キヴォトスおじさん   作:小説好きー

1 / 13
異世界おじさんの二次創作増えてくれ


おじさんとキヴォトス 前編

 異世界おじさんこと嶋崎陽介が異世界から帰還し数年がたとうとしていた。

 陽介は日本に帰還後甥のたかふみの勧めで動画配信者として生計を立てていた。

 しかしそんなおじさんにも大きな悩みがあり、自身の通帳を見ながら頭を唸らせていた。

 

「うーん、動画の再生数が悪いな」

「最近はかわいいVチューバーが増えてきたし老け顔のおじさんを見るよりも作りものでもかわいい子の動画の方が見たい人がいるから仕方がないよ」

 

 おじさんの嘆きにたかふみは冷静に返した。

 

「やはり、今後の生活のためになにか副業を始めるしかないのか」

「はじめるにしても17年間植物状態のおじさんを雇うところなんて時給が少ないだろうし」

 

 そうして二人で頭をひねっていると、突然扉が開き藤宮が入ってきた。

 

「こんにちは、あれどうしたんですか?」

「あ、藤宮さんいらっしゃい。実は最近動画の再生数の勢いが落ちていてな。なにかアイデアはないかな藤宮さん」

 

 おじさんは藤宮になにかアイデアを求めるが突然のこともあり藤宮も出すことはできなかった。

 そうして3人で頭を悩めさせていると突然藤宮がおじさんに話しかける。

 

「そういえば、さっきポストを見たときおじさん宛に封筒が入ってたんですよ」

 

 そう言って藤宮はおじさんに封筒を渡す。

 

「ありがとう藤宮さん。どれどれ」

 

 藤宮に封筒を渡されたおじさんは早速封筒を開け、中身を確認する。そうして確認した後封筒に入ってた一枚の紙をたかふみと藤宮に渡した。受け取った二人は紙に書かれた内容に絶句する。

 

「「おじさんを特別教師として雇いたいだって!!」」

「見ての通りキヴォトスという場所で特別教師として雇いたいんだってさ」

 

 封筒の内容はおじさんをキヴォトスという場所で特別講師として雇いたいという依頼であり、雇いたい理由はおじさんのファンで是非ともおじさんに指導して欲しく来てほしいというものだった。

 

「だめだよ、おじさんこんな意味不明な内容を信じちゃ」

 

 しかし、俺からしたらこんなことがありえないと断言できるほど怪しい内容だった。

 

「だって、考えてみてよおじさんは動画投稿者としては中堅もいいところだけど態々特別講師として雇いたいと思える動画じゃないんだよ絶対詐欺だよ詐欺」

「そうですよ、おじさんが喜んでいるところ悪いですけどこんな紙捨てて今後の動画について話し合いましょうよ」

 

 俺たちはおじさんに手紙を捨てるように説得するが、おじさんは二人の説得を聞かず封筒の中身を再度確認し、キヴォトスに向かう準備を始めた。

 

「たかふみ、藤宮さんすまないが俺はこの依頼を引き受けようと思う」

「なんでなのさおじさん、こんな怪しい話絶対受けない方がいいよ」

「そうですよ、たかふみの言う通りです。それにキヴォトスってどこですか?」

 

 俺と藤宮は必死に説得しようとするが、おじさんはそんな二人を気にせずに話を進める。

 

「でもよ、二人ともこれを見てくれよ」

 

 俺たちはおじさんに渡された二枚の紙を見る。そこには如何にしておじさんの動画のファンになったのかおじさんの影響で始めたSE〇Aソフトがどれほど面白かったか等とおじさんやSE〇Aへの思いがつらつらと書かれており、これを読んだたかふみと藤宮は少し引いた。

 

「ここまで俺の動画と俺の動画の影響でSE〇Aのファンになってくれたんだ特別講師の件を抜いても一度話してみたいんだ」

「はあ、もう好きにしてよおじさん」

「まあ、仮に詐欺だとしてもおじさんなら単騎でどうにかできるしいっか」

 

 おじさんの説得は不可能だと悟った俺たちはおじさんの好きにさせることにした。

 

「とりあえず、この紙に書いてあるYesに丸をすればいいんだな」

 

 おじさんはそう言ってYesとか書かれた要所に丸をする。すると突然空間が歪みだした。

 

「え、なにこれ?!」

「おじさん、これは?!」

「二人とも逃げろ」

 

 おじさんは二人を魔法で逃がし、空間の歪みに飲み込まれるのだった。

 

_______

 

-声が聞こえる。

……私のミスでした。

-誰だ。

私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況

結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったこをと悟るだなんて……。

……今更図々しいですが、お願いします。

先生。

--声が聞こえる。

--聞いたことがないはずの声なのにどこか懐かしさを感じてしまう。

--記憶消去したもの関連なのかそれとも別のものか。

きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。

何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……。

ですから……大事なのは経験ではなく、選択。

あなたにしかできない選択の数々。

責任を負うものについて、話したことがありましたね。

あの時の私には分かりませんでしたが……。今なら理解できます。

大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。

それが意味する心延えも。

……。

ですから、先生。

私が信じられる大人である、あなたなら。

この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……。

そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです。

だから先生……どうか。

「17年間異世界にいた俺に大人の責任と義務か」

 

 

 

 

「先生、起きてください。先生、先生!」

(どこだここは?)

 

 空間の歪みに飲み込まれ気づけば陽介は知らない部屋にいた。

 見たところ清潔でどこか高級感のある仕事場を彷彿とさせる場所だった。

 そうして周りを見渡していると陽介は黒髪の眼鏡でエルフ耳の少女と目が合う。

 

「夢でもみられていたようですね。ちゃんと集中してください」

 

 少女は陽介を叱咤し話を続ける。

 少女基七神リンに話によれば陽介は連邦生徒会長に呼び出された存在でこの場所はキヴォトスという数千の学園が集まってできている都市だという。そうして説明を受けながら話をしているとフロントらしき場所に到着する。

 そこに着いたのとき陽介が感じたのはどこかざわついた空気だった。

 17年間の異世界生活とSE〇Aに培ってきた経験から感じ取れるこれから何かが起きると警戒していると。

 

「ちょっと待って! 代行! 見つけた、待ってたわよ! 連邦生徒会長を呼んできて!」

 

 菫色の髪色をした少女が畳み掛けるようにリンに喋り掛けてきた。

 

「・・・うん? 隣の大人の方は?」

 

 リンの近くに来たことで隣にいた俺に気づいたのであろう少女が首を掲げた。

 俺は少女に自己紹介をしようとして少女と向き合った時絶句してしまう

 少女が持つことはあり得ないはずの銃《サブマシンガン》に驚愕したのだ。

 陽介自身銃を扱った経験はアーケードのガンブレードNYぐらいしか経験はないがゲームとしての作り物としては違うと感じられる造形。

 本物じゃなくモデルガンやエアガンだとしてもこのような場所に持ってくるよなものじゃないはずだ。

 

「主席行政官。お待ちしておりました」

 

 長身の黒髪の少女も(スナイパーライフル)

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

 眼鏡をかけたブロンドの髪の少女も(ハンドガン)

 絶句している間にも続々と少女たちが責めるような圧を持ってリンに迫ってきており、その誰も彼もが何らかの銃火器を持っていた。

 17年間の異世界で色んなものを見てきたがここまでおかしいのは見たことない。

 本当になんなんだこの世界は。

 そうして絶句している陽介とは反対に銃を持った少女たちに囲まれているリンはどこ吹く風と

 

「ああ・・面倒な人たちに捕まってしまいましたね」

 

 と小声めんどくさそうに反応し少女たちの落ち着きのなさに呆れているように見える。

 どうやら彼女はこの状況になることは予想をしていたようで慌てる要素はない。それどこらか詰め寄ってきた少女達に呆れているようにも見える。

 

「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よく分かっています」

 

 リンの言葉には明確に悪意と棘があった。

 罵倒しようとしていたが言い間違いの体を取ろうとしたのだろうが言い切らないあたりは良心が働いたのだろう

 

「今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために……でしょう?」

「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ! 連邦生徒会なんでしょ! 数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ! この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

 

 青髪の少女の言葉を聞く限りどうやらこの世界は日本と変わりないぐらい発展しているようだ。この世界なら仮に水の湧き出る壺のようなものを作ったとしての宗教上の理由で吊るされることはないだろう。

 

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したとの情報もありました」

「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」

「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 

 正常な学園生活とはなんだろうか。17歳の時に異世界に行ってたから学園生活はあやふやな感じでか覚えてない陽介だがこれはどう考えても異常だと判断できる。

 

「…………」

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの? どうして何週間も姿を見せないの? 今すぐ会わせて!」

「……連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

「……え!?」

「……!」

「やはりあの噂は……」

 

 三者三様。それぞれ含みのある反応をする。

 

「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが、先ほどまで、そのような方法は見つかっていませんでした」

 

「それでは、今は方法があるということですか、主席行政官?」

 

 黒髪長髪の少女がそう問えば、七神リンはこちらを振り返って、全員の視線を集めるように陽介を指を向けた。

 

「はい。この先生こそが、調停者(フィクサー)になってくれるはずです」

「俺が?」

 

 リンの言葉に陽介は困惑するしかなかった。

 確かに陽介は先生をして欲しいという手紙を受け取ってる。しかし陽介はあの時点で先生を引き受けるとは答えてない本人は自分の動画とSE〇Aの大ファンである子と少し話を聞くつもりなだけだった。

 それがまさかこんなところに連れて行かれるなんて思わなかったのだ。

 陽介からしたら一刻も早く日本に帰りたい。しかし仮にこの少女達に問い詰めてもいい結果が得られるとは思えない。

 ならばどうするかと陽介は考える。

 これまでの異世界グランバハマルの生活と積み上げてきたSE〇Aの知識を活かして考え抜いた結果は

 

(取り敢えず会話が終わるのを待とう)

 

 会話パートだと思い尚且つ大人として子供達の話が終わるのを待つことにするのだった。

 

「この方が?」

「ちょっと待って。この先生はいったいどなた? どうしてここにいるの?」

「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね」

「はい。こちらの嶋崎陽介先生は、これからキヴォトスで働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

「いや、待っ…」

 

 まだ働くと了承したわけではないのだが、あまりにも自信満々に断言するものだから陽介の否定が遅れてしまい黙り込んでしまう。

 

「行方不明になった連邦生徒会長が指名……? ますますこんがらがってきたじゃないの……」

 

 そうして会話をしているとどうやら陽介が自己紹介をするパートがきたようだ。

 

「待ってくれ、俺は七神さんから先生と紹介されているがまだ了承してない」

 

 陽介は先程言おうと黙り込んでしまい言えなかったことを伝える。

 

「了承してないとはどういうことでしょうか?あなたは連邦生徒会長に呼ばれてここに来たのではないのでしょうか?」

「確かに俺はキヴォトスで先生をやらないかって手紙は受け取っているが先生になると了承してないし言葉を交わそうとは思って返事を送るつもりだった。だけど突然空間が歪んで気付いたらここにいたんだ。その連邦生徒会長とやらはどこにいるか心当たりはないのか?」

「残念ながら先程彼女達に話した通り私たちも連邦生徒会長の行方はわからないんです。力になれず申し訳ありません嶋崎先生」

「だから先生はいいって七神さん」

「いいえ、連邦生徒会長が選んだ以上そして年上への礼節として先生と呼ばせてください。それに連邦生徒会長からの連絡の最後には『先生は私が一番信用する大人です。先生ならこのキヴォトスを任せられる』と書かれていたので」

「………はぁ」

 

 連邦生徒会長からの最後の言葉に陽介は思わず溜息がついてしまう。

 陽介は連邦生徒会長がどんな人物かはそこまで知らない。知っているのは陽介同様にSE〇Aと陽介の動画のファンだってくらいだ。

 連邦生徒会長はおそらくあの手紙の主なのだろう。リンから聞いた話だとこのキヴォトスで大きな権力を持ち陽介よりも政治に深く関わってきたのだろう。そんな少女の願いを断ることは簡単だ。だがこの目の前の子供達が困っているのを放っておいてどこかに行くのは大人として無責任だ。

 そう考える陽介からしたら少女達の頼みを断ることはできなかった。

 

「わかった。勝手にしてくれ。それと嶋崎だと堅っ苦しいら今後は陽介でいい」

 

 ひとまず先生呼びは了承したのだった。

 

「わかりました。それとリンでいいですよ先生」

 

 そうして二人だけの空間が広がる場所で

 

「い、今はそんなことはどうでもよくて……!」

 

 長髪の左右にサイドテール付いている少女が入ってきた。

 

「そのうるさい方は気にしなくていいです。先程の話を続けますと……」

「誰がうるさいって!? わ、私は早瀬ユウカ。覚えておいてください、陽介先生!」

「……ああ。わかった」

「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました」

 

 リンがそう言うと、手元のタブレットを操作して陽介に画面を見せる。

 そこに表示されたのは『S.C.H.A.L.E』という文字と、その地点を指し示す地図だ。

 

「連邦捜査部『シャーレ』。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることも可能で、各学園の自治区で、制約なしに戦闘活動を行うことも可能です」

 

 越権もいいところの権限に陽介は一瞬脳裏にドリームキャストで出たソニックアドベンチャーのG.U.Nが思い浮かぶがそれを振払いリンの話に集中した。

 

「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが……シャーレの部室はここから約30㎞離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に「とある物」を持ち込んでいます」

 

 リンは手元に持つタブレットを操作して、目標となる地点までのルートが表示される。

 

(大体1分半ぐらいか)

 

 生身での移動ならばかなり時間の掛かる距離だが魔法を使えばすぐに着く距離だ。

 

「先生を、そこにお連れしなければなりません」

 

 リンは再びタブレットを操作し、此処には居ないであろう人間に声を掛けた。

 

「モモカ。シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」

 

 魔法を使えばすぐに使うがリンが言ってた先生は陽介が知るような先生ではないのだろう。

 だからかヘリを使っての移動はおそらくだがシャーレの体裁のなのだろう。

 そんなリンの手際に陽介が感心していると突然ホログラムのような物が現れてモモカと呼ばれた少女がその場に映し出された。

 

『シャーレの部室? ……ああ、外郭地区の? そこ、今大騒ぎだけど?』

「大騒ぎ……?」

『矯正局を脱出した生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』

「……はい?」

『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?』

 

 巡航、戦車。

 どうやらこの世界は治安がだいぶヤバいようだ。聞いた限りだとドラマで見たハリウッド映画並みかそれ以上なのかもしれないと陽介は考える。

 

『それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものがあるみたいな動きだけど? 

 まあでも、とっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な……あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリー来たから、また連絡するね!』

 

 そう言ってモモカは一方的に通信を切断するのだった。先程のリンとは違いだいぶ緊張感の緩い少女だと陽介は思うのだった。

 

「…………っ」

 

 一方のリンは青筋を浮かべていて今にも噴火しそうな勢いである。

 ここは大人として対処せねばと思い陽介はリンに話しかける。

 

「大丈夫か、リンさん。ヘリが無理なら俺一人で向かうけど」

「……だ、大丈夫です。……少々問題が発生しましたが、大したことではありません。そして一人で向かおうとしないでください。ヘイローのない陽介先生が出向いては銃弾の一発が掠るだけで巷致命傷になりかねないのですから」

 

 そうして、何かに気付いたように。あくどい顔をしたリンは、先ほどまでの面々少女たちをじっとりと見つめた。

 

「……?」

「な、何? どうして私たちを見つめてるの?」

「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」

「……えっ?」

「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」

「ちょ、ちょっと待って!? どこに行くのよ!?」

 

 素早く歩き出すリンと、それを追いかけるユウカたち。

 そこに陽介も付いていくのだった。

 

 「なんだ。これは?」

 

 陽介が外に出た時見た光景は17年間の異世界生活をしていた彼からしたら圧巻の一言だった。

 道中で見えた住人はロボットに動物の二足歩行で歩いていた。

 これだけなら陽介はそこまで驚かないし動物が二足歩行しているならソニックがいるんじゃないかと探しに行ってただろう。

 しかし極み付けは

 

パン!パン!ズドドド!ドン!! 

 

 市街地の中で飛び交う銃弾の音だった。 

 

「な、なにこれ!?」

 

 ユウカの悲鳴が、銃弾の音に掻き消される。

 爆音。銃声。破裂音に破壊音。

 巻き上がった硝煙が、陽介たちの側をすり抜けていった。

 地獄絵図である。

 

「どうして私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!」

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから……」

「それは聞いたけど……! 私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど! なんで私が……!」

 

 溢した愚痴を真面目に返されたユウカは不平不満を露わする。

 ユウカは文句を言いながら安全を確保すべく動く。

 しかし、そんなユウカの気遣いをあざ笑うかのように、命中すれば即死するであろう弾丸の雨が少女に向かっていった。

 

「いっ、痛っ! 痛いってば! あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!」

「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません」

「うちの学校ではこれから違法になるの! 傷跡が残るでしょ!」

 

 陽介は移動中にあらかじめ説明を受けていたがやはりこの目で見ると驚愕を隠せない。

 普通は銃弾が掠むだけでも人間には大きな傷になるそれを大量に掠むではなくてガッツリ当たれば即死だ。

 グランバハマルでも防護魔法を使わなければ銃弾に耐えられないのに彼女達は見た限りだと魔法使っている様子はない。

 だけど目の前の光景は陽介のこれまでの常識をくひっくり返していた。

 目の前の少女たちは、生身で弾丸を受けても痛い、傷跡が残るなどその程度の損傷ですんでいるのだ。

 

「今は先生が一緒なので、その点に気を付けましょう。先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です」

「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので……、私たちとは違って、弾丸一つでも生命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」

「分かってるわ。先生、先生は戦場に出ないでください! 私たちが戦っている間は、この安全な場所にいてくださいね!」

 

 安全な──場所。

 

「…………」

 

 彼女達の言ってることは正しい。彼女達の言うように弾丸が一つでも当たれば陽介には致命傷になりかねない。

 防護魔法で弾丸が防げても数十発という弾丸を食らえば魔法を維持できずそのままお陀仏だ。

 彼女達の言うように陽介が彼女達の後ろで潜むのは正しい。前に出れば彼女達からすれば先生を守るという行動が一つ増えるだけで面倒が増えるだけだ。

 だがそれは陽介が普通の人ならではの話だ。

 

「……俺が前に出よう。手伝ってくれ」

「え、ええっ!? 先生、何をおっしゃているのですか? 先程ハスミさんが言ってたことを忘れたのですか?弾丸一つでも危ないんですよ」

「そうですよ。だから先生は私たちの後ろに隠れていてください」

 

 おじさんの言葉にチナツとハスミはすぐさま反論する。

 しかしおじさんは二人の忠告を聞かず手をスケバン達に向ける。

 

(頼む頼むぞ。発動してくれ万能話手(ワイルドトーカー)。魔法が使えないとあの地獄絵図をどうにかできない。頼む発動してくれ)

 

 心の中で必死に精霊に語りかける陽介

 そして。

 

「風よ舞い上がれ!!」

 

 陽介がそう言い手を向けるとスケバンの集団が突然宙に浮く。

 

「「「「「「はあっ?!」」」」」

 

 突然の現象にユウカ、ハスミ、チナツ、スズミ、そして宙に浮いたスケバン一同は驚愕の声を上げるのだった。




実はおじさん、シミコと誕生日が一緒
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。