異世界観光 作:爆乳女神抱き枕
家に帰って早速買ってきた物を鞄に詰め込んでみる、マッチを詰めてもそれなりに隙間があるので買い置きの袋麺をいくつか詰めたらパンパンになった。
よし、これで準備完了だ、朝からユニクロと100円ショップに行き正午前には買い物も終わって帰宅する事ができた。
「うっ、やっぱり600個はかさばりますね」
「でも行商人らしくてよろしいではありませんの! これだけ荷物を持って堂々としていれば誰も怪しみませんわ!」
「だといいんですけど」
準備が整い、いよいよ自宅の隅に立つ古びた扉の前へ。
デメトリアナは誇らしげに胸を張り、くるりと振り返る。
「では――参りましょうか!」
「ええ、行きましょう!」
ぎぃ、と扉を押し開けると、眩い光が溢れ出す。
一歩踏み込んだ瞬間、空気が変わり―― 次に目にしたのは石畳の道と石の城門、行き交う人々は見慣れぬ服を纏い、荷車を押す商人の声が飛び交っていた。
馬の嘶き、草の匂い、そして――胸が高鳴るような非日常のざわめき。
「ようこそ、異世界へ! ですわ!」
「本当に来ちゃったなぁ」
さて、ここからが本番だ。
異世界の土がむき出しの街道を歩いていく、遠くに城門は見えているのでそちらに向かって一歩ずつ進む。
隣でデメトリアナ様はやけに楽しそうでスキップでもしそうな勢いだ。
俺はかさばる鞄を背負い直し、土煙の舞う街道を一歩踏み出す。
「流石にマッチでも数が多いとそこそこ邪魔ですね」
「まぁ!商材を抱えて歩く姿は行商人らしくて素晴らしいですわよ!堂々と胸を張りなさいませ!」
「胸を張るのはなかなか難しいですよ」
馬車に追い越され、旅人に横目で見られながらも、俺たちはゆっくりと街へと歩を進めた。
「そういえばこの先の街はなんという場所なんですか?どういう場所かも教えて頂けるとありがたいです。
「あれ、お話しておりませんでした?この先の街はグランツェルクロイツェン!長いのでみなさんグラクロと呼んでおりますわ! 」
「グランツェルクロイツェンですかなんか壮大な感じがする名前ですね」
「ええ、実際に大きな街ですわよ、具体的にこの街について説明いたしますと、大国同士の国境の狭間に山脈がございますの。
この大山脈の真ん中には山脈の切れ目がありまして、其処には低地ゆえに山々から流れ込む多くの川を利用した水運、山脈の切れ目を通る人々、山からは鉱石が運ばれ、大国同士の物資のやり取りがこの場所を通して行われておりますのよ!
また低地ゆえに水が溜まりやすい環境で綺麗な泉もございますの!
反面多くの水が流れ込むうえに水の逃げ場がありませんのでよく洪水なんかもおきますわね。
それゆえに水害を避ける為の独特な建築も行われておりまして、観光名所としても名高いのですわ!そうじて色々な人が行き交う巨大な交易都市ですのよ!」
「なるほど、凄い都市なんですねぇ。観光が今から楽しみです」
やがて城壁のそびえる街に辿り着いた。
分厚い石の門の前には数人の衛兵が立ち行き交う人々を監視している。
荷車を引く商人や旅人が列を作り順に門をくぐっていた。
「ちょっと緊張しますね」
「堂々となさいませ、あなたはわたくしの信徒で立派な行商人ですわ!」
「そういう設定でしたね」
列が進みついに自分たちの番になった。
衛兵が手にクリップボードを持ちながら、めんどくさそうな顔してやってくる。
「はいじゃあ次の人~!何をしに来たかを述べてくださーい」
「わたくし共は旅の行商人ですわ!今日は街で商品を売るつもりですの!」
「その背負い鞄が商品かい?見た目は…貧民とかじゃなさそうだ、その恰好はリューツ当たりの新しい流行りかい?仕立ての良い服だね。
ま、特に問題なしにチェックを入れてと……で、商売に来たの?じゃあ荷物を改めてさせて貰うよ?
ご禁制の品とかあると不味いからね、あと行商人は商品の1割分の代金が入街税になるから準備しといてね」
そういって背負い鞄を渡すようにジェスチャーで促されたのでリュックサックを渡した。
「はいどうぞ」
衛兵は背負い鞄をおろし蓋を開けた。
開けて中身を調べると中には紙箱に詰められた大量のマッチの束が入っている。
「これは何だい?俺の知らない物だなぁ」
「“マッチ”といって、すぐに火を点けられる道具です。」
「へぇ、どうやって使うんだい?」
聞かれたので目の前でマッチを擦って火を付けて見せた、パチッと小さな炎が灯る。
「おお!こいつは便利そうだな!」
「ええ、とても! 旅や調理にも重宝するはずですわ!」
「なるほどなぁ、とりあえずヤバいご禁制じゃなくて火付け道具ってのは本当みたいだ。」
衛兵は感心したように頷き鞄を閉じると困ったように笑った。
「さて、規定だと売値の1割分のお金を貰うんだけど、これいくらくらいか俺じゃ相場わかんなくて査定できないな……どのくらいで売るつもりだ?」
「金貨3~5枚くらいで考えてます」
「そっかぁ、まぁ火付けの道具っていうならそんなもんかな」
担当者がうーんと唸っている、税の額をどうしようか悩んでいるのだろうか?
「えっと、すいません前の街で珍しい商品を見つけて仕入れにお金を使いすぎてしまって、実は手持ちがあんまりなくて……こちら申し訳ないんですけど物納ではダメでしょうか?」
「おっと、逆に助かるねぇ?俺じゃ値段わからんし、わからん物の1割なんて取りようがないからどうしたもんかと思ってたんだよ。
これなら便利に使えそうだし金貨5枚くらいなら、まぁ全部俺が買い取ってお金出しても使い道ありそうだしな、そっちのが助かるわ。
よっしじゃあ……何箱だこれ?相当あんな、じゃあ悪いけど適当に……六個1セットなんだな、じゃあ10セット貰っていってもいいか?」
「ええ、それでよければ」
手際よく納税分の商品を並べてこれだけ取るぞ、問題ないな?と確認された、問題ないと答えたら門兵の後ろにある箱にすぐ突っ込まれた。
「よっしじゃあチェック終了だ、これわたしとくぞ?入街税納入証明書だ。
無くすなよ?それがお前さんが正規ルートで入った照明だからな。
衛兵になんか言われたらそれ見せて正規ルートでちゃんと入りましたって言え、で、入街の担当官の名前として俺の名も入ってるから問題があれば俺にも聞き取りとかがある、
なんで怪しいやつ入れたって詰められるのは面倒だからな、問題起こすなよ!よし、行っていいぞ!」
「ありがとうございました!」
「金取られて礼を言うとは変なやつだよ」