シロコ・テラーは先生と子供を作りたい   作:あばなたらたやた

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一話 

 

 シャーレの先生は、シロコ・テラーに押し倒されていた。冷たくも鋭い青い瞳が、先生の視線を絡め取る。灰色の長髪が床に広がり、まるで銀の絨毯のようにその場の空気を支配していた。

 

 先生はわずかに身をよじり、抵抗を試みる。だが、その力の差はあまりにも明白だ。シロコ・テラーの華奢な見た目に反して、まるで鋼のような力が先生を押さえつける。まるで動くことすら許さない、絶対の意志そのものだ。

 

 それでも、先生の声は穏やかだった。まるで嵐の中心に立つような、揺るぎない優しさで問いかける。

 

「シロコ。どうしたの?」

「ん。子どもつくる」

 

 その一言は、まるで空気を切り裂く爆弾のようだった。だが、先生は動じない。まるでそんな言葉すら日常の延長線上にあるかのように、穏やかな笑みを崩さない。

 

「へぇ」

 

 そして、静かに、しかし確かに核心を突く言葉を紡ぐ。

 

「どうしてそうしようと思ったの?」

 

 シロコ・テラーの瞳が一瞬揺れる。だが、その声は迷いなく、ストレートに響く。

 

「……先生が好きだから。だから子どもつくる」

 

 先生は小さく頷き、まるで子供に言い聞かせるような口調で続ける。

 

「そっか。シロコは、子どもを作る意味や責任を理解している?」

「…………少しだけ」

 

 その答えに、先生の目は柔らかく細められる。だが、そこには揺るぎない信念が宿っていた。

 

「そっか。なら、子供は作れない。子どもを作るのは責任が伴うからね。ちゃんと理解して、それでも求めた時にするべきだ」

 

 シロコ・テラーの唇がわずかに動き、反論の言葉を紡ごうとした――その刹那。

 紫色の閃光が、まるで夜を切り裂く雷鳴のように空間を貫いた。レーザー光線のごとき弾丸が、シロコ・テラーを襲う。 反射的に身を翻し、シロコ・テラーはそれを回避する。床に叩きつけられた衝撃で、埃が舞い上がる。

 

 その中心に、彼女は静かに立つ。まるでその一撃など、彼女にとってただの挨拶にすぎないかのように。

 

「先生は、渡さない」

 

 凛とした声が響く。

 そこに現れたのは、空崎ヒナ。彼女の瞳には、燃えるような決意と、抑えきれない怒りが宿っていた。

 

「……邪魔」

 

 シロコ・テラーの声は低く、まるで地の底から響く呪詛のようだった。彼女の手から放たれる神秘否定の滅奏エネルギーが、空崎ヒナの神秘を帯びた弾丸を次々と飲み込み、消滅させる。

 

 まるで光を飲み込む闇のように、ヒナの攻撃は無力化されていく。 ヒナは一瞬で距離を取り、建物の陰に身を隠す。その動きはまるで風のように素早く、しかしその表情には苛立ちと焦りが滲んでいた。

 

「先生を襲って、何をするつもり? もし傷つけるつもりなら、私は貴方を許さない」

 

シロコ・テラーの答えは、まるで当たり前の事実を告げるかのように淡々としていた。

 

「傷つける? そんなつもりはない。ただ子供を作るだけ」

「子供!? 貴方と先生は恋人だとでも!?」

 

 ヒナの声は鋭く、まるで刃のように空気を切り裂く。だが、先生は静かに、しかしはっきりと否定する。

 

「そうだね。僕はシロコと恋人ではないし、子供を作るつもりはないよ」

 

 シロコ・テラーは小さく首を振る。その瞳には、どこか遠い未来を見据えるような光が宿っていた。

 

「……いいや、作ってもらう。そういう未来が良い」

 

 ヒナの目が鋭く光る。

 

「なら、貴方はここで排除する。先生のそばにいるには危険すぎる」

「できるの? 貴方に」

 

 シロコの言葉は挑発的だったが、ヒナは一歩も引かない。彼女の声には、揺るぎない決意が宿っていた。

 

「大切な人のためなら、私はどんな困難だって走破できる」

「それは私も同じこと、私の愛は負けない」

 

 二人の視線が交錯し、まるで火花が散るかのように空気が震えた。

 そして、衝突――。

  空崎ヒナは何度もシロコ・テラーに吹き飛ばされる。彼女の神秘を帯びた攻撃は、シロコ・テラーの滅奏エネルギーによって次々と無効化される。

 

 純粋な火力勝負を挑むヒナにとって、シロコ・テラーの力は相性最悪の壁だった。 どれだけ過剰な出力を放っても、シロコ・テラーはそれを全て飲み込み、消し去る。

 

 短期決戦で一撃に全てを賭ける――それが唯一の勝機だとヒナは知っていた。だが、できない。

 

「当たり前の結論。こっちには先生がいる。私を倒すことができても、先生が傷ついたら本末転倒。だから、できない」

 

 ヒナの言葉に、シロコ・テラーの唇がわずかに歪む。

 

(勝った)

 

 その瞬間――。 轟音とともに、シロコ・テラーの後頭部に強烈なエネルギーが叩きつけられた。

 

「光よ」

 

 爆音が響き、まるで宇宙戦艦の主砲を思わせる超火力の砲撃がシロコ・テラーを直撃する。爆炎が巻き上がり、空間そのものが揺れる。 その中心に、アリスが立っていた。彼女の腕には、先生がしっかりと抱きかかえられている。

 

「先生、お待たせしました!  勇者の凱旋です!」

 

 その声は、まるでRPGの主人公を気取るかのように明るく、場違いなほど軽快だった。

 

「ありがとう、アリス。ヒナ!! ミレニアムで落ち合おう!」

「ええ、先生」

 

  先生とアリスがその場を離れるのを確認し、ヒナの瞳に新たな炎が宿る。全身に神秘エネルギーが渦巻き、まるで雷鳴のような唸りを上げる。

 

 瓦礫の山から、シロコ・テラーがゆっくりと身を起こす。その口元には、毒々しい笑みが浮かんでいた。

 

「やってくれる。先生も巻き添えとは」

 

  ヒナの声は冷たく、まるで氷の刃のようだった。

 

「これでフリーね。その傲慢を後悔しなさい」

「すぐ倒して、追いつく」

「行かせない」

 

 ヒナの過剰出力が炸裂し、空間を焼き尽くすようなエネルギーが放たれる。対するシロコ・テラーは、神秘を喰らい尽くす滅奏エネルギーを解き放つ。 二つの力が正面から激突する。

 

「勝つのは、私」

「私は、勝つ」

 

 その言葉は、まるで運命を賭けた宣誓のようだった。二人の決意が交差し、戦場はさらなる混沌へと突き進む。

 

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