黒鉄の守護者と魔装竜   作:衛置竜人

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灯里「そう言えば創造主(作者)が一番気に入っているジーオスってジーオスパイダー系列らしいよ」

宮子「どうしてまた…あれって例えると蜘蛛の8本脚を生やしたギャオスみたいなグロテスクな見た目ですよ」

灯里「いやぁ…それが対人特化というか対有機生命体特化が妙にツボったみたい」

宮子「趣味が悪すぎますね…」





#9『親愛なる友人達へ』

 

 

 

―side:Akari Raijin―

 

 

 

クソッ、私の落ち度だ!リコリスが出現した段階で地中を掘ってでも探すべきだった!

ごのバリアはジーオスパイダーアラクネが張った物…そしてこのバリアはハイパーモードのスーパーコンボイでも破壊は難しい。

「カンナ、状況は?」

「未だにバリアを突破出来ません。地下からの侵入も不可能で…」

だろうね…奴のバリアの範囲は空は勿論、地中も含まれている。故に地下から侵入するって手段も取れない。

「今はRABBIT小隊と宮子に任せるしかないか…」

バリアの内部には民間人が数十人、そしてRABBIT小隊の面々と宮子が取り残されている。

この状況を打破するには宮子とRABBIT小隊に賭けるしかないのが現状だ。

 

 

 

―side out―

 

 

 

ジーオスパイダーアラクネトゲに引っ掛かっている2年前に死亡した宮子がいた世界線でのサキ、モエ、ミユの名札。

それを目の当たりにしたRABBIT小隊の面々は言葉を失い、宮子は無言で拳を強く握り締めジーオスパイダーアラクネを睨み付けている…激怒しているのは見て明らかだろう。

宮子がメイクスに捕まった後、宮子がいた世界線でのサキ、モエ、ミユの亡骸はそのまま放置となっていた。名札も亡骸の上に置いていた…故に彼処にあるという事はあのジーオスパイダーアラクネは彼女達の亡骸を弄んだという事だ。ジーオスが死んだ有機生命体の亡骸を必要以上に痛め付ける光景も散々目の当たりにしてきたからこそ分かる。

アイツらは大切な友達の未来を奪った(を殺した)だけに飽きたらずその死すら愚弄している。

「…RABBIT1から4、バリア内に取り残された民間人を1ヵ所に集めて彼らの護衛をお願いします。私は奴を始末します」

宮子はジーオスパイダーアラクネに視線を向けたままRABBIT小隊に指示を送る。

「貴女も気をつけて」

ミヤコの言葉に宮子は僅かに振り向くと頷き、再び視線をジーオスパイダーアラクネに向ける。

「ゾイドオン!ジェノブレイカー!」

宮子は走りながら叫ぶように変身コードを口にしてジェノブレイカーに姿を変えると左のフリーラウンドシールドを前方に付き出すと共にジーオスパイダーアラクネに体当たりし、右のエクスブレイカーで名札が引っ掛かっているトゲを掴む。

「私の友達の形見を返せ!!」

「ワキャキャキャワキャキャキャ!」

普段の宮子からは想像出来ない口調で叫ぶジェノブレイカー。しかし、ジーオスパイダーアラクネはまるで嘲笑うかの様に鳴き声を発すると前脚でジェノブレイカーの腹部を殴り付ける。想定以上の衝撃が襲って来たのか掴んでいたトゲを離してしまったジェノブレイカーはビルに激突、ビルから這い出たジェノブレイカーの瞳は彼女の怒りを反映しているかの様に激しく点滅している…暴走に近い状態だ。

民間人やRABBIT小隊を追い詰めるかの様にわざとゆっくり接近するジーオスパイダーアラクネの姿を捉えたジェノブレイカーは咆哮すると頭部のレーザーチャージングブレードを前方へ展開してジーオスパイダーアラクネに向かって各部のスラスターを全開にして噴射した。

ジーオスパイダーアラクネは標的として行動中のサキを捉える。

サキは逃げ遅れた民間人を守るべくジーオスパイダーアラクネに向けて発砲するが、ジーオスパイダーアラクネは口を開き舌を伸ばした…あの時の宮子がいた世界でのサキの殺害を再現しようとしているかの様に。

しかし、それは全速力で接近してきたジェノブレイカーのレーザーチャージングブレードによって防がれた…ジーオスパイダーアラクネの舌はサキに届く前にレーザーチャージングブレードに貫かれたのだ。

サキから引き離す為にジェノブレイカーはジーオスパイダーアラクネを上空に向かって振り払い、舌が千切れてしまったジーオスパイダーアラクネは空中で身体を捻らせるとバリアの内壁に着地、移動する蜘蛛の様にバリアの内壁を走りながらジェノブレイカーに向けてエネルギー弾を発射する。

ジェノブレイカーはEシールドでそれを防ぎつつAZ140mmショックガンを発砲。しかしジーオスパイダーアラクネは難なく回避しつつビルへと飛び乗ると他のビルに向けて跳躍、太い尻尾の先端を前方へ向けると蜘蛛糸の様な物をビルに向けて発射、ビルにくっついた蜘蛛糸の様な物を支点にしてジーオスパイダーアラクネの身体は振り子やブランコの様に振り上げられ、蜘蛛糸の様な物を切り離したジーオスパイダーアラクネはジェノブレイカーに飛び掛かる。

バランスを崩して地表に向けて落下しつつあるジェノブレイカーの腹部に向けて中前脚の先端を何度も突き刺す。コアへの直撃こそ免れてはいるがそれでも重傷である事は変わらない。

止めと言わんばかりにジーオスパイダーアラクネはジェノブレイカーから離れると空中で前転し、太い尻尾でジェノブレイカーを叩き付け、ジェノブレイカーは地面に墜落した。

 

 

 

 

生と死の狭間の世界…其処で月雪宮子は夢に出てきた死んだ時の姿をしたサキ、モエ、ミユと対面していた。

「ごめんなさい…死なせてしまってごめんなさい…自分だけ生き残ってしまってごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさい―」

その姿を見た瞬間、宮子は彼女達から目を反らすかの様に蹲ってひたすら目の前の3人に謝り続ける。

「―ったく、何時まで悔やんでるんだか」

聞き覚えのある声がして顔を上げると在りし日(生前)のサキが其処にいた。

「ほんと、過ぎた事なのにねぇ」

更にモエと

「ミヤコちゃん、もう自分を責めないで」

ミユも在りし日(生前)の姿のままで其処にいた。そして宮子もジーオスとの戦いで負傷する前の、1年生の頃の姿となっていた。

「ですが…私は、取り返しの付かない―」

「あぁ、もう!だ・か・ら!お前のせいじゃないって言ってるだろうが!」

しびれを切らしたサキは宮子の胸ぐらを掴むと無理矢理立ち上がらせ、思いっきり抱きしめる。

「今日だけだからな」

サキがそう言った後、モエとミユも一緒に抱きしめる。幻影(まぼろし)の筈なのに暖かい…その暖かさに宮子は涙を流して泣きじゃくった。

「私達を忘れないでくれてありがとう」

「忘れる訳、ないじゃないですかっ!」

モエにそう返す宮子。

「わ、私…ミヤコちゃんに会えて良かった…RABBIT小隊で良かった…」

「私も、私もです…!ミユ…!」

溜まっていた想いを吐き出すかの様に泣きじゃくった宮子。暫くして落ち着きを取り戻した宮子の姿は現在の彼女の姿に戻っていた。

「ミヤコ…私達の夢をお前と…あっちの世界の私達に託す」

「あっちの世界の私達に宜しくって伝えておいてね」

「私達は何時でも見守っているから…」

改めて向き合った3人からの想いを託された宮子は受け取った事を示すかの様に右拳を握ると自身の胸に当てる。

「はい…!何時の日になるかわかりませんが再会した時にゆっくり話しますね…あの世界で私が経験した青春の記憶(ブルーアーカイブ)を」

宮子の言葉に3人は優しく笑みを浮かべながら頷いて最後に見送りの言葉を送る。

「「「いってらっしゃい!」」」

その言葉を背に宮子は

「RABBIT1、行ってきます!」

と返して3人がいる方向とは逆の方向へ向けて走り出した。

 

 

 

有機生命体の殺戮を行わんとするジーオスパイダーアラクネは着地すると近くにいたミヤコに1歩ずつ近づく。舌は既に再生しており、何時でも有機生命体を殺せる。

舌舐めずりをしたジーオスパイダーアラクネがミヤコの身体を貫かんと舌を伸ばそうとした瞬間、目から光を失って倒れていたジェノブレイカーの目に光が再び宿る。状況を把握したジェノブレイカーは立ち上がろうとするが、ダメージが回復していないからか上手く立ち上がれない。

「バックパックユニット、パージ!」

ならばと言わんばかりにジェノブレイカーは背面のユニット(バックパック)を分離させ、分離したバックパックは浮遊してミヤコ達を守るかの様にジーオスパイダーアラクネの前に立ちはだかる。鬱陶しく思ってジーオスパイダーアラクネは咥内からエネルギー弾を放ってバックパックを撃ち落とそうとしたが、バックパックはフリーラウンドシールドでそれを防ぐ。その隙にミヤコはバックパックの荷電粒子コンバーターの前に飛び乗るとジーオスパイダーアラクネの動きを牽制すべく発砲した。

「RABBIT1!こちらRABBIT2!住民の退避完了、これより名札を回収する!」

「RABBIT2、こちらRABBIT1。了解、RABBIT3、RABBIT4。援護をお願いします。私達はRABBIT2の援護と共にジェノブレイカーが態勢を立て直す時間を稼ぎます!」

『こちらRABBIT3、何時でもいけるよ!』

『こちらRABBIT4、配置に着きました!これより狙撃します!』

ミヤコからの指示を受け取たモエはバリアの範囲内にあるドローンをハッキングし、それらによる爆撃を敢行、ミユは3階建てビルの屋上からジーオスパイダーアラクネの頭部を狙撃する。

バックパックに乗ったミヤコ、モエが操るドローン達、そしてミユの狙撃。それらの猛攻とミヤコを貫こうにもバックパックのフリーラウンドシールドで防がれてしまう事にジーオスパイダーアラクネは苛立ちを募らせる。

3人の猛攻の中を潜り抜けてサキは牽制射撃を行いつつ件のトゲまで辿り着くと

「返して貰うぞ!これは宮子の大切な物だ!」

別の世界線での自分達の名札を掴み、紐を引きちぎるとすぐさま距離を取る。

 

ジーオスパイダーアラクネの最大の失敗…それはまず出るタイミングが早すぎた事だろう。

ジーオスパイダーアラクネは本来ならライフスピリットを吸収可能な他の個体からライフスピリットを受け取る事で太い尻尾からジーオスパイダーリコリスを生み出す事が可能である。しかし、このジーオスパイダーアラクネは一度味わったサキ、モエ、ミユの神秘が忘れられず、我慢出来ずに他の個体(ジーオス)が現れるより先に目覚めてしまった。

そして宮子がいた世界線でのサキ、モエ、ミユを殺したもしくはそれに関与した事とその死を愚弄した事でジェノブレイカー(宮子)の逆鱗に触れた事だろう。

 

RABBIT小隊の時間稼ぎと名札回収は成功し、その間にジェノブレイカーは立ち上がって踵のアンカーを展開して両足を地面に固定、更に先端から順番に尻尾の廃熱板と首上部の装甲を展開し、口の前に荷電粒子を収束させていく。

「RABBIT1、RABBIT2、此方ジェノブレイカー。これよりジーオスパイダーアラクネに対し荷電粒子砲による砲撃を敢行します。退避してください」

ジェノブレイカーはミヤコとサキに呼び掛け、ミヤコはバックパックから降りるとサキと合流してジェノブレイカーとジーオスパイダーアラクネから距離を取る。

「こちらRABBIT1、RABBIT2と共に退避完了」

ミヤコからの報告を受けたジェノブレイカーはバックパックを操作し、バックパックがエクスブレイカーでジーオスパイダーアラクネを掴んでバリア範囲内ギリギリの位置まで運んだ直後、発射角度を調整したジェノブレイカーは瞳の色を緑、黄色、赤の順で一回ずつ点灯させた後、青紫色で点灯させると同時に荷電粒子砲を発射した。着弾寸前にバックパックはジーオスパイダーアラクネを放して離脱、ジーオスパイダーアラクネは荷電粒子砲によるビームと自身が張ったバリアに挟まれてしまう。

数秒後、ジーオスパイダーアラクネの外殻は耐え切れなくなって融解して荷電粒子によるビームはジーオスパイダーアラクネのコアを蒸発させた。コアの破壊と同時にバリアも消滅し、それを確認したジェノブレイカーは荷電粒子砲の発射を止め、光の繭に包まれた後、宮子の姿に戻ったのだがダメージが深かったからか身体がふらついて倒れてしまう…が、地面に倒れる前にサキとミヤコが受け止めるのだった。

 

 

 

 

 

「…此処は…」

戦闘終了から2時間後、意識を取り戻して目を覚ました宮子の視界に飛び込んできたのは見慣れたテントの上だ。

「やっと目を覚ましたか…これで二度目だぞ…だが、助けて貰ったのも二度目だな。ありがとう」

宮子の目覚めに気付いたサキは宮子にそう告げ、モモトークで宮子が目覚めた事をミヤコ、モエ、ミユ、灯里にも伝える。

「皆さんは…?」

「頼尽先生と一緒に今回の後処理をしてる。今回も物的被害は酷かったからなぁ…だが、人的被害に関しては死者ゼロだ」

サキからの報告に宮子は良かった、と安堵する。

「それと…これ…」

サキが宮子に差し出したのは血で汚れた3人分の名札…そう、宮子がいた世界線でのサキ、モエ、ミユの遺品である。

「悪い…紐は引きちぎってしまった…」

申し訳なさそうに告げるサキに対し宮子は

「いえ、本当にありがとうございます」

と穏やかな笑みを浮かべてサキに礼を言いながら名札を受け取った。

「あの、ジーオスパイダーアラクネの出現で言いそびれていたのですが―」

 

 

 

 

ジーオスパイダーアラクネとの戦闘の翌日。子ウサギ公園の一角に1つの石碑が立てられた。その石碑にはこう刻まれている。

『亡き親愛なる友人達に想いを込めて』

その石碑の下には遺骨代わりに3枚の血で汚れた名札が埋められているのだった…

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

 

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