鬼滅の伝説   作:織姫ミグル

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第四章

 

 

戦況は常に変わる。

 

いつまでも同じ状態であるとは限らない。

 

それが有利になるか不利になるかはその時次第だ。どれだけの実力を持っていても、一つのきっかけで流れは大きく変わる。

 

 

「ハァッ! ハァッ!!」

 

 

不利となっていた戦いも、彼女が介入したことによって思うように動けるようになった。

 

彼の妹、竈門禰豆子。

 

鬼へと変えられた少女は最近まで行方不明で、どれだけ探しても見つからなかった。それどころか、鬼までも全く見かけなくなり、鎹鴉からの指令を受けて出向いてみても鬼の足跡すら見つけられなかった。つまり、妹だけでなく他の鬼までもが行方知らずとなり、その姿を何処かにくらませた。

 

普通なら喜ぶべきだろうが、少年はそのことを素直に受け入れられなかった。

 

自分のたった一人の妹までもがいなくなったら、誰だって絶望する。どこを探しても匂いの残穢すら追えず、ついにはもうこの世にはいないのではと思うほどに彼の心は傷心しきっていた。

 

なのに。

 

もう死んだと思っていたのに、何の前触れもなく兄である彼の前に、自分の大切な妹はまた現れてくれた。

 

彼女は以前と変わらなかったが、見たこともない頭巾を被っていた。どこで手に入れたのかはわからなかったが、その頭巾から香る匂いには、妹の禰豆子のものではない別の人間の匂いが感じ取れた。

 

匂いからして、これは男のものだ。つまりは妹の禰豆子を誰かが匿っていてくれたのだろう。

 

一体誰が禰豆子の面倒を見ていてくれたのかは匂いだけではわからない。

 

しかし、その匂いからして悪い人ではない。

 

あとで詳しく禰豆子の被っている頭巾に残っている匂いを嗅いで痕跡を辿り、その人にいつかお礼をしようと考えるが、今は後回しだ。

 

禰豆子が介入したことで、喜怒楽という文字が刻まれた三体の鬼供と対峙していった。

 

だが、戦える仲間が一人増えたからといってそれだけで戦況が有利になるわけではない。

 

三体の鬼は上弦という一筋縄ではいかない強力な鬼であり、いくらその鬼達の頸を斬っても倒すことはできない。頸を斬られるとその鬼は分裂し、威力は弱くはなるもののそれでも異能を使う分身体を生み出す。これ以上斬って分裂しても別の個体が出てくるわけではないが、しかしこいつらの頸を斬っても意味はない。

 

どこか。

 

別のところに、こいつらを生み出した本体がいる。

 

それを探し出すためにはまずこいつらの動きを封じる必要があった。

 

その時、禰豆子は何を思ったのか両手で少年の持っていた刀の刃を握り締めた。

 

手の平と指が切れて、鮮血が刃に絡みつく。

 

瞬間、

 

ボッ!! と。

 

彼女の血が燃え上がり、その熱で刀の色が変化していった。

 

禰豆子の血鬼術、『爆血』。

 

その炎は鬼にのみ有効であり、人間には燃え広がらない。どういう原理かはわからないが、人間や衣類はこの炎に触れても燃えることはんく、むしろこの炎で人を包めば鬼の毒を焼却させる解毒の効果がある。

 

つまり、その炎を纏った刃は今まで以上に威力が上がる。

 

禰豆子の爆ぜる血を纏った刀。

 

その名も、『爆血刀』。

 

その真っ赤な刀身を以てして、少年は鮮やかな足捌きで三体の鬼の間を駆け抜けていった。蛇行する太刀筋は、真っ赤な炎の龍のようにとぐろを巻き、喜怒楽の鬼の頸を切断した。

 

それで残りの哀の鬼を倒そうとしたが、すでに同期である“不死川玄弥”が先程までの自分と同じように木の幹に縫い留めて頸を切断していた。

 

その同期の姿はまさに鬼のようであり、その異形な力で鬼の頭を切り落としていたようだが、まだ終わっていなかった。

 

四体とも再生していた。

 

かつて戦った上弦の陸は二体同時に頸を斬っている状態でなければ倒せなかったが、こいつらはどうも違う。

 

やはり五体目の本体がいる限りこいつらは倒せない。

 

どこかに潜む本体を探し回る竈門炭治郎。

 

彼の同期も一瞬暴走しかけたが、少年の説得によって正気を取り戻し、特殊な銃弾を放てる拳銃を使用して鬼を引き付けてくれていた。

 

少年、竈門炭治郎は自慢の嗅覚を存分に使って本体である鬼の居場所を探し出す。

 

 

(いた!! 小さい······!!)

 

「ヒェッ!?」

 

 

四体に分かれた鬼の本体。

 

それは人差し指ほどの大きさしかなく、弱点である頸もとても細かった。

 

だが、その頸は恐ろしいほどに硬い。

 

それでも逃すわけにはいかない。

 

禰豆子の力が宿った赫刀の威力は先程の喜怒哀楽達で実証済み。

 

 

「うおぉぉぉぉおおおおおッ!!」

 

 

炭治郎は燃える赫刀を振り下ろす。

 

刃が本体、着物を着た老人の鬼の頸を捉え、食い込んでいく。

 

 

ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!??

 

 

断末魔。

それはとても不快で、聞くものを卒倒させる程に酷い音だった。

 

だが行ける。

 

これで上弦を倒せる。

 

炭治郎は鼓膜を破裂させそうな声に耐えながら、本体である“怯”の文字が舌に刻まれた鬼の頸を切り離す。

 

鬼のトドメまであと一歩。

 

迅速な対応だったと判断できるだろう。 

 

しかし。

 

 

『災厄』とは、そんな規格を無視して唐突に襲いかかってくるものだ。 

 

 

その『災厄』は、視界の外からやってきた。 

 

ドンッ!! と。 

 

まるで大砲でも撃ち込まれたかのような爆音が鳴り響き、一面に夜景を捉える視界が砕け散った。爆弾でも爆発したかのように地面が割れる。しかし飛び出してきたのは火力の塊などではない。 

 

木。 

 

木の幹の、葉を茂らせた枝の、幾つもの顎。 

 

蜥蜴なんて生優しいものではなく、『龍』と表現すべき異常な化物だった。

 

今まで戦ってきた喜怒哀楽が使っていた異能とは違った攻撃。

 

────つまり、

 

 

(六体目!?) 

 

 

これだけの異常現象を前に、まだ刀で切り離そうとする炭治郎。

 

そしてその小さなラグでさえ、炭治郎の前では致命的となった。 

 

伸びてきた龍が取った行動は簡単なものだった。一番本体の近くにいた炭治郎を引き離すために龍の頭は彼の体を吹き飛ばし、宙へと放り投げる。彼は即座に体勢を整えるために身を捻り、空中から地上を見下ろす。

 

いくつもの龍の頭。

 

それらは確実に炭治郎に狙いを定め、丸呑みにしようとしてくる。

 

 

「ッ!!」

 

 

空中では身動きが取れない。

 

炭治郎は僅かながらも空気抵抗を利用して宙を泳ぎ、落下速度を早めて地上へと降りようとする。

 

しかし。

 

予想外の所から、龍の頭が次々と襲い来る。

 

首を伸ばして襲い来る龍の頭を躱し、その首に刃を刺しこんで滑り落ちることで地上へと着地衝撃を軽減させようとするが、龍の首は不規則な挙動を描いているためにバランスが取れず、炭治郎の体は振り落とされる。

 

その隙を突いて、もう一頭の龍が炭治郎を喰い殺そうと大口を開けて迫り来る。

 

万事休す。

 

そう思っても最後まで諦めない彼は刀を構える。

 

だがそんな細い刀であの巨木で出来た龍の頭を切り落とすことができるとは思えない。すでに刀身は元の色に戻っている。威力の高い赫刀の効力は切れている。

 

炭治郎の体は迫り来る龍の頭に捉えられ、そのまま呑み込まれる。

 

 

「ムゥウウウウウッ!!」

 

 

突如、斜め下から何かが突っ込んできて彼の体に抱きつき、そのまま砲弾のように突き進む。

 

間一髪のところで、彼は助かった。

 

そして飛び出してきたものの正体は、

 

 

「禰豆子······!!」

 

「······ッ」 

 

 

彼女が助けに入ったことで彼は喰われることはなかったが、その龍の速度に対応する事ができず、腕と足が喰い千切られて地面に血を撒き散らしていく。

 

鬼であるため彼女の喰われた部位はすぐに生えてきたが、口枷から吐かれる息は荒々しく、相当に消耗しているように見える。

 

彼を抱えて助けた禰豆子であったが、体力が消耗している状態では上手く着地できなかった。

 

滑り落ちるように地上に落下した二人は地面を転がっていく。

 

炭治郎は何度も地面に叩きつけられて後ろへと吹き飛ばされるが、すぐさま起き上がって禰豆子の元まで駆け寄っていく。

 

 

「禰豆子!!」

 

「フゥ······フゥ······ッ!!」

 

 

口枷から溢れ出る熱い息。

 

竈門禰豆子は鬼の身でありながら人の肉を喰わず、よって通常の鬼とは違って体力の回復ができない。再生速度は異常に早くても、体力は続かない。何より彼女は今上弦に匹敵する程に強化された姿となっており、その代償として体にかかる負担は大きいはず。

 

鬼化が進む毎に彼女の眼窩にある罅のようなものは広がっていき、額にある角も鋭く伸びてくる。

 

 

(大丈夫だ······手と足も、再生している!!)

 

 

それでも結果的に彼女の喰い千切られた部位が治っていることに安堵する炭治郎。

 

だが油断はできない。

 

ここでまた彼女を失うわけにはいかない。

 

このまま鬼化が進んだら彼女はまた自我を失って周囲の人間を餌として認識し、飢餓状態に耐え切れずに襲いかかるだろう。

 

それだけはなんとしても避けなければならない。

 

一先ず、彼女の身の安全を考慮して行動せねば。

 

 

「弱き者を甚振る鬼畜」 

 

「「!?」」

 

 

二人は声のした方を振り返る。 

 

そこには、見覚えのない子供が立っていた。

 

何頭もの木の龍はその後ろに控えるように待機し、こちらを見下ろしている。

 

 

「不快、不愉快、極まれり」 

 

 

子供の姿をした、異形の鬼。

 

雷神を思わせる風貌に、背にある連太鼓。

 

その一つ一つに“憎”の文字が刻まれている。 

 

両手に持っているものはその背にある太鼓を打つためのバチなのかもしれないが、通常のものとは違って悍ましく動物の牙のようであった。

 

その隣。

 

開花するように捻れる大木の幹に、炭治郎がトドメを刺そうとしていたあの小さな老人の鬼がいた。

 

恐怖に怯え、悲鳴を上げながらしゃがみ込んでいる。

 

それを守るように立つ鬼は、その眼光だけで殺せそうなほどの殺意を向けて睨む。

 

 

「極悪人共めが」

 

 

ゾグッ!! と。

心臓を鷲掴みにするほどの強大な殺意。

 

その気魄に押された炭治郎と禰豆子は思わず生唾を飲み込む。

 

両目に宿る殺意。

 

そこに刻まれているのは『上弦の肆』という文字。

 

あの小さな本体が生み出した、もう一体の分身。

 

だが、気配を嗅覚で探れる炭治郎はすぐに気付く。

 

 

(六体目じゃない······!? あの喜怒哀楽の鬼の気配が消えているッ!?)

 

 

周囲にあの四体の気配が感じられない。

 

その代わりに現れたあの子供の鬼。

 

『上弦の肆』ということは奴も喜怒哀楽の仲間だろうが、それにしては強力すぎるその気配。

 

まるで先程までの鬼達を掛け合わせたような異様な殺意は、見る者の思考を途切れさせる。

 

ドンッ!!

 

子鬼は背の連太鼓を打つと、かたわらで泣きべそをかいている本体を守るようにして大木で周囲を囲う。

 

 

「ッ!! 待────ッ!!」

 

「────ッ!!」

 

「ッ!!!??」

 

 

待て、そう叫ぼうとした瞬間に体が硬直した。

 

睨まれた、たったそれだけなのに全身が凍ったように動かなくなった。

 

全身から噴き出す汗、明滅する思考、息をすることすら忘れる。

 

その鋭い眼光だけで行動を封じた子鬼は低い声で尋ねる。

 

 

「なんぞ? 貴様、儂のすることに何か不満でもあるのか?」 

 

 

周囲に展開される殺意は酷く冷たい。

 

その声が響き渡る毎に森まで悲鳴を上げている。

 

殺意に形はなくとも、それを感じ取った生存本能はそれに素直に応じ、恐怖で震える。

 

 

「のう? 悪人、共めら」 

 

 

刀が、震える。

 

手が離しそうになる。

 

意見することも動くことも許されない。

 

何もかもを掌握した子鬼は周りにいる少年らを睨むが、そこである異変に気が付く。

 

 

(玉壺の奴の気配が消え────いや、()()()()()()()()()?)

 

 

ここに一緒に来ていたもう一匹の上弦。

 

自分よりも一つ階級が下の鬼、玉壺の気配がおかしかった。

 

死んでいるとも、死んでいないとも言える状態。死んでしまったら完全に気配が消えるというのに、まだどこかで微かに感じる。だが、そこにはもう自我はない。

 

どう言えば良いのだろうか、玉壺の血が別の何かに溶け込むような。

 

あの上弦の鬼が他の鬼にでも喰われたというのだろうか? だが、ここに来ている鬼はそこにいる小娘を除いて伍と肆の自分達しか来ていない。

 

他の鬼が介入したというのはあり得ない。

 

たとえ来ていたとしても、上弦の鬼を下っ端が喰らうことなどできるはずがない。『鬼の始祖』の血を多く与えられた上弦を下の者が喰えば、適応が追いつかずに死に至るだろう。あの御方の血は凄まじい、故にその血に適応できる者は少ない。ほとんどの鬼がその血の量に耐え切れずに細胞が破壊されて体が崩壊するが、その中でも耐え切れた者だけがあの御方の精鋭部隊である『十二鬼月』になれる。

 

そして、上弦となれる者も極めて稀だ。

 

鬼の始祖が見込んで血の量を分け与え、それでも崩壊する者だっている。だがもし適応できた場合、鬼はさらなる力を手に入れ、上弦の鬼へと昇級できる。

 

そんな稀な上弦の鬼の血に耐え、上手く吸収できたということは、だ。

 

 

()()()()()()()······!? そんな、馬鹿な······あり得んッ!!)

 

 

たちの悪い冗談にしても笑えない。

 

その仮説が脳裏を過ぎった瞬間、子鬼は両目を見開いて絶句した。

 

だから、その一瞬で注意散漫になってしまったのも仕方なかったのかもしれない。

 

 

「ど······」 

 

「!」

 

 

硬直が解かれたのか、目の前にいる花札のような耳飾りを付けた鬼狩りが聞いてくる。

 

 

「どうして······どうして俺達が悪人······なんだ?」 

 

 

その声は震えていた。

 

恐怖で震えているのか、もしくは怒りで震えているのか、あるいは両方か。

 

その疑問に子鬼は平常心を取り戻し、

 

 

「弱き者を甚振るからよ」 

 

 

それが当たり前とでも言うように。

 

 

「のう。先程貴様らは掌に乗るような小さく弱き者を斬ろうとした。何という極悪非道······これはもう鬼畜の所業だ」

 

「ッ!!」

 

 

我慢ならなかった。

 

自分のことは棚に上げて、それが至極当然とでも言ってくる鬼に炭治郎はついに限界を超えた。

 

 

「小さく? 弱き者? 誰が······誰がだ?」 

 

 

刀を握り締める力が強くなる。

 

怒りで我を忘れそうになる。それでも自我を保って、こちらも敵意を剥き出しにして叫ぶ。

 

 

「ふざけるなッ!! お前達のこの匂い······血の匂い!! 喰った人間の数は、百や二百じゃないだろうッ!?」

 

 

今まで生きてきた中で、これほど怒りを覚えたのは生まれて始めたかもしれない。

 

これまで溜め込んでいた怒りを吐き出すように、

 

 

「その人達が、お前に何をした!? その全員が、命を以って償わなければならないことをしたのか!? 大勢の人を殺して喰っておいて、被害者ぶるのはやめろッ!!」 

 

 

何もかもがふざけた鬼。

 

今日まで対峙してきた鬼の中でも、これほどまで卑劣極まりない鬼は初めてだ。

 

 

「捻じ曲がった性根だ······絶対に許さないッ!!」 

 

 

全ての鬼に対しての怒りと憤り、その全てをぶつけるようにして言う炭治郎。

 

その少年が放つ怒氣は、鬼である禰豆子と一部が鬼化している玄弥をも震わせた。

 

 

「悪鬼め······!!お前の頸は俺が斬るッ!!」

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

「お······長······ッ!!」 

 

 

里長のいる屋敷。

 

そこはすでに半壊状態で、建物としての機能を果たしていなかった。

 

突如現れた巨大な魚。

 

それから生えている太い両腕で二人の人間を握り潰そうとしている。

 

その二人のうちの一人が、この刀鍛冶の里長、“鉄地河原鉄珍”である。 

 

里長はこの里でいちばんの刀鍛冶。打った刀は数知れず、多くの柱の刀まで打ってきた凄腕でもある。

 

柱の刀は通常のものとは違ってクセのある刀ばかりで、その呼吸法に馴染むように工夫されている。その制作法も、その技術も、何もかもを極めているそんな里長が、鬼の手に捕らわれてひょっとこの面の口からゴフッ、と鮮血が噴き出す。

 

この里で常駐して長を警護していた鬼殺隊もあっという間にやられてしまい、鬼の足に踏み潰されて形を保っていなかった。側近とも言える刀鍛冶が日輪刀と同じ鋼で造られた薙刀で応戦するも、生憎武器の鍛錬をしていないために上手く扱うことが出来ず、芳しい一撃を与えられなかった。

 

それでも。

 

 

(里で最も優れた技術を持つ長を·····死なせるわけにはいかないッ!!) 

 

 

そう思って立ちあがろうとするも、半分割れた面から覗くその瞳は絶望に染まっていた。

 

力不足。

桁違い。

 

己の無力感に絶望する。

 

 

(大きすぎる·····この化け物っ! 攻撃がまるで効かん。異常に動きも速い·····ッ!!) 

 

 

魚眼をぐるぐると回す魚は、残った刀鍛冶を睨みつける。その異常さに恐怖し、刀鍛冶は情けない声をあげる。

 

トンッ! と。

 

そんな刀鍛冶の前に、細く美しい二本の足が降り立つ。

 

 

「動かない方がいいですよ!! 多分貴方は内臓が傷ついてるから」

 

 

刀鍛冶を守るように降り立ったのは、鬼殺隊の女性。それもただの女性ではない。

 

柱だった。

 

長を救いに現れた女性は鬼殺隊を支える最高位階級の柱。

 

恋柱の甘露寺蜜璃であった。

 

 

「か、甘露寺殿·····ッ!!」

 

 

庇うように現れた甘露寺。

 

そんな彼女が持つ刀の刃が周囲で煌めく。

 

 

(な、なんだこの刀は? 長が·····鉄珍様が打ったものか? 噂には聞いていたが、なんと奇妙な·····ッ!!) 

 

 

彼女の武器は刀というにはあまりにも奇抜過ぎた。

 

細く、しなやかに、美しく、桜色に。

 

そして刀としての斬れ味は素晴らしかった。

 

魚の鬼は甘露寺を視界に捉えると、長の鉄珍を握り締める。力を振り絞ったことによって起きる余計な反動、そのせいで長はまた口から血を噴き出す。

 

甘露寺は呼吸を整える。

 

一歩踏み出すようにして前に倒れると、一瞬で距離を詰めてその奇抜な刀を振るう。

 

 

「恋の呼吸、壱ノ型────初恋のわななき」 

 

 

長いリボンをうねらせるようにして刀を振い、鬼の体をバラバラに切り刻む。背鰭にある四つの壺が崩壊し、悲鳴も上げられず力が尽き、その巨体は重い音を鳴らして畳の上に倒れ込む。

 

 

「私、いたずらに人を傷つける奴にはキュンとしないの!!」 

 

 

と、甘露寺が告げる。

 

瞬間。

 

魚は眼をぐるぐるとぎょろつかせて塵へと化していく。

 

崩壊していく魚の体。それは次第に巨大な腕にまで到達し、捕まっていた里長の鉄珍はそのまま畳へと落下する。

 

 

「鉄珍様!?」 

 

 

その直前、甘露寺が受け止めたことによって事なきを得た。

 

だが、

 

吐かれた血の量、そして高齢の里長。

 

その組み合わせだけで彼は死の一歩手前と言ってもいい状態であった。溢れ出る涙が止められない甘露寺は必死に瀕死の鉄珍に声をかける。

 

 

「大丈夫ですか鉄珍様!? しっかり··········!!」

 

「うぅ··········」

 

「鉄珍様!? 聞こえますか!?」 

 

「わ────」

 

 

寒さで凍えるように体を震わせる鉄珍は、膨大な汗を噴き出しながら言う。

 

 

「若くてかわいい娘に抱きしめられて、なんだかんだで幸せ··········ゴッフ!!」

 

 

割と大丈夫そうである。

首をコテンとさせるも、頭の上にラブみたいなものが見えたような気がして、甘露寺はつい赤面する。

 

 

「や、やだもう!! 鉄珍様ったら!!」 

 

 

恋柱の癒しは負傷した者にまで効果があるらしい。

 

その効果に魅了され、鉄珍と同様に捕まっていた刀鍛冶はない力を振り絞って甘露寺へと近寄っていく。

 

 

「私も頭から落ちました··········!!」

 

「え?」

 

「手を、握ってくだされッ!!」

 

「あら、ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」 

 

「引っ込んどれ!!」

 

 

甘露寺に握手を求める刀鍛冶に鉄珍は不快そうに怒る。

 

なんだかんだで全員無事だった。

 

もはや緊張感が解かれたせいで重傷だった薙刀の男も、安堵感のあまり気を失った。

 

甘露寺も里長を救えたことに安堵して、一旦彼を畳の上に寝かせると、

 

 

「鉄珍様! もうしばらくここにいてください!! 私、まだ里を襲っているお魚達を倒しに行きます!!」

 

「そ、そんな··········来たばっかりだし、もっとゆっくりしていっても··········」

 

 

完全に私情で引き止めようとする鉄珍。

 

だが甘露寺は気合充分とでもいいでも言いたげに、フン! と鼻を鳴らして微笑む。

 

 

「大丈夫です!! 私がみんなを救い出しますからッ!!」

 

 

そう意気込んで崩壊した建物から飛び出していく甘露寺。

 

その背中を鉄珍は物淋しそうに見送る。

 

そして、

 

そして、

 

里に降り立った甘露寺は残党の魚の鬼を殲滅するために刀を構える。

 

────と、そこで。

 

ボロッ! と。

 

周囲で刀鍛冶を襲っていた鬼達は、連鎖崩壊を起こしたかのように一気に塵へと化していく。

 

 

「え、あれ!?」

 

 

戸惑う甘露寺。

 

まだ何もしていないのに消えていく鬼達を見て、オロオロと体をくねらせる。

 

 

(え··········もしかして誰かが本体を倒したの?)

 

 

甘露寺は呆然とする。

 

あれだけ意気込んでおいて一気に消えていった鬼達に、彼女は開いた口が塞がらなかった。

 

しかしいつまでもボーッとはしていられない。

 

すぐに切り替えるように甘露寺は両方の頬を叩き、まだ鬼の残党はいないかを確かめるべく走り出す。

 

その時、

 

遠くの森。

 

その方角から轟音が鳴り響く。

 

 

「あっちね!!」

 

 

まだ危機は去っていないことを悟った甘露寺は、鬼がいるであろう森の奥へと駆け込んでいく。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

竜。

 

その存在は伝説として語られている。

 

架空の生物として物語によく登場する怪物。

 

そんな伝説上でしか存在していなかった怪物が、自分の目の前に存在している。その事実に、無一郎は脳天をガツンと殴られたような衝撃を覚えた。

 

 

「!?」 

 

 

あり得ない··········と思った。

 

これまでの苦労はなんだったのか。ずっと封じ込めていた過去のトラウマを克服して自分の存在を再認識した頭脳が、再び遠ざかった気がした。

 

隣にいる青年が呟いた“グリオーク”という怪物は無一郎達など目に入らぬかのように、ガツガツと玉壺を捕食している。

 

これまで遭遇した鬼を上回る、桁違いの迫力だった。 

 

鬼よりも遥かに恐ろしい存在。

 

異能を使う鬼は確かに脅威だが、竜という存在の前ではそんなものは天と地の差がある。

 

神聖さと凶悪さ。

 

何もかもが別格の生物。 

 

しかし、目の前に神話の怪物がいるのが現実だった。世界は広く、謎と驚異に充ちていることを受け入れるしかない。

 

頭部と尻尾を地面に水平に保って前傾姿勢を取りつつ、長く三つある首を下げて玉壺の頭を貪り続ける。鬼が、それも上弦の鬼が別の生き物に捕食される光景に思わず息を呑む。注意を引くことを警戒して、うかつに動くこともできない。 

 

グリオークに生えている両脚は小さいが、その一方で筋肉質の如く鮮やかな鱗と甲殻は遥かに強靭で、巨大な体軀をどっしりと覆っていた。その体表は、金剛石以上の輝きを帯びている。全体的にへこみの少ない体型をしているが、唯一の例外は頭部が三つに分かれているということだった。さらにその顎に生えている鋭い牙。頭の下に棘が伸びているのかと思ったのだが、実際それは鋭い歯だった。歯が口内を突き破って露出し、顎全体をびっしりと覆いつくすかのように生えていたのだ。

 

目は大きく、三つの目玉が狙った獲物は決して逃さないと言わんばかりに不気味に輝いていた。

 

尻尾は太く肉厚で、その尻尾が常に前屈みになっている竜の重心を後ろに下げて、バランスを取る役目を果たしているようだ。

 

そして体中に覆われている無数の血管のような模様。

 

赤黒い血管は次第に霧となり、それは周囲の空気を歪め、舞い落ちるだけだった木の葉に生い茂る草木がその霧に触れた瞬間に枯れていく。

 

これまでに出会った多くの鬼達を凌駕するグリオークの邪悪さを、何よりも雄弁に物語っている。

 

 

「竜が存在していたなんて··········」

 

「そんなことを言っている場合じゃないッ!!」 

 

 

動揺を隠しきれない無一郎に、リンクは思わず首を横に振る。

 

これが普通のグリオークならまだ良かったろう、だが目の前にいるグリオークはただのグリオークではない。

 

全てのグリオークの中の王者、“キンググリオーク”。

 

三つある頭に宿る、炎・氷・雷の属性。

 

火炎グリオーク・氷雪グリオーク・雷電グリオーク。

 

その全ての力を操ることができるのだ。

 

グリオークは相対した瞬間に強制的に環境を変えてしまうほどに凄まじく、火炎ならば即座に高温環境、氷雪ならば血も凍るほどの極寒、雷電ならば雷雨を引き起こす。

 

三つがそれぞれ違う属性を持っているため、対策が困難である。

 

そして、乱入してきたのがよりにもよってその合体系とも言える全てを兼ね備えたキンググリオークとは、思ってもいない展開だった。

 

 

「まずい·········ッ!!」 

 

 

リンクの横顔には、いつの間にか嫌な汗が浮かんでいた。

 

それを見た無一郎が眉間の皺を深くする。

 

先の戦闘で体力は大幅に削られ、何よりまともな装備も整えていない現在、相対しようなどもっての外だ。 

 

キンググリオークでも、こいつは最悪なことに魔王の瘴気を身に纏っている。一撃でも貰えば、そこに負った傷は回復できなくなる。

 

消耗しきっている今は全力でこの場を離脱するべきだが、リンクだけでどこまでやれるのか。 

 

剣技が素晴らしいこの少年であれば、キンググリオークから逃げるのはそれほど難しいことではない。落ち着いて動きを見極め、隙をついてあのひょっとこ達を連れて何処かへ走ればいいだけだ。 

 

しかし、リンクと無一郎も、あの壺鬼と戦ったせいで体力は残りわずか。何よりリンクはこれで三連戦だ。ここに来る前にあの少女と共に佩狼という鬼と戦い、その後すぐに玉壺という強敵と戦った。

 

その時、リンクはすでにラッシュを二回も使っている。

 

ラッシュを使うには凄まじいほどの集中力と体力が必要になる。

 

本当ならば、これ以上は戦える状態ではない。

 

一人でもしくじれば、この場の全員が危険に晒される恐れが強い。どれだけ剣の才能に恵まれていても、消耗している隣の少年では太刀打ち出来ないというのも不安要素だった。

 

と、

 

不意に、キンググリオークが貪っていた玉壺から顔を上げた。

 

不気味に輝く三つの目玉は、すでに彼らを捉えていた。

 

 

「!?」 

 

 

リンク達の気配に感づいたらしい。

 

できれば玉壺の捕食中に静かに後退したかったのだが、そう都合良くはいかなかったのだ。

 

リンクを睨んだキンググリオークは、信じられないほど大きく口を広げて吼える。 

 

 

ゴアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!

 

 

強烈な咆哮に、空気が激しく震動する。

 

離れた場所にいたひょっとこ達でさえ、その影響から逃れることはできなかった。

 

 

「·········ッ!!」

 

 

刀を研いでいた男でさえ、その強烈な殺気に抗えなかった。

 

どれだけ集中していても、生存本能には逆らえない。生気を削り取っていくかのような恐怖の雄叫びが一刻も早く止んでくれることを願いながら、耳を押さえてうずくまるしかない。 

 

そして咆哮の余韻も冷めぬうちに、キンググリオークが襲いかかってきた。

 

飽くことを知らぬ食欲は、リンク達を新たな獲物と認定したらしい。

 

後脚で力強く大地を踏みしめながら、あっという間に至近距離まで近づいてくる。

 

 

「散れ!!」

 

「ッ!!」 

 

 

リンクはとっさに叫んだが、見知らぬ少年がそれに応じたかどうか確認している余裕はなかった。

 

暴風のように接近してくるキンググリオークに対処するのが精一杯だ。 

 

キンググリオークは尻尾を大きく左側に振ると、その長い尾を使ってリンクを横薙ぎにしようとしてきた。

 

とっさに腰をかがめて盾で受け止める。 

 

激しい衝撃。

 

足元がゆらぐが、直接的なダメージはない。

 

盾にぶつかったキンググリオークの尻尾が右方向に流れていくのを確認してから、リンクは反撃の機会を窺いつつ、マスターソードを手に体勢を整える。

 

邪悪なるものを浄化する退魔の剣でも、あの硬い鱗を持つキンググリオークには通らない。ダメージはあっても、キンググリオークの体力は凄まじい。ましてやこちとら連戦続きで体力もない。

 

やはり何もかもが力不足すぎて、勝てる未来が浮かばない。

 

それでもキンググリオークはこちらの事情などお構いなしに迫り来る。

 

 

「避けて!!」 

 

「ッ!!」

 

 

背後からあの少年の声がして、その時にはすでに吹き飛ばされていた。

 

 

「!?」

 

 

攻撃はまだ終わっていなかった。体を一回転させて放たれた尻尾が、一拍遅れて襲いかかってきたのだ。 

 

しまったと思った時には脇腹を払われ、リンクの体は宙を舞っていた。あっさりと吹き飛ばされて、自分が木の葉になったような気分に陥る。

 

背中から地面に叩きつけられた。

 

肉体を鍛えて頑丈にしていたおかげでさほどの痛手は受けずに済んだが、キンググリオークに先手を取られたという精神的な衝撃は大きい。

 

心の準備もできないままに、乱入してきたキンググリオークのペースに巻き込まれてしまった。

 

連戦の場合は、事前に入念な準備を調えておきたかったところだが、非常事態の故にそれを許さない。 

 

すでに佩狼と玉壺との攻防で、力の多くを使い切っていた。

 

リンクに残っている力は、心細くなるほど軽い。

 

 

ゴアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!

 

 

キンググリオークは、低く唸りながらあたりを睨みつけていた。

 

まるで己を取り巻く獲物を睥睨するかのように。  

 

 

「く·········ッ!?」

 

 

無一郎に至っては、事前の情報はほぼ皆無に等しい。 

 

鬼と戦う場合、初見で臨むことは多いが、それでも何かしらの特徴を聞かされる。

 

隠や鎹鴉には居場所や被害の状況、倒すことができず逃げ帰った隊士から情報を得て対策をする。

 

しかし今目の前にいる怪物は何もかもが未知数。

 

そもそも竜なんてものは架空の存在であり、神話の生物。

 

無一郎は、神話上の怪物キンググリオークがどのようにして戦うのか、全く想像できていなかった。 

 

確信に近い予感がある。 

 

勝利というものは見えない。

 

激しさ、威圧感、恐怖。

 

それは、これが直後に訪れる、体を焦がすほどの激戦の前兆でしかない。

 

 

「ッ!!」

 

 

それでも少年は刀を握り締める力を緩めない。

 

無一郎は、以前に唯一の兄と暮らしていた時に鬼に襲われたことを思い出す。

 

あの時は怒りで我を忘れ、気付いた時には襲ってきた鬼を死にかけの状態にまで追いやった。恐怖に支配され、同時に怒りの炎に呑まれて自我を失った。

 

結果、記憶の欠落という障害を負ってしまった。

 

今、自分を取り戻したからこそわかる。

 

本当に激しく燃える炎は、魅入られるほど静かに燃えるものなのだ。 

 

怒りに呑み込まれると、正常に判断できなくなる。

 

だから呼吸を整える。

 

身体中に走り回る恐怖を鎮める。闘気を呼び起こす。

 

そして、

 

 

「うおおおおおおおッ!!」

 

 

無一郎が動いた。

 

正面からではなく、安全性が高いと踏んでその巨体の側面から斬りかかったのだ。 

 

キンググリオークの胴体に日輪刀が命中する。

 

だが、

 

パキンッ!!

 

 

「·········ッ!?」

 

 

キンググリオークの鱗に刀が当たった瞬間、打ったばかりの新品の日輪刀はあっけなく折れてしまう。

 

無一郎の太刀筋は素晴らしく、どんなに硬い鬼の頸だっていくつも斬ってきた。

 

それなのに、

 

目の前にいる怪物の鱗は、鬼の頸以上の強度を誇っていた。

 

金剛石なんかよりも更に硬く、鬼を滅する刃を通さなかった。

 

ギロリッ!! と。

 

キンググリオークは即座にその動きに反応する。

 

 

ガアァァァアアアアアアアッッッ!!!!!

 

 

巨体が、信じられないほどの速度で動く。

 

右前脚を振り上げ、残りの後脚で地面を踏みしめ、そして斬りかかってきた無一郎を目掛けてその鋭い爪を振り抜いた。 

 

折れた日輪刀で防ぐ余裕などありはしなかった。

 

右前脚がうなりを上げて、真正面から殴りつけた。神話でしか語られぬ竜の爪が、無一郎の左肩に直撃する。無造作な一撃に少年の体は吹っ飛ばされ、その先にある一本の木に激突した直後、大地に這いつくばった無一郎は地面を嚙んだ。

 

そしてたった一撃で起き上がらなくなる。

 

 

「と、時透殿!?」 

 

 

木々に隠れているひょっとこに動揺が広がるのを感じた。

 

倒れた無一郎を助けに行きたいが、恐怖のあまり木の陰から出ることはできなかった。

 

 

「はぁ·········はぁ·········ッ!!」

 

 

リンクの、固唾を呑む音が聞こえた。

 

立ち上がったリンクは吹き飛ばされた少年を見る。

 

まずい。

 

少年の肩の傷口に瘴気が蝕んでいる。

 

消耗し切っている状態では、手こずるのは最初からわかっていた。

 

だが、この場で眼下の状況に何らかの干渉を行えるのはリンクと無一郎だけだった。そのうちの一人がやられてしまい、しかも瘴気によって傷口から漏れ出る鮮血を止めることができない。

 

瘴気を打ち消す、『ヒダマリ草』の成分があるものを食わせねば、少年は出血多量で死に至る。

 

早く治療せねば少年の命が危ない。

 

時間制限付きの戦闘。

 

それも苦境に陥った状況での。

 

事前に戦い方を知っているとはいえ、勝てる見込みは少ない。

 

 

「ッ!!」

 

 

リンクは左手にあるハイリアの盾のベルトを強く締め直す。

 

右手にあるマスターソードを構える。

 

目的は討伐。

 

いずれにせよ、戦うしかない以上、どれだけギリギリの状態であろうとやらねばならない。

 

たとえ相手が、グリオークの王、キンググリオークだったとしてもだ。

 

 

「ハアッ!!」 

 

 

そうしてリンクの目の前で、キンググリオークを撃退し少年の命を救うという激戦の幕が切って落とされたのだった。

 

 

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