ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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今回の話とは関係ないけど、いろいろ考える奴ほどロマンチストな傾向あるような気がします。
たとえば色々考察したり分析するマニアとか、拗らせてるオタクとか。
そういう奴が人などを対象に理想や憧れを見ると、すごく厄介なことになるような気がします。


イーヴィルティガ

 

 町に巨人が舞い降りた。

 銀と黒のボディに、水色の目をした巨人。

 カラーリングこそ違うが、フォルムはティガダークに似ている。

 よって人々はティガダークの仲間が現れたと思って巨人の登場に興奮した。

 ソレが暴れ出すまでは。

 突然、巨人が悶え苦しんだと思いきや、いきなり町を壊しだしたのだ。

 野次馬に集まってきた人々は蜘蛛の子を散らすかのように、我先に逃げだす。 

 

 ビルをなぎ倒す。

 道路を踏み砕く。

 腕から暗い水色の光線を放つ。

 巨人が何かを破壊する度に瓦礫が辺りに飛び飛び散り、火災などの二次被害が発生。

 現れて一分も経ってないというのに、町の混乱は瞬く間に拡がっていく。

 

 どういうことだ。

 巨人は人類の味方ではなかったのか。

 逃げ惑いながら人々は混乱し、巨人に不信感を抱く。

 その時だった。

 

「デュアッ!」

 

 新たに現れたティガダークが巨人の暴挙を阻止した。

 イーヴィルティガ目掛けて空中から跳び蹴りを繰り出すティガダーク。

 ソレをバク転で避け、距離を取るイーヴィルティガ。

 だがソレで良い。ティガダークの目的はあくまでイーヴィルティガの牽制。

 自身に注意が向いている以上、これ以上町が無茶苦茶にされることはない。

 

 動き出す両者。

 先ずはイーヴィルティガ。

 ティガダーク目掛けてジャブを放つ。

 ソレを避けるティガダーク。

 回転して避けながら敵の背後を取り、その勢いで威力が増した肘打ちを敵の頭部に繰り出した。

 

 カウンターの回転肘打ち。

 タイミングはバッチリの上に虚を完全に突いた。

 普通ならこれで一発KOだが、相手はその上を行った。

 

「ッ!?」

 

 咄嗟にしゃがんでティガダークの回転肘打ちを避けるイーヴィルティガ。

 愛染は事前に相手の情報を収集し、万全の状態と対策で挑んでいる。

 圭吾のカウンター技も当然対策済み。

 ソレは暴走状態の今でも継続だった。

 だが、この程度で終わる程ティガダークは甘くない。

 間髪入れず反対の腕の手刀が飛んで来る。

 

 咄嗟に受け止めるイーヴィルティガ。

 そのまま反撃の拳を繰り出す…。

 

「「デュア!?」」

 

 同時に被弾。

 鏡合わせのように。

 両者共に互いの拳を同じ個所に受けた。

 ダメージを受けて数歩下がるティガダークとイーヴィルティガ。

 しかしすぐさま構え直し、ティガダークが攻撃に移る。

 

 一撃目、縦拳。

 速度を優先したジャブの連打。

 ソレをイーヴィルティガは全て避け、叩き落とした。

 しかしこれは釣り餌。本命は別にある。

 

 二撃目、ローキック。

 ジャブを囮にして顔面に注意を向けた状態で。

 がら空きになった下半身を崩すかのように蹴りを繰り出す。

 しかし、それも事前の情報収集で読んでいたイーヴィルティガは、バックステップで避けた。

 

 三撃目、フィンガージャブ。

 腕を伸ばすように突き出した目突き。

 威力はない上に、それほど有効的な技でもない。

 人間なら目はむき出しの弱点だが、ウルトラマンの眼は固く、ただ目を突いただけではダメージは入らない。

 日常からの反射で一瞬ビクッとなるが、安全に対処。下がってフィンガージャブを避けた。

 

 両者共に互角。

 前世持ちとはいえ格闘技優勝経験者の圭吾。

 ウルトラマンに憧れて長い間鍛え続けていた愛染誠。

 地球人の中でも高水準まで高められた格闘技術。

 だからこそ、ここから先は才能と工夫、そして積み重ねた経験と努力がモノを言う。

 

「ジュヴァ!?」

 

 避けた筈のティガダークの指先から光弾が放たれた。

 イーヴィルティガの水色の目に命中し、視界を覆う。

 大した威力の無い嫌がらせ技。

 しかし予想外の行動、その上で視界を一時とはいえ遮られた。

 そのせいで動揺し、隙を見せてしまうイーヴィルティガ。

 そこ目掛けてティガダークが仕掛けに来る。

 

 一発目、溝尾にボディブロー。

 二発目、側頭部に鉄槌打ち。

 三発目、下腹部に前蹴り。

 四発目、顎にストレート。

 五発目、胸部に後ろ回し蹴り。

 

「ジュヴォ………!!?」

 

 最後の一発でふっ飛ばされるイーヴィルティガ。

 追撃をかけようと接近するティガダーク。

 だが、イーヴィルティガが少し早かった。

 

「デュアッ!?」

 

 イーヴィルティガが手裏剣型の光弾を放つ。

 それに直撃してしまうティガダーク。

 数発受けて膝をついてしまった。

 

「デュア!」

 

 お返しとばかりにティガダークも光弾を放つ。

 ソレを光のシールドで防ぐイーヴィルティガ。

 更に防御壁を回転させて光弾を跳ね返した。

 

 跳ね返された光弾を避けるティガダーク。

 同時、右手から紫と黒の光の鞭を伸ばし、イーヴィルティガの足を絡め取る。

 

「ッ!?」

 

 咄嗟に踏ん張ろうとするイーヴィルティガ。

 しかし地面は砂地のせいで滑りやすくなっている。

 そのせいで踏ん張りがきかず転がされてしまった。

 ティガダークはその間に接近しながら光の鞭を収納。

 回収した分のエネルギーを右手に纏い、これ見よがしに掲げながら接近した。

 

「ジュヴォ!…ジュアッ!!?」

 

 立ち上がって迎え撃とうとするイーヴィルティガ。

 だが次の瞬間、彼の耳を爆音が劈き、強烈な光が目を灼いた。

 

 ティガダークの閃光弾。

 チャージした右腕を囮にして目を向けさせる事で発生した死角から閃光弾を放ち、イーヴィルティガの視覚と聴覚を一時的に奪ったのだ。

 しかし、それも一瞬の事。

 ウルトラマンの優れた感覚器官はすぐさま再起動して現状を把握する。

 だがソレで十分。その間にティガダークは次の手に移る。

 

「―――ッカハ!?」

 

 先ずはチャージした右腕でボディブロー。

 内部まで闇の衝撃波が浸透し、イーヴィルティガはそのダメージで身体が硬直した。

 

 続けてイーヴィルティガの股間に腕を通す。

 柔道の肩車の形で持ち上げ、股間を強く握り締めて動きを拘束した。

 ウルトラマンに金的は意味が無い。

 だが、日常からの反射で身を竦めることはある。

 ティガダークはその性質を利用したのだ。

 

「デュア!!」

 

 力いっぱい放り投げられるイーヴィルティガ。

 受け身を取れず地面に叩きつけられ、深刻なダメージを受けた。

 ダメージだけでなく活動時間も限界のせいで胸のカラータイマーが鳴り始める。

 

 カラータイマーが鳴っているのはティガダークも同様。

 よって早く決着を付けるべく必殺技の構えに入る。

 

 まずい。

 このままではやられる。

 一か八かの賭けでもやらないと、殺される。

 そう考えたイーヴィルティガも必殺技の構えに入る。

 

 両腕を腰まで引く両者。

 ティガダークは抜き手のように真っ直ぐ突き出し交差させ、両腕を大きく左右に開いてエネルギーを中心に集約させる。

 イーヴィルティガは握り拳のまま両手を引いてから大きく真横に広げ、エネルギーを圧縮するかのように両腕を閉じる。

 

「「デュア!」」

 

 同時に放たれる光線。

 ティガダークは右腕から、イーヴィルティガは左腕から。

 エネルギーをチャージし放つまで全てのポーズが正反対。

 

 タイミングはイーヴィルティガの方が早い。

 二つの光線がぶつかり、力比べが発生するかと思いきや…。

 

「ッ!?」

 

 当たる寸前、ティガダークは横に跳んで光線を回避。

 空中で自身の放つ光線の射角を調整。

 敵の攻撃を避けながら自身の必殺技を命中させた。

 

「ッ!?!?!?」

 

 直撃。

 イーヴィルショットによる爆発を背景にして。

 ティガダークはイーヴィルティガにゼペリオン光線をぶちかました。

 力尽きてその場で倒れ込むイーヴィルティガ。

 

 ガシッ。

 

 イーヴィルティガに接近するティガダーク。

 背後から羽交い絞めにする形で拘束し、カラータイマーを握り締める。

 途端、カラータイマーからイーヴィルティガの力が吸収されていった。

 

「ヴおぁァァァァァァ!!?」

 

 悲鳴をあげるイーヴィルティガ。

 ウルトラシリーズの中では、怪獣などがカラータイマーを奪ったり、力を吸収して追い詰めるシーンがある。

 映画版ティガでも闇の攻撃などを光に変換しながら吸収し、自身の力にして光を取り戻すシーンがある。

 ティガダークはソレを再現してイーヴィルティガから力を奪い、自身のものに変えているのだ。

 

 

 ブチッ!

 

「ヴォ…アァ………」

 

 イーヴィルティガからカラータイマーを完全に取る。

 途端、イーヴィルティガの身体は光の粒となってゆっくり消滅した。

 

「デュアッ!」

 

 ティガダークは奪ったカラータイマーを握り締めて空に飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐおぉぉぉ…!!?」

 

 

 瞬間移動で山に戻り、エネルギーを吸収しきったカラータイマーを置く。

 途端、カラータイマーは光の粒となり、人の形に再構成される。

 そう、愛染誠の姿へと。

 

「(よかった、殺してなかった)」

 

 痛がってはいるが生きているので一安心した。

 別に必要なら人間でも殺すが、コイツの場合は事情が違う。

 悪いのは寄生している宇宙人であって宿主は無関係だ。

 何の罪もないどころか、身体を奪われた被害者を殺すのは流石にマズい。

 

 変身を解いて人間に戻る。

 相変わらず痛がっているが本当に大丈夫かコレ?

 

「おい、意識はあるか?」

「………返、せ…、僕の…光………」

 

 よし、ちゃんと話せるな。

 会話できるかどうかは怪しいが。

 

「卑怯…だぞ! あんな、戦い方!………あんな…悪役みたいな戦い方、絶対認めない!」

「は? 敵がそんな言い訳聞いてくれると思ってるのか? 引っ掛かったテメエが悪い。テメエの未熟さを俺のせいにするな」

「…黙れ、卑怯…者………!」

 

 あ、ダメだこりゃ。

 話聞いてくれなさそうだ。

 ていうか暴走してたんじゃねえのかよ。

 乱暴とはいえ止めてやったのにここまで言われる筋合いはない。

 第一、小技を使うのと己の未熟さを人のせいにしないって評価項目にあったろ。

 なのに否定するとかダブスタにも程がある。

 

「卑怯者…卑怯、も…!?」

 

 これ以上話しても意味はない。

 俺はブラックスパークレンスの先から黒と紫の刃を生成して剣のようにし、それで愛染を貫いた。

 勿論、肉体は貫いてない。

 あくまで内部の寄生生物だけだ。

 俺の正体を知っている上に恨みを持つ奴を生かす理由はない。

 さもなくば、俺だけじゃなく家族や学校など、周囲も巻き込む可能性があるからな。

 

「バカめ…この星唯一のウルトラマンを………!」

 

 ハイハイ無視無視。

 どうせ恨み言しか無いんだから。

 残ったエネルギーを吸収して俺の養分に、正確に言えばティガダークの力に変換する。

 

 

 

 

「お前はティガさんじゃない!ティガさんはもういないんだ!だから僕がなろうとしたのに!」

 

 

 ………は?

 

「おい、ソレはどういう意味だ?」

 

 手を止めようとしたが時既に遅し。

 吸収仕切って消えてしまった。

 寄生生物から解放された身体が力なく倒れる。 

 

「ティガじゃ…ない?」

 

 じゃあ、俺が変身しているあの姿は………誰なんだ?

 





主人公は器用万能というわけではありません。
必殺技以外の光線技、特に放出系は苦手です。
鞭や盾などの物質系は普通ですが、光線を出すのは狙いも威力も拙いんですよね。
だから光線系の小技をあまり使いませんでした。
けど使えることは使えます。だから必要なら使います。
どのタイミングで、どんな相手に、どういう風に使うか、シミュレーションもちゃんとしてきています。
ただ、変身者である主人公の格闘能力が高いのでそっちをメインにし、それだけで大半の相手は事足りました。
データだけ見ていると、そこに足元掬われるんですよね。

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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