ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
「あ、雄介くん! おはよう!」
「おはよう、ひよりさん。昨日はありがとうね」
「ううん、気にしないで! あたしも楽しかったしさ!」
真理恵さんへの母の日のプレゼントを探しに雄介くんとデートした翌日の朝、登校してきた彼の姿を見たあたしは、手を振って挨拶をした。
笑顔を浮かべながら挨拶を返し、こちらへと近付いてきた雄介くんと二言、三言会話を交わしているうちに、先に話していた女友達は離れていったようだ。
若干、気を遣ってくれたっていうのもあるんだろうが……後でこれをネタにあたしをからかおうとしているのが雰囲気でわかっている。
今もニヤニヤと笑いながらこちらを見ている友人たちの思惑は別として、雄介くんと二人で話せる状況を作ってくれたことには感謝しよう。
あたしがそんなことを考える中、雄介くんはあたしへと昨日のあれこれについての感謝を述べてきた。
「本当に助かったよ。アドバイスしてくれただけじゃなくて、実際にバスボムを入れたお風呂の様子なんかも撮影して送ってくれてさ」
「参考になったみたいで良かった! 使ってみて、どんな感じになるのかっていうのを見るのも大事だもんね!」
「でもなんかごめんね。ここまでしてもらっちゃって、悪いなぁ……」
「もう! 気にしないでいいって! あたしが好きでやってることだしさ!」
昨日の約束通り、購入したバスボムを実際に使ったあたしは、家のお風呂がどんなふうに変わったのかを撮影して雄介くんに送っていた。
香りとかは文章で感想を送ったけど、その映像も真理恵さんへのプレゼント選びの参考になるはずだ。
まだ別の種類のバスボムも何個か残ってるし、そっちに関しても撮影して送ろうと思っている。
雄介くんはそんなふうにあたしに協力してもらっていることに申し訳なさを感じているようだが、別に気にしなくていいのだ。
(これはあたしが、
という、ちょっとした想いは口に出さないことにした。
そんなことを言えば、あそこであたしたちの会話を見守っている友人たちに何を言われるかわからないからだ。
ついでに、バスボムを使ったお風呂に入ったあたしの香りとか、肌触りなんかを確かめてみるか雄介くんに聞くこともやめておいた。
流石にそれは恥ずかしいし、学校でやるには大胆過ぎる。慎みというものを覚えていこうと努力中だ。
「うちの両親も昨日は珍しく揃って帰ってきたからさ、普段と違うお風呂を堪能できて喜んでたよ!」
「あはは! なら良かった! 僕の家族の事情に付き合わせて申し訳ないと思ってたけど、ひよりさんのご家族も喜んでくれてたって聞いて、少し安心したよ」
昨晩の我が家の状況を話しつつ、それで彼が感じているであろう罪悪感を払拭させつつ、あたしは笑みを浮かべる。
まだあたしの家族には雄介くんのことを話していないが、これでちょっとは好印象を抱いてくれたら嬉しいなとも思う。
でもまあ、流石に男の子の友達を家に連れてきて、家族に紹介するのってあたし的にも雄介くん的にも勇気がいることだよな~と思いながら、いつかはあたしの家族とも仲良くなってほしいなと、あたしが真理恵さんや弟くんたちを好きになったように、雄介くんにもあたしの家族のことを好きになってもらえたらいいなと、ちょっとばかり大胆なことをあたしは思った。
「ひよりさんのおかげでいいプレゼントが選べそうだよ。本当にありがとう」
「えへへ~! 普段、色々とお世話になってるからね! その恩返しができて、あたしも嬉しいよ!」
そう言って、満面の笑みを浮かべたあたしが上機嫌に足をトントンと鳴らす。
あたしの行動が、雄介くんやご家族の笑顔を生み出すことにつながればいいな……と思いながら、穏やかで温かい気持ちを感じたあたしは、今日も彼と幸せなひと時を過ごしていくのであった。
その後、ちょ~っとだけ友達からはからかわれたけど、そこまで気にしないことにした。
いつかこいつらに彼氏ができたら、思う存分にからかってやろうと思う!
やられたらやり返す! 倍返しだ!