宮子「何かまた
灯里「あー何かさ、今年はゴッドカイザー発売35周年のアニバーサリーイヤーだからね。あの人、FB1巻の第1期ゾイドの図録でゴッドカイザーに脳を焼かれたみたいだし。ただ、絶賛(?)休止中のこっちの続きとか新エピソードじゃないっぽいんだよね」
宮子「ゴッドカイザーが題材ならあちらでも宜しい気が…」
灯里「あれは私達の世界の話だからね。ちまちま書いてる奴はあっちの外伝になるみたい」
―side:Akari Raijin―
迫り来るマーケットガードからの追跡を振り切る事が出来た私達。まぁ、ラプトールですら通れない道を通ったり、ラプトール程度なら対策委員会の敵じゃないだろうからね。
「さてさて、シロコ、目的の品は確保出来てる?」
「ん、問題ない先生。この中にちゃんと入ってる」
シロコはボストンバックを差し出し、私達は中身を…うん、中身…あったよ、目的の品もとい集金記録。其処までは良いんだよ…其処までは…
「シロコちゃん、これは何なのかな~?」
見ろこの
「ん、向こうが勝手に入れた」
ボストンバックに何が入ってたかって?札束だよ!しかも大量の!こんだけの札束は私ですら見た事ないよ!
「うわぁ~これ、1億はありますよ~」
ノノミ、それはマジなのか…1億かぁ…宝くじの当選金額レベルだよ…あっ、私は宝くじどころか基本的にくじ自体買った事ないよ?当たらなかった場合のリスクがデカすぎるって印象が強くてね…
「これを使って借金を返せば…」
セリカは嬉しそうな表情を浮かべてはいるけど、それは駄目なんだよね。
『それは駄目だよセリカちゃん』
其処へ待ったをかけたのはアヤネだ。おそらく私と同じ考えなのだろう。
「このお金は元々私達が汗水垂らして稼いだものなのよ!このままだと闇銀行で犯罪の資金に使われる所を取り返して正しく使おうとする事の何が悪いっていうのよ!」
まぁ、気持ちは痛い程分かるよ。セリカは様々なバイトを掛け持ちして、しかもその稼ぎの大半は自分の為じゃなくて借金返済に当てている。そんな真面目な娘からすればこんな理不尽は許されないよね。
「セリカちゃん、今回その金を使って、次はどうするのさ?」
セリカに優しくそう語りかけるホシノ…その眼差しは真剣そのものだ。
「この先、またピンチになった時に仕方ないよねっていけないことに簡単に手を出すようになっちゃうよ。
私もユメ先輩もそうするために学校を守ってきたわけじゃないし、そんなアビドスは見たくないかな。
そんなやり方でどうにかするんだったら、とっくの昔にどうにかしてたよ。例えばノノミちゃんのカードを使ってさ。
…ま、そういうわけだからさ、こんなお金は捨てちゃおうよ。持ってても碌なことにならない気がするし、これは委員長命令ってやつ」
ホシノの言ってる事にセリカは納得しきれてはいないからか言葉にならない叫びを上げながらボストンバックを植え込みの中に投げ捨てた。
「さ、帰ろっか」
その様子を見届けたホシノが皆に呼び掛けたその時…
『ブラックマーケットから接近する人影があります!便利屋68です!』
アヤネからの通信が入り、皆は覆面を被る。被らなくても言い良い気はするけど…つっこむのは辞めておこう。そしてアヤネの報告通りに便利屋68の面々が駆け寄ってきた。
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…やっと追い付いたわ…」
息切れしながらそう呟くアル。もしかしてあの銀行にいたの?
「此方に攻撃の意思はないわ…それよりも!さっきのブラックマーケットの闇銀行への襲撃、見事だったわ!
5分!5分よ!襲撃から撤収までそつなくこなしてラプトールの追撃から逃れる手際の良さ!そして白昼堂々と実行する大胆さ!あれこそ私が憧れるアウトローっぷりよ!」
無茶苦茶感激しているアルに対し対策委員会の面々は困惑しているのも無理はない…だってまぁ、一応は敵として戦った相手ではあるからね?悪い娘達じゃないというのは分かったんだけど…果たして
「私も貴女達の様な立派なアウトローになれるよう精進するわ!だからお願い!貴女達の名前を教えて!」
アルは目を輝かせながら対策委員会の面々とヒフミに訊ねる。あーこれは名乗らないと帰れないぞ!
「人呼んで私達は…覆面水着団!です!」
とノノミの名乗りに応じてポーズを決める皆…何か…こう…見覚えのあるポーズだなぁ…イマジネーション!な烈車に乗って旅するヒーロー達みたいな…あれ、実際は中々にエグい設定だったけど。
「覆面水着団!?とんでもなくカッコ良すぎるわ!!」
無垢な子供の様にはしゃぐアル。美人でかわいいとか最強ですか貴女は?
―side out―
灯里が覆面水着団…もとい対策委員会及びヒフミによる集金記録の奪取に同行している一方、宮子はRABBIT小隊と共にある企業の営業担当とコンタクトを取ろうとした。
実を言うと灯里はカイザーローンの事もあってアビドスの借金を知ってからカイザーグループに疑いを持っており、その事を宮子に話すや宮子も自分の世界でのカイザーグループの悪事を話したのだ。
そして灯里から提供されたヘルメット団から押収した武器を見たモエは
「間違いないね…これカイザーインダストリーが取り扱っている物だよ」
と断定した。
カイザーインダストリーは武器製造・販売や中古武器の買い取り・流通を行うカイザーグループの会社である。当のモエ曰くカイザーインダストリーには伝があるとの事であり、宮子は此方にもモエもですか…呟いたのは言うまでもない。
「という事はヘルメット団に武器を流したのはやはりカイザーグループか…ヘルメット団が其処までの資金を有しているとは考えられない」
サキは自身の考えを述べる。
「アビドスは嘗ては強大な戦力を有していたと言われています…それでこそ今のゲヘナやトリニティ、ミレニアムの様に。砂漠の中にその頃の戦力が埋まっている可能性もあり得ます」
「じゃあ、カイザーグループはそれを狙って…」
ミヤコの推察に対するミユの言葉にミヤコは頷いて肯定する。
「この武器を使ってちょっくらカイザーインダストリーを釣ってみる」
「モエ、釣ってみるってどうやってだ?」
「物々交換って奴だよ。これとこの間の大雨で濡れちゃった武器や弾薬を売るからカイザーインダストリーの武器なりゾイドを買わせてってね。もし黒なら在庫切れって答えるだろうし」
そう言うとモエはカイザーインダストリーの営業に電話を掛ける。
一方の宮子は言うか言わないか迷っている事があった…それは自分が元いた世界ではカイザーグループとヴァルキューレが癒着し、武器を横流ししていたという事だ。
というのもヴァルキューレも財政状況に苦しんでおり、弾薬の補充ですら苦労していた程だ。
それなのに自分達が先生と出会った頃には充分過ぎる装備を持って
この世界でもそうなっている可能性はある、しかし今の所証拠を掴めていないのが現状だ。無理に証拠を得ようと強引にして失敗した場合は投獄されかねない。故にこの事を言うべきか言わざるべきか決めかねていたのである。
そうこう考えている間にモエとカイザーインダストリーとの営業電話が済んだようだ
「どうでしたか?」
訊ねるミヤコにモエは結果を伝える。
「武器やゾイドの在庫は匿名の人物
モエからの報告を受けた一同はふと宮子が顔を俯かせて考え混んでいる事に気付いた。
「宮子パイセン、どうしたんだ?」
サキは宮子に訊ねる。パイセンと呼んだのはミヤコとの区別の為である。平行同位体とはいえ年も経験も宮子の方が上だから
「いえ、何でもないですよ」
「もしかして、この件に介入する前からカイザーグループが絡んでいた事に気付いていたのでは?
誤魔化す宮子に対するミヤコの指摘は図星であった。 「お見通しでしたか…」
そして宮子も変な誤魔化しは効かないと判断したようだ。
「まず前提としてすべて同じという訳ではありません。元いた世界で
カイザーグループがアビドスを狙い、其処で騒ぎがあったのは聞いていましたが、それ以上の詳細…何故アビドスを狙ったかまでは知りません。ミヤコが言っていた様にもしかしたらカイザーグループが欲していた何かが元いた世界でのアビドスの砂漠に埋もれていたのかもしれません。
しかしそれだけではありませんでした。カイザーグループはヴァルキューレ公安局と癒着関係にありました」
宮子から発せられた事実にRABBIT小隊の面々は息を呑んだ。
「ヴァルキューレと手を組むってカイザーグループにどんな利益があったっていうんだ?」
「私が元いた世界ではカイザーグループの建設会社"カイザーコンストラクション"が子ウサギタウンの再開発計画を進めていましたが、ある問題がありました…立ち退きに応じなかった私達RABBIT小隊や放浪者達です。
其処でカイザーインダストリーは子ウサギタウンの開発によって得られるであろう利益を公安局へ武器として事前に還元し、公安局はその武器を対価として、放浪者たちを追い出そうとしたんです」
「それならケチなヴァルキューレがカイザーの武器を買えたって事に納得できるし、この間外出した時にヴァルキューレの設備が最新の物になってたのがチラッと見えたんだけどさぁ…」
「それって…違法…だよね?」
「もちろん違法です。市民に奉仕すべき警察学校が、私企業のために働いているわけですから」
モエとミユの言葉を宮子は肯定する。
「この世界でもカイザーが公安と癒着しているかまだ断言は出来ないが、仮にそうだった場合、証拠さえ掴めばアビドスへの件も踏まえてカイザーグループを叩く武器になるな…少なくとも弱体化させてアビドスの負担は減る筈だ」
「ヴァルキューレの記録ってことは、多分ローカルサーバーでしょ?外からのハッキングは無理っぽいよなぁ」
サキやモエの考えているとおりである。
「…ヴァルキューレに潜入すれば、取引記録があるのではないでしょうか」
そんな中でのミヤコの提案にサキ、モエ、ミユは正気を疑うかの様に目を見開いてミヤコの顔を見るが、宮子はそう言うと思ったと言わんばかりに不適な笑みを浮かべている。
「ミヤコちゃん、ヴァルキューレの本館ってことだよね?あの要塞、何百人いると思ってるの?悪いちゃんとした支援があっても、難しいんじゃ…?」
ミユが言う事も尤もである。ヴァルキューレ警察学校の本館は言ってしまえばキヴォトスの警察組織の総本山、その中に潜入する事などリスクが大きすぎるのだ。
「ヴァルキューレでトラブルがあった場合、これを調査する上位機関はSRTだな」
「でも、良いのかな…?今の私達は、学校も無いし…そもそもヴァルキューレと癒着しているのも可能性なんだよね…」
顔を暗くするミユ。一方の宮子は自身の過去、あの時に先生が言った言葉を思い返していた。
『…君たちがそう信じるなら。いってらっしゃい、いざという時は責任取るから。できるだけ、怪我の無いようにね』
得体の知れない大人…それも初対面時は敵対していたという最悪な出会いを果たした先生。今思い返すと『貴方の様な大人が一番嫌いです』などと酷い事を言ったものだ、と宮子は思う。
それでも、先生は自分達に手を差し伸べ、責任を取るとさえ言った。何時しかあの大人の事を尊敬し、好きになっていた。
彼は既にこの世におらず、この世界に彼はいない。喪った者、そもそも存在しない者を呼び出す事は出来ない。ならば、今度は自分の番だ。あの時に
こればかりは
「…貴女達がそう信じるなら…」
「
「責任は私が取ります。私の、私達が信じる正義を貫く為に」
宮子の意思にRABBIT小隊の面々も覚悟を決める。
「おかげさまで決意は決まりました。ありがとうございます、
…私達はSRT。キヴォトスに於ける込み入った犯罪行為に対し、真っ先に投入される特殊部隊」
「秩序維持の為、犯罪者を速やかに制圧し…」
「可能な限り全火力を瞬く間に投下し…」
「…気付かれる前にその場を去る」
各々の理想を口にし、円陣を組む。
「RABBIT1、理想をこの眼に」
「RABBIT2、規範はこの脚に」
「RABBIT3、計算をこの胸に」
「RABBIT4、証明をこの手に」
「ジェノブレイカー、信念をこの刃に」
かくしてRABBIT小隊と宮子はカイザーグループに関する疑惑を確かめるべく動き始めるのだった。
To be continue…