鬼滅の伝説   作:織姫ミグル

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第二章

 

 

遥か昔。

 

神の末裔、『ゾナウ族』は。

 

大いなる叡知と共に天より地上へと降臨した。

 

ゾナウ族の一人“ラウル”と呼ばれる、後に地上の国の王となる者が、ゾナウの術を以て地上の民を導き、そこで出会った娘と結ばれた。

 

彼はその娘に持つ者の力を倍加させる秘宝、『秘石』を与え、共に大地に国を興した。

 

ラウルは王となり、地上の娘“ソニア“は王妃となり、多くの民と共に繁栄の礎を築いていった。

 

人々は信心深く、世界は長きに渡り平安であった。

 

その国は聖なる力が集まる聖地、『ハイラル』と呼ばれた。

 

しかし、やがて聖地ハイラルを我が物にしようとする邪悪な心を持った者が現れ、強大な魔力によって聖地を治めようとした。

 

その者は砂漠から現れ、神の末裔をも凌駕する魔力によって数多の魔物を生み出し、人々を苦しませ、魔族が支配する世界を築き上げようとしていた。

 

聖地を奪おうとしたその行為に、ゾナウ族だけでなく他の種族達も立ち上がり、襲い来る魔物達と懸命に戦ったが、ハイラルの王妃であるソニアが持っていた秘石を奪っていたために、秘跡の力で魔王となった彼の邪悪な力に圧され、為す術もなく窮地に立たされてしまった。

 

万策尽きたと思われたが、ラウルはその状況を打開すべく、一つの策を講じた。

 

あらゆる有事が起きても自分の身と共に秘石の力を引き出せる強さを兼ね備えた者に秘石を託し、賢者として選ばれた者達と共に、魔王“ガノンドロフ“を討ち倒そうとした。

 

ハイラルの中でも最強とも言える者達に秘石を託したことによって力を倍増させ、力を合わせることで魔王を討ち果たせる。

 

はずだった。

 

魔王の力は想像を遥かに超え、賢者達はその猛攻の前に倒れ、彼らに勝機はなかった。

 

誰もが膝をつき、傷だらけになった状態で、もはや勝ち目はないと悟ったラウルは、最後の手段を決意した。

 

自らの命と引き換えに、魔王を封印する道を選んだのだ。

 

ラウルの右手に宿る力、秘石と自身の命を代償にして、永遠の封印に成功する。しかし、それはただの時間稼ぎに過ぎない。万年という長い時間、魔王の力は封じ込めることができるが、魔王自身を討ち倒さぬ限り、彼は怨念となって現し世に現れて何度も厄災をもたらすことになる。

 

だが、それでよかった。

 

ラウルは確信していたのだ。

 

悠久の先、魔王を討ち倒す者が必ず現れることを。

 

時を超えて現れた『時の巫女』の話を聞いていた彼は、魔王に向かってこう告げた。

 

 

『退魔の剣を持つ剣士、“リンク”。この名を忘れるな』

 

 

その名を口にしたラウルと、その名を聞いた魔王は、そのまま骸となった。ラウルの右手に宿る聖なる力が魔王の心臓を穿ち、永久にその魂を封印した。

 

それから月日が経ち。

 

何度も魔王の怨念が具現化し、厄災をもたらしたが、その度にその時代に選ばれた最強の戦士達によって厄災は食い止められてきた。

 

幾度となく、退魔の剣『マスターソード』に選ばれた勇者が魔王の怨念を倒したが、何度倒されようと瘴気を宿した魔王本体を打ち倒さぬ限り、奴は再び復活する。

 

何度も繰り返される、無限の戦いを終えられない。

 

人間がこの聖地にはびこる限り、魔王の怨念は復活する。

 

何度倒されようと、滅ぶことなどありはしない。

 

誰もがそう思った。

 

しかしようやく、その因果を断ち切る選ばれし者が現れた。

 

初代ハイラルの王が予言した通り、魔王を打ち倒せる者がついに聖地に降り立ったのだ。

 

 

リンク。

 

 

何年も繰り返されてきた悲劇を終わらせる、退魔の剣に選ばれた真の勇者。

 

魔を滅する退魔の剣を振るい、悪しき者を打ち倒し、王国に永遠の光を取り戻す存在。

 

束の間ではなく、永遠に続くハイラルの安寧。

 

それを実現させるために、ハイラルの王女“ゼルダ”の想いに応えるために。

 

伝説の退魔の剣をたずさえて、

 

彼はその生涯をゼルダを守るために捧げることを誓った。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

翌朝。

 

厳密には朝の七時を過ぎた辺り。

 

 

「で?」

 

 

そこは現状この国の中でも最重要地点。

 

監視砦。

 

元は王家の避難壕。有事の際の施設だけあって最低限の備品が備えられており、調査や研究へと赴く際の旅支度としての場所となっている。

 

皆そこを拠点にしてハイラル復興に向けて動いている。

 

現在の目的は数日前から突如現れた新種の生態調査に討伐。

 

見た目が個体によって違い、戦い方も異なるため厄介だが、スタル系と同じくカガヤキの実を当てることで倒せることだけはわかった。カガヤキの実は強い陽の光をため込んだ木の実で、破裂すると周囲にまばゆい閃光を放ち光を受けた魔物の目をくらます事ができる。それだけでなく、スタル系に当てれば一瞬で消し去ることができる。民には夜出歩く際はこれを持ち歩くことを義務付けられている。

 

そして、奴らが出現するのは主に夜ということ。朝日が昇ろうとした時奴らは急いで日陰となる場所へ逃げ入ろうとするらしい。そこから察するに、奴らはスタル系と同じく夜にしか出没せず、弱点は陽の光なのだろう。

 

国全土に送り出した兵士達の報告によると、順調に魔物達を討伐できているようである。上手く行けば、一、二年ほどでほぼ全ての魔物達をこの世界から駆逐することができる。

 

ハイリア人、ゴロン族、ゾーラ族、ゲルド族、リト族。

 

それぞれが互いに力を合わせて魔物達を一匹、また一匹と殲滅し、一時的とはいえ各地に平穏を築き上げていった。復興が順調に進んでいるという成果が見られ、民は快哉の声を上げた。

 

そんな中、

 

 

「これは一体どういうこと?」

 

 

そう訊ねてくるのは若い頃からハイラル王国直属の研究者でゾナウ文明や魔王に対抗すべく瘴気の調査を行って、今では監視砦のリーダーも任されている“プルア”。

 

なんて肩書きがあるものの、専門的な知識では現場には及ばないため監視砦の業務は丸投げしているらしい。

 

ちなみに、こう見えて彼女実は年齢────

 

 

「アンタがいつも面倒事を持ってくることは知ってたけど、流石にこれを持って来られてもこちらとしてはどう対処したらいいのかわかんないわよ」

 

「······」

 

「だからちゃんと説明してちょうだい。わかりやすくて理解できるやつを」

 

 

片手に持っている笛を首元に当てながら、若干キレ気味の彼女はバカ勇者が持ってきた物に目を向ける。

 

どことなくカカリコ製の木箱に見えるが、ちょっと違う。

 

いや、デザインはさほど重要じゃない。

 

問題は、コイツが持ってきたものだ。

 

それを見た後プルアは件の青年に目を向ける。

 

青年、リンクは。

 

特に言い訳もせず、

 

 

「拾った」

 

「犬じゃないんだからそんな安易に拾って来ないでよ······」

 

 

わかりやすくとは言ったがそこまで言葉が足りないと逆に困る。

 

だって仕方がないのだ。

 

昨日の夜、いつものように新種の魔物退治やってたら偶々偶然木箱に納まった少女が川岸に流れ着いているのを見て、放っておいたらスタル系はもちろん、その新種の魔物に襲われたりするだろうし。近くの馬宿や兵士などに見知らぬ子を預けても以下略。

 

何にせよ、頼れる場所がここしかなかった。

 

彼はプルアに拾った経緯を追加で説明し、おそらくは死に別れたのだろうという推測も伝えた。

 

プルアはリンクのそのお人好しさに困惑する。

 

 

「まあ、一応預かることはできるけど······うちだってスペースがないんだからね? ここに一時的に避難してきた人達や調査隊に研究者と討伐隊、それと負傷者のおかげでベッドももう空きはないし、どこに置いとくつもり?」

 

「······ここに」

 

「だからどこよ?」

 

「······プルアの部屋」

 

「······」

 

「······ごめん、そこまで考えてなかった」

 

 

そんな他力本願なことを言うリンクの言葉に笛を振りながら頭を抱えて困惑した。避難壕のベッドももう満員だ。であれば空いているのはプルアの部屋しかないとリンクは思った。

 

確かに、プルアはほとんどベッドを使わない。

 

やることだらけで使う余裕もなく、眠くなったら机の上で寝たりなどしている。

 

だから実質的にベッドは空いていることになるが、だとしても他人のベッドを使わせてくれとか。

 

プルアは机の上に置かれている木箱に入った少女の顔を見る。

 

それにしても見かけない人種の顔だった。肌の色はハイリア人らしい純白だが、耳は尖ってないしおそらくはハイリア人ではないのだろう。

 

異国の少女ということか?

 

長い黒髪は艶やかに光り、ところどころ癖毛があって毛先が赤みが入っている。口元に竹筒を加えている理由はわからないが構わず寝入っていることから、この子からしたらこれもファッションの一部なのかもしれない。その顔立ちから察するに目を開けたらさぞ魅力的に見えるだろう。

 

 

「ま、いいわ。しばらく上で寝かせてあげて。起きるまで目を離さないように」

 

「ありがとう、プルア」

 

「ほんっと、厄介事しかアンタは持って来ないわね」

 

 

ひと睨みしつつ、プルアはこの場は放免してあげることにして鳥望台から出ていく。

 

リンクは三階に登るために、木箱の扉を一旦閉め、少女を起こさないように細心の注意を払いながら慎重に梯子を登っていった。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

午後がゆっくりと過ぎ去り、外周から差し込む赤い陽光が青年の背中を照らす。そんな時間になっても、少女は変わらず眠り続けていた。流石に眩しすぎるのでカーテンを引き、壁のランプを灯す。

 

青年は言われた通りずっと見張っており、食事は手持ちのおにぎりで済ませて腹を満たした。いつもなら彼は各地を巡って旅し、民の抱えている問題を片付けるという仕事が山ほどあるのだが、今日はそんな気になれなかった。

 

 

「······」

 

 

瞼が重い。

 

そういえば、ここ最近寝てないのは自分も同じだった。

 

でも見張ってろと言われた以上、起きておかねば。この子がいつ起きるのかもわからないし。薄青い闇が訪れる時間になっても、黒髪の少女は深い眠りについていた。こうも眠り続けていると、本当に生きているのか疑ってしまう。リンクはそっと彼女の頬に触れてみる。脈はある、では問題ないのだろう。目覚めるのを待てばいいだけだ。

 

しかし、目覚めたその時に彼女は耐えられるのだろうか。

 

意識的に彼女の過去について考えないようにしていたが、あの箱の状態から見て、おそらくこの子の家族は······。

 

見た目的に見て、十にも満たない子だった。

 

あんな木箱に入っていられたことから、おそらくは五歳くらいか?

 

こんな小さい子供がそんな残酷な運命を背負わされるなんて、耐え難いだろう。普通の女の子なら正常な状態を保てない。しかし、自分ができることはない。少女の苦しみがどれほどであっても、自分には救ってあげられる方法がわからない。そう考えると、リンクは少なからず罪悪感を覚える。

 

けれど、それが彼の運命だ。

 

自分の役目は、あくまで厄災討伐。

 

それ以外のことは他の者に任せる。

 

目が覚めて事情を聞いた後、彼女は然るべき場所に移されるだろう。

 

せめて、今だけは。

 

何も気にすることなくゆっくりと眠っていてほしい。

 

そう願いながら、彼は知らず知らずのうちに瞼をゆっくりと閉じていく。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

朝の白い光が差し込む。

 

 

「·········ん?」

 

 

リンクは意識がはっきりしなかった。どうやら僅かながら眠ってしまったらしい。覚醒直前の浮遊感を感じながら、リンクは背伸びをするために腕を上げようとする。

 

と、

 

 

「?」

 

 

なんか右腕が重い。というか、掴まれている気がする。持ち上げようとするも妙な重量感が右手にあり、視線をそちらに持っていくと。

 

黒髪の少女が瞼を閉じたまま、リンクの右手を掴んでいたのである。

 

寝惚けた拍子に掴まれたのだろうか。

 

引っ張って離そうとするも、少女の力は凄まじく、一向に離す気配はない。リンクが立ち上がっても離してくれず、まるで逃がさないように掴んできていた。

 

やがて。

 

 

「·········ムゥ?」

 

 

その長い睫毛がかすかに震え、ゆっくりと持ち上がった。

 

桜のように鮮やかなピンク色の瞳が現れる。数度の瞬きに続いて部屋一帯を見回したあと、至近距離からリンクの顔を射る。

 

 

「んっ?」

 

「·········」

 

 

青年の姿を確認すると小首を傾げ、それに釣られるようにリンクも首を傾げる。

 

すると、

 

首を傾げたことによって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「!?」

 

「うわっ!?」

 

 

ベッドから飛び出すように起き上がったと思ったら、横の仕切りカーテンの裏に隠れてしまったのである。

 

何かに怯えているようだった。視線がリンクの方を向いているが、彼女から見て窓から差し込む陽の光のせいで輪郭があまりはっきりしない。

 

警戒されるのも仕方ないのかもしれない。

 

目覚めたらいきなり知らないところで寝ていて、目の前に知らない人間がいたら誰だって驚く。そんな少女の恐怖に怯えた瞳を見たリンクはどうしたらいいのかわからずオロオロとわかりやすい反応を見せると、

 

 

「ム?」

 

 

じっと自分のことを見ている子供の視線が、リンクの右腕の方へ行っているのに気付いて、

 

 

「!」

 

 

そこでリンクはあることを思いついた。

 

右腕に力を込め構えると、その腕が輝き出した。少女はビクッと肩を震わせたが、不思議な光景に目を奪われ興味深そうに見つめていた。リンクは近くの本を見つけると、その本に手を翳し、そこから光を放って本を掴んだ。すると不思議なことに本は宙に浮かび、リンクが腕を上下に振るとそれに反応して本は鳥のように羽ばたく。

 

 

「ムー!」

 

 

幼子の瞳が輝く。

 

左右に動かせばその子の視線も動き、リンクは鳥のように本を動かして、一通り部屋中を羽ばたかせると、その本を少女の元まで持っていく。少女は恐る恐る仕切りカーテンから僅かに出てくると、その本を手に取る。それと同時に右手の力を消すと、本は少女の手に収まり、一体どういう仕掛けなのか気になっているのか、本を上下左右に回転させて動かしては確かめている。

 

子供心を完全に掴んだリンクは多少警戒心を解かせたと感じたのか、ゆっくりと近づいていき、言葉をかける。

 

 

「えっと、初めまして·········だね。自分がどうなったか、覚えてる?」

 

「ム?」

 

 

そのリンクの声に視線を本から再び彼の顔に戻した少女は、そう聞かれて数秒の間口をつぐみ、小さく首を振った。

 

 

「そっか·········名前は?」

 

「ムー?」

 

 

首を傾げると、その艶やかな黒髪が一筋頬にかかった。

 

 

「ムー、ムー」

 

「·········?」

 

 

もっと早く気づけばよかったが、そういえばこの子は口に竹筒咥えてるんだった。言葉を理解していることから、言語はハイリア語なのだろうが、口を塞がれていては聞きたいものも聞けない。

 

とりあえずリンクは少女の枷となっている口元の竹筒を外してあげようとした。

 

が、

 

 

「!? ムゥ!!」

 

「!?」

 

 

伸ばされたリンクの手を少女のその小さな手が弾いた。

 

ムー! と唸り声を上げていることから、どうやら竹筒を触れるのがよっぽど嫌らしい。それを察したのか、彼は腕を上に上げてこれ以上は手出しはしないことを見せ、後ろに下がっていく。それに気付いた少女はプンプンと怒りながらも警戒心を解いたのか近づいてくる。

 

その時、リンクは呆然とした。

 

警戒心が解かれたとはいえ、見ず知らずの他人の傍に近寄ってきたから────ではない。

 

急に、体が膨れ上がったのだ。

 

五歳くらいの体から一四歳ほどの体へと。

 

 

「!?」

 

 

急成長した姿に呆気を取られたリンクは言葉が出なかった。

 

少女は構わずリンクの顔を覗き込んでいるが、その現象を見た彼は混乱していた。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

「や、やめてくれ!!」

 

「た、助けてくれ! 死にたくない!!」

 

 

深い森の中、そんな声が交錯していた。

 

そこは太陽の光も届かず、日中をやり過ごすにはうってつけの場所。そんなところに入り込むのはよっぽど自信がある強者か、単なる馬鹿だけだろう。死角から魔物に襲われたらすぐに致命傷を負ってしまうほどの暗闇で、泣き叫んでいるのは人間ではなかった。

 

人の見た目をしているものの、異形の形をしており、衣服を着用していることから知能もかなり高そうな、言ってしまえば魔物の類。

 

そんな奴らが悲鳴を上げながら逃げている。

 

何に逃げているのか、そいつらの背後を見たら『黒い瘴気の沼』がすごい速度で追いかけていた。それから逃げる魔物達は、仲間同士だというのに逃げることに必死なのか、犠牲になってもらおうと一人がもう一人の頬に肘で殴って転ばせる。

 

 

「痛!?」

 

 

魔物はそこに転ぶと、その下に沼が広がり、そこから目玉の付いた手が無数に生え────魔物の身体を沼の中に引きずり込んだ。

 

 

「う、うわァァァアアアアアアアアッッッ!!!???」

 

 

引きずり込まれた魔物は沼の底からバキボキと身体が砕かれているのか、聞くに耐えないほど酷い悲鳴をあげる。

 

仲間を囮にしたことで逃げる魔物達。

 

だが、ここは森の中。

 

こいつらの弱点は陽の光。

 

木々のないところに出れば陽の光に焼かれて死んでしまう。言ってしまえばそこは蹂躙場、もしくは食糧庫だろうか。何より、『黒い瘴気の沼』は周囲を闇に染める。日中だろうが夜間だろうが関係ない。しかし昼に狩を行えばこいつらの退路は断たれ、たとえ逃してもその範囲からは出られない。よって逃げ場が限られている魔物達は追い詰められ、沼から伸びてきた手が奴らに喰らいつく。

 

 

「ぎゃぁぁぁああああああッッッ!!???」

 

「た、助けて! 死にたく────ッ!!」

 

 

抵抗する者には容赦はしなかった。

 

地面に何度も叩きつけたり、手足を引きちぎって無力化したり、口にその手の指が差し込まれて叫ばせなくしたり、首を捻じ切ってそこから垂れる血を先に沼に流し込むなど。いずれも残虐なやり方で魔物達を追い込んでいく。

 

次第に全員の体に目玉の付いた手が絡みつき、その沼の中に引きずり込んでいった。

 

全身を無遠慮で撫で回され、骨を砕く咀嚼音が響き、魔物達の悲鳴は完全に消えた。

 

その森の奥から、闇を纏ったような影が現れた。

 

パッキパキに乾いた皮膚を割って歩いてくる影、木乃伊。

 

死体のような見た目で乾き切った手には刀のような武器が握られている。魔物を鱈腹喰って満足したのか、次の食卓へと移動する。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

残さず綺麗に喰わねば無作法というもの。

 

 

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