ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

18 / 70

ウルトラマン活動するなら、偶には怪獣を倒さず許すという展開も必要ですね。
まあ、主人公はウルトラマンではないのですが。



シルバゴン

 

 今まで、このティガダーク=ウルトラマンティガだと思っていた。

 

 俺は転生者だ。

 だから無意識に自分は特別だと思っていた。

 古代人の遺伝子を受け継ぎ、身体的にはウルトラマンになれるのだと。

 今思えば都合が良すぎる。

 原作を知ってる世界に転生し、主人公の悪落ちした姿に変身するなんて、それなんてラノベって感じだ。

 だが、現状では俺はティガダークに変身している。

 ということはやはり俺が…。

 

「いや、よそう」

 

 一旦思考を打ち切る。

 そうだ、愛染が言った事に確証はない。

 苦し紛れの戯言か、それとも根拠のない説を信じたか。

 アイツの証言だけでは判断できない。

 それにもし俺が変身しているのがティガダーク本人でなくとも、そっくりさんという可能性もある。

 イーヴィルティガも本来は光の巨人の一人で、姿がティガに似てるのも偶然だってあったし。

 

『お前はティガさんじゃない!』

 

 もし仮にそうだとしたら、もしこれがティガのそっくりさんってだけなら、ティガが現れる可能性があることになる。

 そう考えると希望が湧いて来た。

 

『ティガさんはもういないんだ!』

 

 けど、もしアイツの言う事が全て本当なら…。

 

「やめやめ」

 

 暗い事を考える時間がもったいない。

 こういう時は鍛錬で忘れよう。

 そういうことで俺はロードワークに向かった。

 

 トレーニングはいい。

 集中している間は煩わしい事から解放してくれる。

 その上やった分だけ自分の力や能力になるのだから。

 今回は色んなことがあっていつもより集中してやったんだが…。

 

「何処だここ?」

 

 見たこともない場所に迷い込んでしまった。

 辺り一面が森の山奥。

 デカい虹がアーチ状にかかっており、ソコを銀色の怪獣が潜っていた。

 

 シルバゴン。

 獅子鼻樹海の異次元空間に生息する怪獣。

 普段は次元が隔たれ行き来出来ないが、虹が掛かることで繋がる。

 この森は名前こそ獅子鼻樹海ではないが、強力な磁場が発生し、逆さの虹が出現するミステリースポットだったな。

 うっかりしていたぜ。

 

「そんなこと言ってる状況ではないな」

 

 怪獣の足元には車が走っている。

 おそらくシルバゴンはアレを追っているのだろう。

 どういう意図で追っているのかは分からないが、あのままでは車内の人たちが危ない。

 設定でシルバゴンは凶暴で好戦的とあるから碌な事にならないのは間違いないと思う。

 なら、選択肢は一つしかないな。

 

 ッシュ!

 

 俺は無言でスパークレンスを掲げてティガダークに変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある森の異次元空間。

 シルバゴンは車を追いかけて遊んでいた。

 子供が蝶々を追いかけるように無邪気に、猫が鼠を嬲るかのように残酷に。

 

「デュア!」

 

 その遊びに突如乱入者が現れた。

 ティガダーク剛力体。

 彼はシルバゴンを死角から跳び蹴りで蹴り飛ばし、足元にいた車を逃がした。

 

「グルルルル…」

 

 唸りながら立ち上がるシルバゴン。

 もうシルバゴンにはさっきまでの玩具の事など頭にない。

 目の前に現れた敵を倒すことに意識を向けた。

 

 対するティガダークも構える。

 迎え撃つかのようなどっしりとした構え。

 最初からタイプチェンジを行っている。

 

 シルバゴンの突進。

 ただティガダークに突っ込むだけ。

 しかしそれでも十分過ぎる威力を誇る。

 300万馬力の凄まじいパワーと7万5千tの体重。

 この二つが合わさった時、必殺の破壊力を発揮する。

 まあ、ソレが当たればの話だが。

 

 グルンッ!

 

「ッ!!?」

 

 ティガダークが受け流した。

 突っ込んできたシルバゴンの身体に手を添え、力を加える。

 受け止めるのではなく、流しながら加重する事でシルバゴンの力を利用。

 足を引っかける事で回転の力へと変え、シルバゴンを頭から転ばせた。

 

 地面に叩きつけられるシルバゴン。

 一瞬、何が起こったか理解できず、困惑した様子を見せながら立ち上がろうとする。

 その間にティガダークは立ちかけのシルバゴンの脇腹を前蹴りで蹴り飛ばした。

 

「ッ!!?」

 

 再び倒れるシルバゴン。

 追い打ちとして体重をかけた踵落としやサッカーボールキック、鉄槌や手刀を織り交ぜて繰り出す。

 その連撃は少しだけとはいえ着実にダメージを蓄積させていく。

 だがそれだけ。決定打には程遠く、むしろシルバゴンを怒らせて本気にさせてしまった。

 

「デュアッ!?」

 

 ティガダークが吹っ飛ばされた。

 シルバゴンの後頭部を踏みつけた瞬間、シルバゴンが無理やり立ち上がって吹っ飛ばしたのだ。

 ティガダークの体重とパワーが乗った蹴りを、不安定な体勢の上で、首と背筋だけで打ち勝つ怪力。 

 コレがティガ怪獣の中でも強豪といわれる所以である。

 

「デュア…ッデュ!」

 

 たたらを踏むティガダーク。

 攻撃を弾き飛ばされてバランスを失ったが、倒れることなく立ち直れた。

 すぐさま構え直して次の攻撃に備える。

 

 シルバゴンが腕を振るう。

 子供のグルグルパンチのような拙い連撃。

 しかし、怪力を誇るシルバゴンのソレは、ただ腕を振るうだけでも脅威となる。

 それらを捌くティガダーク。一発でも貰えば大ダメージは必須。故に細心の注意で払い退ける。

 

「デュアッ!」

 

 再びティガダークの受け流しが繰り出された。

 シルバゴンの左腕に手を添え、加重して受け流す。

 その勢いを利用して、ティガダークはシルバゴンを投げ飛ばした。

 シルバゴン自身の腕力と体重、ティガダークのパワーと体重が乗った投げ技。

 地面に叩きつけられる瞬間、その全てがシルバゴンに襲い掛かる。

 勿論、シルバゴンに受け身なんて技術はない。

 後頭部から倒れて痛がり怯むシルバゴン。

 その間に追撃を掛ける。

 

 掴んだ腕で十字固め—――振り払われる。

 ティガダークが巨木に巻き付く大蛇の如く関節技を仕掛ける。

 本来、スピードに劣る剛力体だが、パワーをスピードの出力に変換して補った。

 しかし、完成した技をシルバゴンは腕力のみで易々と破壊した。

 寝転がった不安定極まる体勢で。

 

 追撃を恐れて離脱するティガダーク剛力体。

 シルバゴンも同時に立ち上がり、怒りを表すかのようにドラミングする。

 

「ッデュア!」

 

 再びティガダークに向かい、噛みついてきた。

 ソレに合わせてティガダークも頭突きを食らわせる。

 カウンター。シルバゴンの勢いとティガダークのヘッドバットの威力が乗った一撃。

 シルバゴンはそのせいで怯んで隙を晒す。

 その間にティガダークはシルバゴンの角を掴み、跳び膝蹴りを繰り出した。

 ハンドルのように角を掴み、跳び膝蹴りの後、膝蹴りを三発ぶち込む。

 膝蹴りを続けようとするが、シルバゴンはソレを力ずくで振り払った。

 

「(クソ、思った以上に堅いな。劇中でも強かったが、ここまでとは)」

 

 シルバゴンの打たれ強さとパワーを体験し、内心焦るティガダーク。

 一見すればティガダークがシルバゴンを圧倒しているように見えるは、実は少し違う。

 ティガダークが一発貰うだけで危ないのに対し、シルバゴンは打たれ強く剛力体のパワーでも正面からではダメージを与えられない。

 戦いが成立しているのはティガダーク自身の格闘技術と対怪獣の経験があるから。

 実際はかなりギリギリの元で成立している。

 

 再びシルバゴンが動き出す。

 巨体と体重とパワーを頭突き。

 その勢いを利用してティガダークは巴投げで投げ飛ばす。

 

 シルバゴンの尻尾による打撃。

 回転にパワーと自身の体重を乗せた重い一撃。

 その勢いを受け流し尻尾を捕まえ、ティガダークは引っ張る。

 

 振り払おうとするシルバゴン。

 全身のパワーと体重を込めてティガダークを吹っ飛ばそうとする。

 その勢いを手押し相撲のように利用するティガダーク。

 途中で尻尾を離す事でシルバゴンは顔面から派手に転げ、自身の力によってダメージを受けた。

 

「バァ…ゴオオオオオオオオ!!!」

 

 遂にシルバゴンがキレた。

 ティガダーク目掛けて頭を向け、全身全霊の突進を繰り出す。

 自身の体重、体格、パワー。全てを乗せた必殺の一撃。

 大地そのものが襲撃しているとみ違うようなソレを、ティガダークは跳んで回避。

 シルバゴンを飛び越えながら、後頭部を蹴ってバランスを崩させながら。

 

「ッ!!?」

 

 突進の威力が暴走して派手に転がるシルバゴン。

 何度も地面をリバウンドし、破壊の痕を刻み付けながら。

 木々を根ごと轢き飛ばし、岩石が舞い、自身の体長の何十倍も転がって。

 やっと勢いが止まった瞬間に、膨大な熱量の光流が倒れているシルバゴンに飛んできた。

 デラシウム光流。

 シルバゴンが吹っ飛んでいる間にチャージしたもの。

 過去最大にまで圧縮されたソレは、ダメージを受けているシルバゴンに更なる追い打ちをかけることに成功した。

 もう一発入れたら倒せる。ティガダークはこのチャンスを最大限に活かすべく、タイプチェンジしてゼペリオン光線を放とうとする…。

 

「バゴォン…バゴォン………」

 

 突然、シルバゴンが両手を上げて止まった。

 その意図を察知したティガダークはチャージをやめてシルバゴンにテレパシーを送る。

 

『降伏するのか?いいぜ、人間を襲わず町を壊さない怪獣は殺さない。だが、次人間襲ったら殺す。いいな?』

「バゴォン!バゴォン!」

 

 シルバゴンが全力で頷く。

 戦意が完全に無くなった事を確認したティガダークは注意をシルバゴンから逃げていた車に向ける。

 

「(どうやらちゃんと逃げ切れたようだな)」

 

 既に車は次元の入り口から抜けて現実世界に戻っている。

 そのことを確認したティガダークはその場から跳び去り、元の時空に戻った。

 





主人公がシルバゴンを許したのは、敵意がないからだけではありません。
シルバゴンには嘘を付ける程の知能はありません。性格も狂暴ですが素直です。だから嘘をついたり反故にしないと確信しました。
もし、嘘をついたり反故にする可能性がある場合なら、何か確信できる証拠を提示しない限り信じずに殺してました。

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

  • いる
  • いらない
  • ご自由に
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。