ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
誕生
俺には前世の記憶がある。
記憶が甦った切っ掛けは五歳ごろ、叔母に殴られた時だった。
俺の父方の叔母はメンヘラ気質で、何か分からんがいきなり殴られた。
で、倒れて頭打った衝撃で記憶が戻り、自己防衛として叔母に反撃。
ちょうど近くにあったデカい鋏で刺してやった。
そんな事件があったせいでその年はゴタゴタしたが、やがて時間が解決。
高校まで成長して今は船で一人旅中だ。
その道中、怪獣が襲ってきた。
超古代翼獣ゾイガー。
劇場版ウルトラマンティガに登場した怪獣。
ソイツを見た途端、俺は興奮したと同時に恐怖した。
怪獣がいる。
空想の存在の筈だったものが暴れている。
確固たる殺意を持ち、俺と人類に牙を剥いている。
だが、不思議と俺はそこまで絶望しなかった。
ここはウルトラマンティガの世界。
だったら、ティガがきっと助けてくれる。
そう思って俺はウルトラマンの登場を願っていた。
ティガの戦いが見れる。
俺はウルトラマンの存在を信じて疑わなかった。
だってそうだろ、怪獣だけ居て、ウルトラマンがいないなんて不公平。
ティガに登場した怪獣がいるなら、その主人公であるウルトラマンも存在するべきだ。
だけど、ティガは来てくれなかった。
悲鳴が響く。
船の中にまでゾイガーが侵入。
乗客や乗員を次々と食い殺し、辺りに血が飛び散る。
船が黒い霧に覆われて動かなくなった中、阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられた。
「クソッ!!」
向かって来るゾイガーを迎撃。
消火器から薬剤を噴出させて足を止めさせた後、ぶん殴って撃墜。
そのせいで消火器がボコボコになって使いものにならなくなった。
よって重そうな機材を持ち上げてぶん投げ、纏めて潰した。
だが、こんなものは時間稼ぎにすらならない。
次々と小型ゾイガーが侵入してくる。
救助活動―――無駄だ。自分だけで精一杯なのに他人を助けられるわけがない。
隠れる―――無駄だ。何処に隠れてもアイツは看破する。そういう生き物だ。
逃げる―――無駄だ。船は既に囲まれている。逃げ場なんて無い。
戦うしかない。
たとえ無駄に終わろうとも、一匹でも多く道連れにしてやる。
犠牲者が増えていく。
俺がいくら足掻こうが無意味。
次々と殺され、俺も被弾を重ねていく。
何故だ。
ティガは何故来ない。
何時になったらウルトラマンが来てくれんだよ!?
「クソッ!クソクソクソ!クソォォォォォォ!!」
やけくそになってゾイガーを迎撃する。
もう自分が何を武器にして、どう動いてるすら分からん。
殺意と衝動に身を任せ、向かってくる小型ゾイガーを殺していった。
「―――カハッ!?」
遂にやられた。
後ろから突き刺された。
そのせいで一瞬怯み、次々と被弾。
一番ヤバい首部分まで嚙み切られた。
力なく倒れる俺の身体。
気が付けば、うるさい程に聞こえた悲鳴も聞こえなくなった。
おそらくコイツ等に殺されたんだろうな。
で、次は俺の番か。
「………嫌だ」
死んでたまるか。
折角生まれ変わったのに。
俺の二度目をこんな形で終わらせて堪るか。
俺は転生者なんだろ?
ウルトラマンの世界なんだろ?
だったらさっさと来いよ!来ねえなら俺にやらせろ!
特典さえ…転生特典させあればこんなことにならないのに!
よこせ。
俺に力をよこせ。
転生した俺に、受けるべき特典を渡せよ!!
「あ…あああああああああああああああああああああ!!!」
闇の中、俺は吠える。
ある筈もない光に向かって。
黒い霧が充満する中、沈んでいく船の中で。
俺は何かを掴んだ気がした。
掴んだ何かを掲げる。
瞬間、紫と黒の稲妻が走り、俺の意識は闇一色に塗り潰された。
ウルトラマンの世界の中にはウルトラマンが現れずに滅んだ星とかありそうですね。
その星の人たちはどれだけウルトラマンを求めていたでしょうか。
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
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いる
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いらない
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ご自由に