鬼滅の伝説   作:織姫ミグル

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刀鍛冶の里編
第一章


 

 

『人喰い』あるいは『鬼』

 

そのような存在を目にしても現実が追いついてこないようなら、そんな人物はよほどぬるま湯に浸かっていたか。それはもう、生まれてこの方一度も妖怪や幽霊を信じたことがない現実主義者くらいには。と、少なくとも表向きはそういう位置付けである。

 

とはいえ初見でも恥じることはない。

 

そもそも鬼なんて存在がいること自体、地球という幅広い惑星からすればニッチな小世界に過ぎないのだから。

 

情報がほとんど出回っておらず、それを裏から知られぬようにしているのだから。

 

たとえ知ろうと探ったところで、そこで喰われるのがオチだ。

 

 

「楽しいのう! 楽しいのう!!」

 

「たかだか餓鬼一匹で俺たちに刃向かってくるとは、これはなかなか喜ばしいぞ!!」

 

「いつまでも死ねず苦しみが長引くとは、哀しいのう」

 

「たかがこのような童になぜこうも手古摺るのか······腹立たしい、腹立たしい!!」

 

 

それは畏怖すべきものであった。

 

いつの頃からこの地に蔓延っていのだろう。

 

彼らは人を喰らう。

 

人が麦を喰らうのと同じように人を喰らう。

 

ただ喰らう。

 

突然現れては人を喰らい、集落一つを消していくことさえもあった。

 

人食い。

 

邪神。

 

鬼。

 

言うまでもなく、それは危険な存在だ。

 

しかし同時に、その存在は世界から見放されたようなものであり、一種の憐れな生き物だった。

 

死んでも誰の記憶にも残らない。

 

強大な何かが裏から押し潰し、死ねばそれは闇へと消える。

 

記録には残らない。

 

 

「はぁ·······はぁ·······ッ!!」

 

 

だから『彼ら』は戦うのだ。

 

その存在を跡形もなく消すために、

 

彼らは。

 

“鬼殺隊”は。

 

鬼をこの世から一匹残らず滅するために。

 

安心して皆が朝を迎えられるように。

 

刀を振るうのだ。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

突如現れた異形の化物は襲うだけではなかった。 

 

里にいる刀鍛冶達を喰らうだけでなく、金輪際鬼狩り達に武器の調達をさせなくさせるのもその役目の一つだった。

 

鬼が人を喰らう。 

 

人はただ逃げ惑うのみだ。

 

 

「に、逃げろぉぉぉおおおおッ!!!」

 

「なんで、なんでここが襲われるんだ!?」

 

「だ、駄目だ! とにかく刀を持って遠くへ────────」 

 

 

人は信じられないものを見た時に、自分の枠の中だけで処理しようとする。 

 

だから混乱するのだ。 

 

自分達が喰われるためにあるだけの存在であることを認めるのは、喰われた後にのみである。 

 

人は喰われる。

 

今、長く隠されてきた刀鍛冶の里の灯火が消えていこうとしている。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

猶予はなかった。

 

少年は両手を上げると、襲撃者に銃口を向けて引き金を絞った。

 

左肩を殴られたような衝撃が走る。

 

一発目は途中にあった木の幹にぶつかった。

 

二発目は真っ直ぐ襲撃者へと突き進む。

 

甲高い音と火花が散った。

 

この散弾が襲撃者を貫くことはない。襲撃者の頭を吹き飛ばしてもなんの問題もなく元に戻り、けれども足止め程度はできるはず。

 

それでも、相手はただの襲撃者ではない。

 

『上弦』という。

 

奴らの中でも極めて強い個体なのだ。

 

 

「まだ生きていたのか」

 

「·······ッ!?」

 

 

青い目をした奴だけがこちらを向き、赫い髪の少年を取り囲む四体のうち三体は虫ケラにも気にしていなかった。

 

そいつは槍を構え、遠くから突き刺すように矛先をその鬼狩りに向ける。

 

 

「くっそがあああああああああああっ!!」

 

 

少年は叫びながら銃弾を装填し、無我夢中で撃ち続ける。金属の削り飛ばされる音が連続する。吐き出される薬莢同士が空中でぶつかり合って、銃声の中に鈴に似た響きを付け加えていく。

 

しかし襲撃者の体が粉砕されることはなかった。

 

突っ込んでくる影は複数の銃弾を躱し、一直線にこちらに突っ込んでくる。

 

避ける余裕などなかった。

 

そのまま砲弾のように突っ込んできた襲撃者の槍にやられた少年は、上半身の内側から鈍い軋むような音が炸裂する。

 

 

「があああああっ!?」

 

 

叫ぶことができただけマシか。

 

突き刺さった槍は後ろの木をへし折り、少年をそのままその木に拘束した。硬い根の感触を感じた、今の一撃だけで血の味が口の中に広がる。

 

腹に刺さった槍を抜こうにも、襲撃者がそれを許さない。

 

 

「邪魔をされるのは哀しい」

 

「あッ!?」

 

「今良いところなのだ。あの御方が目の敵にしている鬼狩りを葬るのだからな·······そこで大人しくしていろ。お前を殺るのはその後だ」

 

 

そう言われて襲撃者は槍を押さえながら仲間たちの方へと向く。その間にも少年は抵抗しようとしても、突き刺さった槍はぴくりとも動かない。

 

自分と似た姿の個体が三体、それぞれが自分の感情を持って倒れている子供を睥睨している。

 

 

花札のような耳飾りに、赫い髪の少年。

 

 

息切れの中、それでも刀から手を離さない彼は、しかしもう限界のようだった。それもそのはず。彼はもう一人の柱の少年と引き裂かれて以降、駆けつけてくれた側面が刈られた頭をした少年の援護があっても、相手は強過ぎた。

 

『上弦』という、鬼の中でも特別枠に入る部類を相手にするなんて、いくら修行をして鍛えたとしても難しい。

 

ついに、少年の手が漆黒の刀からゆっくりと離れた。

 

血まみれの手だった。いいや、赤く汚れているのは手だけではなかった。

 

力が抜ける。

 

半ばまで地面に刺さった刀を残し、そのまま廃墟まみれの上に崩れ落ちた少年の頭は、あまり変わらなかった。ただし、その口元だけがほんのわずかに緩んでいた。

 

これで良い。

 

もう自分の役目は終わった。

 

たった一人の家族を失った自分がもう生きている意味はない。世界でたった一人になってしまってから世界が闇に見え、もう生きる気力すら失った。ただで死ぬつもりはなかった。せめてその命が燃え尽きるまでは刀を振るう。それでいつの日か強大な敵に自分の力が及ばず、負けて死ぬのであればそれを受け入れる。

 

神経も血管もズタズタにされ、生きるための土台は失われた。

 

この命もそう長くはないだろう。

 

よくやった。

 

これでいい。

 

ようやく、天国で待つ家族に妹に会いに行ける。

 

決着を見届けるのが目的ではない。自分はこれからの未来に必要な土台を用意した。

 

『上弦の陸の血』

 

これによって皆はその先にいる『鬼の始祖』へまた一歩近づいた。だから構わない。遠い未来の先に、皆の笑顔があるのであれば、ただ長い歴史のうちのほんの一欠片である自分にとっては立派な勝利だ。今この瞬間にも、自分たちを凌ぐ才覚を秘めた子供達が産まれている。彼らが自分の代わりに奴を討ち倒してくれるだろう。

 

 

「さっさと殺してしまえ!! あの御方のために!!」

 

「わかっておるわかっておる! それじゃあ、皆でこいつを殺してしまうのはどうじゃ?」

 

「おお! それは楽しい面白い!! それならば皆平等に手柄を立てられるのう!!」

 

 

そんな作戦会議が行われる中、遠くで応援に来た少年を押さえている襲撃者が不満を言う。

 

 

「儂だけ仲間外れとは·······哀しい」

 

 

素直にそう思ったのか、普段から哀愁に満ちた瞳がより一層深いものになっていく。

 

けれどどうでもいい。

 

やるならさっさとしてくれ。

 

少年はそう思い、あちらで待つ家族たちの姿を思い浮かべながら、ゆっくりと、その瞳を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血鬼術────爆血

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやく少年が違和感に気づいた時だった。 

 

 

ボッッッ。 

ボおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォッ!!!!!! と。 

 

 

腹に響く、凄まじい轟音が炸裂した。 

 

前後左右ではない。

 

上から、だ。 

 

ゴウッ! と、鼓膜というより魂を焼かれるようなその恐怖は、上空から付近へ爆弾を落とされた時と似ているかもしれない。 

 

炎。 

 

赤に桜を混ぜたような異色な炎。 

 

だが、本人には出血も火傷もなかった。

 

 

「「「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!???」」」

 

「!?」

 

 

そこで彼の体は硬直した。

 

ついさっきまでそこに立っていた三人は悲鳴を上げ、もがき苦しんでいた。

 

 

(な、何が·······?)

 

 

朦朧とする意識の中で頭を振って、少年は爆心地点に目をやった。

 

そこで彼の体は硬直した。

 

ついさっきまで自分の命を刈り取ろうとしていた『鬼』達は、『炎』に包まれて焼かれている。あまりの熱気に叫び、消そうとしてもなかなか消えず、自分の持つ武器を辺りに振り回している。

 

何か、とてつもないイレギュラーが起きている。

 

これまでの闇雲に戦えば何とかなるレベルの話ではない。まず観察して状況を把握しなければ間違いなく死ぬ。これだけ瀬戸際の世の中で、そんな『予感』が見えない針のように少年の背中の真ん中にずぶずぶと埋まってくるのが分かる。 

 

息すら殺して、少しずつ現実へ向かうにつれて、ピリピリと全身の肌を薄く刺すような感覚が増していく。

 

最初は緊張感の成せる業かとも思ったが、違う。

 

現実逃避。

 

燃え尽きたはずの蝋燭が勝手にまた着いたようだった。空間そのものが燃えているようだ。 

 

鼻につくのは焦げ臭さではなく、綺麗な香り。 

 

嗅ぎ慣れた、どこか懐かしい印象を与える臭気の正体は·······鬼。 

 

新手の鬼であるならば、気取られてはならない。 

 

頭ではそう分かっているはずなのに、その目を止められなかった。少年の喉がごくりと動いてしまったのだ。 

 

そして。 

 

だから。

 

 

 

 

 

 

「ムー!!」 

 

 

 

 

 

 

それは、少女の声だった。 

 

それしかなかった。

 

それだけで、少年を立たせるのに充分だった。

 

現実逃避から来る妄想、あるいは走馬灯が見せた幻覚。

 

それらを裏切るようなことが起きている。

 

少年にとって全ての存在。 

 

桜のような瞳だけで夜の森を全部照らすかのように可憐で、少年を照らす希望の光。 

 

だから中心に立つ何者かは最初、シルエットしか見えなかった。 

 

徐々にその光に慣れていき、ようやく少年は目にする。

 

周囲にいた鬼を自身の術で燃やし、人体には影響がない完全に人間の味方である鬼の正体が明かされる。 

 

豊満な胸に麻の紋様のような着物。

 

市松柄の帯。

 

口元の竹筒でできた口枷。

 

植物の葉にも見える痣。

 

鬼の象徴である鋭い角。

 

もこもこな脚絆を着け綺麗な太股をさらし、見たこともないデザインの頭巾を被っている少女の正体は、

 

 

 

 

 

「────────────()()()?」

 

 

 

 

 

「ムー!!」

 

 

理屈なんてわからなかった。

 

そこに、失ったと思っていた妹が立っていた。

 

それだけで、少年の燃え尽きそうな灯火は激しく再燃する。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

息ができなかった。

 

いくら空気を求めて泳ごうとしても体は進まず、そればかりか体力を消耗させる。

 

 

「ヒョヒョヒョ!! 鬼狩りの最大の武器である呼吸を止めてしまえば柱など怖くもない。そのままもがき苦しんで歪む顔を想像すると堪らない!!」

 

 

水に揺られて確かな姿は捉えられないが、今まで自分と戦っていた鬼が愉快そうに告げてくる。

 

目と口が反対で、病人のように白い肌。気色が悪くてが何本も生え、その足を悪趣味な壺に納めている。

 

自分は敵の術中にはまった。

 

今自分は逆さまの状態で壺の形をした水の塊に閉じ込められ、このままでは溺死する。斬ろうとしても刃が届かず、どうしようもなく詰み状態。呼吸も封じられて型を出せない。力を出そうにも水の中じゃ上手く動けず、もはや為す術がない。

 

 

「柱の無様な最後をこのまま眺めていたいところですが、先に必死に守ろうとしていたあばら屋を拝見します」

 

 

そう言って壺の中に引っ込んでいく鬼。

 

柱のことなど目もくれず、ただ好奇心のままに行動する。

 

 

「······」

 

 

残された柱の少年は意識が朦朧としてきた。

 

肺に残った空気は一度試しに技を出した際に使い切った。刃毀れした借り物の刀では破れなかった。

 

──────終わった。

 

自分ができることは何もない。

 

空気も確保できぬのでは役立たず。身動きすらできず死を待つのみだなんて、柱としてあるまじきことだ。あとはもう、他の者に託そう。自分は死ぬから最低でも柱が二人来ることを祈った。

 

と、そんな時だった。

 

 

「············?」

 

 

水中で目の角膜が持つ屈折力がほぼ無効化されるためほとんど見えなかったが、何かが近づいてくるのがわずかに見えた。

 

それはここに向かってきており、

 

いや、違う。

 

()()()()()()()()()

 

それは落下予測地点を大きく外れ、柱のすぐ横。

 

先ほど鬼が入っていったあばら屋の方へと落下していった。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

「ダメだ!! この中には入らせない!!」

 

 

勇敢と無謀は違う。

 

たとえそうだとわかっていても、彼は鬼に立ち向かう。

 

その様子に鬼はケラケラと笑い、

 

 

「ヒョヒョ! どうしてそんな無駄なことを? もしかしてお前如きが私をなんとかしようと?」

 

「!?」

 

 

迫り来る恐怖と体の奥から訴える生存本能に従えば良いものを。あるいは合理性など何もなく、恐怖に縛られた両足の拘束を引き千切るための儀式でしかなかったのかもしれない。

 

心臓から全身へ伝わる恐怖と嫌悪へ彼は素直に従った。その右手に持つ護身用包丁を強く握りしめ、全力で向かっていく。勇気を振り絞るというよりかは、視界に映る心霊現象から逃れるためにその辺の石を投げつけるような後ろ向きの感覚で包丁を振り抜く。

 

無論、そんなのは当たるわけもなく。

 

 

「ヒョ!!」

 

 

手の中から出てきた壺から放たれる恐ろしい水圧。それは鞭のようにしなり、それでも刃物のように切れ味があるそれは彼から血飛沫を散らせる。上手いこと行けば金剛石すらも切断するその高圧水流に叩かれた彼は身体中に傷を負い、その具合から見てまだ鬼は殺す気はないらしい。

 

ニチャァ! と口を歪める鬼を見て察する。

 

この世界には二種類の狩人が存在する。

 

一人は、確実に獲物を仕留めて自分の腕に自信を持たせる普通の狩人。

 

もう一人は、獲物をじわじわと追い詰めて悶え苦しむ様子を楽しみながら快楽を得て、最後にトドメを刺して最高の悦びを見いだす少々イかれてた狩人。

 

こいつは圧倒的に後者。

 

放たれる攻撃はわざとらしく彼の皮膚の外側を削ぎ、当たるか当たらないかの距離からじわじわと死へと近づけていく。

 

攻撃できる隙はなく、いつまでも逃げることしかできないという恐怖を与える。

 

 

「こんなあばら屋を必死で守ってどうするのだ? もしやここに里長でもいるわけではあるまいな?」

 

「ぐ···········うぅ!!」

 

 

必死に守ろうとしていることからここには何か重要なものが眠っていると思っていたが、当たりだろうか?

 

鬼は暗いあばら屋を見渡して中にあるものを確かめると、

 

 

ジャ、ジャッ!!

 

 

石に何かを擦り付けるような音が聞こえてくる。

 

水に漬けた砥石で表面の錆びついた部分を研いでいるような音。

 

音のする方に視線を向けると、そこにはもう一人の男がいた。

 

長とは思えない風貌。しかしここにいるということはさぞ重要な任務でも任されているのだろう。

 

 

「おい、そこの人間」

 

 

四十手前の人間。

 

鬼にとってはそれほどでも若いようで、その男が何をしているのか尋ねた時、

 

 

「すごい鉄だ、すごい刀だ···········何という技術···········素晴らしい!!」

 

 

必死に研いでいる男は鬼の声に応えない。

 

 

「作者は誰なのだ? どのような方がこの刀を···········なぜ自分の名を刻まずこの一文字を···········?」

 

(こ、こいつッ!!)

 

 

鬼のことなど眼中にないかのように無視し、とにかく刀を研ぎ続けている。鬼よりも刀の方が彼にとって優先度が高いのか、それにしても凄まじい集中力。鬼の存在に気付かぬほど没頭しており、それが鬼にとってはどうしようもなく悔しかった。

 

この『上弦の伍』である自分に全く気付かず、しかも芸術家としての血が騒いで彼の魂を揺さぶる。

 

 

(私とてこれほど集中したことはない!! 芸術家として負けている気がするッ!!)

 

 

とても気に喰わない。

 

この程度の人間なら簡単に殺せるだろうが、それだけでは自分の腹はおさまらない。

 

この自分の無下に扱うその態度、どれだけ威圧を放っても無視する精神力、芸術家として作品に対する情熱さ。

 

それらが劣っているとして、このまま殺せば自分の劣等感を認めることになりそうだ。

 

なんとしても、その手を止めさせたい。

 

この集中を切って、自分という存在をさらなる高みへ。

 

そう思って鬼は無数の手からいくつもの壺を出現させ、高圧力の水流を叩きつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴシャァァァアアアアッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、両者の目の前に轟音と共に砂塵が舞った。

 

屋根から聞こえてきたと思ったらそこには人型の穴がうがれており、それを貫きながら何かが落下してきた。五感が飛んだのか、両者はしばらくの間その急な展開に頭を真っ白にした。

 

そして。

 

そして。

 

意識が元に戻るに連れ、視界はようやく正しい情報を脳へと送る。

 

砂塵が舞う中に見えるシルエット。

 

人影は『いてて···········ッ!!』という声を漏らしながら自然な挙動でいることがわかる。

 

徐々にその砂塵が晴れていくと、

 

 

 

 

 

「どこだ···········ここ?」

 

 

 

 

 

不思議そうな目で突如現れたのは、青年。

 

日本のような見慣れた着物ではなく、『蒼い衣に身を包んだ異国の青年』がそこに立っていた。

 

 

 

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