異世界観光   作:爆乳女神抱き枕

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観光へGO!

「いやー……ほんと売れましたねぇ。こんな短時間で売り切れるとは」

 

「本当によく売れましたわね! 中々のお点前でしたわ!」

 

デメトリアナは満足げに頷き、両手をぱんっと合わせる。

 

「では、大金貨の数を数えてみましょうか!」

 

「いやーなかなか厳しいんじゃないですかね」

 

金貨を入れる袋が無くて困っていたら近くで売っていた布屋の人が即席で作ってくれたのを売ってくれた簡易な袋に硬貨を全て詰めているが普通にとんでもない量が入ってるのがわかる、これを1から数えるのは相当な苦労だ。

 

それにマッチ箱を大体500箱売ったので、会計に間違いが無ければ大体金貨2,500(25万円)枚相当のはずだ。

 

「見てくださいよこの数、ちょっと今すぐ数えるってのはキツいですよ」

 

「すごいですわねぇ! ざくざくですわ!」

 

「多分全部で――大体大金貨2500枚くらいになるかと」

 

「2500枚!? まぁぁ! これは一財産ではございませんか!」

 

元手が一万ちょっとくらいでこっちの世界の25万円相当の稼ぎはヤバい、というか金貨を沢山持ってるだけでなんかドキドキする。

 

「一杯稼いだ喜びとかお金をどう使うかとか色々あるんですけど、とりあえず顔役さんに挨拶して一旦市場を後にしませんか?」

 

「そうですわね、商品ももう無いですし一旦挨拶をして帰りましょうか」

 

二人で市場の顔役・デメージの元へ向かう。

 

俺の両手には、売上の大金貨をぎっしり詰め込んだ袋、その重みが今日の成果を物語っていた。

 

「おう、にーちゃん! 顔色見りゃわかるぜ、売れたな?」

 

「ええ、おかげさまで完売しました」

 

「ははっ、やるじゃねぇか! 最初からこれだけ売れる奴もそういねぇぞ、明日からもその調子で頑張れよ!」

 

「ありがとうございます。本日はこれで引き上げたいと思います。」

 

「おう、また来な!」

 

深く頭を下げ、デメージに別れを告げる。

 

そして街の人がいない場所に移動し、女神様に扉を出して貰った。

 

扉をくぐり抜けた先にはいつもの日本の自室に見慣れた天井、埃っぽいカーペット、机の上に置きっぱなしのマグカップ。

 

「……ああ、帰ってきた」

 

「ふふっ、異世界での初商売は大成功でしたわね!」

 

 隣でデメトリアナが誇らしげに微笑む。

 

 俺はその笑顔に苦笑を返し袋を机に置いた。

 

 まだ異世界でマッチを売っただけだが、非日常感があって楽しかった。

 

 これからまた稼いだお金で観光をして歩き回って、考えるだけで心が躍る。

 

 ひと段落したら急におなかが減ってきた、朝食を食べてユニクロと100円ショップを巡り、異世界でのマッチ販売をしての帰宅、といってもマッチがさっさとはけたのでまだ午後三時程ではある、遅めの昼食にはいい時間だ。

 

「とりあえずおなか減りましたね、神様はどうです?」

 

「あら、わたくしですの?先ほども申しました通り神に食事は要りませんの、ですが楽しむ事はできますわ!ご相伴に預かれるのなら、嬉しいですわね?」

 

「では初観光という事であちらで食べてみたいんですがどうでしょうか?」

 

「良いですわね!ではまた扉を開きましょうか!」

 

 二人で街中の人気のない場所に出て其処からお店を探す事になった。

 

しかし初めての街歩き、色々歩いてみたが当然飲食店の場所が全然場所がわからない。

 

偶然通りかかった人に声を掛けて聞いてみる事にした。

 

ちょっとくたびれた服の12~14くらいの子供だ、旅装ってわけでもないし、地元民かなと思い声を掛けた。

 

「すいませーん、このあたりで飯屋を探してるんですけど、良い店をご存じじゃないですか?」

 

声を掛けられた相手は足をとめ、くるりと振り向いて答えた。

 

「おー?兄ちゃんらこの街は不慣れか?まぁ俺に声かけたのは正解だな、俺は生まれも育ちもここだからよ、それなりに詳しいぜ?まぁ只じゃ働いてやらんけどな!というわけで銀貨一枚!……は流石にボリすぎだわな、まぁ飯処に案内するだけなら金貨5枚でいいぜ?」

 

ええっと、五百円くらいか。 まぁ連れて行ってもらえるならぼったくりって程じゃないかな?

 

「安いですわ! 地元ガイドがついて5枚というのは破格じゃありませんの!」

 

「そうですねー、このまま迷って微妙な飯屋に入るくらいなら彼のおススメに入ったほうがよさそうです」

 

そういいつつ大金貨5枚を渡す。

 

リオットは器用にそれを指先で弾き、懐にしまい込む。

 

「へっ、話が早いじゃねぇか!よし、今日一日はオレが案内人だ、名前はリオット、みんなからはリオって呼ばれてる」

 

「よろしくお願いします、リオット君」

 

「まぁ! 小さな導き手ですわね! 豊穣の加護があなたにも訪れますように!」

 

「あー、姉ちゃんは宗教家とかか?」

 

「神様ですわ!」

 

「あー……そういう系な?はいはい」

 

リオットは懐に金貨をしまい込むと、顎をしゃくった。

 

「じゃあ飯だな?うまい店に案内してやるぜ」

 

そう言ってから、こちらをちらりと見上げる。

 

「ただよ、お前はどういう店がいいんだ? 高級なとこで洒落込むか、値段の割に腹いっぱい食えるとこか、屋台で食べ歩きか……いろいろあるだろ? 要望を言ってみな」

 

「え、要望」

 

急に振られて戸惑う俺、なんかよさそうな店があったら入ってみようくらいにしか考えて無かった、要望……なんだろう?地元の名産食べられる所とか?

 

そんな事をつらつらと考えている間にデメトリアナがぱっと手を挙げる。

 

「豪華な料理! 肉! 肉がたっぷりですわ!」

 

「神様、即答ですね」

 

「当然ですわ! わたくしは豊穣の女神、実り豊かな肉料理こそ相応しいのです!」

 

「ハッハッハ!分かりやすくていいな!じゃあ兄ちゃんの予算はどうなんだ?少ないなら屋台とか、豪遊すんならうまい店を案内すっけどよ」

 

「んー……今日一日の稼ぎがえー……銀貨換算で25枚(25万円)くらいだから、銀貨3枚(三万円)くらいを上限でいいかな?」

 

「まぁ物価もわからないし、これじゃ足りないっていうなら銀貨で10枚くらいなら出せなくはないけど……」

 

俺は小袋の中を確認しながら言葉を続けた。

 

「そうだな、せっかくの観光ですし。銀貨3枚――(三万円)くらいまでを上限にして、今日は豪遊しちゃいましょうか?」

 

「ぎっ……銀貨3枚!?」

 

リオットの目が丸くなる。 「おいおい、マジかよ!? 銀貨3枚あれば普通の家族が1月は食っていけるぜ!?観光でそんな金出す奴なんざ見たことねぇ!」

 

「まぁ! なんと太っ腹! さすがはわたくしの信徒ですわ!」

 

デメトリアナが両手を叩いて大喜びする。

 

「お、おい……マジでいいのか? 本当に……豪遊するんだな?」

 

「ええ、今日くらいは楽しんでみようかと」

 

こっそりリオットに女に見栄張ってんのか?なんなら内装は高級そうだけど値段はそれほどでもない店も案内できるぜ?と耳打ちされたが、そういうわけじゃないから本当にお高めの店で大丈夫と伝えた。

 

そう伝えられたリオットはにやりと口元を歪め目を輝かせた。

 

「へっ……いいぜ。任せな! グラクロで最高の食い物と飲み物出してる所に案内してやるよ!」

 

そういって自分たちの先頭に立って歩き出したので慌てて追いかけた。

 

「そんだけ金出せるならいい場所あるぜ!宿屋のヤマネコって店なんだけどよ、ここ実は止まってなくても食堂が使えるんだわ! ここの特別コースが銅貨8枚らしいんだけどよ、食ったやつはみんな絶賛してたぜ? まぁ高すぎて俺は食った事ねぇけどな、評判は凄く良い。

ここいらでとれる山鹿の貴重な部位をローストしたロースト…なんちゃら?ってのが特別うまいらしくてな!食った奴はみんな絶賛してたぜ!」

 

「ロースト……なんちゃら?」

 

「まぁ! 美味しそうですわね!」

 

「まぁでも高いのに地元民にそれだけ絶賛されてるって事は絶対うまいやつですよそれ、かなり楽しみになってきますね」

 

先導するリオットの背を追いながら歩く。

 

……しかし独特な街並みだなぁ

 

道の両脇に並ぶ家々は、どれも一階部分がぽっかり空いていて、その上に住居や店舗が乗っているような造りだ。

 

言うなれば一階が全部駐車場で二階から住むタイプの家。

 

レンガを積んだだけの地に根を張った建物なんて、一つも見当たらない。

 

「なぁリオット、この街の家って、なんでこんなに床が高いんだ?」

 

俺の問いに、前を歩いていた少年が片手をひらひらさせる。

 

「そりゃ決まってんだろ。水だよ、水!この街は山に囲まれた低地だからな、ちょっと雨が続くとすぐに山から水が出て川が溢れるんだ。だから家を地面に建てると一発で浸かっちまう」

 

「なるほど、水害対策かぁ」

 

「おう、あの辺の柱見てみろよ」

 

リオットが顎で示した先、立派な木造の建物を支える石柱には水で削られた跡が段になって残っていた。

 

「下んとこ、色が変わってんだろ? あそこまで水が来たことがあるって証拠だ」

 

自分の身長より高い場所の柱は確かに色が変わっていた。

 

「えぇ……こんな高さまで?」

 

「そういう街なんだよ、ここは。だから住むのは二階から、店や倉庫は一階に置いて“沈むの前提”だ」

 

彼は肩をすくめて笑う。

「慣れたらどうってことねぇさ。水と付き合うのも、この街の生き方ってやつだな」

 

「なるほど、苦労が多そうだ」

 

「いんや、そうでもないんだぜ?」

 

「というと?」

 

「川が溢れる程水が流れてるって事は他所みたいに水が無くて困る事ってのはほとんどねぇし、それにほら、周りみてみろよ、橋だらけだろ?橋の下には何がある?」

 

そう言われて気になりのぞき込むと小さな船が停留していた。

 

「船があるね」

 

「そうだ、その船でこの街の中なら大体何処でもいけるぜ?山で取った重い鉱石も川に流して運べば一発でここまで持ってこられる。

この街じゃ引っ越しする時も、商品運ぶ時も、魚を取るにも、涼むのも、水を取るのも全部目の前の川頼りだからな。

他の街じゃこうはいかねぇだろ?これこそが水運と物流と鉱山の街グラクロだぜ。

 

ま、そんな話をしてたら目的地に到着だ、初めてだったけどよ、俺って観光案内も結構うまいのかもな?まっ何にせようまい飯を楽しんでくるんだな!」

 

「いやー、話が面白すぎてもうちょっと聞いていたいくらいだよ」

 

俺はにやりと笑い、隣の女神様に目を向ける。

 

「そうだ、女神様! 彼の分の食事を奢る代わりに、この街についてもっと語ってもらうってのはどうでしょう?」

 

「まぁ! 良い考えですわね!」

 

デメトリアナはぱんっと手を打って微笑む。

 

「わたくしもそれほどこの街に詳しいわけではありませんし、面白そうですわ!」

 

「お、おいおい……本気で言ってんのか? 今のなんて、ただの素人語りだぞ?」

 

リオットは頭をかきながら気まずそうに目をそらす。

 

「その素人語りが面白かったんですからしょうがないんです」

 

俺が真顔で言うとリオットは目を瞬かせた。

 

「……へっ。そうまで言われちゃ悪い気はしねーけどよぉ」

 

それでもまだ逡巡するようにちらりと店の看板を見上げる。

 

「でもさっきも言ったけどここすげぇ高いんだぜ? 流石に無理だろ」

 

「いえ、予算は銀貨三枚ですので三人分くらい全然平気ですよ」

 

「……カーッ!」

 

リオットは口笛でも吹きそうな勢いで天を仰ぎ、大げさに頭をかいた。

 

「そうまで言われて断ったら、流石に失礼になっちまうな!第一俺だって一度は食ってみてぇと思ってたし!」

 

「でしたら一緒に食べましょう!楽しい食卓を多くの人で囲むのはいつだって素晴らしい事ですわ!」

 

デメトリアナが上機嫌に笑い、俺も頷く。

 

「じゃあ決まりですね、一緒に入りましょうか」

 

リオットはにやりと笑って、胸を張った。

 

「へっ、ありがとな! よっしゃ、腹いっぱい食うぞ!」

 

扉の奥からは、香ばしい肉の匂いと賑やかな笑い声。

 

俺たちは三人並んで、期待に胸を弾ませながら店の中へと足を踏み入れた――。

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