素人童貞からはじめる脱童貞計画   作:ダブル亮禅

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3.ファーストコンタクト

そうだった。

僕、クラスの女の子ともろくに話したことない!

そもそも僕がこんな計画経てたのだって、女性との接点が無さ過ぎた為だし。

女子と普通に話しできるなら、そもそもこんなとこまで来てないって…。

なかなか動き出ずに固まっている僕を見た大将は、明らかにモジモジし出した俺の様子にプッと噴き出している。

そんな大将の笑い声にこちらを向くぶかぶかTシャツの女性。

「なになに!大将、なんか楽しそうじゃん!」

大将の様子に、楽しい話なら自分も混ぜろと言い出す。

ふと、女性と目が合う。

それだけで赤面するシャイな僕。

「あれ?大将、その子、初顔ね。新人さん?」

「そうなんです、昨日からうちで働いてる貞雄です」

大将はそう言うと、僕の背中をトンと押す。

僕は逆らうでもなく、そのままちょっとバランスを崩しつつ

彼女の前まで来てしまう。

「へぇ〜若いね。いくつなの?」

まだ緊張で固くなっている俺を見て、先に女性が話しかけてくれる。

「17歳です!高校2年です!」

や、ヤバい!女子と喋るなんて久しぶり過ぎて声のトーン間違えた。

「17歳!青春真っ盛りじゃん!

良いな〜あたしもあの頃は…」

あの頃は…まで言ってしばらく固まる。

「まあ、そんなによくもなかったかもね〜」

と若干目を泳がせた後、視線を合わせないまま

手に持った生中を苦そうにチビリと一口飲む。

その様子に思わず、

「何かあったんですか?」

と聞いてしまう。

彼女はわざとガハハと笑いながら

「色々よ、色々!」

と言いながら誤魔化すように手に持った生中を飲み干し、おかわりを頼む。

僕は奥で生中を注ぎ、持ってくる。

「それより…名前、貞雄って言ったっけ?

じゃあ貞ちんだ!貞ちんはなんでアルバイト始めたの?」

と聞かれる。俺は正直に答える訳にもいかず、

「えーと…まあ金を貯めてやりたい事があると言いますか…」

とあやふやに答える。

いつまでも本題に入らない僕に痺れを切らしたのか、それを聞いてた大将が

「操さん聞いてくださいよ。

こいつとんでも無いことを考えてんですよ」

と暴露しようとする。

「わーっ!ちょっ、大将、わーっ!」

僕は大将を止めようと邪魔をしようとするが、

「えっ!?なになに?何しようとしてんの?」

と彼女、操さんと言うらしい、はすでに食い付いてしまって、今更誤魔化せそうに無い。

いまだ覚悟を決めない大将に、

「なんだよ、お前が話したがってた飛田のおねえさんだぞ!聞いとかねえと後悔するぜ」

と更に背中を押してくる。

操さんは、

「ちょっと、勿体ぶらないで話してよ。おねえさんが聞いてあげる。って、大将!勝手に人の仕事話さないでよー、個人じょーほーだぞー」

と軽く大将にツッコミを入れつつも、こちらの「とんでも無い事」の方が気になっている様子。

…意外と飛田で働いてる事は隠していないんだ。

観念した僕は操さんに計画について話す事にする。

「実は…」

と話し出そうとした時、

「ちょっと待って。その話長くなる?」

と聞いてくるので、

「少し、長いかも…です」

と答えると、

「じゃあ、その前に…、生中おかわり♡」

空になったジャッキに頰を寄せ、軽く頭を傾けながら

可愛くそう言った。

 

僕の計画を全て聞いた後、

「なかなか面白いこと考えるね貞ちんは」

操さんはそう言った。そして、

「でも、それ結構残酷だよね。女の子にとっては」

と続ける。

「ざ、残酷?えっ?なんでですか?」

「残酷」という予想もしないフレーズに驚いて聞き返す。

操さんは聞き返されて、一瞬意外そうな顔をした後、すぐに何かを察した表情になり、そのまま少し考えてから、

「だって、女の子が貞ちんの事好きになった時点で、貞ちんは目標達成するから、女の子は用済みって事でしょ?」

出来るだけ僕に分かりやすく伝わるように一言一言区切ってゆっくり説明してくれる。

僕は反射的に、

「そ、そんなことはないですよ」

としどろもどろに否定しながらも、実は図星を突かれた様な気持ちになった。僕の計画には仲良くなった後、その女の子とどう付き合うのかという視点が全く抜けていた。

「まあ、でもそれもいいんじゃない?色恋を飯のタネにしようっていうんだから、女の子たちもそれなりの覚悟でやってるしさ」

覚悟と聞いて、女の子と仲良くなった後の事すら考えていなかった僕はまたもやドキッとする。

「覚悟って、どんな…?」

「勘違いした客にストーキングされるのとかは当たり前、揉めた挙句、最悪刺されて死んじゃう。そんな事も当然起こりうるって覚悟。そういう危険と隣り合わせの仕事だからこそ高いお給金貰えてるわけだし。」

僕は思わぬ「死」という言葉に焦る。

僕が気軽に仲良くなろうとしている人は、そんな覚悟を持って働いているのだ。僕自身にそんな女性と付き合っていく覚悟があるのか?と言われている様に感じ、居たたまれなさから、少し話をそらそうと、冗談っぽい口調で、

「いやいや、命かけるってほどのそんな大金ではないでしょう?」

とふざけていう。

操さんは少しも笑わず、誰に言うともなく、

「じゃあ私たちは自分の命の価値が低いんだろうね」

とつぶやいた。

そんな操さんを見て、俺 僕は自分が何か悪いことをしているのでは無いかと言う罪悪感がそこにはあった。

それに、さっき「酷い事」と言われた時に感じた図星を突かれた様な気持ち。

「女の子と仲良くなる」とか言いながら、自分は女の子の事を少しも考えていないのだ。自分にとって女の子は「自分を非童貞にしてくれる存在」でしか無かったのだ。もっと言うと人間としてすら認識していなかったとすら言える。

それに気付いた時、自分への嫌悪感が僕の胸の中に広がっていた。

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