ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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二人で過ごす、楽しい時間

「お店、予約してくれてありがとうね!」

 

「ううん、気にしないで。ちょっと電話するだけだったしさ」

 

「いや~……でも本当に人気のお店なんだね。列、すごいことになってるよ」

 

 バスに乗って数十分、そこからまた十分とちょっとくらい歩いた先に、目的地はあった。

 僕たちが到着した時点でお店の前には開店前だというのにそれなりの列ができていて、とても驚いたものである。

 

 確かに予約を取る時も開店直後の時間帯しか空いてなかったもんな~と思いながら、ちゃんと予約しておいたことに僕は安堵した。

 おすすめのデート先として紹介してくれたラーメン屋の店主さんにも心の中で感謝を伝える僕に向け、長い列を見ていたひよりさんが言う。

 

「お店に直接来て、予約をしてるのかな……? 店員さんと話して帰ってる人が多いような……?」

 

「もしかしたら待ち時間が想像以上に長いって知って、諦めて帰ってるのかもね」

 

 ラーメン屋の店主さんはかき氷専門店と言っていたが、このお店は和カフェと言った方が正しい気がする。

 内装も含めて落ち着いた雰囲気が漂うこのお店は、騒がしさを軽減するためなのか座席数もそこまで多くないようだ。

 

 開店直後の十一時という昼食には早過ぎて、朝食には遅いこの時間帯だからこそ予約が取れたわけだが、帰っていくお客さんやこの列を見た感じ、それ以外の時間だと予約でいっぱいなのかもしれない。

 

「……ちなみにひよりさん、朝ご飯は?」

 

「食べてないよ! ここのお店のパスタが美味しそうだったから、かき氷と一緒にいっぱい食べるつもりで抜いてきた!」

 

 そう、僕の質問にひよりさんが笑顔で答える。

 彼女ならば、仮に朝食を食べてきていたとしても問題ないだろうけどな……と若干失礼なことを考える中、開店時間を迎えたお店の中から予約のお客さんを案内するために店員さんが出てきた。

 

「お待たせいたしました。順番にご案内させていただきますので、お名前を呼ばれるまで少々お待ちください」

 

 予約票を確認しながら、慣れた様子で店員さんが席へと予約客を案内していく。

 そう時間が経たずに僕たちも名前を呼ばれ、二人掛けの席へと案内してもらえた。

 

「こちら、メニューになります。ご注文がお決まりになりましたら、お声がけください」

 

 丁寧に頭を下げた店員さんが、また別のお客さんを案内しに店の入り口に向かう。

 僕とひよりさんはメニューを開きながら、そこに記載されている美味しそうな料理の写真と説明を見ながら、何を食べるかを相談していった。

 

「わ~っ! パスタ、美味しそう! ……そういえばここ、ラーメン屋の店主さんの知り合いのお店だったよね? どっちも麺類がメインって、なんか面白いね!」

 

「あはは、そうだね。どういう形で知り合ったのか、気になっちゃうね」

 

「ふふふっ! さて、店主さんの話はさておき、何を食べるかですよ! どれも美味しそうで迷っちゃうな~!」

 

 ひよりさんの言う通り、メニューには様々な種類の和風パスタが載っており、どれも美味しそうなその料理たちの写真を見ているとついつい迷ってしまう。

 和風だしを使ったパスタに醬油バターで味付けしたパスタ、和洋折衷の和風トマトパスタに豆乳や塩麹を使ったパスタなど、本当に多岐に渡るメニューの数々に目を奪われながら、僕たちは話を続けた。

 

「ちなみに雄介くんはどんなパスタが好きなの?」

 

「え? う~ん……特に好みはないけど、よく作るのはペペロンチーノかミートソースかなぁ……?」

 

「当ててあげようか? ペペロンチーノは簡単に作れるから自分一人の時に食べる用で、ミートソースは家族みんなで食べる時に作るやつでしょ?」

 

「あはは、大正解。そう言うひよりさんは何が好きなの?」

 

「あたしはやっぱりカルボナーラかな~! 温玉が乗ってるやつだとなお良し!」

 

「お~、なんかイメージとぴったりだ。ひよりさんはカルボナーラが好きなんだね、なるほどなるほど……」

 

「えへへ~……! あたしの情報、雄介くんの脳内ノートにインプットされちゃいましたな~……!」

 

 楽しそうに声を弾ませながら、嬉しそうに頬を緩ませながら、ひよりさんが言う。

 そうした後、僕をじっと見つめた彼女は、どこか甘さを感じさせる声でこんなことを言ってきた。

 

「……じゃあ、いつかあたしが雄介くんのためだけのパスタを作ってあげようかな。作るのに手間がかかるやつを、愛情をいっぱい込めてさ」

 

「ははっ。だったら、僕はひよりさんにごちそうするためにカルボナーラの作り方を練習しておくよ。楽しみにしてて」

 

 こういう会話は、今までもしてきたような気がする。

 だけど、恋人という関係になった今は、これまでとは違った感覚でそういったことを言い、相手からの言葉を受け止めるようになった気がした。

 

「じゃあ、いつか来る日を楽しみにしつつ、今日はこのお店の一番人気のカルボナーラを頼むことにしよう! かき氷の方は……ベリーとクリームチーズのやつで!」

 

「僕は和風だしのボンゴレビアンコにしようっと。海鮮系は手間がかかるから、お店で食べるに限る。かき氷は……濃厚抹茶と小倉あんにしようかな」

 

「おっ、いいね~! 系統が違うから、シェアのし甲斐があるじゃん! さてさて、それじゃあ早速注文をっと――すみませ~ん!」

 

 料理を決めたひよりさんが手を上げ、元気よく店員さんを呼ぶ。

 選んだ料理を伝え、オーダーを通してもらった後、少し間を開けた後でひよりさんが口を開く。

 

「さて……料理が来るまでの間に、ちゃんと話しておこっか。昨日のあたしとお母さんとの話し合いの結果をさ……」

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