む雄介くんへと声をかける。
「よし! じゃあ、一端整理しよう! 雄介くんは普段使いするような物をプレゼントしようとしてるけど、それはどうして?」
「え? ん、ん~……? 言われてみればなんとなくプレゼントってそういうものだって考えてただけで、深い理由はないかも……?」
あたしの質問に対して、少し考えた後で雄介くんはそう答えた。
彼がそう考えた理由に心当たりがあったあたしは、少し笑みを浮かべながらこう続ける。
「そこはほら、多分あたしへのプレゼントがあったからだと思うよ。直前にあたしにこれをプレゼントしたから、そういうもんだって思うようになっちゃった的なさ」
雄介くんにプレゼントしてもらったヘアピンを指差しながら、あたしが言う。
あの日から髪型を変え、毎日のように髪を纏めるために使っているあたしを見ていたからこそ、雄介くんの中でプレゼント=普段使いの物という固定観念が生まれてしまっていたのだろう。
別に普段使いにこだわらなくていいという意見を述べた後、改めてあたしは彼へと質問する。
「改めて質問なんだけど、雄介くんは真理恵さんにどういう形で喜んでもらいたいと思ってる?」
「どういう形で喜んでもらう、か……だったら、疲れを癒してほしいかなぁ……? 毎日仕事で疲れてるだろうし、その疲れを吹っ飛ばすまではいかなくとも、ゆっくり休んで回復してもらえるような物がいいかも」
「いいじゃん! じゃあ、そういう形でいこうよ! 目的の
「ひよりさん? なんかその言い方だと若干非合法なお薬を求めているようにも聞こえるから、気を付けてくれる?」
雄介くんからのツッコミに対して、にししと笑う。
望んでいるリアクションを見せてくれるなと満足気に笑いながら、あたしは彼と共に母の日のプレゼントを探す