「おお、すっげぇー」
早朝から特急を乗り継いでミレニアム自治区に到着した時の陽介の感想はまさに圧巻の一言だった。
立ち並ぶビルの合間に大量のドローンが飛び、アビドスやブラックマーケットと比べると無数のロボットが無尽蔵に人々の間に紛れている光景など陽介はゲームやアニメでしか見たことがない。
「はぁ、すっげぇー」
もはや陽介はミレニアムの居住区を見ては同じことを呟くしかできなかった。
ミレニアムはアビドスやシャーレの居住区とは違い技術レベルが圧倒的に違うことだけしか陽介には感じ取れなかった。
「今度、たかふみや藤宮さんも連れてこ来よう…」
あまりのすさまじさに近々たかふみ達も連れてこようと考える陽介であった。
◇
ユウカから指輪の解析鑑定が完了したと受けとった陽介は待ち合わせ場所に指定された駅前でぼんやりとミレニアムの風景を眺めながらユウカからの迎えを待っていた。
「お待たせしました先生」
「あ、ユウカさん」
そうして待っているとユウカが陽介の前に現れる。
隣には長髪で白髪の少女がユウカと一緒に歩いている。
「……?」
見覚えのない生徒が現れたことに陽介は困惑する。
「初めまして先生。私はセミナーの書記の生塩ノアと申します」
「生塩さんねよろしく」
陽介はノアから出された手を取り握手するのだった。
「それでは先生。セミナーに行きましょう。リオ会長がお待ちです」
「え、俺は鑑定額が聞きに来ただけなのに、態々そこまで行くの?」
陽介はただ金額を聞きに来ただけなのに大それたことにする必要があるのかと内心で疑問に思い困惑する。
「先生が見せた例の指輪を解析鑑定をしたのですが未知な素材に魔法という解析が困難な制作方法のせいでミレニアムは現在混乱中です」
「中には指輪を全分解しようと強硬に出ようとする生徒も出てきてます。リオ会長はこの件を収めるために先生には来て欲しいとのことです」
ユウカたちの話を聞いていると陽介は複数の場所から目線を感じる。
そこには複数の生徒が目を輝かせながら陽介に向かってくる。
「ウ、ウタハ先輩!?」
「やあ、ユウカ。先生がミレニアム来るのを待つ予定だったけど魔法のことやあの指輪について聞けると思ったら私含めてみんな我慢ができなくてね」
「シャーレの先生の魔法!計測器の準備は万端です。魔法の原理を解析するチャンス!」
「あの指輪に使われた素材を知りたい!!」
「魔法のパワーソースは何?」
「先生!指輪を分解!分解させてください!!!」
ウタハに続いて無数の生徒が陽介に殺到する。
ウタハ達の気迫に思わず陽介は後ずさる。
全員の目つきは異様にぎらつき、手をわきわきと動いていて明らかに正常ではない。
陽介の背中に冷たいものが走る。この感覚はかつてグランバハマル人にオークだ魔獣だと襲われた時ぐらいにだが、彼女たちの気迫はそれほどのものだった。
「ああ、待て、待ってくれ!?
陽介は思わず拘束魔法を展開しウタハ達の歩みを阻止する。
「これが魔法…?」
「う、動けない!?」
「拘束されているのに感触がない?」
「先生。この鎖の強度がどれほどか計測させてください!」
「分解!!分解!!」
陽介の魔法によって拘束されるウタハ達だったが魔法という未知の現象を目にしてさらに興奮が止まらないようだ。
「落ち着いてください皆さん。先生は逃げませんから!」
「探求心は止められないんだよ。ノア!!」
「そうです、そこに未知があるなら解析するのが世の摂理!」
ノアが静止の声を上げるが彼女たちの暴走する知識欲や探求心を止めることはできない。
「ああ、もう、あなた達!いい加減に…「なぁ、ユウカさん」はい。先生」
ユウカが怒号を上げ銃を取り出そうとするが陽介に声を掛けられて収まる。
「ここからミレニアムの本校の座標と距離ってどれくらい?」
「ここからミレニアムは大体〇kmで座標は○○の○○ですが突然何を?」
「そうか、じゃあ先に送るから会長のリオさんにすぐに全員連れて行くって言っといてくれ」
「へぇ?まさか先生はあれを…あぁああ!?」
陽介は転送魔法でユウカをミレニアムに送り出す。
かつて陽介がシャーレに向かう際に使う魔法だと思ってたユウカだったが前に使われたときによりも強い勢いに思わず叫びながら飛んでいくのだった。
「それじゃあ、生塩さんとみんなも…」
「あはは、おてやわらかにお願いしますね先生」
「ふむ、あれがユウカから聞いていた風魔法か、すさまじいな」
陽介の言葉にノアは苦笑いを浮かべ、ノアたちはジェットコースターに乗るような気持ちで陽介の魔法で運ばれるのだった。
◇
魔法でユウカたちを送り届けた陽介たちは専用の教室に入る。
その部屋には無数のモニターとパソコンが並んでおり、全体的に暗い印象が思い浮かぶ。
「はじめまして、シャーレの先生。私がセミナーの会長、調月リオよ」
そこにいたのは高身長で一目で18歳とは思えない風格を持つセミナーの会長調月リオ。
「私は、ミレニアムサイエンススクールの歴史上三人しかいない全知の学位を持つ澄み切った純正のミネラルウォーター、立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花の超天才清楚系病弱クールビューティー美少女ハッカー。『特異現象捜査部』部長、明星ヒマリと申します」
リオの隣の少女ヒマリが陽介の前で長々しい自己紹介を行う。
「私は白石ウタハ。一応、エンジニア部の部長を務めさせてもらっている」
「私は猫塚ヒビキ。よろしく」
「私は豊美コトリと言います!よろしくお願いします、先生!」
次にエンジニア部の三人が自己紹介を行いそれに新素材開発部の部員も続くのだった。
そうして全員の自己紹介が終わり、リオは陽介に封筒と一つの箱を渡す。
「調月さんこれは?」
「封筒の方は先生が依頼した指輪の査定額について記載された書類類と箱は先生からお預かりした指輪を保管しています。額が額なのでとても頑丈にできています」
「え?あの指輪そんなにするのか?」
「はい。封筒の中身を見ていただければわかります」
「どれどれ…え、5億!?」
陽介はヒマリに促されて見た封筒に書かれた額に目を見張る。
陽介は渡された箱を恐る恐る収納魔法に入れるのだった。
◇
「やったぞ。やったぞたかふみ!!俺の頑張りが俺の成果が認められたんだ!!」
『えっと、良かったねおじさん。それであの指輪は早速売るの?』
陽介はリオ達に渡された査定額のうれしさのあまりに電話でたかふみに報告していた。
やはり日本で50円と言われたのはけっこうショックだったのだろう。
「いや、さすがに5億は大きすぎるし、今はシャーレの給料で結構余裕を持って生活ができるからもしもの時に使うよ」
『そうなんだ。あ、そうだおじさん。この前カードの明細を見たら8万って…』
「すまんたかふみ!この後予定があるから!!」
『え、ちょっ。おじさん!!!』
会話の最中たかふみからの例の銃のことを聞かれると思った陽介はすぐさま電話を切る。
逃げたところですぐにバレるというのに。
「話は終わりましたか先生?」
陽介にユウカが近づく。
「ああ、終わったよ」
「それじゃあ、行きましょうか先生。皆さん待ってますよ」
ユウカに促され陽介はとある場所へと向かうのだった。
陽介がついた場所はさっきまでいた薄暗い場所よりも明るくさらにはリオやヒマリだけではなく駅前で陽介に詰め寄ってきたウタハ達も周りに並んでいる。
「それじゃあ、時間も押しているしあの指輪について話そう」
陽介は大勢の前で話すことに緊張しつつ生徒からの質問に答えるべく声を上げる。
「あの指輪のリングに使われている七色珊瑚は1日に7回定刻に色が変わる珊瑚なんだ。どういう原理で変わるのかは俺も良く知らないからこれが終わったら欠片の提供をするから」
陽介のその言葉に新素材開発部を始めとした生徒たちが歓喜の声を上げるのだった。
その後陽介は異世界の魔道具や異世界にしか存在しない素材をミレニアムに提供し最後に魔法についてウタハたちが詳しく問い詰めるが陽介の都合により魔法については後日話すことになるのだった。
とあるシーンを書きたいためにミレニアムに鑑定してもらうって展開を入れたんですけどミレニアムって鑑定とかしてくれるんだろうか
投稿前だとおじさんの精霊魔法の解説も書いてたんですけどアリスを入れたゲーム開発部も入れた方が色々書けると思い後にしました