灯里「対策委員会の娘達からクレームが来たよ…対策委員会編第1章の筈なのにカルバノグの兎第1章が混ざってるって」
宮子「私に言われましても…そもそもエデン条約編に該当する話の直後に―」
灯里「駄目ー!それ以上はネタバレだし
宮子「大まかなプロットは決めているものの細かい部分は書いてる時のノリと勢いな所がありますよね…」
―side:Akari Raijin―
はいはーい無事に帰ってきたよー
「師匠、その方は…」
「あはは…私、トリニティ総合学年2年の阿慈谷ヒフミと言います」
「巻き込んだんじゃないからね宮子。ブラックマーケットに行ったら不良に追われてたのを助けたんだよ」
宮子にヒフミの事を聞かれた私はそう説明する…何だかんだで連れて帰ってしまったんだよ。流れ的にね、解散するタイミングがなかったんだよ。
「サキ、トリニティの生徒はブラックマーケットに行く事は校則で禁止だった筈ですよね?」
「あぁ、確かにそうだ…ブラックマーケットで出会ったという事は校則違反だ。どうする?ティーパーティーに通報して引き渡すか?」
ミヤコとサキのヒソヒソ話を聞いてしまったヒフミはそれはもう綺麗な土下座をして通報しないでと訴えている。
「そもそも何でトリニティ生がブラックマーケットに居たんだか…」
モエは呆れた眼差しをヒフミに向けている。
「それはですね!この限定ペロロ様を手に入れる為です!」
ふと思ったんだけどさ、
おっと、そんな事を考えてる場合じゃなかったわ。
「それより、そっちの成果はどうだったの?」
私は宮子に訊ねる。
「はい、あの通信報告の後、更なる調査でヘルメット団や傭兵達から押収した武器をモエが鑑定した結果、アビドス高校を襲撃したヘルメット団や傭兵達が使用していた武器はやはりカイザーインダストリーの物であると断定する事が出来ました。
そしてカイザーインダストリーが武器やゾイドの在庫は匿名の人物達・が全て買い上げたようです」
「当然誰が買い上げたかも秘密事項だからってダンマリを決められちゃったよ」
宮子とモエからの報告に対策委員会の面々の表情も険しくなる。
「私達の方も集金記録を入手したんだけどね…」
私はシロコから預かっていた集金記録を机に置いて皆に提示する。
記載された内容を簡単に整理するとカイザーグループの銀行は アビドス高校から利子を回収するとその足で一旦カイザーインダストリーに行って一部を武器に変え、更にそこからこの辺りのヘルメット団や傭兵に提供していたという事だ。金額にしておよそ500万円分となる。
つまり言い替えれば支払った利子が正当に処理されたのではなく、それがヘルメット団や傭兵、そして便利屋68の活動資金へと転用されて逆にアビドス高校の首を絞める事になってるって事だ。同じカイザーグループ内の企業であれば資金の移動など簡単な事だろうからね。
「何よこれ!ふざけないでほしいわ!」
だからこそセリカの怒りはもっともな事だし、シロコは怒りで握りしめた拳が小刻みに揺れているし、ノノミとアヤネはショックで呆然としているからか言葉が出ないようだ。ホシノだけはそんな事だろうと思っていたのか諦観めいた表情を浮かべている。
「ど、どうしてカイザーローンがヘルメット団に資金提供しているんですか?アビドスがそれで廃校になったら貸し付けたお金は帰ってこないのに…」
そんな中、ヒフミは部外者だからかRABBIT小隊の面々並みに冷静な様子で疑問を投げ掛ける。
「金は目的じゃないんだろうね。価値がある物って人それぞれだけど、共通している物もあるんだよ。金は一番分かりやすい例だね。
さて、まだまだ若い貴女達に問題です。生活していく上で何をするにも必要な物はなんでしょう?」
「えっと…食べ物ですか?」
「それもそうだけどね、ミユ。その食べ物を作る上で必要な物は?」
「もしかして土地ですか?」
「その通りだよ、アヤネ。食べ物、いや何かを生産するには土地が必要、どっかに住む上でも土地は必要、立地条件によっての変動するけど土地っていうのは価値ある物なんだよ。私の故郷でも土地を狙って争いが起こってた訳だし」
「ですが、アビドスの土地の大半は砂に塗れ、基盤産業もなく、喉から手が出るような資源も…」
ノノミが言うこともわかるよ。確かに一般的に見たアビドスの土地はそうなるだろうね。
「これは例え話というか私の故郷の地球での事なんだけどね、私の故郷の地球にはゴビ砂漠という広大な砂漠地帯があったんだよ。
その土地は遥か昔、人類文明どころか人類そのものか誕生するより遥か昔は植物の豊かな地域で、多種多様な生物…それでこそ大型恐竜が生息していたんだよ。
彼らが絶滅し、土地は砂漠となった後は彼らの化石が発掘されるようになった、つまりお宝の山だったんだよ」
「つまり、先生はアビドス砂漠にも何かが埋まっていると言いたいの…?」
「その通りだよ、シロコ。アビドス砂漠に何か埋まっているか、そもそも本当に埋まっているのか確証はない…でも可能性はある。だから連中はアビドスの土地が欲しいんだと思うよ。オルディオスを差し向けたのも便利屋68の娘達ごと私を始末する為と考えれば説明はつく。
このままだと手がつけられなくなる可能性も考えられるけど…連中の陰謀を止めるにはもうちょい武器というか証拠が欲しいところかな」
「師匠、その事なんですが…」
「言いたい事はわかってるよ。カイザーグループに打撃を与えられるだろう更なる証拠をこのタイミングで得るって事でしょ?」
「本来より大幅に早いタイミングではありますが…」
宮子がいた世界ではカイザーグループとヴァルキューレ公安局の癒着をRABBIT小隊が暴くのはもっと先の話らしい。
「バタフライエフェクト…蝶が羽ばたくか否という些細な出来事で未来が大きく変わる。これから起こす事が吉と出るか凶と出るかはわからない。でも、やってみないとそもそもわからない。
だから宮子は宮子のやりたいように、自分が正しいと思った通りにやって。何かあった時の軌道修正と責任を取るのは私の役目だからさ」
「はい、師匠…!これより私とRABBIT小隊はD.Uに戻り、カイザーグループの汚職の証拠の確保に動きます」
宮子が私に向けて敬礼すると続けてRABBIT小隊の面々も敬礼を行う。
「みんな、気を付けてね」
私が声をかけた後、宮子はRABBIT小隊を引き連れて
「アビドス高校の皆さん、また会いましょう」
とミヤコが最後に挨拶して頭を下げて退出した。
「えっと、バタフライエフェクトとか未来がどうこうとか」
「あっ、気にしないでヒフミ」
という訳で報告会もお開きとなり、ヒフミもトリニティ自治区に帰る時間帯となった。
「今回の件はティーパーティーに報告しようと思います。カイザーが犯罪組織と繋がっているという証拠が手に入りましたし―」
「ヒフミちゃん、それって銀行襲ったって自白すると同じだけど大丈夫なの?」
ホシノの言う通り、今回の銀行襲撃は相手が
「うっ…で、でもっ」
根は友達思いの悪い娘じゃないのはわかるんだけどね…
「おそらくトリニティのティーパーティーもそのくらいの情報は持ってると思うんだ。三大校の生徒会ともなれば、動かせるものはうちらの比じゃないだろうしね。
ただ、学園自治のお題目がある以上、他の学園の問題に首を突っ込むには相当な理由が必要なんだよ。
これはあくまでも私達アビドスの問題、私達が要請したのはシャーレへの救援要請で、
私達の要請もなくトリニティがもし口を挟んでくるなんてことになったら、それはもう学園間紛争になるしかないんだ」
トリニティが本当にアビドスを助けてくれるっていうなら私だって文句は言わないんだけど、おじさん
ホシノが言うことももっともな事だ。仮にトリニティなりゲヘナなりミレニアムなり他学校がアビドス高校の協力要請なくこの問題に介入すればそれでこそキヴォトス中を巻き込む騒乱になりかねない。RABBIT小隊を動かせたのは元々彼女達の役割がヴァルキューレでは対処が難しい事件への介入・解決である事とRABBIT小隊に関しては私と宮子が全責任を持つという条件で連邦生徒会に無理言って私…というか宮子の直轄のシャーレ部員にしてもらっているからだ。
そもそも他校に資金援助をしてもらってカイザーローンへの借金を返済しても、支払う相手が援助してもらった学校になるだけで解決した事にはならない…故にアビドス高校自身の手で借金問題を解決しなければ意味がないのだ。
「ごめんね、ヒフミちゃんには一切の悪気はないって事はわかってるよ。でも、おじさんはそういう好意を素直に受け取る事が出来ないほど心が汚れちゃてるんだよ。
悪意を見逃し続けたからアビドスはこんな事になっちゃったんだよ」
その言葉はまるで自嘲しているかの様で私からしてみればどこか痛々しかった。
「皆さん、私にできることなんてあまり多くないですが、応援してます!頑張ってください!」
ヒフミは皆に頭を下げトリニティへと帰っていき、対策委員会の面々は姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
―side out―
時刻は日没頃、アビドス自治区からD.Uに向けてジェノブレイカーはRABBIT小隊の面々を乗せて飛んでいた。
「柴関ラーメン、美味しかったねぇ」
「あぁ、また食べに行きたいくらいだ。尤も金はないけどな」
モエとサキは夕飯に食べた柴関ラーメンの味を思い返していた。
灯里との別れ際に夕飯にどうかと提案され5人で食べに行ったのだ。しかし、RABBIT小隊の面々にはわざわざアビドス自治区まで赴いてラーメンを注文する程の潤沢な
「私が奢りますし、移動の足も私がなるのでまた皆で行きましょう。月一でも週一でも」
「ありがとうございます、宮子先輩!」
「そうですね、また行きましょう
ミユとミヤコはジェノブレイカーに礼を言う。今は顔を見れなくとも声のトーンから彼女達が嬉しそうな表情を浮かべているであろう事をジェノブレイカーはわかっていた。
「えぇ、行きましょう」
ジェノブレイカーは4人に優しく呼び掛けると
「では、改めて作戦内容を確認します」
と真面目なトーンで4人に呼び掛け、4人も穏やかな笑みを浮かべていた先程までとは一変して真剣な表情を浮かべて気を引き締める。
今回ヴァルキューレ警察学校に潜入するのはミヤコ、サキ、ミユの3名であり、モエは得意分野を生かしてのサポートに周り、ジェノブレイカーもとい宮子は万が一想定外の事態が発生した場合…それでこそゾイドとの戦闘やジーオスが出現した場合などRABBIT小隊のみでは対処困難と判断された場合に備えて待機する事となっている。
「―以上です。全員、準備は良いですか?」
ジェノブレイカーの言葉にRABBIT小隊の面々ははい、とはっきりと返す。
一方、ヴァルキューレ警察学校の格納庫にてカンナはある人物からメッセージを受け取っていた。
『SRTの連中も動き始めた。ジェノブレイカーと共にアビドスへ向かった後、再びD.Uに向かっている。お前達と我々との取引に感付いた可能性がある』
「ジェノブレイカーの正体が別の世界線の月雪ミヤコである以上、いつかは感付くだろうとは思っていたが…」
カンナはジェノブレイカーの正体が
そして遅かれ早かれ自分を止めに来る事も。
「だが、此方も止まる訳にはいかない…」
カンナは以前から憂いていた…市民を護る上でヴァルキューレが力不足である事を。
そんな中で突然ジーオスという怪獣が現れ、更にそれに対抗出来る存在…スーパーコンボイとジェノブレイカーも現れた。連邦生徒会長が立ち上げたシャーレの顧問と部長である彼女達はまだ未熟な特殊隊員の卵であるとはいえ厳しい試験と訓練を潜り抜けた
彼女達が特権の元で正義を行使できている中で自分は汚い現場でどれだけ妥協に塗れながら公務を処理していたことか…そう思えば思う程、不満や嫉妬に近い感情を抱くのも無理はないだろう。
理不尽な世の中、中途半端な立ち位置で無力な自分が正義を掲げ続けるには手を汚さなければならないのだ。
カンナは格納庫に鎮座する一体のゾイドに視線を向けて見上げる。
カイザーグループがアビドス砂漠から発掘し、秘密裏に此処まで運んできたティラノサウルス種のゾイド。
金色のアーマーに身を包んだデスレックスはまるでカンナの怒りを表しているかの如く唸り声を上げるのだった。
To be continue…