夜のロズワール邸。
アベルのために割り当てられた客室に、アベルとスバル、両者が机を囲んで座っていた。
部屋の隅には小さな熊のぬいぐるみのような見た目の獣人──グルービーが退屈そうに欠伸をしている。
スバルがわざわざアベルの部屋に赴いた理由は、ここに来るまでの経緯を共有するためだ。
パンドラと戦い、気が付けばここにいたこと。この世界はスバルの知る世界とは全く違う世界であること。
話すべきことは多く、アベルはスバルの言葉に時折相槌を打つのに徹していた。
だがスバルがエキドナと友達になった下りを話した辺りで充分だと判断したのか、アベルはそこで強制的にスバルの話を止めた。
「──大方理解した。虚飾の魔女が生きていたとはな……王城では何があった?」
「詳しい情報はまだ来てなかったか? 王選の開幕と同時に大罪司教3人と腸狩りが攻めて来たんだよ」
「また魔女教か。つくづくこの国は魔女教徒に愛されているな」
嫉妬の魔女が封印されていることを考えれば、魔女教の活動拠点になるのは仕方ない面もある。
だがそれにしても王国国内での魔女教が起こす犯罪の数は計り知れない。
隣国の帝国も、レグルスによって九神将の内の一将が落とされているなど被害は被っているが、王国に比べればまだマシというのがアベルの認識だ。
「全然嬉しくねーけどな。そっちはなんか変化あったか?」
「基本的には昼間話した内容でほぼすべてだ。少なくとも帝国内で俺以外にお前を覚えている者はいない」
「……そうか」
王国ほどではないが、帝国で仲良くなった人間は数多くいる。
剣奴孤島の面々や九神将絡みの人々、それ以外にも顔見知りまで含めれば、喪失感を覚えるには充分な数だ。
いよいよもって記憶持ちの選定基準が分からず悩むスバルだが、そんな姿を見てアベルが勘違いしたのか思わぬ助言を口にした。
「セシルスらには下手に会わぬほうがいいだろうな。記憶を取り戻せばいいが、変な勘違いをされれば面倒な事になるぞ」
九神将筆頭、第一将の青き雷光セシルス・セグムント。
二振りの魔剣を所持し、ラインハルトやハリベルと同じくこの世界の理の外側に立つ男。
戦闘能力も目を見張るものがあるが、何よりも問題なのはその性格だ。
スバルに言わせてみれば世界一の気分屋で、彼の中の価値基準はスバルでは正確に測ることもできず、その気まぐれに任せるしかない。
確かにセシルスを戦力として数えられるようになれば、今後の問題の大部分はマシになるだろう。
だが、そのためにどれだけの問題が積み上がっているかを考えると、スバルとて容易に手を出そうとは思えなかった。
「まぁそれはそうだよな。いまんところこれで記憶持ちは4……いや5人か」
レムやベアトリス。メィリィに加えて、アベルと直接話はしていないがフレデリカ。
直接踏み込んだ話はしていないものの確定しているのはこの辺りであり、ここからどれだけ増えるかは未だ未知数だ。
少なくともあらかたの王国関係者とは話をしたので、あるとすれば他の国の人間か──
「敵対勢力に記憶を保持している者や、記憶があること自体を隠している者も含めれば、まだここから増えるだろうな」
「魔女教の奴らは少なくとも記憶なさそうだったけど、新しく傲慢の大罪司教が追加されていた。今回の王城襲撃を裏で手引きしたのもそいつみたいだしな」
「傲慢の? 俺の記憶が確かなら傲慢の大罪司教は存在しえぬはずだが」
そう言いながら、アベルは鋭い視線をスバルに向ける。
その目は『どういう事だ』と問いただすような視線であり、そんな視線を向けられても、というのがスバルの率直な感想だ。
それにスバルにとっては記憶保持者についてもそうだが、もう一つ別の問題もあった。
「それが出てきたんだから仕方ないだろ、オレもびっくりだよ。アルも居なくなってるし、いまのところは周りであんまり人が減ったって話は聞かないけど、ちゃんと確認できてるのはこの屋敷に居る面子と王選の間にいた面子くらいだな。パトラッシュが居るか心配で夜も眠れねぇ」
「あの地龍か。記憶の保持者は分からぬが、この世から消え、あるいは増えた者達には大きな共通点が存在する。考えればすぐに分かろう」
スバルが知る限り、増えたのはエキドナをはじめとした魔女達で、消えたのは今のところアルだけだ。
仮にいま増えて消えた面子だけが大きな理由なのだとすれば、それらが持つ共通項は一つしかない。
「──魔女因子か?」
アルデバランは持っていた。
多くを語るべくもないが、少なくともそれは確かな事実。
己と同じく、一人のために己の命すら投げ打つ傲慢。その生き様をスバルは否定することなどできるはずもなかった。
彼についての考察はここで終わり。
次にしなければならないのはその理由を探すことだ。
「そうだ。であるならばアルデバランが消えた理由も、そう言う事なのであろうな」
「だけどそれはおかしいだろ? それなら大罪司教達だって消えていないとおかしいはずだ」
「何もおかしくはない。この世界に元より存在していたあれらとは違い、貴様もアルデバランも大瀑布の向こう側から来た存在──この世界にとっては異物よ。存在自体が不安定なものが世界のルールに反したとなれば、消えるのは道理よな」
ならばナツキ・スバルはどうなのか。
同じく魔女因子を持つ自分が、なぜ消えずにいるのか。
分からないことは多いが、アベルの口にした推論が真実なのだと、スバルの直感が指し示していた。
「少なくともあの男とやり合うのは二度とごめんだ」
忌々しげな表情でそんなことを口にするアベルの姿は、珍しく尻込みしているようにも見えた。
スバルはそんなアベルの言葉に肯定も否定もできない。
出来るのは話題の先をほんの少しくらいずらすことだけだ。
「だけどそうすっと、あの子の護衛はどうするんだ?」
言葉足らずなスバルだが、それでもアベルはその言葉の意味を汲み取ってみせる。
両者の脳裏に思い浮かぶのは赤い衣を身に纏った苛烈な女だ。
そしてスバルの問いかけに対し、アベルは長い沈黙を重ねた上で掠れ気味の声で答えた。
「………………なんのためにグルービーを連れてきたと思ってる」
「お前仮にも九神将に何させようとしてんだよ!」
妹のお守りのために国の最高戦力を運用しようなど、かつてのアベルであれば考えても絶対に実行しなかっただろう。
だが数々の経験を経て、失うことの意味とその辛さを思い知ったアベルは、やり直せてしまった今、その想いが抑えきれなくなったのだろう。
そんなアベルの姿にどことなく嬉しさも感じつつ、それでも九神将が王国で護衛として歩き回るのは流石にまずいだろうとスバルは言葉を挟んだ。
それに対して文句をつけたのは、当の本人であるグルービーだ。
「クソうるせぇな。皇帝陛下がそう言うんだったら、俺らはクソそれに従うだけだ、外野がクソ口挟むんじゃねぇ」
先程まではスバルとアベルの会話に一言も口を挟まず、自分は壁だと言わんばかりの雰囲気を醸し出していたグルービー。
だが己が皇帝に任されるだろう仕事を外野が邪魔したとなれば、彼の持つ怒りはごもっともだといえた。
とはいえスバルから言わせてみればそんな彼の考えは正直帝国の思想に偏りすぎである。
「外野じゃねぇよ、関係者。あと冷静に考えて、王都に他国の将軍がいたら大事件だろ」
「……そんなもんクソ変装すりゃなんとかなるだろ」
「ラインハルトに見抜かれて強制送還させられるのがオチだよ。ましてやいまの王都の警戒度合いを考えたら、ロズワールの領地から外に出るだけで大事件だぜ?」
戦闘になるかはアベルの態度次第だが、見つかれば確実に面倒なことになるだろう。
この領地の中でならロズワールが握り潰せるかもしれないが、傲慢不遜なプリシラは敵も多いので、付け入る隙は無くしておくべきだ。
アベルもそんな事を頭で理解していないわけがなく、スバルの言葉に忌々しそうな顔をしながらも頷いた。
「その辺りはこちらで処理をしておく。それよりナツキ・スバル、あの半魔の転換期はどこだ?」
「エミリアな。転換期ってなんの?」
「王として自立したキッカケだ。少なくとも俺が会った時……エミリアは少なくとも己の足で立っていた。自らの出来ることを理解し、他者を見る事ができていた」
アベルが王に求めるものは二つある。
他者に揺さぶられることのない絶対の価値観と、他者からの思いを背負い立つこと。
前者は言わずもがなアベルが生来持つものであり、後者は大厄災以来ずっと大切だと思い続けていることでもある。
少なくとも初めてアベルがエミリアと会ったあの時──列車の中でアベルと言葉を交わしたエミリアは皇帝であるアベルを前にしても己の芯がブレることはなかった。
必要なもののために己の出来る最大限の努力をし、周囲の人間にその夢の後押しをさせたいと思わせるその立ち振る舞いはアベルとはまた違う王の姿だ。
その甘さはアベルからしてみれば癪に触ったが、それでもそんな甘い王がいてもいいのかもしれないとエミリアには思わされた。
だがいまのエミリアにはそんなかつての面影がどこにもない。
生まれ持ったものではなく、いまも持っていないのだとしたら、王として自立するためにスバルが何かをしたのだろう。
それがアベルの考えだ。
そしてスバルとて、その事について考えたことが無かったわけではない。
「性格のって意味なら、やっぱり聖域がらみだとは思うんだけど……」
少なくとも聖域での一件はエミリアを大きく変えた。
パックに依存していた彼女を独り立ちさせ、自らの過去と向き合い未来を見据えて歩みだすためのあの試練は、辛く苦しいものではあったが彼女の転換期であったことに間違いはないだろう。
「フム。俺はその辺り詳しく知らんが、再現性はあるのか?」
「ねぇよ。正直あれはかなりの荒療治だったし、いまのエミリアが同じ人生を歩んでいるかも分かんねぇから下手なことは出来ねぇよ」
「であるならやはり外圧でもって自立を促す他なしか」
アベルが口にした外圧。それは彼自身がエミリアに対して、王とは何たるかを自覚させることだ。
確かにいまのエミリアに対して王としての意識を持たせる上で、アベルはこれ以上ない適任だろうが。
だがスバルからしてみればなぜアベルがそこまでしてくれるのかが理解できなかった。
少なくともスバルの認識ではアベルとエミリアは対等な立場ではあったものの、そこまで積極的に仲を深めているようなところは見たことがない。
スバルに仕事を任せたいだけであれば他の方法などいくらでも用意できるはずだ。不思議に思ったスバルはアベルに問いかける。
「オレが聞くのも変だけど、なんでそこまでしてくれるんだ?」
そんなスバルの言葉に、アベルは心底嫌そうな顔をした。
気軽に人の領域に踏み込んでくるスバルの行動に不快感を覚えるアベルだったが、いまさらそんな事を指摘したところで目の前の人間が変わるはずもない。
理由を説明せずに流すこともできるだろうが、口で説明できることであればしておいた方が後が楽だと自分に言い聞かせてアベルは口を開いた。
「………………妹の恩がある。国が救われた恩がある、共に戦った記憶がある。今後の世界でお前が折れずに過ごすためにも、エミリアの成長は急務だ。だからこそ俺の貴重な時間を割くと言っている」
この世界ではもはや存在しない恩義であろうと、一度受けた恩は必ず返す。
それがアベルの考えだ。
スバルとてそんな事は欠片も気にしていなかったのに、そのためにわざわざ長期滞在のリスクを負ってくれるアベルのありようは、初めて会った時には考えられなかったものだ。
気が付けばいつの間にか笑みがこぼれていたスバルは、立ち上がるとアベルの肩に手をかけ、可愛い奴めとばかりに笑って揺さぶる。
「やっぱお前は良いやつだなぁ、アベル」
ふらふらとスバルによって揺さぶられるアベル。
そんな彼の額に大きな青い筋が浮かんでいるのを、残念なことにスバルは見逃してしまった。
「……グルービー、こやつを廊下に放り捨てろ」
「あいよ」
スバルの体と比較すれば大人と子供ほどの差があるにもかかわらず、グルービーが軽くスバルの足を払うと、スバルはいとも容易く転ばされた。
足に痛みが無いのは絶妙な力加減がなせる技か。
視界がぐるりと回転し、何が起きているのかも分からないまま気が付けば床に頬を付ける形になったスバルは、襟首をつかまれてそのままずるずると運ばれていく。
「ちょま、お前、痛い痛い、締まってる! ギブギブ!」
襟首を掴む手にタップして抗議を入れるが、グルービーが受け入れるのは皇帝の指示だけだ。スバルの言葉など聞くつもりはこれっぽっちもない。
まるで緩まない力に抵抗しても無駄だと理解したスバルは、そのまま黙って部屋の外まで運ばれる。
「先に言っておくぞナツキ・スバル。俺はやり方を変えるつもりはない、折れそうならお前が救ってやれ」
それだけアベルが言うと、部屋の扉は完全に閉ざされる。
あまりにもな対応に一言口を挟んでやりたくなるが、とはいえ時間も時間だし話す内容も特にもうないかとスバルは立ち上がる。
雑な運び方ではあったものの一応気遣いはされていたらしい。
どこも怪我をしていないのを確認し服の汚れを払いながら立ち上がると、ふとアベルの部屋側の壁際に立つ、見慣れたメイド服が目に入った。
「マジで追い出されたし……ってレムさんそんなところで何してらっしゃるの?」
暗い夜の屋敷で一人佇むレムの姿は、スバルの心臓を一瞬跳ねあがらせる。
見れば、手元には彼女の愛用するモーニングスターが握られている。額に角こそ生えていないが、その表情は「今すぐにでも戦えます」と言わんばかりだ。
スバルを引きずっていたグルービーを殴らなかったのは、実力差を理解してか、ただスバルの許可が下りていなかったからか。
どちらかと言えば後者なのだろうという直感を、レムの言葉が裏付ける。
「レムはスバル君が一人で行くと聞いて心配でなりませんでした。皇帝陛下が偉いお方なのは理解していますが、やはり一度スバル君の扱いについてはお話が必要だと思います」
「レムさん、その物騒なもん置いて話をしよう。っていうかそれどっから持ってきたの」
「レムの自室です、スバル君ならいつでも大歓迎です」
「うん、わかった。一旦向こうに行こうか、レムさん」
ひとまずこの場にこれ以上長居するのは良くない。
そんな自分の直感に従ってスバルがそう言うと、レムは首を縦に振り大人しくその横を付いて歩く。
向かうのはスバルの自室。
レムの部屋からは少し遠いが、どうやら部屋まで付いてくる気らしい。
スバルはいつもより少しだけ歩幅を狭くし、二人でゆっくりと夜の廊下を歩く。
「こうしてお屋敷の廊下を歩いていると、昔のことを思い出しますね」
「この時期のオレって正直あんまり良い思い出ないから嫌なんだけど……そう言えばいまのオレって魔女臭い?」
ウルガルム戦が存在しなかったので確認はしていないが、いまの自分から魔女の臭いはするのだろうか。
少なくとも王国で何度か死に戻りを経験しているので、臭いが強くなっているだろう。そう考えての質問に対し、レムは頷きながらも、何とも曖昧な言葉を返した
「はい! ただエキドナ様も屋敷にいるので、もうよくわかんなくなっちゃってますが」
「一体どんなことになってるのか聞くのも怖いな」
考えてみれば魔女の臭いどころか魔女本人がいるのだ。
レムの鼻がどのように嗅ぎ分けているかは知らないが、凄いことになっていることくらいはスバルでも想像がつく。
そうしていくつか小さな話題を重ね、スバルと言葉を交わすうち、レムは急に朗らかな笑みを浮かべた。
「──良かったです、スバル君が元気で」
「どったのレムさん、オレはいつだって元気だよ?」
「王都でのスバル君の活躍はレムもベアトリス様から聞いています。相変わらず無茶をして、スバル君はみんなを助けるために精一杯頑張ったって聞きました」
レムはスバルの死に戻りを知らない。
そもそもスバルはエミリア陣営の誰一人にすら伝えるつもりはなかったのだ。
死に戻りが知られそうになるのは何としてでも阻止したし、死に戻りを知られたときはスピカに頼んでその記憶をあやふやなものに変えてもらう事すらした。
ベアトリスが知ったのはどうあらがってもそのルートを回避することが不可能だったが故だ。
レムは何か秘密があると知りつつも、スバルがまた無理をしてどうにかしたのだろうと考えている。
真っすぐにスバルを射抜く彼女の目は優しく、スバルが持つ隠し事を理解していながら、己の心の内側を吐露する。
「スバル君はレムの英雄です。カッコ悪くても、強くなくても、優しくて面白い、ただ一人の英雄。レムはスバル君が大好きです、だから辛かったらいつでもレムに言ってください。どんなことでも受け止めて、一緒に前に進めるように精一杯レムもサポートしますから」
どこか違和感を感じさせたのだろうか。
そんな事を真っ先に考えてしまったスバルだが、そうではなく、レムが優しさから細かな機微を察してそう言ってくれたのだと思い直す。
素直に好意を受け入れるのはどことなく恥ずかしかったが、それよりも心配してくれるという事実がスバルにとっては心底嬉しかった。
「……ありがとう。まぁでも本当に大丈夫だよ、というか最近やたらと心配されるけどそんなに酷そうに見える?」
「少なくとも身体はボロボロに見えますよ。フェリスさんに治してもらったんでしょうけど、ここら辺とかまだ傷残ってるみたいですし」
レムの細い指先がスバルの脇腹を軽くつつくと、未だ治りきっていない箇所がチクリと痛みを訴えた。
普通にしていれば痛くはないが、回復魔法で無理やり治した弊害が出ているのだろう。
フェリスからは長期療養が必要だと言われていたのだから、彼の腕が悪いというわけではない。
スバルが単に無理をしているだけである。
「そこらへんはまぁ……寝てりゃ治るし?」
「ダメですよスバル君。レムがすぐに良くなるおまじないをかけておきます」
「ありがとうございます」
レムがスバルの傷口を撫でると、温かい光と共に、傷口が少しこそばゆいような感覚が訪れる。
立ち止まり、黙ってレムの治療をスバルが受けていると、レムがふと気になることを口にする。
「……そう言えばフレデリカさんが、スバル君に気をかけてやって欲しいと」
「やっぱり記憶が?」
「はい。とはいえ全部覚えているわけじゃなくて、
「──部分的に?」
てっきり全ての記憶保持者は、前回の記憶をそのまま引き継いでいると思っていたスバルは、あまりの驚きに聞き返した。
頷くレムの話が本当なのだとしたら、それは記憶持ちとそうでない者を区別する、何かを見極めるために大切な情報かもしれない。
どこまで覚えていて何を覚えていないのか、いずれエキドナを交えて聞いておく必要があるだろうとスバルは己のやるべきことを頭の中に記録する。
「そっか。また今度話さないとな」
「きっとフレデリカさんも喜ぶと思います」
そんな風に話をしていると、気が付けばスバルの部屋の前に辿り着いていた。
扉を開けて中をちらりと覗いてみれば、シーツにくるまりながら眠っているベアトリスの姿が見えた。
「それでは、レムはここで」
「ああ。お休みレム」
「おやすみなさいスバル君、明日も一日頑張りましょう」
そう言って笑うレムに見送られ、スバルは自室へと戻る。
こうしてロズワール邸でのスバルの一日は終わるのであった。
2日前に食べた生牡蠣当たって絶賛胃腸炎なので次話ちょっと更新遅れます。