波導使いを経てXYの主人公に転生したけど、取り敢えず最強目指す   作:バイオブロリー

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006 先輩

「ボンジュール、カルム!アナタ達の麗しき先輩であるアタクシが会いに来て差し上げましたわよ」

 

「久しぶりですね、カルム。お元気でしたか?」

 

 セレナ(お隣さん)に連れて行かれた先で待っていた二人組の男女の名前はデクシオ先輩とジーナ先輩。

 ゲームにも登場していた二人はそれと同様にこの世界でもカロス地方におけるポケモン研究の権威であるプラターヌ博士の助手を務めている。

 そして二人が何故俺達の事を後輩と呼ぶかと言えば、リオル(相棒)の事でプラターヌ博士と関りを持った事が切っ掛けだった。

 

 恐らく世界でも他に存在しない特別な「リンネのすがた」をしたリオル(相棒)は、その生態に関して殆ど分かっていない。

 俺自身もリオル(相棒)の日々のコンディション等は常に注視しているものの、もしリオル(相棒)に何か異変が起きた時に何の情報もない状態ではポケモンセンターでも適切な処置が受けられる保障がなかった。

 そこでセレナ(お隣さん)の両親の知り合いだったプラターヌ博士を頼る事になり、リオル(相棒)の事を調べて貰っている間に俺はセレナ(お隣さん)と一緒に助手の仕事を体験させて貰っていたのである。

 

 デクシオ先輩とジーナ先輩とはその時に親しくなり、経緯は違えどこの二人と先輩後輩の関係になるとは人の縁とは面白いものだ。

 しかしそれはそれとして二人がわざわざアサメタウンを訪ねてきた理由はサッパリである。

 旅の途中でミアレシティに寄った際に再会出来るかもしれないと考えてはいたが、まさか旅立ちのこのタイミングになるとは思ってもいなかった。

 

「相変わらずカルムはトレーニングに勤しんでいるようですわね」

 

「遂に旅立ちの日を迎えて、調子はどうですか?」

 

「お陰様で、俺もリオル(相棒)も絶好調です」

 

「それは何より」

 

「でも先輩方はどうしてアサメタウンに?」

 

「今日は二人にプラターヌ博士からお届け物を預かっているのです」

 

「だから入れ違いにならぬよう、早めに着くようにスケジュールを調整しましたの」

 

 成程、こんな時間に二人がやって来たのはそういう訳だったのか。

 そしてデクシオ先輩はそう言うと俺達の目の前で手に持っていたアタッシュケースを開く。

 その中には2つのモンスターボールが収まっていた。

 

「もしかしてポケモン?でもアタシにはイーブイ、それにカルムにはリオルがいるのに……」

 

 ポケモンと共に生きる今の世界において、最初のポケモンとの出会いは人それぞれだ。

 俺とリオル(相棒)は少し例外としてセレナ()のプラスルとマイナンのように偶発的に野生のポケモンと出会う場合や、セレナ(お隣さん)のイーブイみたいに身内にトレーナーがいればポケモンを譲って貰える事もある。

 

 しかし必ずしも全ての子供達がそういう機会に恵まれるとは限らず、そういう場合に備えて各地方で行われている一種の公共事業。

 それが言わずと知れたゲームで言うところの最初に御三家のポケモンを選ぶイベントであり、プラターヌ博士のようなポケモン研究者から託されたり、地域によっては学校で与えられる事もあるらしい。

 

 そして最初のポケモンとの出会いは凡そがその2パターンに別れる訳だが、その仕組みからして既に自分のポケモンを持っている子供に対して新たにポケモンが与えられる事は基本的に無いと言える。

 セレナ(お隣さん)が疑問の声を上げたのは、そういう理由だ。

 

「君達が帰る日に、プラターヌ研究所で何が行われていたか覚えていますか?」

 

「えっと確か新人トレーナーの為のポケモン達を受け入れてたんですよね?アタシ達は朝早く帰る事になってたので、残念ながら手伝えなかったけど」

 

「確かに直接顔を合わせる事は叶いませんでしたが、実はポケモン達は君達が帰る後ろ姿を見送っていたのですよ」

 

「そしてその中には随分とアナタ達に関心を持ってる様子の子達がいましたの」

 

「もしかしなくても、その時のポケモンがこのモンスターボールに入ってる訳か」

 

「えぇ。同じ日にやって来た他のポケモン達が新人のトレーナー達と旅立っていく中で、この子達はどうも乗り気でないようでして」

 

「ならばいっそアナタ達に託してみるのが、この子達の為になるかもしれないというのが博士の考えですわ」

 

 御三家のポケモンは基本的にバランスが良い能力を持っており、トレーナーの視点からすれば非常に魅力的だ。

 ゲームと違って野生でも御三家のポケモンは生息しているとはいえ、実際に出会えるかどうかは一期一会の縁に掛かっている。

 

 それがこんな形で譲って貰えるなら確かに有難い話であるが、プラターヌ博士や先輩達の話は推測に過ぎない。

 何よりも優先すべきはポケモン達の気持ちであり、俺達が本当にお眼鏡にかなっているのかどうか?

 するとまずはそれを確かめなければならないという俺の思いに応えるように、ポケモン達が自ずからモンスターボールを飛び出して姿を現した。

 

 出てきたのは「あわがえるポケモン」のケロマツと「キツネポケモン」のフォッコ。

 そして瞬間的だが二匹の身体が光り輝く。

 ケロマツは少し分かり辛いが通常と比べて僅かに色素が薄く、フォッコは明らかに毛色が違う。

 まさかの色違い。

 少し幸運が重なり過ぎている気もするが、ポケモン達が本当に俺達の事を選んでくれるか試されるのはここからだ。

 

「アタクシ達の読みはどうやら正しかったようですわね」

 

 だが俺の考えが杞憂だった事を証明するかのようにケロマツは俺のズボンの裾を掴み、フォッコはセレナ(お隣さん)の足下に擦り寄る。

 それと同時に俺はケロマツが俺を選んでくれた理由を察した。

 

(そうか、このケロマツも波導を)

 

 思い返せばアニメではサトシのゲッコウガも後輩となるルカリオに対して波導の指導のような事をしていた。

 その進化前のケロマツが波導の資質を持っていても何らおかしくない。

 これは何だか面白くなって来たとトレーナーとしてだけでなく波導使いとして血が騒ぎ始める。

 一方セレナ(お隣さん)の方に目をやると、何故か嬉しいサプライズであるに拘らずフォッコを抱きかかえたまま怪訝な表情を浮かべていた。

 

「どうかしたのか?」

 

「ううん。ただアタシにはアナタの波導のような特別な力も何もないのに、どうしてこの子はアタシの事を選んでくれたのかなって」

 

セレナ(お隣さん)……」

 

「勘違いしないで、別に卑屈になってる訳でも何でもないわよ。ただ事実としていくら知識があっても、今のアタシは何の実績もない駆け出しのトレーナーに過ぎない。それなのにアタシの何を見込んでくれたのかしら?」

 

 俺もあまり人の事を言えるタイプではないが、セレナ(お隣さん)はストイックが過ぎて少々考え過ぎなきらいがある。

 俺達くらいの年齢ならまずポケモンが自分を選んでくれた事を素直に喜んでも良いだろうに。

 今は俺の波導の力の事も知っているのでフォッコの考えを尋ねる事も出来るのに、それをしないのも実にセレナ(お隣さん)らしい。

 

「まぁ別に波導に限らずポケモンは色んな力を秘めてるからな。フォッコの進化形のマフォクシーは「エスパー」タイプでもあるし、セレナ(お隣さん)に何か感じ取ってても不思議じゃないんじゃないか?」

 

「そうなのかしら?」

 

「セレナ。重要なのは今のアナタではなく、アナタとフォッコがどんな未来を掴み取るかですわよ」

 

「ジーナの言う通りです。まずは君と歩むことを決めたフォッコの意思を尊重してみては?」

 

 流石先輩達は良いことを言う。

 そして先輩達の言葉を肯定するようにフォッコは抱きかかえていたセレナ(お隣さん)の頬を優しく舐めた。

 

「……ごめんね、フォッコ。出会って早々に弱気なことを言ってしまって。必ずアタシがアナタの魅力を完全に引き出してみせるわ」

 

 取り合えずセレナ(お隣さん)もフォッコと共に行く決心がついたようだ。

 それにしてもトレーナーを選ぶポケモンとは……。

 その話を聞くと特にケロマツに関しては、あの現象が彷彿させられる。

 別にそれ自体に拘るつもりはないものの、実はフォッコに対しても波導とはまた異なる何か別の力を俺は感じ取っていた。

 何処か普通でない潜在能力を有するケロマツとフォッコとの出会いは吉兆か、それとも俺がずっと感じている不吉の前兆か?

 しかしその事を深く考える間もなく、俺は次に起こった問題に頭を悩ませる事となる。

 

「……それでどうしてお前達は今にも喧嘩を始めそうな勢いなんだ?」

 

 何故か俺の足下ではリオル(相棒)とケロマツが敵意を剥き出しにしながら、互いに睨み合っているのだった。




描写不足な面もあると思いますので、何か気になる点があったら質問してください。
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