異世界観光   作:爆乳女神抱き枕

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ユニクロへGO!

目覚ましの音で起き上がった俺はいつもと違う違和感に一瞬眉をひそめた。

 

なんか部屋が騒がしい?

 

 

寝ぼけ眼で部屋へ足を運ぶ。

 

「わぁぁ! これが噂に聞いたテレビというものですのね!? 箱の中に人がいますわ!!」

 

ああ、そういえば神様が寝てるんだった……。

 

「ええっと、それは中に人が入っているわけではなく、映像を映しているだけでして」

 

「なるほど! つまり幻術の一種ですのね! わたくし、理解しましたわ!」

 

理解してないんだけど、説明も面倒だからそういう事にしておこう。

 

デメトリアナ様はリモコンを両手で握り、カチカチ連打してチャンネルを変えている。

 

「 中々面白い物ですわ、こちらの世界の品々は色々あって飽きませんわねぇ。」

 

「暇してないみたいでよかったです」

 

そう言いつつ着替えを取って朝食の準備を始めた。

 

「とりあえず食事にしませんか?簡単な物になりますが用意致しますので。」

 

「それは非常に助かりますわ!僅かでも信仰が得られるのは助かりましてよ!」

 

「食事で信仰ですか?」

 

「あ、よくわかっておりませんのね? わたくしどもは神、実体を主とした存在ではありませんので食事自体は必要ありませんの、食べられますけども。

 

 それよりも食事を…こちら風にいいますと、お供えする?という事が大事ですのよ。

 

 神への捧げものという扱いになりますので、そこから信仰、つまり精神的なチカラ?のような物が得られますの」

 

「……なるほど。神様にとって食事は供物、というわけですか」

 

「そうですの! 人々が私を想い作った料理を供しお供えすれば、それがわたくしの力の糧になるのですわ」

 

「お供え物にはそんな意味が」

 

「まぁこちらの世界では形骸化しているのでしょうけれど、本来は神への感謝の捧げものですの、だからとても大事ですのよ!」

 

なんだか急に有り難みが増した気もするけどこの人が言うと軽く聞こえる。

 

「では、簡単で申し訳ないですが朝食を用意いたしますね。

パンとゆで卵、コーヒーくらいですが」

 

「まぁ!それだけで十分ですわ! 異世界の供物、楽しみでございますわね!」

 

冷蔵庫から材料を出して調理している間、デメトリアナはキッチンを興味津々で眺めている。

 

「わぁ!火を使わずに熱せられる鉄板!魔法の調理板ですわね!わたくしの世界にもございますわ!」

 

「それはIHクッキングヒーターと言いまして、まぁ魔法とは違う仕組みで動いてます、調理に使えるやつです」

「IH!覚えましたわ!しかしこれが魔法でなければなんなのでしょう?とても不思議ですわね!」

 

やがてテーブルに簡単な朝食を並べる、デメトリアナは目を輝かせて手を合わせた。

 

「こちらの世界の祈りの言葉はいただきます、でしたわね? では――いただきますわ!」

 

「ええ、どうぞ召し上がれ」

 

パンをかじる女神、その瞬間部屋の空気がふっと揺れた。

 

かすかに花の香りが漂い、観葉植物の葉がぴんと伸びた気がする。

 

「いま何か起きました?」

 

「ええ、僅かにですが信仰がわたくしに届きましたの、ありがたいことでございますわ!」

 

「……なるほど。こうやって力を取り戻していくんですね」

 

割とこう、敬意を払って適度に敬えば信仰とやらは回復していくのだろうか?なかなか興味深い。

 

「さて、今日はあちらの世界に向かいますわね?」

 

「はい、そう考えております」

 

「うんうん、良い事ですわ!」

 

デメトリアナは胸を張り、どこか誇らしげに頷いた。

 

「実はわたくし、昨日のことを反省いたしまして……段取りというものを考えてきましたのよ?」

 

「それは素晴らしいですね、して、どのような段取りを?」

 

「いきなり街の真ん中に現れると、不審者として扱われてしまうかもしれませんでしょう?」

 

「確かにそうですね」

 

「ですから! ちゃんと街の門を通って行くことにいたしましたの!」

 

「なるほど無難で良い作戦だと思います」

 

「どうです!? 神らしい知恵でしょう!」

 

「ええっと、いい感じだと思います、はい。」

 

「やはり! わたくし、できる女神!知力が美貌にもあふれ出てしまっておりますわね!」

 

おーっほっほっほと口に手を添えて高笑いをしている、リアルでこの笑い方してる人……いや神始めてみた、というかそれ言い出すと神様事態初めて見るんだけど。

 

「後は街に入るのに、門で衛兵に誰何されますのよ」

 

「やはりそうなりますか」

 

「ええ。何しに来たのかとか、どこの誰かとか、そういうことを訊かれるのですわ」

 

「なるほど。それは当然の手続きですね」

 

「ですわね!」

 

そこでデメトリアナは満面の笑みを浮かべ、胸を張ってこう言った。

 

「ですので! そのときは胸を張って『観光に来ました!』と答えればよろしいのですわ!」

 

「観光に、ですか?

 

「そうですの! 嘘をつく必要はありませんもの!」

 

「いや、まぁ正直であること自体は悪くありませんが観光客ってそんなに一般的なんですか?」

 

中世くらいの世界感に思えたし、そういった時代では生活が苦しく観光なんてしている余裕がなかったり、そもそも地元から移動する事が許されていない事が多いのでは?

 

「えーと、あまり聞いたことはありませんわね?でもほら!わたくしが一緒にいますから何も問題ありませんの!」

 

なんといってもわたくし神様ですので!と胸を張っているデメトリアナ様。

 

「あの、失礼な発言をお許しください、侮辱の意図はないんですけど、忘れられて信仰がなくなった神様ですよね?門兵に神様だって説明して、なんかこう、トラブルが起きませんか?」

 

「あっ」

 

絶対に今思い出した顔してる なんとも言えない沈黙が場に流れる、困った顔をしつつひとつの提案をしてみた。

 

「えーっとじゃあ何をしに来たと聞かれたら商売をしに来たと答えるのはどうでしょうか?どうせ街で使えるお金を稼ぐ必要がありますし、問題ありますかね?」

 

「それ!それですわ!中々良い案をお出しになりますわね!あなたさては相当賢いですわね!?」

 

いや、当然の判断じゃないかなと思ったけど、褒められてるから否定はしないでおく

 

「後は身分というか仕事は……行商人でよろしいですわね!」

 

「そういうのって勝手に名乗っていいんですか?」

 

「行商人なら何の問題もありませんですの!」

 

ともすれば後は商品を持ってれば怪しまれずに入れそうかな?

 

「そしたら後は持ち込む商品ですかね?何を持っていったら良いと思いますか?」

 

「まぁまぁ、こちらの優れた品を持ち込めば、そんなに苦労はいたしませんわ!」

 

うーんアバウトすぎてちょっと不安になってきたぞ

 

「具体的にどういう品を持っていけば儲かると思いますか?」

 

「それなのですが……わたくし、こちらの世界のことは実はあまり詳しくないのですの」

 

「え?いや、こっちのほうが優れてるとか言ってましたし、そこらへんはもう十分ご存知なのかと思ってました」

 

「外を見てみなさいな、街燈、整備された道、背の高い建物、四輪で馬いらずで動く馬車、あなたが昨日見た異世界と比べて優れている所が一目でわかりますわ。」

 

なるほど、そういった所で判断してたから具体的にはどんな道具があるかわからないという事か。

 

「ですので、あちらでも売れる物を二人で一緒に探しにいきませんこと?」

 

「おお、まさかデートのお誘いを頂けるとは」

 

「はい、特別にあなたにエスコートする権利を与えて差し上げましてよ?」

 

「それは恐悦至極にございます」

 

なんて冗談染みたやり取りをして二人で笑いあった。

 

「一緒に出かけるのは光栄なのですが、神様、その格好だと少し問題が起きてしまいそうです」

 

「まぁ! わたくしのこの装いに問題がございますの?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「デメトリアナ様のお姿を引き立てる良い恰好だと思うのですが日常向けの恰好ではないかと」

 

「ああなるほど、TPOに合わないという事ですわね?」

 

「はい、パーティ等の晴れ舞台であれば正しく最高のお姿かと思いますが普段使いされるには少しセクシーすぎるかと」

 

「こちらの世界の慣習というものですわね」

 

「はい、ですのでまずは服を整えましょう、ユニクロに行きたいと思います」

 

「ユニクロとはなんです?」

 

「服屋ですね、品質が良い物が安く買えるのです」

 

「なるほど?私に献上してくれるという事ですわね?楽しみですわ!」

 

そんなこんなで大き目のパーカーを来た女神様を連れて車に乗り込みユニクロへと出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして訪れたユニクロ店内の色とりどりの服を見てデメトリアナの目が輝く。

 

「まぁぁ! なんと均整の取れた衣装の数々!これだけ均一に素晴らしい服を作れるとはかなりの職人ですわね!?

 

見てくださいまし、この縫製の乱れの無い事、とんでもない実力ですわ!?」

 

「ミシンで縫ってますから……ってそちらにミシンは無さそうですね」

 

「ミシン?よくわかりませんが…ほぼすべての縫製がここまで細かく完璧だとため息がでますね……素晴らしい職人技ですわ!

これだけの品がお安いんですの?新品でこの出来なら相当なお値段なのではありませんこと?」

 

「2000円くらいですかね?あー……2時間くらい仕事すればだれでも一着は買えるくらいの値段です」

 

「こちらの世界でこれを買おうとしたらいったいどれだけ働く事になるやらわかりませんわ、やはりこちらの世界とは差がありますわね」

 

「まぁなんにせよ気に入って頂けたようで何よりです、お好きな物を購入してください」

 

「あなたの寄進に感謝致しますわ!ではお言葉に甘えてわたくしに似合う服を選ばせて頂きまますわね」

 

そういってデメトリアナはTシャツを手に取り、鏡に当ててみる。 女性の服選び、これは長くなりそうだ。

 

Tシャツ、ブラウス、カーディガン、ジーンズ……。

デメトリアナは次々と手に取り、鏡の前に立ち、楽しげにポーズを決めている。

 

「どうかしら? わたくしに似合いますか?」

 

「ええ、どれもお似合いです」

 

「なんか適当じゃありません事?」

 

「適当になんか答えてませんよ、デメトリアナ様は元が非常に素晴らしいので何を着ても凛々しいか美しいという反応になってしまって」

 

「まぁ!お世辞だとしても嬉しい物ですわね」

 

「お世辞なんかじゃありませんよ、本心ですって」

 

「ふふふ、そういう事にしておきましょう」

 

そういってデメトリアナ様は再度服を選びに戻った。

 

「あぁ、ユニクロ……偉大ですわね!」

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