宮子「師匠」
灯里「どーしたの?」
宮子「前回の話、なんと言うかウルト◯マンとか90年代のロボットアニメの香りが仄かに漂ってきた気がするのは気のせいでしょうか…?」
灯里「まぁ、
宮子「世代がずれてますから…」
警告:このエピソードには回想シーンとはいえ原作キャラの死亡シーンがあります。ご注意ください。
鋼鉄蜘蛛邪竜 ジーオスパイダー
鋼鉄砲邪竜 ジーオスタンク
登場(回想)
2年前、マルチバースのキヴォトス。人々がジーオスアークの軍勢との全面戦争を開始して3週間…キヴォトスの人口は半分近くにまで減少していた。
最初は偵察目的のソルジャー級やジェネラル級位だった。その程度ならキヴォトスの戦力でも撃破可能であり、中には単騎でランダーを仕留めた者もいた程だ。
キヴォトス人は身体能力の高さに加えて銃弾程度では死なない…それこそアデプトテレイターに匹敵する程である。しかし、そんな彼女達でも弱点がある。
まず頭上に浮かぶヘイローを破壊されれば廃人と化すか死んでしまう点。
そして外的要因による物理的ダメージへの耐性は高い一方で毒等の状態異常、飢餓や脱水症状等の衰弱、長時間の失血等の内的要因への耐性は地球人と大差ない。
故に邪魔者の数を削る為にジーオスアークはジーオスパイダー系列の個体を差し向けた。
ジーオスパイダー系列の個体はジーオスで唯一舌を有し、その舌は金属細胞由来の毒を纏っている。この毒が体内に入った場合、金属細胞への適合性がなければ即死する。
その世界のキヴォトス人の命を数多く奪ったのはジーオスパイダー系列である。しかし、このジーオスパイダー系列を大量に出せたのはジーオスアークが取り込み体内に溜めているライフスピリットが豊富だったからだ。
更にジーオスパイダー系列は有機生命体特攻の能力と引き換えに他のジーオス達と違いライフスピリット吸収・親個体に還元する為の器官がない。他のジーオス達は生み出してもライフスピリットを吸収して還元してくれるが、ジーオスパイダー系列はそれが出来ない為、作るだけマイナスとなる。
言ってしまえば燃費が極端に悪いのだ。そして第56太陽系の地球でのゴジラ達との戦いで致命傷レベルまで疲弊してしまったからこそ灯里が先生となったキヴォトスでは少数しか出せなかったのである。
閑話休題、ジーオスパイダー系列の投入によってこの世界のキヴォトスの人口は一気に減少してしまったのである。
そして生徒達に追い打ちをかける出来事が発生した…"先生"がジーオスパイダーの舌に貫かれて死んでしまったのだ。彼はキヴォトス人ではないが故に身体能力と頑丈さは地球人とは変わらない…キヴォトス人から見れば貧弱である。しかし、それでも生徒達の為に奮闘し様々な問題を解決してきた…故に多くの生徒達から慕われていたのだ。
そんな彼の死をある者は受け入れられず、またあるものはジーオスへの怒りと憎しみ、怨みで我を忘れた。
月雪
彼女はジーオス達との戦いの最中でジェネラル級などはコアを保有し、それが破壊されない限り再生するという事実に行き着いた。ならばジーオスの硬い外殻を削ってコアを破壊すれば良い、単純な事じゃないかと誰もが思ったもののそれが難しかったのだ。
まずジーオスの機動力はどれも戦車を遥かに上回り、ヘリなどの航空機以上の小回りの良さを誇る。その上で一応生物であるジーオスは種によって得意不得意の差はあれど近接格闘は行う。同じくジーオスが出現した第46太陽系の地球の防衛組織が人型のパワードスーツやトランステクターの運用に踏み切ったのは拡張性の高さと何より機動力と小回りの良さ、格闘戦への対応力が決め手だった。
"先生"の死後、人々を出来るだけ助けるという自身の正義と"先生"の敵討ちの為に戦い続けたミヤコだったが、地中からの奇襲によって左足を斬り捨てられ、斬り離された左足は跡形もなく踏み潰された。先輩であるFOX小隊の救援により命は助かった彼女は現在地から一番近かったトリニティ総合学園に搬送、救護騎士団による応急措置が執られた。
各地の医療施設もパンク状態で人手も物資も足りてない。中には治療が間に合わず失血が原因で亡くなる者もいた。
この様な状況化でミヤコの左足は止血処理がなされた上で本人の希望により簡易的ながら義足が装備された。出来るだけ多くの人を助ける…そうでもしないと
この時点で壊れてしまった彼女の事が友人達は心配でしかなかったが、どうする事も出来なかった。
そんなある日、DU市街地にジーオスランダーが現れ、近くにいたRABBIT小隊の面々も戦闘に動員される事になった。
ミヤコの指揮の元でRABBIT小隊は全高5メートル台の
「RABBIT1より、対象のコアを確認。あと一息です」
ジーオスタンクをあと一歩で仕留められる…その時だった。
「ワキャキャキャキャ、ワキャキャキャキャ」
ジーオスタンクは狙い通りと言わんばかりに鳴く。表情が変わらない筈なのにまるで不適な笑みを浮かべている様だ。
「ミヤコ、危ない!」
真っ先に異変に気付いたのはサキだ。何か悪い予感がしたのかサキはミヤコを庇うかの様に突飛ばした。数秒後、ミヤコがいた場所の地面は割れており、其処から伸びた"金属の舌"がサキの身体を貫いていた。
「サ…キ…?」
ミヤコは目の前の光景が信じられなかった。先生の命を奪った"舌"が今、チームメイトの身体を貫いていた。本来なら自分が貫かれていた筈なのに、自分が犠牲になる筈だったのに…
幸か不幸かサキは金属細胞への適合性があったのか即死はしなかった…だが、適合性があっても治療しなければ待ち受けるのは激しい痛みに時間をかけて蝕まれた末に死ぬ未来だ。
「そんな…嫌…」
ミヤコは頭の中が真っ白になっていた。そんな彼女とサキを救おうとモエとミユは動くがジーオスタンクは2人に向けてエネルギー弾による砲撃を浴びせ、ミヤコはジーオスタンクの尻尾で叩き飛ばされ、瓦礫の中に埋まって意識を失ったのだった。
「…生きてる…?」
ミヤコが意識を取り戻した時、彼女は瓦礫と瓦礫の間の隙間にいた。彼女は奇跡的に一命を取り留めていたのだ。周囲は嵐が過ぎ去った後の様に静かで先程まで戦闘をしていたのが嘘の様だった。
「そうだ…皆は…!」
サキは、モエは、ミユはどうなったのか?無事でいてほしい、そう願いつつミヤコは瓦礫を退かして3人の捜索を始めた。先程まで戦闘をしていた地点まで戻ったミヤコが発見したのは踏み潰されたと思わしき人の姿をした何かだった。
「えっ…嘘…」
血に染まった制服とジャケット、そして砕けた見覚えのあるヘルメット。その亡骸の皮膚の一部は金属らしき鈍い輝きを放っている。信じたくなかった…ジーオスパイダーの舌に貫かれたサキの姿を。しかし、腹部に開いた穴と血に汚れた名札は紛れもなく彼女の、空井サキのものだった。
「そんな…サキ…ごめんなさい…!」
ミヤコは大粒の涙と共に胃の中にあるものを吐き出してしまった。
サキの死をまざまざと見せつけられたミヤコはモエとミユの姿を探し始めた。あの2人ならきっと生きている、そうだ大丈夫な筈だ。そう願いながらミヤコは左足の義足を引き摺りながら歩き回って2人を探す。
「痛っ!」
何かに躓いて転倒したミヤコ。何に躓いたのか確認するとそれはモエが使っていた銃だった。
「まさか…!」
血に染まった手を動かして瓦礫の山を掘っていくミヤコ。モエは瓦礫の中に埋まっていた…但し
「ごめんなさい…モエ…!」
あと一人…ミユは大丈夫だろうか?彼女は影が薄い事から敵に気付かれずに狙撃出来るというスナイパーとして天性の才を有している。その事はミヤコが一番よく知っていた。
「あれは…ミユ…!?」
瓦礫を歩いていたミヤコはミユらしき人影を発見した。頭上にはヘイローが浮かんでいない。そうだ、きっと気を失って倒れているだけだ。きっとそうに違いない…
「ミユ!起きてください…!ミユ…!」
ミヤコの声を聞いてもミユが目覚める事はない…何故ならば彼女の胸…いや心臓を鉄筋が貫いていたからだ。
唯一生き残ってしまったミヤコの心の叫びを代弁するかの様に何時の間にかDUでは大雨が降りだした。
そんな雨の中をミヤコは銃を担ぎながら3つの袋を引き摺って歩く…それぞれサキ、モエ、ミユの亡骸が収まっている。
彼女が辿り着いた先はボロボロに破壊された公園。子ウサギ公園と呼ばれていたこの公園は彼女達RABBIT小隊にとっては生活の拠点であり、幾つもの沢山の思い出が詰まっていた場所だった…それが今では見るに無惨な光景と化している。
ミヤコは公園に着くや雨が当たらない場所で袋を開く。
「…ごめんなさい…ごめんなさい…」
袋から覗く3人の亡骸とドックタグ代わりの名札…その前でミヤコはただひたすら謝るしかなかった。死なせてしまってごめんなさい、生き残ってしまってごめんなさい…もはやミヤコは正常な判断が出来る状態ではない。先生だけでなく家族の様
「こんな所にもキヴォトス人のガキがいたか」
そんな彼女の前に現れたのは例えるならタコのような姿をした宇宙人…ゾイックアデプトテレイターの創造主たるクインテッサ星人メイクスだった。
メイクスからしてみれば彼女らキヴォトス人は都合の良い実験動物に過ぎない。抵抗する力も残っていなかったミヤコはメイクス一派に捕獲され、ゾイックアデプトテレイター…それもキヴォトス人を使用して生み出された人間態でも変身するゾイドの一部武装を展開・使用が出来るゾイックアデプトテレイターであるKVシリーズを生み出す為の材料となった。
あの日からミヤコは…いや宮子は罪の意識に苛まれていた。仲間を死なせてしまった事への罪、自分だけが生き残ってしまった事への罪。
灯里と出会って彼女に拾われてからは多少はマシにはなった…だが、余裕ができたからこそ今度は夢の中に死んだサキ、モエ、ミユが出る様になった。
見つけた時の亡骸の状態で無言で自分を見つめてくる光景…宮子はただひたすら謝るしか出来なかった。
「ごめんなさい…死なせてしまってごめんなさい…自分だけ生き残ってしまってごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさい―」
ベッドから起き上がった宮子はまず支給された寝間着を脱ぐ。寝間着から露になったのは綺麗な肉体…ではなくあちこちに傷痕が残されて何とも痛々しい物だった。
ゾイックアデプトテレイター化前に失った左足は再生こそしてはいるが、何処から失われ再生したかがわかるように大きな跡が付いている。
そして背中には一際目立つ傷痕…いやゾイックアデプトテレイター化の施術の跡が付いている。宮子自身はこれらの傷痕を忌むべきものとは思っていない…寧ろこれは
クローゼットを開いて新品の服を着て、その上に灯里がくれたコートを羽織る。その時、彼女に与えられた端末にメッセージが入った。
『宮子、起きてる?』
送り主は灯里だ。すかさず宮子は返信する。
『はい、身支度も終わっています、師匠』
宮子が灯里を先生ではなく師匠と呼ぶ理由…それは単純に宮子にとって先生は"彼"の事であり、"彼"しかいないからだ。確かに灯里は信頼出来て尊敬出来る大人だ。だが、先生とは呼びたくない…考えに考えた末に師匠と呼ぶようになった。
最初は灯里から自分はそんな柄じゃないから止めてくれと断られたが、呼び続けた結果、灯里の方が折れたのである。頑固なところがあるのはこの宮子も同様である。
『よし、だったら今日は昼から出かけるから12時頃に私の元に来て』
『了解しました』
灯里からの指示に宮子は簡潔に答え、待ち合わせの時間が来るまで灯里から渡された端末でネットサーフィンを行うのだった。
To be continue…