私立! バイオレンス学園!!   作:明るく楽しく暴力系ヒロインを!

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5時間目:始めよう! バイオレンス学園!!

「良いか。雷霆。俺が大西の一番の親友になっているのには理由がある」

 

 昼休み。いつものメンバーに雷霆さんと炎王院さんを加えた5人で弁当を突いていると、星野君がエラソーに講釈垂れようとしていました。

 宮本さんはスマホ弄っていますし、炎王院さんはガン付けていますし、真面目に人の話を聞こうとしている雷霆さんが一番マトモなんじゃないかと思います。

 

「いったい何が?」

「3Sだ。まず、尊重。俺達はお互いに敬意を払い合っている。一番のダチになる上では欠かせないモンだ。そして、お前らに足りねーもんだ」

「この間、オイラの胸倉掴んで殴ろうとしてきましたよね?」

 

 言っていることは間違っていないのに、本人の言動に表れていないのが不思議ですね。いわゆる『お前が言うな』と言う奴です。

 

「そして、信用。俺達はお互いのことを信用し合っている。コレは相手のことを知っているから、どんな行動をとるか、何をするかってのを理解しているからこそだな」

「すごいですね。人にケツ拭いさせるのを、そんなに綺麗に飾り立てられるのってある意味才能ですよ」

 

 星野君も決して頭は悪くないのですが、抜けていることが多く、詰めも甘いので、同じクラスの男子と言うだけでオイラに後始末が回って来ることも多いです。

 

「最後に誠実。俺は自分を偽ったり、良く見せたりはしねぇ。ありのままの自分を受け入れてもらってこそ、真のダチだからな」

「少しは取り繕って欲しいんですけど」

 

 気を使わないことと配慮をしないことは別物ですが混同している人が多くて困りますよね。炎王院さんもオイラと同じくしかめっ面をしていましたが、雷霆さんは目をバチバチと輝かせていました。

 

「す、すげぇ! 本当に1番のダチなんだな!」

「そういうこった。何かあったら、まず俺を通すんだな!」

 

 星野君がクラスメイトにも聞こえる様に大仰に言いました。良い風に見れば、防波堤になってくれるということですが、悪い風に見れば間に入ってやりたい放題できるということです。

 

「なんで、大西さんと交流をするのに、貴方を通す必要がありますの?」

 

 炎王院さんから当たり前すぎる意見が飛んで来ました。しかし、この程度の反論は予想していたのか、星野君がヤレヤレと溜息を吐きました。

 

「大西はたらこ唇で口が悪いけれど、俺ほど頑丈じゃねぇからな。交流して良いかどうかは俺が品定めしてやらねーと、ダチが持たねーからな!」

「なんだろう。オイラの口周りの悪口言うの止めて貰って良いですか?」

 

 ただ、言っていることに筋は通っているので否定し難いんですよね。実際にオイラは星野君みたいに頑丈でも無いので。

 

「じゃあ、アタシはどうだ? 交流するのにバッチリそうだろ!!」

「いや、オメーは手が早すぎるから無しだな。ただ、誠意を見せてくれりゃ、考えてやってもいいぜ?」

「うるせぇ!」

 

 シュッと席を立って星野君を絞め落していました。なるほど、分析は正しかったようです。彼が残した弁当を横取りしつつ、雷霆さんはオイラに話し掛けてきました

 

「よく考えたら、コイツに話し聞いてもしゃーねぇーじゃん! やっぱり、オメーに直接話聞かないと! なんで、この学園に入学させられてんだ?」

「理由は分からないんですけど、いつの間にか親に願書出されていたみたいなんですよね。酷い話ですよね」

「ひっでー話だな! オメー、何も悪いことして無さそうなのに!」

 

 おぉ。こうも何の考慮も無しに肯定されると案外気持ちいいモンですね。

 どうして、おぢさん達がキャバとかにハマるのかが疑問でしたが、一端が分かった気がします。こうなると、相手の話も聞きたくなりますね。

 

「そういう、雷霆さんはどうして?」

「人を殴りまくっていたら、連れて来られた!」

「何か事情があって殴っていたとか。そういう話ではなく?」

「おう!」

 

 多分、コレは少年院とかも諦めて完全に隔離した方が良いと判断されて、連れて来られたんでしょうね。炎王院さんもドン引きしています。

 

「全く、貴方は学園じゃなくてサバンナや大自然に生息している方がお似合いじゃありませんこと?」

「ライオンとかいる所か? アレ、格好いいよな!」

「リアルでIQが違い過ぎると会話できないって場面。始めて見ました」

 

 オイラのは敢えて無視されているタイプですが、この会話においてはお互いが話を聞いているのに一つも通じていないというパターンです。

 にしても、雷霆さんは分かりやすい位に蛮族ですね。むしろ、よくここまで成長して来られたというか、少年院とか然るべき施設で監禁されてそうですが。

 

「この学園は良いよな。前にいた学校は絡んで来る奴少なかったし、絡んで来たとしてもゴチャゴチャうるせーし。その点、ここの奴らは素直に喧嘩してくれるしな!」

「すごいですね。収容所の目的に真っ向から反するスタンス持っているなんて」

 

 更生は諦めて、彼女は永久に学生をやっている方が良い気がします。だとしたら、どうして彼女はオイラに絡んで来たんでしょうか?

 この学園で良いことがあるかもしれない。と言われたら、概ねの生徒に過るのは外の世界に帰ることだと思うんですが。炎王院さんが尋ねました。

 

「でしたら、どうして貴方は大西さんにお近付に?」

「だって、大西の近くにいたら良いことあるんだろ? よく分からねーけれど、良いことなんだから。良いことなんだろ!」

 

 脊髄反射で動いていますね。大食いで、気が良く、フィジカルも強い。と要素だけを書けば、少年漫画の主人公めいていますが、出力を間違えれば隔離所にぶち込まれる所が、現代の世知辛さを感じさせてくれますね。

 

「はい。多分、良いことありますよ。オイラも分かんないですけど」

「ホラ、見ろ!」

「ふっわ、ふっわじゃないですの!?」

 

 本当は物すごく強かで、オイラの好感度を稼ぐ為に演じている。と言う可能性も過りましたが、好かれる努力をしてくれるならどっちでも構いません。

 問題は炎王院さんの方ですが、一度に2人分も聞いたらお腹いっぱいになるので、今は控えておきましょう。

 

「でも、仲良くなって友達になったら何するんだ? 全然、分かんねぇ」

「一緒に出掛けたり遊んだりするんですけど、そう言うのも無かったんですか?」

「おう! 友達いなかったからな!」

 

 暴力を振り撒く奴とお近付になりたいなんて人間は大分珍しいと思いますしね。その点、この学園は暴力塗れなので逆にフィットしているってことですね。

 

「じゃあ、オイラが始めての友人ですね。どうぞ、よろしく」

「うぉおお! 初めて友達できた!」

「会話が化け物と人間のソレなんですが。よろしいんですか?」

 

 炎王院さんの言うことは事実みたいなモンなので。雷霆さんが無邪気に喜んでいるので、今はコレで良いかと思います。

さて、そろそろ昼休みも終わりそうなのですが、先程から口数が少なくなっている彼女にも声を掛けます。

 

「宮本さーん?」

「私より、雷霆さん達と話すのが楽しいならそっちで話していれば良いんじゃないんですか?」

 

 いじけていました。雷霆さんに聞かれても問題はありませんが、炎王院さんに聞かれている様子は無さそうだったので安心しました。

 彼女は古き悪き御嬢様なので、言葉でいじめ殺しかねない位に過激ですので。かと言って、ここで宮本さんのケアをしておかないと帰った後に鬼の様に通知が来るので、それも避けたい所です。

 

「そうですか。注文していたテレビで動画サイトを見れる奴が届いたんで、放課後に宮本さんと一緒に動画を見ようと思っていたんですが」

「昼休みは終わりですよ! 早く、次の授業の準備を!」

「お、そうだな! 星野も元の位置に戻してっと」

 

 宮本さんがいつになくノリノリになりました。雷霆さんが星野君と彼の机を元の位置に戻して、彼を揺さぶっていました。

 自分で気絶させた割には起こし方が雑ですね。ちょうど昼休みの終わりを告げる鐘も鳴りましたし、放課後は宮本さんと一緒に動画でも見て過ごすことになりそうです。……と思っていましたが、オイラは失念していたことがありました。

 誰かと仲良くなるということは、その誰かが持っている人間関係にも巻き込まれるということで。軽く話を聞いただけでも問題児過ぎることが分かった、雷霆さんと交流を持つことが何を意味するか。それは間もなく知らされることになります。

 

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