私立! バイオレンス学園!!   作:明るく楽しく暴力系ヒロインを!

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2時間目:おいでよ! バイオレンス学園!!

「連絡です。『大西 弘樹』君は校長室に来るように」

 

 昼休み。一緒に昼食を取っている宮本さんから一方的にネットの反応集の感想を浴びせられていると、校内放送で呼び出しを食らいました。

 

「大西君、呼び出しですよ。きっと面倒臭い話をされると思いますが」

「あ、大丈夫ですよ。どんな話でも宮本さんの反応集の反応よりは面白いと思いますから」

「私は何があっても、大西君の味方ですから!」

 

 現行で敵対している人に言われてもと思いましたが、無自覚みたいですね。

 世には友達の振りをした敵を表す『フレネミー』と言う言葉があるそうですが、正に彼女にはピッタリと言えるでしょう。

 とりあえず、校長室に向かうことにしたんですが、こんな学園の生徒達が解放されるということで昼休みの有様は酷いモンです。

 廊下で殴り合いは起きているし、猿叫を上げている生徒もいれば、布団を敷いて寝ている猛者もいます。

 ちょっとだけ他所のクラスの教室を覗いてみれば、室内にあるテレビにレトロゲーム機を接続して皆で遊んでいる奴もいますね。ここは平和です。

 

「(なんでこんな人らが呼び出されないで、オイラが呼び出されるんでしょうか?)」

 

 いや、逆かもしれません。もしかしたら、オイラが真面目なので早めに解放してくれるとか。手続きに誤りがあったとかで表に戻れるかもしれません。そう考えると、憂鬱な気分も晴れて来ますね。

 『死ね』『えんがちょ』『クソ教師、直ぐ泣く』『掛かってこいや』など、教師の人望を表した壁面アートに彩られた職員室を通り過ぎて、校長室。ノックをすると『入りなさい』と返事があったので扉を開けます。

 

「失礼します」

「来てくれてありがとう。大西君」

 

 バイオレンス学園の校長『雑賀 渡(さいが わたる)』は微笑みを浮かべながら、オイラのことを迎えていました。

 こんな末法的な場所で校長をしているとは思えない程に穏やかな人柄と言うことで有名ですが、こんな風紀を放置している時点でタヌキみたいなおっさんだと思っています。

 

「オイラに何の用ですか? もしかして、ココに入れられたのは何かの間違いで外の世界に出られるとか言う話ですか」

「いいや? 君は間違いなくこの学園の生徒だよ? ご両親からも『お願いします』とキチンと言われているからね」

「なんだろう。自分の息子を犯罪者の巣窟に押し込めるのは、やめて貰って良いですか?」

 

 オイラの両親ながら酷い人達です。星野君はナンヤラ色々と言っていましたが、話し合いも無くぶち込む時点で誠意が欠けているのは間違いありません。

 

「その様子だと。大西君は外の世界に帰りたいんだね?」

「はい。この学園、治安悪すぎますよ。オイラも毎日生きた心地がしません。と言うか、女子が斜視だらけで怖いんですよ」

 

 ゾンビ映画を見ている気分になるんですよね。

 それは兎も角として、今の所あまり暴力が飛んできていないのは幸いですが、これからもその生活が続くとは限りません。そんな思考を呼んだのか、雑賀校長は微笑んでいました。

 

「もしも、この学園から卒業する為の課題がある。と言ったら、大西君は挑んでみるつもりはあるかね?」

「はい。もちろんです」

 

 即答です。普通の学校だったらカリキュラムだとかそういうのに則る所でしょうが、ここはバイオレンス学園。普通と違うのは百も承知です。

 

「君なら聞いてくれると思った。端的に言うとクラスメイトの女子を更生させる。と言うのが、卒業の条件だ」

「オイラよりも臨床心理士に頼んだ方が良いと思いますよ」

 

 こんな口が生意気なだけの高校生何を期待しているんでしょうか? と考えていましたが、雑賀校長は気にせず続けます。

 

「臨床心理士の方々でどうにかなるなら、この学園は存在していない。それだけ『暴力系ヒロイン』とは特別な存在なんだ」

「プロでどうにかならないのに、オイラがどうにかできるとは思えないんですけど」

「いいや。君達ならできる。何故なら、この学園に入学した男子生徒達は選りすぐりの『暴力系ヒロイン』と対を成す者達なのだから!」

 

 校長のテンションが上がっているんですが、暴力系ヒロインと対を成すとは何でしょうか? とりあえず、字面か咀嚼してみることにします。

 まず、暴力系ヒロインと対を成すと言えば主人公です。近年の無実なのにボコられるタイプは置いときまして、昔はバカをやったり不埒だったりしたのでとっちめられる。と言うコミュニケーションが定番でしたね。

 

「言われてみたら。同じクラスの星野君もそう言うタイプでしたね」

「話が早いね。その点で考えれば、君も暴力系ヒロインに相応しい男子だということが分かるだろう?」

 

 だろう?↑ みたいなイントネーションで言われて腹が立ちますが、オイラは問題らしい問題も起こしていないので心外ですね。

 

「オイラは明らかに別枠じゃないですか」

「いいや。君みたいなモラハラ男子は暴力系ヒロインに相応しいとされている。宮本さんの様な粘着ストーカーメンヘラにもめげない正論パンチャーなんて、この学園に相応しい逸材だよ」

「すごいですね。ここまで生徒をバカにして来る校長は始めて見ました」

 

 オイラと宮本さんを何だと思っているんでしょう。粘着ストーカーメンヘラなのは否定しませんが。

 

「彼女達を更生させる方法はやはり恋。ラブコメしかありえないんだ」

「なんだろう。恋愛リアリティショーに託けたスナッフフィルムの撮影会場にするつもりですか?」

「そんな血生臭い物を繰り広げて貰う必要は無いから。クラスメイトの女子と恋をして、彼女達に乙女力を取り戻させて欲しいんだ」

 

 一昔前のハーレム系の漫画あるいはラノベみたいなシチュエーションですね。なんで、生徒であるはずのオイラがそんなことをしなければならないんだ。と言う疑問は浮かびますが。

 

「ちなみに受けなかった場合は?」

「うーん。外に出られないかも」

 

 やっぱりここって和製のアルカトラズなんですねぇ。受けないという選択肢は用意されていないので、オイラは頷くしかありませんでした。

 

「分かりました。受けましょう。でも、何をすれば?」

「まずはクラスの女子と仲良くなることから始めれば良いと思う。そうだ。1人、更生が確認されるごとに私から褒美を渡そう。学園内で可能な物に限るが」

「とりあえず考えときます」

「期待しているよ」

 

 色々と衝撃的な話でした。ラブコメでヒロインを更生させるとか、何周遅れしているか分からないネタなんですが、暴力系ヒロインなんて物を収監している位だから、感性がそこ位で止まっていても不思議ではありません。

 教室に戻るまでの間に喧嘩に負けて伸びていたり、絞め落された生徒が転がされていましたが、スルーして教室に辿り着きました。

 

「大西君、おかえりなさい。どうでした?」

「校長の頭がイカれていたことだけは分かりました」

 

 ラブコメで女子を更生させろ。なんて話題をする人はイカれているとしか言えないので、こういう他ありませんでした。流石に本題をいう訳にはいきません。

 ただ、オイラの説明が宮本さんの琴線に触れたのか。ウッキウッキになっていました。

 

「そうですよね。やっぱり、大西君や私達をこんな所に閉じ込める人達がマトモな訳がありませんよね。でも、大丈夫ですよ。数は少ないですが、私達みたいなまともな人達もいますから」

「まともじゃない人がする発言の定番ですね」

 

 まともな人は自分がマトモであるか? と言うこともちゃんと疑えるので、宮本さんがマトモでないことは確かです。

 

「で。それで、さっきの続きなんですけど」

 

 悪口にも飽きたのか、直ぐに反応集の話に戻りました。案の定と言うべきか、校長の話よりも面白くなかったですね。

 

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