ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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ウルトラマンは光の国という如何にも正義と平和の国から生まれ、正義と平和のために戦い、宇宙全体を正義と平和に導く存在だと思ってました。
ウルトラマン=正義と平和の体現だと。
けど、この理屈で言うと、ギャラクトロンとかも当てはまりそうなんですよね。
やっぱり何か違うな。


キリエル人

 

「やっと痛みが無くなったぜ。完全回復」

 

 服を脱いで腫れが引いたのを確認する。

 前回、シルバゴンにやられた傷。

 避け損なった打撃や受け流し損ねたダメージによるものだ。

 格上が相手とはいえ俺の対怪獣用格闘技もまだまだ荒い。

 これがもしパワー型ではなくテクニック型の格上なら俺やられていたぞ。

 

 俺のHP自体は低い。

 痛みを無視出来る性格だから頑丈だと思われがちだが、案外そうでもない。

 だからフットワークや防御の技術を学んでカバーしている。

 そっち方面の才能もあったからな。

 だからもし防御も何も出来ないインファイトでの殴り合いになったら一気に不利になる。

 そこんとこ何とかしないとな。

 

 今のままでは不十分。俺も宇宙拳法を習いたいぜ。

 いや、やっぱ嫌だ。俺、打たれ弱いし。 

 

『ティガダークよ、我らキリエル人はお前を待っている!』

 

 なんとなく付けていたテレビがいきなりジャックされた。

 内容はキリエル人が放送局で待っているのでソコまで来いティガダークといったもの。

 正直無視してやりたいが、本編でのキリエル人ってかなり執拗だから無視した方が面倒くさそうだ。

 そういうことで俺はテレビ局に向かった。

 ブラックスパークレンスを掲げて自身の身体を光に変換。

 光速で現場に向かい、人通りの少なそうなところで人間態に戻る。

 さて、キリエル人を探すか…。

 

「待ってたよ、ティガダーク」

「ッ!?」

 

 咄嗟に振り返りながら拳を繰り出す。

 身体が相手の敵意に反応した事による反射的な行動。

 俺自身の意志はほぼ無い。というか気が付いたら動いてた。

 背後を取られただけで攻撃なんて非常識だが、前の学校の治安が糞みたいなところだったせいで染みついてしまった。

 まあ、これのおかげで助かったこともあるから治す気はないけどな

 

「危ないな。やはり闇の勢力は野蛮だ」

 

 俺の攻撃を避ける不審者。

 それ自体はそれほど驚かないが、その避け方が異常だった。

 拳が当たる瞬間、炎となって透過された。

 間違いない、コイツがキリエル人だ。

 

「………アンタだな、俺を呼んだのは」

「如何にも。私が…いや、私たちがキリエル人だ」

 

 距離を取って周囲を警戒しながら話を続ける。

 コイツには攻撃の意志は無いようだが、背後からズドンという可能性もある。

 油断はできない。

 

「で、俺に何の用だ?」

「率直に聞く。君は何者だ?」

 

 ・・・その疑問は俺が答えて欲しいぐらいだ。

 

「俺はティガダーク…と、言いたいところだが実際はよく分かってない。俺自身が知りたいぐらいだ」

「ふざけているのか? 君はウルトラマンティガでもティガダークでもない。ティガはもう死んだのだ」

「………何?」

 

 ティガがいないってことは聞いたが、死んだってどういうことだ?

 まさか、誰かに負けたのか。あの邪神に………!?

 

「闇の巨人は最初から闇ではない。かつては光だった変身者が闇に反転することでその影響を受け、闇の巨人と化すのだ。最初から闇の者は光の巨人に選ばれず、無理やりその力を手にしたとしても闇と光が反発して暴走する。だから最初から闇の巨人に変身出来る君は異常なのだよ」

 

 キリエル人は後ろに手を組んでゆっくりと俺の周りを歩きながら話す。

 なんか偉そうな言い方と態度が鼻につくが、今はそんなことどうでもいい。

 

「甦った闇の巨人が俺に宿った可能性もあるだろ」

「あり得ない。光の巨人なら宿った人間と共存しようとするが、闇の巨人はそんな優しさはない。宿主を乗っ取って復活しようとする。その方が自由に行動出来るからな」

 

 キリエル人は俺の正面に戻ると、こちら振り向く。

 

「もう一度言うがティガは死んだ。闇の巨人たちを率いて戦争を起こし、光の巨人たちと相打ちになって消滅したのだよ。だからあり得ないんだ、君がティガに変身していることが、巨人がこの星に存在していることか」

 

 なるほど、この世界のティガは光に戻ることなく闇のまま消えたと。

 ティガダークは闇の巨人の中でも最強だったらしい。

 最後まで闇にいたのなら、光の巨人たちが全滅したのも仕方ないな。

 口ぶりから察するにカーミラたちも死んでるっぽいな。

 

「ではもう一度聞く。君は何者だ?何故ティガダークの姿になれる?君の目的は何なんだ?」

「最初の質問と次は答えられない。俺自身分からないんだ。けど最後は答えられる」

「………言ってみろ」

「俺の目的はウルトラマンが来るまでこの地球を守る事。ウルトラマンの代理だ。だから俺の代わりに戦ってくれる奴がいるなら俺は消える」

「何?ソレは本当かね?」

 

 俺の答えにキリエル人は訝しむ目を向けた。

 

「ああ、ちゃんと地球と人類の為に戦ってくれて、ガタノゾーアを倒してくれるんならな」

「………」

 

 ガタノゾーア。そのワードにキリエル人は苦そうな反応をした。

 

「今度は俺が質問する番だ。何故お前らは最初から現れなかった? 代わりに戦ってくれる奴がいたなら俺が出るつもりはなかったのに」

「………まだ時期ではなかったからだ」

「その時期の基準は? どんな準備が必要でどう救済し導くつもりだ?」

「フン、君たち愚かな人類に言っても仕方ないものだよ」

 

 コイツ話逸らしやがった。

 まあ、原作見てりゃこうなることは分かってたが。

 

「もしお前らが怪獣を………あの時、ゾイガ―を倒してくれたなら、俺はこの力を手にすることは無かったんだよ。そして手にした後もな。………なあ、何でお前らは姿すら見せなかったんだ?」

「だからまだ時期ではないと…」

「そんな逃げ腰だから俺に先越される形になったんだろ」

「………何?」

 

 俺の挑発にキリエル人が乗った。

 

「導きだの救済だの、ご大層な言葉を並べてるが何もしていない。お前らの方が先に来たなら、何かしらのアプローチをすればよかったんだ。ソレすらしなかったから俺が祭り上げられてるんだよ」

「君は…この星の守護神にでもなるつもりかね!?」

「俺にそのつもりはない。ただ火の粉を振り払ってきただけだ。だが、その力すら無い人類から見たら、俺はどう見えると思う?」

 

 今度はだんまりか。

 もう答えを言ってるも同然だろ。

 

「人間は実利を求める。だから怪獣や宇宙人を倒した実績のある俺の方を支持するんだ。俺にその気が無くてもな」

「愚かな人類は…闇である君を支持するだと!?」

「仕方ないさ。何もしない癖にいきなり現れたぽっと出と、何も言わず戦ってきた俺。どっちがいいかなんて言うまでもない」

 

 ホントにコイツ等何がしたいのか前世でもサッパリだった。

 導くとか言っておきなが、何でその痕跡すらなかったんだ?

 

「利益のみ見て真の導きを理解出来ないとは。やはり人類は愚かだ」

「そうか。俺にはお前らの方がよほど愚かに見えるが」

「………なに?」

 

 

「人間は愚かだ。その点は同意する。だがそれを知っていながら不満ばかり言って何も理解しようとせず、何も行動しない。力がありながら戦わず、姿すら見せない。ソレでよく導くだの救世主だと言えたな」

 

「いきなり現れて崇めろだと? 導きだと? 何もしなかったお前らに何が出来る? どうやって導けると言える? 逆の立場ならどう考える? ソレすら想像でしなかったのか? もしそうなら傲慢にも程がある。ソレと怠惰もセットだ」

 

「人類が愚かなら、お前らは惰弱な愚者だ。人類よりひどい口先だけの似非救世主が。お前らに俺の後釜は無理だ。さっさと消えろ」

 

 

 

「………さっきから好き勝手言いおって! 訂正しろ! 後から来た紛い物の分際で!」

 

 掴みかかろうとするキリエル人の手を避けながら、ブラックスパークレンスを取り出して見せつける。

 

「だったら証明してみせろ、テメエの力をな。………だがここは狭い。場所を変えよう。…全力の俺が怖く無かったらの話だけど」

 

 敢えて挑発的な言い方をする。

 原作のキリエル人は傲慢な態度から察するにこういった物に弱そうだ。

 さて、コイツはどうなるか…。

 

「いいだろう、君の全力とやらを潰してやる」

 

 怒りを露わにして答えるキリエル人。

 やっぱり原作知識があると便利だ。特に人型で性格がある相手。おかげで挑発に乗せやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある山奥。

 人の気配が一切ないそこには、一際開けた野原がある。

 そこに突然二人の巨人が出現した。

 ティガダークとキリエロイド。

 闇の嵐からティガダークが、炎の渦からキリエロイドがそれぞれ姿を顕す。

 

「ジュビッ!」

 

 早速キリエロイドが仕掛けてきた。

 ティガダーク目掛けて二段跳び蹴り。

 ソレに対処するティガダーク。

 一発目はサイドステップで避け、二発目を肘で叩き落とす。

 続けて、反撃の左フックを敵の側頭部目掛けて繰り出した。

 飛び蹴りの着地するタイミング、見えない角度から、注意が逸れている瞬間。

 三つの虚を交ぜたステルスパンチ。

 通常なら当たるが…。

 

「ジュビッ!」

 

 隙を突いた筈が、あっさりと防がれた。

 反撃のボディブローをティガダークの視覚外から繰り出すが、反対の腕を差し込んで防ぐティガダーク。

 これで両者共に両腕を封じられた。

 

「デュア!」

「ジュビ!」

 

 同時に攻撃。

 ティガダークは頭突きを、キリエロイドは膝蹴りを無理やり入れた。

 互いに攻撃に集中していた両者は攻撃を喰らい合ってダメージを受け、一瞬だけ怯む。

 

「デュア!」

 

 先に怯みから回復したのはティガダーク。

 持ち前の暴力性と狂暴性、そして闘争心を活かし、痛みを無視して技をかける。

 クリンチしながら足を引っかけ、自身の体重を利用しながら回転して地面にたたきつける。

 ティガダークの身体と地面にサンドイッチされる形で押しつぶされるキリエロイド。

 そのままティガダークはマウントポジションを取った。

 空手の鉄槌で顔面を殴りまくる。

 

 足腰の入らない手打ちだがソレで良い。

 マウントタコ殴りの利点は相手を拘束し、安全圏から一方的に殴れる事。

 大事なのはその状態を維持することであり、下手に前のめりになると掴まれて逆転されてしまう。

 そしてマウントポジションから抜け出されないよう、胸の上に乗る。

 腰の近くだと股関節や足腰の力で持ち上げられて抜けられるからだ。

 焦らず確実に相手の体力を削り、ダメージを蓄積させる。

 トドメはその後だ。

 

「ジュビィ………」

 

 突然、キリエロイドが姿を変えた。

 緑の光が全身に走った瞬間、筋肉が隆起。

 馬乗りになっているティガダークを背筋だけで弾き飛ばした。

 

「っデュ!?」

 

 受け身を取りながら転がるティガダーク。

 追撃を恐れてキリエロイドから距離を取ったのだ。

 立ち上がりながら敵の全身を視認する。

 そこにいたのは先ほどまでのキリエロイドではなかった。

 

 より筋肉質な体形になったキリエロイド。

 両腕にカッターが生え全身が硬質化している。

 キリエロイド怪力戦タイプ。

 ティガダーク同様に、タイプチェンジを可能とした姿である。

 

「(よりによってⅡの方かよ………)」

 





結局キリエル人って何がしたかったんでしょうか。
ティガより先に地球に来ていたと言ってる癖に怪獣と戦わなかったし、導くと言っておきながら何かしらのアプローチもかけなかった。
何よりも一番気になるのはキリエロイドではガタノゾーアを倒せないだろってとこです。
地獄の門とやらで別次元に行っても、ガタノゾーアなら手下の怪獣派遣するなり、シャドウミストをばら撒いてキリエル人を倒せそうなんですよね。
アイツ、ホントに人類の救世主になれると思ったのか?

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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