私立! バイオレンス学園!!   作:明るく楽しく暴力系ヒロインを!

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明るく楽しい暴力系学園コメディです!


1時間目:ようこそ! バイオレンス学園へ!

 日本の領海にあると言われている孤島。定期便が来ているかも分からないし、逃亡など考えるのもバカらしくなる様な孤島がありまして、皆からは和製のアルカトラズと呼ばれています。

 でも、無人島と言うわけでは無くて、この島には十代の少年少女が詰め込まれていまして。彼らが通う公的な教育機関がありまして、オイラもその一人なんです。始業時間まで余裕をもって到着して、教室に向かいます。

 

「ギャアアアアアア!」

 

 すると、廊下で悲鳴が響き渡りました。普通なら事件を疑う所なんですけれど、この学園では日常茶飯事ですね。でも、大事になる前に解決しておかないと、オイラにも振り掛かるかもしれません。

 とりあえず、声の発生源に向かってみると。同級生の星野君が謝り倒していました。相手は同クラブ所属の女鹿さんです。

 

「お、お許しください。女鹿さん。俺が、俺が悪かった!」

「この愚か者が!! 勝手にボドゲ部を改造して、TCG部に作りおってからに! 一から作りたいなら自分で実績を立てんか!!」

 

 どうやら、星野君が部活を乗っ取ろうとしていた様ですね。

 女鹿さんも相当に頭に来ていたのか、彼の頬を引っ叩いていました。これで済ませる辺り、かなり優しいと思いますね。当事者間で済ませられそうだったので、オイラはさっさと教室に到着しました。

 割れた窓ガラスは段ボールで補修されていて、机や椅子はボロボロ。こんな有様で教育機関を名乗って恥ずかしいと思います。

 まず、学園関係者に教育を受ける権利から学んで欲しいですが、どうしようもないので自分の席に着きます。そして、読みかけの小説の続きを読もうとした所で近付いて来る気配を感じました。

 

「大西君、おはよう」

 

 オイラよりも早いこと来ていた『宮本 加菜』さんから挨拶されましたので、テキトーに返事をして読書に戻ろうとした所で、顔を覗き込まれました。

 

「挨拶したんだけど?」

「そうですね。オイラは今、小説を読んでいるんで」

「寮に戻っても読めますよね? あ、そうだ。昨日、教えた動画見てくれました?」

 

 人の行動をキャンセルさせた挙句、自分の話題に持って行こうとする辺り。距離感がバグっているとしか言いようがないんですが、ここで合わせると無限に人の時間を奪っていくので、ちゃんと言いたいことを言います。

 

「いや、面倒臭いし見ていないですね。約束した訳でも無いので」

「なんで?」

「興味が無いからですね」

「なんで?」

 

 早くも、モラハラぶりを発揮してくれますね。彼女が見ている動画は『反応集』みたいな、何処かの掲示板から切り抜いて来たような物ばかりか、変なダンスをしている動画ばかりなので、そんなのに時間割くのが勿体ないんですよね。

 

「面白くないんですよね。もっと、ちゃんと面白いのを見た方が良いですよ」

「なんで?」

 

 どうやら、欲しい答え以外は受付していないみたいです。暗に『今までの答えは聞かなかったことにしてやるから』みたいな笑顔を浮かべているのが、またいやらしい所ですね。

 

「時間が無かったですよ。ほら、昨日の宿題。結構難しかったじゃないですか」

「分かります。国語の奴とか、全部書き取りだけにして欲しいのに。登場人物の心情とか全然分からないんですよね」

「いや、ちゃんと文中に答えあるじゃないですか。この間、教えたのに忘れたんですか? 頭悪いなって、思いますね」

「わからなくて!!」

 

 したい話、欲しい答え以外は受け取らない辺り。宮本さんはヤバい人ですが、これでもマシな方ですね。始業時刻が近付くにつれて、ゾロゾロと生徒が入ってきますが、大半は女子です。

 いずれも鼻が曲がっていたり、斜視だったりと。この学校の治安の悪さが垣間見えますね。隣の席に腰を下ろした星野君は曲がっていた鼻を無理矢理戻していました。

 

「女鹿の野郎。俺が、俺のお陰で部員が増えたって言うのに。なんて恩知らずなヤローだ!」

「多分、恩知らずなのは星野さんの方だと思うんですけど」

「俺が悪ぃっていうのか!」

 

 胸倉を掴まれました。人は図星であればある程、カチンと来るようですが、何よりオイラ相手なら勝てると踏んだんでしょうか。実際に、オイラは喧嘩が強くないですけれどね。

 

「うるせぇええええ!」

 

 星野君の癇癪に触発されて、ヒステリーを起こした女子が星野君をぶん殴っていました。ここでお礼を言ってはいけません。巻き込まれますから。

 さて、オイラも読んでいるラノベではここで騒ぎが収まって終わる所でしょうけれど、この学園は一味違うんですね。

 

「やりやがったな! このクソアマ!!」

 

 なんと、星野君は殴って来た女子を殴り飛ばしていました。

 女子の顔に傷をつけるとは! なんて、古式ゆかしい発言をする人間はこのクラスにいません。全員が呆れ顔でオイラを見ています。

 

「なんだろう。自分が解決しなきゃいけない理由とかあるんですか?」

 

 こんな面倒臭いことに触りたくないのが本音なんですが、自分の意見を言うだけで白い目で見られるのは、同調圧力が強すぎると思うんですね。

 しかも、圧力をかけて来るメンバーの中に宮本さんがいたのがまたクソだと思いますね。先程まで話していたのに掌クルックルです。

 だけど、始業時間までに騒ぎが収まっていないと面倒なことになるのですが、無慈悲に時間が過ぎて定刻になり、担任が入ってきました。

 

「星野。天音!」

 

 教室内で暴力が発生していると分かった途端。担任は星野君にパワーボムを決めて、女子の方にドロップキックを決めていました。

 窓ガラスを突き破り校庭にドシャっと落ちましたが、直ぐにドローンが現れて彼女を最強保健室に連行して行きました。2時間目には復帰できますね。

 

「じゃあ、出席とるぞ」

 

 取る物を取って、担任はさっさと出て行きました。1時間目の準備をしていると、復活した星野君が擦り寄ってきました。

 

「さっきはすいませんでした。どうか、憐れな俺に教科書を見せて貰えないでしょうか?」

「昨日の内に準備しておかないって、頭悪いな。って思います」

 

 星野君の表情に卑しさと怒りが滲み出ています。

でも、学友として協力できることは協力するべきなので、机をくっ付けて教科書を見せます。ページには歴史の項目がぎっちり詰まっています。

 

「この様に。世界では『暴力系ヒロイン』と揶揄される思春期の少年、少女達を更生させる目的で、超法的な施設が作られた訳で。ぜひ。真っ当になって頂きたいですね。卒業した暁には、社会は皆さんを歓迎しますよ」

「どうして、暴力系ヒロインの更生を目当てにした学園に男子生徒であるオイラ達が入れられているんですか?」

 

 と、教師に質問しましたが、無視されました。耳が悪いなって思います。

 超法的と言えば聞こえはいいですけれど、要するに治外法権なんですよね。朝の一時を見るに死人が出そうなんですけど、この学園の保健室が恐ろしく優秀なせいで、死なないんですよね。良いのか悪いのか。

 

「ちなみに、ここにいる男子生徒達は何かしらの問題があって送られて来たらしいぜ。俺は部活の金を横領して株で大損こいたからだけど、お前は?」

「なんだろう。親に対して、こんな喋り方をしていたら、ここに願書出されていたんですよね」

 

 オイラはリスペクトしている人を模倣していただけなんですけど、両親は甚く気に入らなかったみたいで、ここに入れられたみたいです。あわよくば、オイラと犯罪者予備軍の対消滅を狙っているのかもしれません。

 

「マジかよ。そりゃ、極悪すぎるぜ。お前みたいなモラハラ野郎を育てて来たご両親に感謝しろよ」

「やっぱり、全ての人に好かれるのは不可能なんですね」

 

 そろそろ、教師からの視線が厳しくなって来たので私語を慎みます。終了時間も近付いて来たので、教師は最後に言い切りました。

 

「皆さんには、この『バイオレンス学園』でよく学んで頂き、真っ当な人間になって下さいね!」

 

 と。自分に酔いしれた教師が気持ちよく締めた所で鐘が鳴りました。

 学園の名前からして最悪ですし、ここで学べることは理不尽さだけだと思うんですけれど、一体。大人たちはオイラ達にどうなって欲しいんでしょうか?

 次の授業が始まるまでの僅かな時間で小説を読み進めようとしたら、再び宮本さんに絡まれて時間を浪費させられました。

 そう、オイラはこんな監獄みたいな無法地帯『私立バイオレンス学園』の男子生徒をしています。

 

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