とある男の罪と罰のお話

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ふさわしい罰

仲間たちと旅をする男。

彼らは中世欧州の甲冑に身を包み、武器を手に持っている。

モンスターを操る魔王を倒し、世界を救うために旅をしている彼ら。

その旅の途中で一時の休息を求め街に立ち寄る。

世界の希望である彼らを温かく向かい入れる街の住人。

この人たちを何としても守るんだ!と改めて決意する男。

その決意に賛同する仲間たち。

しかし突如打ち鳴らされる警戒の鐘の音。

押し寄せてくる異形の軍団。

人々を救うために剣を抜いて立ち向かうが多勢に無勢。

無残に殺されていく街の人々。

仲間たちも一人、また一人と異形たちに惨殺されていく。

ついには結婚を約束した愛する女性も頭をつぶされて殺される。

絶望に絶叫を上げ、慟哭する男。

突如男の視界から街や恋人の亡骸が消え、実験室のような場所に変わり、

そこに見慣れない服装をした男女がいた。

そうだ、そうだよ!お前のその顔が見たかったんだ!

どうだ!辛いか!辛いよなあ!

愛するものを奪われる苦しみが分かったか!この人殺しが!

その瞬間、男の頭にビリっと電流が走り、ある殺人者の記憶が滂沱のごとく流れ込む。

そこには数々の犯罪と数件の殺人を犯した自分の姿があった。

自分は殺人者であったのだ。

2050年、脳科学の研究の進歩により、人間の記憶システムの全容が解明される。

これにより、記憶のバックアップや記憶のリセットなどが可能になった。

ついには睡眠学習を利用して新たな記憶のインプットすら実現させたのだ。

自分が殺人者、その事実に嘔吐しうずくまる男。

憎むべき異形のモンスターと同じ存在であったという事実が男を苛む。

見慣れない服装をした男女はうずくまる男に近づき、足蹴にする。

お前が娘を乱暴して殺した時も私たちは同じ気持ちだったんだよ!

どうだ苦しいだろ!苦しめ!苦しめ!

と何度も足蹴にする男女。

今となっては現実に存在したかどうかも分からない恋人の名前を呟きながら、うずくまりながら涙と嘔吐に濡れる男。

その様子を傍から見ている二人組。

白衣を着た男は目の前の光景に満足げに言う。

これまで本当の意味で反省させる事が出来なかった快楽殺人者も

記憶をリセットした上で、まっとうな道徳観を持つ記憶をインプットすれば、

ちゃんと自らの行為を反省する真人間になる。その上でしっかりと刑を執行する事、

これにより被害者の方々も救われるでしょう。

しかし、背広を着た男はこれに反論する。

記憶を入れなおした時点で殺人者はすでに殺人者ではないんじゃないでしょうか?

だから、刑を執行する必要はあるのでしょうか?

白衣の男はいう

馬鹿を言っちゃいけない。刑とは罪に対して行われるものなんだよ

だから罪を犯した以上、罰からは免れない。

もともと日本人には敵を討つという権利があった。それを明治時代に近代化の為だとか理由をつけて国は人々からその権利を預かった。個人に変わって国が罪には相応の罰を与える。これが国民に対する国の約束であり、それを速やかに行うことが責務なのだよ。

記憶のリセットと再プログラミング。

男の死刑は彼の深い後悔と罪の意識のもと、粛々と行われた。


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