鬼滅の伝説   作:織姫ミグル

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冒険日誌・四日目

 

 

調査日誌、四日目。(諸事情によって日が空いてしまったので本来ならば六日目と記すべきだろうが、ここは敢えて前日の続きから書かせていただく)

 

姿について。

 

新種の魔物の姿形は異なっており、ボコブリン達のように色違いということもなく、ほぼ全ての個体に規則性がない。あるとすれば角があるかないかくらいで、だが気配でなんとなく見分けがつけられる。

 

奴らの姿がどんなものなのか、まだ知らない者達のための参考用の写真をこの報告書に同封させておく。

 

現段階での調査報告は以上となる。

 

 

 

■□■□■□■

 

 

 

そんな報告書を先に書いてみたものの、新種の魔物ってどこに潜んでいるのかわからない。

 

夜にならないと出没しないが、歩いていたら死角となる場所から襲ってくるのでいつ現れてもおかしくはない。

 

それでそんな状態になったらその姿をウツシエに収める前に襲ってくるので、こちらの身が危ない。

 

ロベリーは図鑑データベースにハイラル各地にいる魔物や素材の写し絵を収めているらしいが、一体どうやって撮ったのか、それが気になる。

 

だが、そんな彼でも新種の魔物だけはまだ手に入れていないらしい。

 

だからリンクも新種の魔物の姿を収めるためになんとか頑張っているが、結果は散々だった。

 

 

「やっぱり、撮る前に倒しちゃうな········」

 

 

目の前に落ちている衣服を見てそう呟くリンク。

 

衣服から塵のようなものが宙へと舞っており、カカリコ村へと向かう道中で目当ての新種の魔物を探し出せたのは良いものの、案の定死角から襲ってきたので思わず反射的に背中にある退魔の剣を抜いてその首を斬ってしまった。

 

せっかく遭遇したのにもったいないなと残念そうにするリンク。

 

彼は落ち込むように地面に座り込み、プルアパッドを虚しく見つめていると、

 

 

「ムー?」

 

 

背負っていた木箱から少女が出てくると、彼女はリンクの持っているプルアパッドに興味を示したのか、彼の背中に後ろからのしっと乗り上げて手を伸ばしてくる。

 

首から背中まで伝わる丸っこい感触と共に重みが加わってきて、リンクの体が前に倒れそうになる。

 

そんな少女にリンクは気分を切り替えるように微笑んでプルアパッドを見せてあげた。

 

写っている写し絵の光景に目を奪われて楽しそうに鼻を鳴らす少女、その姿を見たらさっき撮り損ねたことを悔やむのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。

 

────と、そこであることが頭に浮かぶ。

 

 

「正直このままじゃいつまでも撮れそうにないし········念の為として君の姿を撮っておいても」

 

 

と思ったもののその案はすぐに脳内で却下される。

 

彼女は確かに新種の魔物ではあるが、それを報告書に同封させるのは流石にダメだ。彼女は人は襲わない。それなのに魔物として図鑑に登録されたら彼女に申し訳ない。

 

だからこの案は却下だと考えていると、少女がプルアパッドを持ってリンクの服を引っ張ってくる。

 

 

「ムー! ムー!!」

 

「?」

 

 

言語は理解できないため何を言ってるのかわからなかったが、プルアパッドにある人の写し絵を指差して、その後すぐに自分の方に指差していることからなんとなく少女が何を訴えてきていることがわかった気がした。

 

まぁ、記念になら。

 

そんな風に軽く考えたリンクは少女からプルアパッドを返してもらうと、画面を見ながら親指でボタンを操作してモードを切り替えると、腕を伸ばしてできるだけ遠くに端末を押しやる。

 

リンクは画面を見ながら、

 

 

「じゃあ撮るから何か好きな姿勢を取って?」

 

「ムー!!」

 

 

そう言われると少女はぐいっとリンクの肩にぶつかるように急接近してくる。

 

肩と肩を擦り、少女は首をわずかに傾げてリンクの肩に頭を置き、彼にしがみつくようにしながらプルアパッドの方へ目線を向ける。

 

プルアパッドの画面の中にキチンと二人の顔が収まる。

 

 

「ほら、笑って」

 

「ムン!!」

 

 

二人が楽しそうに微笑むと、リンクは撮影ボタンを押してパシャリという音を鳴らした。

 

画面を共に確認するリンクと少女。

 

そこには正確に、二人の姿が収められていた。

 

それを見て興奮する少女。

 

自分の姿が綺麗に写っていることが嬉しくてしょうがないのか、楽しそうにはしゃいでいた。

 

そんな彼女を見ていると、自分まで笑顔になってしまう。

 

落ち込んでいた彼であったがすぐにポジティブな思考に切り替えると、新種の魔物の姿を捉えるのはまたの機会にと考えて、リンクは背の木箱を地面に下ろして少女に言う。

 

 

「さ、夜が明ける前に次の村に行きたいから、木箱に戻ってくれる?」

 

「ムン!!」

 

 

そう言われて大人しく木箱の中へと入っていく少女。

 

綺麗に収まったことを確認し、扉を閉めると再び背中に背負う。

 

何気ない光景を収めた写し絵を一枚を撮った彼は、そのまま目的地であるカカリコ村へと歩き出す。

 

この写し絵は報告書として使われることはないだろうが、記念撮影ということでアルバムに保存しておくことにした。

 

しかし、この時はまだ彼は知らなかった。

 

まさかこの写し絵が────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

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