キヴォトスおじさん   作:小説好きー

10 / 13
ガンスタヒーローズは楽しいですね


おじさん、便利屋に新しい力を授けるって。

 陽介達がブラックマーケットで騒動を起こした翌日。

 その日は珍しく暇な日となった。

 どうやらリン達が陽介に教えて貰った秩序(コスモス)の魔法を使いこなし仕事が一気に減ったのが要因のようだ。

 余談ではあるが後にリンは秩序の精霊への感謝のために自分の執務室に祭壇を立てるのだが、同僚である防衛室長が陽介にとんでもな誤解をするがそれは後々の話である。

 そんなわけで陽介はせっかくならお菓子とコーヒーでも差し入れしようとアビドスへと来たのだ。

 

 陽介が扉を開けるとホシノがノノミの膝枕で眠っている。

 最近は風の精霊に浮かしてもらって太陽の光で休んでいる彼女にしては珍しいことである。

 

「おはよー、先生」

「先生、おはようございます。今日は早いですね?」

「おはよう、ノノミさん。小鳥遊さん。今日は暇を貰えてな。コーヒーとお菓子の差し入れを持ってきたんだけど、どうだ?」

「わぁ、ありがとうございます先生」

「しかし、まぁ。ものすごくリラックスしているな小鳥遊さん。大丈夫ちゃんと寝れてるか?」

「うーん。先生の教えてくれた魔法のおかげで疲れは大丈夫だよ~。うへ~、ノミちゃんの膝枕は柔らかくてサイコーなんだよー。私だけの特等席だもんねー」

 

 ノノミに頭を撫でられながらホシノがそう話す。

 

「先生もいかがです?はい、どうぞ~☆」

「いや、俺は、遠慮するよ……」

「そうだよ~。ここは私の場所なんだから、先生はあっちの座り心地の悪そうな椅子にでも座ってねー」

「私の膝は先輩専用じゃないですよう……」

 

 女子高校生の膝にアラフォーのおじさんが寝るのはどう見ても事案なのでノノミの提案を断る陽介。

 ノノミは陽介の言葉に残念そうな顔をする。

 

「そういえば、他の皆は?」

「のんびりできるのは久しぶりですから……今はみんな、やりたいことをやってるんでしょうね。んー、シロコちゃんはきっとトレーニングでしょうし、アヤネちゃんは多分勉強しに図書館でしょうか……」

「ノノミちゃんは学校の掃除と教室の整頓をしてくれたよねー。うへ、みんな真面目だなー」

 

 みんなまじめだとホシノは言うが陽介からすればホシノも大概真面目である。

 精霊経由であるが陽介はホシノが夜な夜なアビドスの周辺をパトロールしていることを聞いている。

 そのせいかホシノは昼夜が逆転したような睡眠を取っており日の精霊の力で前よりかは休めているがそれでもホシノは疲れは溜まっていると陽介は精霊から聞いている。

 ホシノに何かを言ってあげるべきなんだが残念ながら陽介にはどんな言葉を掛けるべきか思いつかない。

 エルフのように「ピンチはチャンス」みたいなことを言えれば良いのだがホシノにはあまり刺さらないだろ。

 何を言うべきか陽介が考えているとホシノが徐に立ち上がる。

 

「ん? どしたの、先生? うへ~、私は当然ここでダラダラしてただけだよー」

「先輩も何か始めてみてはどうでしょう? アルバイトとか、筋トレとか」

「無理無理ー、おじさんは年齢的に無理がきかない体になっちゃったもんでねー」

「歳は私とほぼ変わらないですよ?」

「そうだぞホシノおじさん面したいなら俺を見てから言ってもらおうか」

「いやぁ先生は普通のおじさんとは違うでしょ。うへ~、とにかく先生も来たし、他のみんなもそろそろじゃない? そんじゃ、私はこの辺でドロン」

「あら先輩、どちらへ?」

「うへ、今日おじさんはオフなんでね。てきとうにサボってるから、何かあったら連絡ちょーだい、ノノミちゃん」

 

 ノノミの膝枕から立ち上がったホシノは寝起きとは思えない動きで窓から飛び降りて飛行魔法でどこかへ飛んでいくのだった。

 

「ホシノ先輩……またお昼寝しに行くみたいですね。うーん、まあいいんじゃないでしょうか。会議はアヤネちゃんがしっかり進めてくれますから」

「今度は怒られないように気を付けないとな」

「あはは……。それにしてもホシノ先輩は、以前に比べてだいぶ変わりました」

「変わった?」

「はい、今はいつも寝ぼけているような感じですが……初めて出会った頃のホシノ先輩は、常に何かに追われているようでした。うーん、言葉にすると長くなりそうなので記憶再生魔法を使って頂けないでしょうか先生?」

「ああぁ、分かった。記憶断片映写(イキュラス エル ラン)

 

 記憶再生で見せられたホシノの姿は今からでは考えらないほど荒んでいた。

 

「この頃のホシノ先輩は何に追われていたかというと……んと、ありとあらゆることに、と言いましょうか。聞いた話ですが、以前とある先輩がいたそうで……アビドス最後の生徒会長だったらしいんですがとても頼りない人で、その人がここを去ってからはすべてをホシノ先輩が引き受けることになった、と……」

 

 ノノミの話を聞くにこの頃のホシノはアビドスをすべてを背負い誰にも助けが来なかったのだろう。

 そう考えればここまで荒んだ姿には納得できる。

 先代の生徒会長についても陽介がアロナにお願いして調べてわかったことは行方不明であることだけだった。

 おそらく先代の生徒会長となにかあったのだろうと察せられる。

 今のホシノはアビドスのためなら自分がどうなってもいいという感じに陽介には見えた。

 睡眠障害となによりシロコ達と比べるとホシノがまだ陽介を疑いをかけていることを陽介は過酷な異世界で初対面の住民に殺意、憎悪、嫌悪、疑いの目で見られた陽介にはわかる。

 

「でも今は、先生もいますし、他の学園の生徒たちとも交流できますし……。以前だったら、他の学園と関わること自体嫌がっていたはずが……かなり丸くなりましたね。うん、きっと先生のおかげですね☆」

 

 ノノミの言ったように陽介が来てから劇的に変化はした。

 魔法の習得によるアビドスの防衛強化。

 最近では陽介が呪符の作成方法を教えたためにそういった魔道具作成で新たな資金獲得とアビドスの今後は陽介が来る前と比べれば明るくなったと言っても過言ではない。

 それでもホシノは休まっているように見えない。

 よほど言えないなにかがあるのだろう。

 いっそのこと記憶再生魔法を使って無理やりにでもホシノが抱えている問題をシロコ達に見せれば事態が動くかもしれない。

 だけどそれをすることはホシノに怒られるし教師として生徒のプライバシーに侵入しすぎるのは良くないのではないかと陽介は考えてしまい実行できなかった。

 その後陽介はトレーニングしているシロコの元へと行くのだった。

 

 

 

 

 とある場所に到着しホシノは飛行魔法を解除する。

 そこは無名のビル。しかし管理者がいないはずなのにエレベーターが稼働していた。

 ホシノは慣れた手つきでエレベーターへ乗り込み上の階へと進む。

 目的の階層に到着し歩き出したさきに…

 

「お待ちしておりました。暁のホル………いえ、失礼。小鳥遊ホシノさん……未だにキヴォトスには不慣れで……こちらへどうぞ」

「…今度は何の用…黒服」

「……ふふ、状況が変わりましてね。今回は再度、アビドス最高の神秘をお持ちのホシノさんにご提案をしようと思いまして」

「提案?ふさけるな!!!それはもう…」

「まあまあ、落ち着いてください」

 

 怒るホシノに黒服は諫める。

 ホシノを諫めた黒服はホシノに一枚の紙を渡す。

 

「お前…」

「お気に入りの映画のセリフがありましてね。今回はそれを引用してみましょう。あなたに、決して拒めないであろう提案をひとつ。興味深い提案だと思いますので、どうかこ清聴ください。ククッ、クックックックツ……」

 

 黒服の喉から出る不気味な笑い声がホシノの耳に響く。

 

 

 

 

-お昼が近い、紫関にて

 午前中なのもあり客が少ない中に便利屋68がいた。

 腹ごしらえととして来ていたがアルの様子がどこか落ち込んでいる様子だ。

 

「もお、アルちゃんってば元気出しなよ。今度は上手くいくって」

「そうかしら…」

 

 陽介達が燃やしそこねた大量の現金を手に入れた便利屋68は前回の反省を生かし倍の傭兵を雇い、さらには目的の地点で爆発させアビドスを一網打尽にする計画を立てたのだ。

 しかしその計画のプレッシャーやアルの持つアウトローとしてのプライドが二重にアルを追い詰めアル寝不足に陥らせたのだ。

 

「今回はウルフさんに貰ったものだってあるし。いくらアビドスの面々がどんなに魔法がすごくても数の暴力にはどうしよもないよ」

 

 カヨコは今回は成功するのだとアルを元気づける。

 事実、ウルフガンブラッド基陽介に貰った馬。アルが命名したシルバーヴァレットの力はすさまじい。陽介の持つ王神剣によって創造されたそれは稼働時間というものは存在せずさらに破損したらそこからそらに大きく分厚い装甲が生えるというかつて陽介とエルフが相対した骸骨兵士と類似した性能を誇る。

 仮に倒すならば対戦車砲もしくはミサイルなどで一撃で破壊するしかない。

 

「わ、私なんかが言うのも烏滸がましいですけど、アル様ならいけます」

 

 ハルカも加わり全員でアルを慰めていると紫関の大将がラーメンを持ってきた。

 

「お待ちどう!!」

「来たあ! いただきまーす!」

 

 大将が大盛りのラーメンを持ってきたとたん全員がラーメンの方に目が向く。

 

「ひ、ひとりにつき1杯……こんなに贅沢してもいいんですか?」

「アビドスさんとこのお友だちだろう。替え玉が欲しけりゃ言いな」

「こんなに美味しいのにお客さんがいないなんて」

「場所が悪いんじゃない?廃校寸前の学校の近くだし」

「まあ、美味しいからいいけど。それじゃ、いただ……」

「……じゃない」

 

 大将の何気ない言葉にアルは声を上げる。

 

友だちなんかじゃないわよぉーーーー!!

 

 アルは机を勢いよく叩き、アルは今まで悩んでいたのが嘘のように声を荒げる。

 

「わかった!!何が引っかかってたのかわかったわ!問題はこの店、この店よっ!!」

「!?」

「どゆこと!?」

「ここのことよ!!」

 

 アルの変わりように驚いくムツキたちがアルに訳を聞こうとするとアルの声がさらに荒くなる。

 

「私たちは仕事しにこの辺りに来てるの!ハードボイルドに!!アウトローっぽく!!なのに何なのよ、この店は!お腹いっぱい食べられるし!!あったかくて親切で!話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこの雰囲気!ここにいると、みんな仲良しになっちゃう気がするのよ!!」

「それに何か問題ある?」

「ダメでしょ!!メチャクチャでグダグダよ!私が一人前の悪党になるためには、こんな店は要らないのよっ!!私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと非情さなの!こんなほっこり感じゃない!!こんなんじゃ、ウルフガンブラッドさんみたいな孤高なアウトローなんてなれわしないわよ!!!」

 

 自分の思いの丈を叫んだアルは「ぜぇぜぇ」と肩で息を吸う。

 言葉の中にはアビドスを褒める言葉が多々あり本人も気に入ってるようだがこの場では自身の憧れが勝ってしまい、憧れから離れる自身への叱咤しているのだと感じられる。

 

「いや、それは考え過ぎなんじゃ……」

 

 アルの叫びに対してムツキが宥める。

 

「……それって……こんなお店はぶっ壊してしまおうってことですよね、アル様?」

 

 ここでハルカが口を動かす。

 ハルカはそう言うとどこかぎこちなくされど満面の笑みを浮かべ鞄からか何かのスイッチを取り出す。

 

「良かった、ついにアル様のお力になれます」

「起爆装置?なんでそれを……」

「ハルカ、ちょ、ちょっと待っ……」

 

 ハルカの行動を察したカヨコが止めようと手を伸ばすが、その手は間に合わず……

 

縛動拘鎖(レグスウルド スタッガ)

 

 ということもなく柴崎にラーメンを食べに来た陽介によって便利屋68一同は鎖の魔法に拘束される。

 

氾蛇 唆昇(レイローカ ミバルド バグルヒルド)氷嵐在現(レイベリオ ガルラ)

 

 さらに追い打ちとピッチャーの中に入ってる水を蛇の形に変化しハルカの持つスイッチと手に巻き付き、氷魔法で凍らせるのだった。

 

「シャ、シャーレの…」

「まさか私たちを追って」

「ここまでか…」

「あわわわ…」

 

 アル達は陽介の登場に驚愕の声を上げる。

 陽介はアルの元へと近づきアルの頭に触れる。

 

「へぇ?先生なにを?」

「アル様の頭に触るなんて…」

記憶走査(イキュラス スラドラーチ)

 

 アル達の反応をよそに陽介はアル達の記憶を探りアル達のクライアントを探す。

 クライアントを倒せば依頼で動いてる便利屋68はアビドスから離れるだろうと考えてだ。

 

「……」

 

 しかしアルの記憶を探ってもクライアントの姿が見当たらず、尚且つアル達が柴崎にただ食べに来ただけだと分かったので魔法を解除する。

 鎖の拘束を解除されたアル達はすぐさま銃を向ける。

 さらには無意識なのか無数の闇の剣が陽介の周りを囲む。

 辺りは一八触発の中、陽介が口火を切る。

 

「さっき、なにをしようとした?」

「あっ…」

 

 陽介の声に思わずアルが後ずさる。

 ラーメンを安く提供してくれて替え玉までサービスしてくれた大将の店を潰すなどアルが目指すアウトローとはかけ離れているのだから。

 

「ごめんなさい。先生」

 そう言ってアルは銃を下す。

 アルに続いてカヨコ達も銃を下すのだった。

 

 

「それで結局先生は柴崎に何しにきたの?やっぱり私たちを捕まえるため?」

「ここに来る用事なんて食事以外ないだろ。その後にお前たちを探す予定だったけど、まさか入った途端店を爆発しようなんて思わなかったから咄嗟に魔法を使ったけど」

「うう、すみません。アル様。わ、私の早とちりにせいで…」

「あやまらないでハルカ。私があんなこと言ったせいだから」

 

 陽介達は席に座り先ほどのことを話す。

 途中で大将がお湯を持ってきてくれて現在はハルカの凍った手を溶かしている最中だ。

 

「それはそれとして、さっきの魔法はすごかったぞ陸八魔さん。まさかあの短期間で大きくするだけじゃなくて複数展開するなんて、結構闇の精霊さんに気に入られているんだな」

「複数展開しても結局は見掛け倒しにしかならないわ…」

「あれ?闇の精霊ってアルちゃんが使ってるのに詳しいの先生?」

 

 アルと陽介の会話にムツキの疑問が入る。

 

「まあ、実は陸八魔さん達を探してたのは陸八魔さんが使ってる魔法について教えてあげて欲しいって闇の精霊さんにお願いされたんだ。誰か携帯だしてくれないかな?」

「じゃあ、私のを」

 

 陽介の頼みにカヨコが携帯を出す。

 陽介は出して形態に向かって闇の剣を出現させて空を切る。

 

「ほら見ろ、圏外だ」

「あ、通信も全部切断されてる」

「闇っていうには地味ですね」

 

 闇の剣の効力に対して地味だとカヨコ達は言いたい放題である。

 

「いや、結構使えるところがあるしここまで気に入られている子はいないよ。闇の精霊さん曰く陸八魔さんが自ら暗闇の中に進むところが気にいったようなんだ。会社経営もして適正がないのに闇の精霊に気に入られるなんてすごいことなんだ」

「へ、へぇー。闇の精霊も見る目あるわね」

「良かったですね。アル様」

 

 アルは陽介の賞賛の声にさっきまでの様子が嘘みたいに元気になる。

 ハルカもまたアルのうれしい様子に自分のことのように喜ぶ。

 もっとも闇の精霊がアルのことが気に入ってるのは暗闇(比喩)ではなく暗闇(物理)なのだがアルがそれに気づくことはないだろう。

 

「適正ということは社長は本来なら闇の精霊以外に魔法が使えるの?」

「ねぇ、先生その適正ってさぁ、私たちにもあるの?」

 

 陽介の適性という言葉にムツキとカヨコが食い付く。

 やはりこの辺りは年頃なのかアルのように魔法を使ってみたいというのがあるのだろうと陽介は考える。

 

「精霊と交渉してみないと分からないから聞いてみよう。あ、どうもいつもお世話になっております。私動画投稿者兼シャーレの教員をしております柴崎と申します。実は紹介したい子がいるんですけど見て貰えないでしょうか…」

「精霊と交渉ってあんな感じなんだ」

「うわー。思ってたのと違う」

 

 陽介は取引き先への電話を掛けるような様子にアル達は思わず自分たちが想像したのと違うことに少し驚く。

 

 

-数分後-

 

「おお、ほんとに魔法が使える」

「ちょっとムツキ、火を軽率に出さないでよ」

「そういうカヨコっちだって四方に声を出さないでよ。すごく困惑しちゃうわ。それに私はハルカちゃんの氷を溶かすために使ってるんだから」

「すみません。すみません。私なんかのために魔法を使って貰って」

 

 陽介の紹介の結果。ムツキは火の精霊。カヨコは音の精霊。ハルカは風の精霊魔法を使えるようになっていた。

 そして便利屋68の社長はというと

 

「うーん…」

 

 どこかうれしいような、どこか違うなぁという複雑な表情をしていた。

 

「どうした陸八魔さん。せっかく他の魔法が使えるようになったのに?」

「いや、うーん。先生のおかげで混沌(カオス)の魔法が使えるようになったのはいいけど。もう一方の調和(コスモス)の魔法はアウトロー的にこう…ね」

「え、でも 相反する概念を併せ持つってソニックのカオスみたいですっげぇかっこいいと思うよ」

「ごめんなさい先生。カオスなんて言われてもわからないわ」

 

 悩むアルに陽介がソニックのカオスを例に褒めるがソニックを知らないアルからすればあまり慰めにならないようだ。

 そうしてアル達と陽介が魔法談議をしたり時には大将も入れて雑談していると陽介があることを思い出したのかハッと声を上げる。

 

「しまった。魔法のことに夢中でもう一つの目的を忘れてた」

「魔法以外にも私たちに用があるの先生?」

「ああ、陸八魔さん達に、便利屋にこれを渡したくてな」

 

 そう言うと陽介は社長である。アルの指に指輪を嵌める。

 その瞬間辺りに静寂が訪れる。

 

な、な、な、な、なんですって!

 

 陽介の突然の行動にアルは驚愕の声を上げる。

 それまで陽介と雑談していたアルからすれば脈絡もなく唐突だからだ。

 

(何で!? 何で先生はいきなり私に指輪に!? 私たちってそこまでの仲じゃないよね!?なんで突然指輪を嵌めるの!?しかも薬指に!?これってあれよねあれよね!?先生は私のことが…)

 

「だ、だだだだだだめよ先生!?私たち生徒と教師なのよ!? ムツキー!?カヨコー!?ハルカ!?あなた達も考えは一緒よね!?」

「良いぞー、アルちゃーん!そのまま先生と人生のゴールに向かっちゃえ!」

「ごめん社長。私に聞かれても、なにも言えない…」

「そんな、まさかアル様を娶るために私たちに。許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…」

 

 アルは教師と生徒という関係からどうにか説得しようとするが社員の半分が使い物にならないことに絶望しつつどうにか断るべく考える。

 

(これってようは告白!?告白なの!?告白よね!?だとしたらちょっと唐突過ぎない!?私、こういう経験はないけど、こういうのってもっと段階を踏むものじゃないの…!?あ、どうしましょう!? 何だか胸がドキドキしてきたわ。先生って今笑ってる笑顔はあれだけどさっきの黙ってた時の顔は渋みがあっていいし、先生と夫婦生活…悪くは……いや、だめよ!だめよ!!私!!!私はアウトローになるのよ!!ウルフガンブラッドさんと約束したでしょ!!今の私に恋愛をする暇なんてないわ!! ここは断るのよ)

「ごめんなさい先生。残念だけど、今の私にはこの指輪は受け取れないわ」

 

 そう言ってアルは指輪を外し少し残念そうな顔を浮かべ陽介に指輪を返そうとする。

 

「まあまあ、いいから!遠慮するなって、それに、受け取ってもらわないと困る」

 しかし、そんなアルの行動を遠慮と判断したかもう一度アルの指に指輪を嵌め込む陽介。

「えっ、ちょっ、いや、断ったよね。断ったのよ私!!」

 

 陽介の押しの強さにたじたじになるアル。

 

「うわぁ、見てよカヨコっち、先生って結構肉食系なのかな」

「そんなことよりハルカを止めるのを手伝ってよムツキ…」

「許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 許さない 。アル様を弄んで…絶対に許さない!!!!!!!!!!!」

「これが青春かぁ~」

 

 アル達をよそにムツキ達はハルカを抑えるのに手一杯な彼女たちを見て大将は仕組みをしながら微笑ましく見つめる。

 

「断られるわけにはいかないんだ。これは君たち便利屋68への依頼金なんだから…」

「へぇっ?」

「「えっ…?」」

「はぁっ!?」

 

 陽介の言葉にアル達は思わず絶句する。

 そうしてアルはこれは依頼料金で自分が想像していたのは勝手な思い込みなのだと理解すると次第に顔が茹で蛸のように真っ赤に染まる。

 

「あ、それはちゃんと事前に鑑定に出したから最低でも70万はいくぞ」

「ああ…それはないよ先生…」

「…さすがにこれは…」

「……」

殺すっ…!!

 

 陽介の言葉に思わずカヨコ、ムツキ、柴大将は【まじかこいつ!】という目で見つめ【それはないよ…】と陽介に落胆する。

 ハルカに至っては敬愛するアルの心を弄んだ陽介に対して殺意を抱いている。

 殺意が溢れるあまりの普段の彼女からは考えられないほど言動が豹変している。

 

死ね!!!!

 

 そしてムツキとカヨコの拘束が緩んだ隙に風魔法でスイッチを手元まで運び起爆させよとした瞬間。遠方から風切り音が鳴り爆音が響く。無数の追撃砲が紫関へと降り注ぐ。

 耳をつんざく爆音が紫関を木っ端微塵に吹き飛ばした。




アルは混沌と秩序の魔法を習得した。
ムツキは火の魔法を習得した。
カヨコは音の魔法を習得した。
ハルカは風の魔法を習得した。

・カオス
ドリームキャスト【ソニックアドベンチャー】で登場
詳細はぜひプレイするか調べてみて欲しい

・おじさんによるキヴォトスでの指輪被害者
ホシノ
アル←New
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。