キヴォトスおじさん   作:小説好きー

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生徒が使う魔法を考えるのは楽しい反面どんな魔法を使わせるか悩みます


おじさんと対策委員会。その臨時顧問になるまで

バライブート フォルグ バストール(炎凰殲滅)

 

 カタカタヘルメット団の前哨基地についた陽介達はアヤネに頼まれた物資を回収した後前哨基地ごと燃やし尽くしたのだった。

 

「うへ~。いや~爽快だね」

「ん、私たちいらなかった」

「先生の魔法はすごいですね☆」

「えげつないわね」

『ヘルメット団から銃器の回収ができましたし皆さん撤退してください』

 

 陽介の魔法にホシノ達は三者三様の反応しているとシロコが陽介に近づく。

 

「先生はどうして魔法が使えるの?」

 

 なんてことない疑問に陽介は答える。

 

「18年前ぐらいにトラックに引かれて異世界に行っててな魔法は過酷な異世界で生きる上で使えるようになったんだ」

「異世界!?本当にそんなのがあるの!?」

 

 陽介の言葉にセリカは驚きの声を上げる。

 それもそうだろうアニメや漫画でしかないことを目の前の先生は経験しているのだと予想できないからだ。

 

「へえ、先生はすごい経歴だね。後で聞かせてよぉ」

「先生の異世界の話とっても気になります☆」

「俺が行った異世界はな、聞くより見る方が早いか。記憶(イキュラス)…「はあああぁ!!?」」

 

 陽介の異世界事情が気になるホシノ達。

 陽介は聞かせるよりも見せる方が早いと思い記憶再生魔法を使おうとするが突如遠方から大声が上がる。

 声の方向に陽介達が振り返ると先ほどアビドスを攻めてきたカタカタヘルメット団がそこにいた。

 

「あたしたちの前哨基地が…」

「炎だぁ。温かそうだな」

「ばか!近づこうとするな!」

「体が体がまだピリピリするよぉ」

「くそぉ。アビドスめ、これがお前たちのやり方かよぉお!!お前ら構えろ」

 

 赤いヘルメットを被った少女の号令に一斉に銃を構えるカタカタヘルメット団。

 

「うへ~。風の精霊さんが浮かしてください」

「行きますよぉ☆」

「ん、役目があった」

「あんた達、これで終わりよ」

「「「「ひぎゃあぁぁ!!!」」」」

 

 陽介のおかげで風の魔法が使えるようになったホシノは魔法でカタカタヘルメット団を浮かし、ノノミ、シロコ、セリカのよって蜂の巣にされるのだった。

 

「これでしばらくはおとなしくなるはず」

「よ~し。みんな、先生、お疲れ~。それじゃ、学校に戻ろっか~。風の精霊さんお願いね~」

 

 ホシノの号令を共に風の魔法で浮いたホシノは陽介の腰を掴む。

 シロコとセリカは陽介の横へと移動し陽介の鎖魔法で拘束されノノミはホシノの背中に乗るのだった。

 全員の準備が完了したことを確認したホシノはそのまま一定の高度まで浮き上がる。

 

「それじゃあ先生さっきのお願い」

「わかった。ワーグレント スラドセルド(疾風駆送)

 

 ホシノの頼みに陽介は了承しそのままアビドスへと帰還するのだった。

 

 

 

 

 カタカタヘルメット団の一件を片付いた陽介たちはさっきの教室に集合していた。

 

「お帰りなさい。皆さんお疲れさまでした」

「ただいま~」

「アヤネちゃんもオペレーターお疲れ」

「火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです」

「そうだね。これでやっと、重要な問題に集中できる」

「うん!先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!」

「借金?」

 

 アヤネの労わる声にホシノ達は三者三様の反応する。

 その中でセリカの借金という言葉に陽介は思わず反応する。

 

「あわわっ、違うのなんでもないの借金だと言ってもそんな大したものじゃあ…」

「いいんじゃない。セリカちゃん。隠すようなことじゃないし」

「か、かといって、態々話すようなことでもないでしょ!」

 

 セリカとホシノが言い合いを始めた。

 

「シロコ、ちょっと来てくれ」

「ん、なに、先生? わぁっ!なんで突然私の頭を?」

イキュラス スラドラーチ(記憶 走査)

 

 二人の話したいことがなんなのかよくわからない陽介はシロコを近くまで呼び出す。

 呼び出されたシロコは陽介に近づくと突然頭の上に陽介の手が置かれ困惑する。

 陽介はイキュラス スラドラーチ(記憶 走査)でホシノ達が言い合いになってる内容について記憶を探る。

 

「なるほど9億6235万円の借金か」

「はあぁっ!?なんで先生がそんなことを」

「もしかして先生は事前にそのことを知ってたのですか?」

「ほら~。セリカちゃん。先生もおじさんたちの問題を把握していたんだし、このまま先生に相談しようよ~」

「ホシノ先輩の言う通りだよ、セリカ。先生は信頼していいと思う」

「確かに、先生がパパっと解決してくれるような問題じゃないかもしれないけどさ」

「でも、この問題に耳を傾けてくれる大人は、先生くらいしかいないじゃ~ん?」

「悩みを打ち明けてみたら、意外と良い解決策が見つかるかもよ?それとも何か他に良い方法があるのかな~、セリカちゃん?」

 

 ホシノの言葉に反応できないのかセリカは黙り込んでしまう。

 

「なあ、小鳥遊さんそろそろ」

 

 これ以上は良くないと考えた陽介はホシノ達に仲裁の声を入れようとした時、突然椅子が動く。

 音がした方向に振り返ると椅子を動かして立ったはセリカだった。

 

「でっ、でも……さっき来たばかりの大人でしょ!今まで大人たちが、この学校がどうなるかなんて気に留めたことなんてあった!?この学校の問題は、ずっと私たちでどうにかしてきたじゃん!なのに今更、大人が首を突っ込んでくるなんて……」

「私は……!私は、認めないっ!!」

 

 セリカはそう言い陽介を睨むとそのまま部屋を勢いよく出てしまった。

 陽介からしたらセリカの感情に陽介への嫌悪感や殺意は感じられなかったがここまで感情的にされるのは久しい感覚を感じた。

 

「セリカちゃん!?」

「私、様子を見てきます!」

 

 ノノミはセリカを追うべく部屋を出て行った。

 部屋には沈黙が流れた。どこかどんよりした空気に借金のことを話すのはしづらいものだ。

 

「ねぇ、先生。さっきなんで私の頭に手を置いたの?」

 

 静粛とした空気を切り裂いたのはシロコだった。

 シロコからしたら突然手に頭を置かれたことに困惑したがよくよく思い出せば手を置いた後、陽介の借金についての言葉が前々から知っていたというより初めて知ったような反応だったからだ。

 

「ああ、さっき魔法を使ったんだ。記憶走査(イキュラス スラドラーチ) は対象の特定の記憶を探る魔法なんだ。それでさっきの話のことを探ったんだ」

「「「…………」」」

 陽介の言葉にホシノ達にまた静粛が訪れる。

 

「先生、いくらなんでもそれは駄目だよ」

 

 言葉の頸木を切ったのはホシノだった。

 いつもの眠そうなおちゃらけている表情ではなく真剣な表情で先生に話す。

 そこからは陽介はホシノにみっちり説教されるのだった。

 

 

 

 

「先生が先ほど魔法でシロコ先輩の記憶を探った通り私たちには借金があります。これが返済できないと、学校は銀行の手に渡り、廃校手続きを取らざるを得なくなります。ですが、実際に完済できる可能性は0%に近く、殆どの生徒は諦めて、この学校と街を捨てて……去ってしまいました」

「そして私たちだけが残った」

「学校が廃校の危機に追いやられたのも、生徒が居なくなったのも、街がゴーストタウンになりつつあるのも……実はすべてこの学校の借金のせいです」

「約数十年前、この学区の郊外にある砂漠で、大規模な砂嵐が起きたのです。この地域では以前から頻繁に砂嵐が起きていたのですが、その時の砂嵐は想像を絶する規模のものでした。学区の至る所が砂に埋もれ、砂嵐が去ってからも砂が溜まり続けてしまい、その自然災害を克服するために、我が校は多額の資金を投入せざるを得ませんでした。しかし、この様な片田舎の学校に、巨額の融資をしてくれる銀行は中々見つからず……」

「結果的に……、悪徳な金融業者金を借りる他なかった。ということか」

「……はい。最初のうちは、すぐに返済できる算段だったと思います。しかし、砂嵐はその後も、毎年更に巨大な規模で発生し……学校の努力も虚しく、学区の状況は手が付けられない程、悪化の一途を辿りました。そして、アビドスの半分以上が砂に吞まれて広大な砂漠と化し、借金はみるみる膨れ上がっていったのです……」

 

 アヤネの話に陽介は憂うしかなかった。

 子供に借金を背負わせること自体もそうだが誰も助けてくれないことにいや大人が相談にすら乗ってくれなかったことにもだ。

 

「私達だけの力では、毎月の利息を返済するのが精一杯で……。弾薬も補給品も底をついてしまっています」

「セリカがあそこまで神経質になってるのは、これまで誰もこの問題にまともに向き合わなかったから。話を聞いてくれたのは、先生、あなたが初めて」

「……まあ、そういうつまらない話だよ。で、先生のおかげでヘルメット団っていう厄介な問題が解決したから、これからは借金返済に全力投球できるようになったってわけー。ありがとう先生。相談に乗ってくれなくてもこれだけで十分助かったから」

「……ありがとう、先生。話を聞いてくれて。もう大丈夫。先生は十分力になってくれた。これ以上迷惑をかけられない」

 

 シロコの言葉に陽介は察する。

 彼女たちは助けを求めていない。

 シャーレに送った手紙だって物資の支援をして欲しいという助けだったが結局は自分たちでどうにかしようとしてた。

 彼女たちにとって大人は力を貸さない。大人はみんな見て見ぬふりをしてくる。大人は誰も助けてくれないと心の底から本気で思ってる。

 彼女たちはもう諦めている。

 こんな光景を見せられてはい、さよならと帰るほど陽介にはできなかった。

 彼女たちを助けるべく陽介は口を開く。

 

「なあ、アビドスの借金って悪徳金融業者からなんだろ。ならその金融業者ごと倒せば借金はチャラじゃないか?」

「「「はっ?」」」

「先生…それだ」

 

 残念ながら陽介には金融は分からないし悪徳な業者に対処するための法律も分からない。

 できることは倒すことだけだ。

 そして倒せるなら倒す。それが陽介が過酷な異世界で身に着けた選択だ。

 陽介の言葉にシロコは同意し銃を構える。

 

「いや、ダメでしょ!」

 

 倫理観を捨てた陽介の言葉に絶句するがすぐさま静止の声を上げるホシノ。

 

「いや、でもそっちのほうが「先生」はい、すみません」

 

 陽介が何か言う前にホシノが声を掛け止める。

 陽介の反応を見え、これは駄目かと思ったシロコは銃を下す。

 

「でも、なにか力になりたい。俺になにかできることがあったらなんでも言ってくれ」

 

 陽介の言葉にホシノの目が揺らぐ。

 

「どうして、先生はそんなにおじさんたちに手を貸してくれるの?先生とおじさん達は今日あったばっかりなんだよ?」

 

 ホシノの言葉に陽介はまっすぐとホシノの目を見つめる。

 

「誰かが困っているなら俺はできるだけ手を差し伸べるべきだと思ってる」

 

 そこに嘘偽りのない目くまっすぐな目だった。

 これほど眩しく見つめられてはホシノは何も言えなかった。

 

「へえー。先生も変わっているね。こんな面倒なことに関わろうとするなんて」

「で、でも!これで、私たちも希望を持って良いんですよね……?あの、シャーレが力になってくれるんですから……!」

「そうだね。希望が見えてくるかもしれない」

 

 アヤネの言葉にシロコが頷く。

 

「では……改めて、先生。よろしくお願いします!」

 

 アヤネの挨拶で一旦この場は締めとなった。

 しかしまだ、陽介は完全に対策委員会に認められたわけじゃない。

 陽介が関わることに反対したセリカを説得しないといけないのだからだ。

 

 

 

 

 深夜、陽介のマンションの自室にて陽介は甥っ子のたかふみのアビドスの問題について話していた。

 

「ねえおじさん。アビドスって土地はさあ9憶も借金させるほど価値がある土地なの?」

「土地がでかいんだしその価値はあるんじゃないか」

「でも、よく砂嵐が発生しているんでしょ。いくらアビドスに広大な土地があるとしてもそれだけで買い手はつかないんじゃないかな」

 

 そこからたかふみのアビドスという土地の分析が陽介に説明される。

 長い文章を端的にいうなら、

 砂嵐の侵食や機器の摩耗が激しいから仮に土地を手に入られても道路、建物などのインフラを維持するコストが高いということだ。

 

「ところでさあ、おじさんそのアビドスって土地にはそこしか取れない資源とかないの?」

「それは知らないな。明日ホシノ達に聞いて見るよ」

「あ、そうだおじさんの例の指輪を売ったら借金の足しになるんじゃないかな」

「いや、でも。あれは日本(こっち)だと50円の価値しかないからな」

 

 たかふみはかつて陽介が見せた人魚の涙を魔法で結晶化させてリングに七色珊瑚が使われていいてグランバハマルだと一つで城が経つ指輪を借金の足しにすることを提案するが陽介は過去に質屋で売った時の買取価格が50円であったことからあまり期待はできないといった反応をする。

 

「それは日本だと知られてない素材だからって理由があるからだよ。ミレニアムってところは日本よりも科学が発展しているんだしおじさんがシャーレからのお願いって形にすれば指輪の解析をしてくれて日本よりも高値になるよ!」

「そうか。それなら今度ユウカさんに頼んでみるよ」

 

 それから陽介はたかふみとキヴォトスのことを話し合い眠りに着くのだった。

 

 

 

 

 それから数日、途中陽介は一度ミレニアムに赴きユウかに指輪の解析鑑定の依頼をしつつアビドスでシャーレの業務に勤めるのだった。

 ミレニアムに赴いた際に陽介の魔法を解析したエンジニア部を始めとした部活が陽介の元へと集まったが時間がなかったからか陽介は飛んで逃げてたのだった。

 普段よりも早く起きた陽介は朝食を食べカードの力でキヴォトスに転移する。

 転移した陽介は転移場所であるアビドス高校の外へと出る。

 

大地走査(バハマリオン スラドラーチ)

 

 陽介がこの魔法を使ったのは理由がある。

 昨夜の甥のたかふみとの話でたかふみがヘルメット団への懸念を思い出す。

 

「ねえ、おじさん。さっき言ってたカタカタヘルメット団の拠点を破壊した後どうなったの?」

「あの後、戻ってきたヘルメット団と相対してな前哨基地を破壊された恨みで襲ってきたけど撃退したよホシノ達も当分は襲撃はこないって安心していたよ」

「はあぁ、おじさん。社会的立場がないやつらがさぁ、拠点の一つを破壊した程度でほんとに何もないと思うの?」

 

 陽介の反応に納得がいかないのかたかふみはあからさまなため息を零し陽介にまだ理解しきってない生徒に対して教師が諭すように話す。

 

「いいかいおじさん。おじさんが言ってたそのカタカタヘルメット団は社会的立場がない。裏の世界でしか生きられない存在なんだよね。そんな子たちは拠点の1つを破壊された程度で大人しくする? ハハッ論外!痛い目にあったからって当分侵攻しない?いやいやいやそんなの認めないよ!やられた分…敗北と屈辱を晴らそうとするよ!そういう社会からあぶれた存在は絶対になにか狙ってくるよ…!」

「そういうものなのか…」

 

 たかふみのその言葉にどこか闇を感じられるが陽介は警戒に越したことないとたかふみの闇に特に気にすることなく納得するのだった。

 そういったやり取りを昨夜にした陽介は魔法で周囲にヘルメット団がいないのか確認する。

 

 

 

「ふむ、この辺りにはいないようだな」

 

 確認したところ指定した範囲以内にヘルメット団がいないことを確認した陽介は安心する。

 

「げぇっ」

 

 そうして安心している最中にセリカとバッサリ会う。

 陽介の顔を見たセリカの顔は一瞬で嵐のような表情に変わる。眉はキッと吊り上がり、鋭い視線で拓海を睨みつけるが、瞳の端にチラつくのは恩を返せていない苛立ちと気まずさ。唇は固く結ばれ、わずかに引きつった口角が、認めたくないことがひしひしと伝わってくる。

 

「会ったと思えば、げぇってなんだ。おはよう。黒見さん」

「何がおはようよ!馴れ馴れしくしないでくれる?言っとくけど、私まだ先生のこと認めてないし、まったく、朝っぱらからうろついちゃって。良いご身分だこと」

「暇、というよりそれなりに俺も忙しいさ。この後アビドスに戻るんだけど、黒見さんも、これから学校に行くんだろう?折角なら送っていくよ」

 

 目的地は同じなのだから一緒に行こうと誘おうとしたら、セリカはくるりと後ろを向いて、顔を背けられてしまった。

 ヘルメット団との戦闘では共闘し達成した中ではあるがそれだけではセリカの信頼は勝ち取れないようだ。

 

「私が何をしようと、先生には関係ないでしょ。朝っぱらからこんな所をうろちょとしてたら、ダメな大人の見本みたいに思われるわよ。私は忙しいの!せいぜいのんびりしてれば? それと!学校に行くなら一人で行ってくれる?態々私があんたと仲良く学校に行く理由なんてないし。それに、今日は自由登校日だから、別に私は学校に行かなくても良いんだけど?」

「自由、登校日?今の学校ってそういうのがあるのか?」

「なに?自由登校日も知らないの?読んで字のごとくよ。私は学校に行く理由が無いから、今日は行かない。あんた一人で行きなさいよ」

「だとしたら、黒見さんは休日にどこへ行くんだい?」

「だーかーらー!あんたには関係ないでしょ!教える訳もないし!じゃあね!バイバイ!」

 

 セリカはそう言うと清々とした顔で去って行ってしまった。

 一人、砂に埋もれかけた住宅街に残された陽介はどうすればセリカに認められるかを思案する。

 しかしいくら考えても思いつかなかった陽介はそのままアビドス高校へと歩いていくのだった。

 

 

 

 

「そんなわけで駄目だったんだ」

「うへ~。セリカちゃんも強情だね。話を聞くぐらいなら別に良いのに」

「まあ、黒見さんからは俺への殺意とかは感じられなかったし少しづつでも進展していけばいいよ」

「先生のセリカちゃんへの判断が殺意って先生はどんな人生を歩んできたのかおじさん気になるよ」

 

 陽介はホシノと雑談しながらも連邦生徒会から送られた大量の書類と向き合う。

 

「ん、それにしても先生すごい量だね」

「大変そうですねー。よかったら手伝いましょうか先生?」

 

 シロコは陽介の書類の量に感嘆しノノミが手伝いを提案するが子供にそんなことはさせられないと考える陽介はやんわりと断る。

 しかし、やんわりと断った陽介に対してシロコはじっと何かを訴えるような目線を向けてくる。

 

「どうしたシロコ?」

「ん、やっぱり手伝う」

「はい。これほどの量は先生の魔法が凄まじいとはいえ夕方ぐらいまで掛かりそうですし」

「はい☆みんなで手伝いましょう」

「うへ~。しょうがないなおじさんも手伝うよー」

「いや、これは俺の仕事だし、それに秩序(コスモス)の魔法と身体強化の魔法で俺一人でなんとか…」

「先生は私たちを助けてくれた、だからせめて少しでもしたい。ダメ?」

 

 再度陽介が断ろうとするがシロコの言葉に反応ができず分かったと了承し全員で書類の対処をするのだった。

 全員で書類の対処をして数時間後、お昼頃になったころで書類の対処はあらかた終わることができた。

 

「よしこれで終わりだ。みんなありがとう」

 

 陽介の言葉に全員辟易とした表情で机に倒れこんだ。

 

「うへ~。おじさん疲れたよー」

「先生はいつもこんなに…」

「ん、疲れた」

「みんなお疲れ様ですー。」

 

 思い思いの反応に陽介は手伝わせたことに申し訳なさを感じる。

 すると突然秩序の精霊が陽介に語り掛ける。

 

「え、そうなんですか。はい、ありがとうございます」

 

 精霊からの言葉に陽介は驚きつつアヤネを見つめる。

 

「あの、先生?どうしたのですか?」

「秩序の精霊さんが奥空さんを気に入ったようでな。よかったな。これから秩序(コスモス)の魔法が使えるぞ」

「「ええぇっ!?」」

 

 陽介の言葉にアヤネとノノミは驚きのあまりに叫ぶ。

 

「ん、アヤネずるい。先生先生、私も魔法を使いたい」

「アヤネちゃんも魔法が使えるようになって良かったね。秩序(コスモス)の魔法なんてすごそうだし、おじさんは今後のアビドスに安心できるよ」

「先生、秩序(コスモス)の魔法ってどんなのなんですか?」

 

 さっきの辟易とした様子はなんなのかと嘘のように元気になるホシノ達。

 

秩序(コスモス)の魔法は整理とかに使える魔法だ。物の整理や頭の整理をする時に使えるぞ」

 

 陽介は興奮するシロコ達を宥めつつ魔法の説明をする。

 そうして説明している最中、誰かのお腹の音が鳴る。

 

「ちょうどお昼頃だしお礼に奢るよ」

 

 さっきまでの辟易とした様子が嘘みたいにホシノ達の目がギラリと輝く。

 シロコにいたっては獣のようによだれが垂れているまである。

 

「うへ~。良いの先生?おじさん達結構食べるけど」

「前にシャーレ奪還の時にトリニティの子に魔法を教えたんだ。トリニティのティーパーティーから魔法を教えたことにえらく感謝されてな結構な報酬手当が貰えたから大丈夫だ」

「ん、それならいっぱい食べても大丈夫」

「先生、足りなくなったら私も出しますからね~」

「皆さん、あまり先生の財布に負担が掛からないようにしましょう」

「それじゃあ、先生、どこに行くの?」

「実は前々から調べていて気になった場所があるんだ」

 ホシノの問いに陽介はタブレットで場所を見せそこへ向かうのだった。

 

 

 

 

 陽介の案内の元、ホシノ達は紫関ラーメンという店に着いた。

 

「ネットの口コミとか見て行ってみたかったんだ」

「先生、ここのラーメンはおいしいよ」

「そうなの、それは良かった」

 

 シロコに言葉に陽介は連れてきて正解だと思い、ホシノ達と一緒に紫関ラーメンへ入店するのだった。

 

「へい、らっしゃい」

「いらっしゃいませ。何…うぉ?!」

 

 入店した陽介達を迎えたのは若い声と店の制服を着たセリカだった。

 

「「「「あらぁ~」」」」

「なんで、みんなここに!?」

「あの~☆5名なんですけど~」

「あはは…セリカちゃん、お疲れ…」

「お疲れ」

「うへ~やっぱりここで働いてたんだね」

「黒見さん、ここでバイトしてたんだ」

「せ、先生まで、まさか私をストーカーして…」

「いや、ネットの口コミでここが気になっただけだ」

 

 セリカは陽介をストーカーかと疑うが陽介はそれを否定する。

 それでもセリカは陽介を疑い睨んでくる。

 陽介達が店の入り口まで会話していると、爽やかな声が厨房から届く。

 

「アビドスの生徒さんかい?嬉しいのは分かるがセリカちゃん、おしゃべりはそれぐらいにして注文頼むな」

 

 陽介が声の方向に振り向くとそこには犬が服を着てラーメンを作っていた。

 

「あ、うう……はい、大将。それでは、広い席にご案内します……こちらへどうぞ……」

 

 渋々といった様子で陽介達を案内するセリカを後目に、陽介は大将を見る。

 

 大将は犬である。

 どこをどう見ても犬である。

 さらに詳しく言えば二足歩行で隻眼な柴犬である。

 ここキヴォトスではさも当然のように紫関ラーメンの大将のように動物が二足歩行で喋っているのだ。

 これをたかふみや藤宮に記憶の見せたときたいそう驚かれたものだと陽介はしみじみ思う。

 六人席に案内された陽介達はそれぞれ座り陽介はカウンターの椅子を借りて机の真ん中に座るのだった。

 

「セリカちゃん。バイトのユニフォーム、とってもカワイイです☆」

「いやぁー、セリカちゃんってそっち系か。ユニフォームでバイト決めちゃうタイプ?」

「ち、ち、ち、違うって! 関係ないし! こ、ここは行きつけのお店だったし……」

「ユニフォーム姿のセリカちゃん、写真撮っとけば一儲けできそうだねー。どう? 一枚買わない、先生?」

「変な副業はやめてください、先輩……」

「バイトはいつから始めたの?」

「い、一週間くらい前から……」

「そうだったんですね☆ 時々姿を消していたのは、バイトだったということですか!」

「も、もういいでしょ! ご注文はっ!?」

「『ご注文はお決まりですか』でしょー? セリカちゃーん、お客様には笑顔で親切に接客しなきゃー?」

「あうう……ご、ご注文は、お決まりですか……」

 

 なんとも和む光景である。

 陽介には経験の少ない空間がそこには広がっていた。

 

「私はねー、炙りチャーシュートッピングの特製味噌ラーメン!」

「私はチャーシュー麺をお願いします!」

「私は塩」

「えっと、私は味噌で……」

 

 ホシノ達が次々と注文するなか陽介はメニューと睨みあう。

 塩、味噌、とんこつ、醤油とこの店のラーメンはよりどりである。

 そうして少し悩んだ陽介はセリカに注文する。

 

「小鳥遊さんと同じやつで」

 

 そうして注文が完了しラーメンが来るのを待っていると陽介はトランプをアヤネに渡す。

 

「先生、これは?」

「待っている間、暇だろうしせっかくなら秩序(コスモス)の魔法を使ってみようか。秩序の精霊さんにお願いしてこのトランプをシャッフルしてみて」

「シャッフルですか、分かりました。秩序の精霊さん。どうか私に力を貸してください」

 

 アヤネがそう言い、シャッフルを始める。

 脂と醤油等の香りが漂う空間。ざらついた木製テーブルの上で、アヤネの指が軽快に動き始める。リフルシャッフルでカードを半分に分け、シャッ、シャッと小気味良い音が、鍋の湯気や丼のぶつかるカチャカチャという喧騒に溶け込む。カードは優雅に弧を描き、互いに滑り込む様は、まるで闇夜を舞う銀の波のよう。店の蛍光灯がカードの端を冷たく照らし、キラリと鋭い輝きが一瞬の静寂を刻む。

 アヤネは唇の端を僅かに吊り上げ、ファロシャッフルへ移る。親指と人差し指が52枚を完璧に絡ませ、ザザッという音が、まるで刀を鞘に収めるような鋭さで空間を切り裂く。カードは彼女の手の中で生き物のように脈動し、その正確無比な動きは、客のスープをすする音さえ一瞬忘れさせる。最後の一手で、彼女はカードを扇形に広げ、テーブルに軽く叩きつけて閉じる。トランプが一瞬宙を舞い、彼女の手元に吸い込まれるように収まる。ラーメン屋というこれほどの芸当を披露するような場所ではないとこで、凛のシルエットはまるで孤高の舞台俳優のように浮かび上がり、テーブルの上に一瞬の魔法を残した。

 

「おお」

「アヤネちゃん☆すご~い」

「うへ~これが秩序の精霊さんの力かぁ」

 

 アヤネの芸当にホシノ達の拍手が鳴る。他の客もラーメンをすすることを停止しアヤネに目が向いていた。

 

「魔法ってすごい、ねぇ先生、私も使えるの」

「俺がお願いすれば一時的に使えるかもしれないけど小鳥遊さんや奥空さんみたいに使えるには適正もしくは精霊に気に入られる必要がいるんだ」

「適正?」

「みんなの頭にあるヘイロー(それ)は魔法の媒体であると同時に魔法の適性を示すものなんだ」

「じゃあ、おじさんが風の魔法が使えたのも適正があったからなの?」

「精霊的にはお気に入りみたいな感じなんだ。小鳥遊さん最近魔法が使えるようになって変わったことはない?」

「変わったこと?そうだね~最近お日様の上で眠るとすごく疲れが取れることかな?」

「そう、それだ。精霊曰く小鳥遊さんは精霊の適正が多いいみたいなんだ。だから風魔法で飛行することができるんだ。普通はそこまでいかないんだ。後、特に日の精霊からはすごく気に入られているね」

「ん、じゃあ、私は飛べないの?」

 

 陽介の言葉にシロコががっかりと残念がる。

 

「どんまいだね☆シロコちゃん」

 

 ノノミはシロコをいたわるように頭を撫でる。

 

「ああ、でも適性があるからって全部ができるってわけじゃないんだ。前にシャーレ奪還の際に風の魔法が適正ある子たちに魔法を教えたんだけど高く飛んだり滑空したりはできたけど空を飛ぶことはできていないんだ」

「んへぇー。それじゃあおじさんはすごいってこと?」

「そうだな。小鳥遊さんの適正は多いだけじゃなくて練度もすごいんだ」

 

 そうしてしんみりとしているとアヤネの口が開く。

 

「こんなことができるなんて、先生はどうやって魔法が使えるようになったのですか?」

 

 自身がやり遂げた芸当にアヤネは驚きつつ精霊という存在を紹介してくれた先生にせっかくならと魔法について聞く。

 

「俺が魔法を使えるようになった理由。ふむ、そうだな聞かせるより頭の中を見せた方が早いな記憶断片映写(イキュラス エル ラン)

 

 陽介は記憶断片映写(イキュラス エル ラン)を発動し異世界に転移した直後の映像を見せる。

 突然の出来事に周囲の客も驚くがホログラムのようだと思いラーメンに戻る。

 最初に映ったのは17歳当時の陽介だった。肉体の形成のシーンは食事前に見せるものではないという記憶の精霊の判断でモザイクが掛けられた。

 

「モザイク?」

「ああ、これは異世界に転移した時に肉体を形成したんだ。これは神聖魔法の人体蘇生みたいなものなんだ」

「人体蘇生…」

 

 陽介の言葉にホシノがなにか含みのある反応をする。

 そうして少し時間がたった後モザイクが完全になくなり17歳の陽介の姿が現れる。

 ホシノ達は若いころに陽介の容姿に「今と全然ちが~う」「先生わか~い」と反応するが先生が3人組の男性に手を振った時にリンチされている光景に絶句する。

 

「あの、先生これは?」

「異世界人は美男美女でなその世界だと俺はオークというモンスターと誤認されて討伐されかけているんだ」

「喝上げじゃないの?」

「喝上げだと思って財布の中の1万出したらさらにボコられたんだ」

 

 そうして若いころの陽介がボコられている映像を見せられている中でアヤネが何かに気づく。

 

「先生、何か声が聞こえませんか?淡々していて店内放送みたいな声が…」

「よく気づいたね奥空さん。これは神様の声だ。この神様の声で俺は転移ボーナスとして翻訳を手に入れたんだ」

「んへぇ~。先生は翻訳する能力を持っているんだね。これで会話が成り立つなら攻撃をやめてくれるのかな」

「いや…」

 

 ホシノは先生が対話できることに安堵するが陽介の反応はよろしくない。

 映像に映った三人組は陽介と言葉が通じたとたんに攻撃に手をやめ、陽介を拘束し見世物小屋に売られるのだった。

 

「えっ?先生安すぎない」

「銅貨3枚…」

「言葉じゃなく、モラル」

 

 もはやこの時点でホシノたちは目を瞑りたくなった。

 

「一週間飛ばすぞ」

「え、なん…え?」

 

 陽介はバーを移動させる。

 突然のことにシロコが疑問を投げかけようとするが映像に映る陽介は今の陽介と変わらないぐらい老け込んであり、光に話しかける姿は狂気としか感じられなかった。

 残念ながら記憶の精霊はグロへの規制はしていたが狂気の規制はしてないようだ。

 

「しょせん、たわし以下の価値しかないから店主に忘れられたんだ。3日目の雨漏れの水を飲めなかったら普通に死んでたな」

「先生っ…」

 

 異世界の陽介への仕打ちにシロコ達は涙目になる。

 アヤネは聞いたことへの後悔が溢れてくる。

 遠くから眺めていた客もあまりの気の毒さにラーメンを楽しめなくなっている。

 そうして店の中でしんみりしている中に転機が訪れる。

 

『光そのものの意思、(キライド)?唱える?古代語?……光剣顕現(キライド ルギド リオルラン)

 

 若い頃の陽介は光の剣で檻を切断する。

 さらに一緒に囚われていた動物を開放するが危険な魔獣だったために陽介と店主が襲われる。

 

「解放した俺が言うのもなんだけど。そんなに危険な動物ならもっと厳重に捕らえるべきだと思うんだよな」

 

 

『君の役はひたすら逃げ惑う一般民衆か?それとも…機動 纏身(レグスウィッド ザルドーナ)

 魔獣に噛まれ絶体絶命の中の陽介だったがエイリアンストームのキャッチコピーが思い浮かんだ陽介の決起によってなんとか切り抜けるのだった。

 

「こうして一晩中闘い続けたんだ」

 

 記憶に再生された映像は正に生きるか死ぬかの激戦だった。

 そうして陽介の言うように一晩中闘い続けた後、勝利した陽介が倒した魔物を素人知識で料理し墓を建てたところで記憶の再生が終わった、

 

「こういったわけで俺は魔法が使えるようになったんだ。ん?どうしたみんな?」

 

 ホシノ達に暗い沈黙が訪れる。シロコ達には複雑な表情が浮かんでいた。悲しみとも、憤りともつかぬ、やるせなさがそこにあった。

 アヤネはつらい記憶を再生させてしまったことへの後悔と陽介のつらい過去を悲しみハンカチで涙を拭っていた。

 周囲の客たちも陽介に対しての憐憫の情を向けるのだった。

 

「まぁ見ての通り…ここから17年間辛いことだらけの異世界生活だったけど…最初はかなり良いスタートを切れたんだ」

ええええええええええええええ!?

これ、上手くいった部類なの先生!?

これより酷いのがあるんですか先生…

正気に戻ってよ先生。これより酷いなんて私知らないよ!

 

 陽介の言葉に衝撃とばかりに驚くホシノ達。

 ホシノにいたっては一人称がおじさんではなく私に変わるぐらい衝撃を受けていた。

 他の客もおじさんの認識に思わず目を開く客。水を吹き出す客。ラーメンが器官に入りかけてせき込む客と混沌とした空間が広がっていた。

 そうして騒がしい空気の中でセリカがラーメンを運んできた。

 その手は震えていて陽介の過去に動揺したのだろう。

 

「おっ!来た来た。よし、みんな食べよっか!」

 ラーメンが来たことに陽介は喜び、そんな陽介の喜びにホシノ達も微笑み、一緒にラーメンを食べ、大将からのサービスとして餃子を貰ったりなど食事を楽しんだのであった。

 

 

 

 

「はぁ、やっと終わった……目まぐるしい一日だった……」

 

 バイトを終えたセリカは、自宅に向かって足を進めていた。

 思い出すのは今日の出来事。陽介たちがバイト先に来たことだ。

 

「みんなで来るなんて……騒がしいったらありゃしないんだから。それにみんな、先生先生って。ホント迷惑、なんなのアレ」

 

 セリカの脳裏には今日のことが強く焼き付いている。

 陽介のつらい過去。

 そんなことを気にせず柴大将に向かって美味かったと笑顔で笑い、そのまま柴大将と打ち解けていたこと。

 それを見たシロコや、ノノミが自慢げにしていたところ。

 

「先生、あんなひどい目にあってたんだ」

 

 思い出せば思い出すほどに自分が先生にひどいことをしたことへの罪悪感が湧いてくる。

 

「明日。謝るべきなんだけど。なんだかな…ああぁ、あの先生のせいで頭が混乱する!!」 

 

 今の感情を整理できないセリカは、思わず足が止まり頭を抱え悶絶してしまう。

 だから、気づかなかったのだ。足元に転がる筒に。 

 

「……何、これ?」

 

 セリカがそれを見つけた瞬間、筒から煙幕が放出された。

 煙幕はすぐさま広がり、セリカの視界が塞がる。

 

プシュウーー!!

ドドドドドーン!!!

 

「ケホッ、ケホッ…」

 

 背後からの攻撃に、対空砲の火力支援をもろに受け、セリカは吹き飛ばされる。朦朧とする意識の中、にじり寄ってくるヘルメット被った集団の足音がする。

 

「続けますか?」

「いや、生かさなければ意味がない。この程度でいいだろう。車に乗せろ、ランデブーポイントに向かう」

 

 赤いヘルメットを被った少女の言葉を風切りに黒いヘルメットの集団がセリカの体を運ばれセリカの手足を縛られた。

 意識が朦朧としていき、思考と目を開けていることが難しくなる。

 

(こんな、あっけな…く、そんなの……嫌……)

 

 セリカの脳裏にふいにアビドスの面々、そして陽介の姿が思い浮かぶ。

(たす…け…て)

 

霹鎚殲滅(ルガ ルドスゴレット バストール) !!!」

 

 ピカッ、ズドーン!!!

 

 雷鳴が暗い空に鳴り響いた。

 周辺のヘルメット団は雷の直撃を喰らい気絶する。

 

縛動拘鎖(レグスウルド スタッガ)牽操(スタッガ マグナ)

 

 突然のことに唖然とするヘルメット団をよそにセリカに鎖が巻き付き引き寄せられる。

 

「大丈夫か?黒見さん」

 

 どうしてなんで、疑問が尽きない。陽介はセリカを優しく降ろす、ヘルメット団を睨みつける。

 

「お前は、あの時の!?」

「悪いが今度は容赦できないぞ!」

「なめるなこっちには対雷用の防具があるんだ。お前の雷なんて「烈斬(エバストルギルド)」はぁ!?」

 

 ヘルメット団は陽介の雷魔法への対策は万全とばかりに対雷用装備を装着した少女が現れるが陽介によって放たれた無数の光の斬撃によってあっさりと切り裂かれるのだった。

 

「くそ、せっかく用意したのに、撤退だ。てっ「どこに行くのかな?」ふぎゃっ」

 

 撤退を指示した赤いヘルメットを被った少女に突然衝撃が放たれる。

 衝撃の正体は風の斬撃を放ったホシノだった。

 

「うへ~。先生の言った通りいっぱいいるなぁ」

「そうですね☆いっぱい弾丸持ってきてよかったです!!」

「ん、でも先生の雷で結構減ってるからそんなにいらなかった」

「せ、先輩たちまで」

 

 さらに三つの銃声が響く。

 

「くそ、相手はたったの4人だ!あの時よりも物資ならある」

 

 吹き飛ばされた赤いヘルメットを被った少女が叫び銃を構える。

 彼女の言う通り、相手はたったの4人だ。しかしその4人は獰猛な怪物であることを除けばだが。

 彼女の号令は空しく、ヘルメット団は再び撤退するのだった。

 

 

 

 

 逃げていくヘルメット団を確認した陽介はセリカに近づく。

 

「大丈夫か?黒見さん」

「先生、どうして」

「精霊さんにお願いしたんだ。黒見さんや皆になにかあったら教えて欲しいって。あっ、これストーカーと思われてもおかしくないけどどうか許してくれ」

「違うの、私、先生にひどいことをしたのに」

「そんなことか気にすることはないよ黒見さんはアビドスの借金を返すためにバイトしているんだろ。紫関の大将やシロコから聞いた。それに小鳥遊さんからも大人がアビドスになにをしてきたかも聞いた。信用できないのはしかたない。だけど信用されないからと言って助けないのは違う。俺は何度でも助けるよ」

先生、ごめんなさい

「ん?なんて言ったんだ黒見さん」

 

 セリカは陽介にこれまでのことを謝罪するが声が小さいのか陽介には聞き取れない。

 

今までひどい態度をとってごめんなさい!。それとたすけてくれてありがとう先生!!

 

 セリカは陽介の顔を見つめ大きな声で謝罪と感謝の言葉を叫ぶのだった。

 

 その後、陽介は対策委員会の臨時顧問になるのだった。

 

 

 

 

 とある場所の高層オフィスビルにて

 

「何?支給した例の装甲を固めた絶縁仕様の防護服が破壊されただと。ばかなことを言うな!あれはそんじょそこらの銃弾に耐えられる代物だぞ。それが切り裂かれただと、冗談を言うならもっとおもしろいのにしろ!ええい、もういい」

 

 男はそう言うと電話を切るともう一人の男が男に話しかける。

 

「どうでしたか?理事」

「見ての通りだ。格下のチンピラどもに頼まれて装備を貸しては破壊され、主力戦車まで送り出したのにこのざまだ。例の二人の記憶はどうだ」

「現在、復元中ですが肝心の記憶は解析しようとすれば当人たちにエラーが発生し最悪記憶も巻き込んで壊れる可能性があるため現在は慎重に進められています」

 

 理事と呼ばれた男はもう一人の男に結果を伝える。

 しかし男の答えは理事にとってはあまり良くないのかあからさまに不満を男に見せる。

 

「ククク、それにしても面白いですね。あのわずかな時間で兵士を制圧し記憶を消去するなど、相手は結構の手練れのようですね」

「ええい、アビドスに連中に加えて謎に包まれた存在が出るなどやってられん」

「では、どうするのですか?カタカタヘルメット団にさらに装備や物資を与えるのですか?」

「いや、これ以上連中に装備や物資を与えたとこでいい結果を得られるとは思えん…目には目を、生徒には生徒といこう」

 

 理事はそう言うと電話を取り出し、そういったことの専門家へ電話する。

プルルル、プルルルル

 ガチャ

 

「はい、どんなことでも解決します便利屋68です」

 

 理事を電話を掛けた先に若い女の声がする。

 

「仕事を頼みたい便利屋」

 

 

 

 

 その日、カタカタヘルメット団は全滅した。

 

「はぁ、はぁ」

「うわああっ!」

 

 元より陽介による魔法とアビドスの戦力により大打撃を受けていたカタカタヘルメット団は僅か4名の襲撃者に対処することができず全滅した。

 

「あーあー、こっちは終わったよ」

 

 MG5を持ち4人の中で小柄の少女が任務が完了したことを伝える少女、浅黄ムツキ。

 

「こっちも制圧完了したよボス」

 

 サイレンサー付きのハンドガンP30Lを持つ、髪が白と黒で分けられる少女、鬼方カヨコ。

 

「お、終わりました。アル様」

 

 FP6を持ち頭に帽子を被った少女、伊草ハルカ。

 3人の声は一人の少女に向けられている。

 その少女は首と袖にファーがついたコートを羽織っており、手にはPSG-1を持つ少女、陸八魔アル。

 

「ふふふ、弱いわね。クビって言われるのも納得だわ。この仕事は、私たち便利屋68がいただくわ!」

 

 倒れたヘルメット団員に向けてアルが宣言する。

 しかし倒れこんだ。ヘルメット団の少女が負け惜しみとばかりに掠れた声で言う。

 

「お前たちが…どんなに強かろうと……あの男…一人に…」

 

 そう言うとヘルメット団の少女が倒れこむ。

 

「男? アビドスに協力者でも来ているのかしら? まあいいわ、たかが数人の生徒に一人加わった程度なんて敵じゃないわ」

 

 アルはアビドスの情報を知っているのと陽介の情報をそこまで知らないために問題ないと判断し嘲笑う。

 しかしアルたちは知らなかった。その男の力は絶大で、その男に力を貸す存在は簡単にキヴォトスを滅ぼせる存在なのだと。

 アビドスが抱える問題はまだまだ続く。




奥空アヤネは秩序の精霊魔法を取得した。

掲示板で出した。おじさんと対策委員会、おじさんとツンデレを複合しました
掲示板で出したおじさんとツンデレではおじさんが魔法を使えるようになったところで記憶再生が終わってノノミとシロコがおじさんを抱きしめたり周りの空気がお通やみたいにしんみりするみたいな感じでしたけど最後まで見せて驚愕な反応をさせるほうが異世界おじさんらしいなと思いました
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