ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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主人公の設定を盛りましたが、強さに説得力出すためにやりました。
まあ、ウルトラマンは変身者がそんなに強くなくてもいいんですけどね。


巨人の噂

 

 平日の昼間。

 九月に入ったお陰で夏の暑さは残っているが少し落ち着き始めている。

 今世でも地球温暖化が騒がれているが、前世のような記録的酷暑は続いていなかった。

 色々と差異があるからハッキリこの時代だと指し示すことは出来ないが、今世の地球はいい感じに文明が進んでいっているといっていいだろう。

 

『続報です。先日発生した海難事故についてですが…』

 

 つけっぱなしだったテレビを消す。

 ニュースなんて俺には関係ないものだ。

 さっさとシャワー浴びてアニメの続きを見ないとな。

 

「あ、父さんただいま」

「…おかえり」

 

 よそよそしく挨拶する今世の父親。

 叔母を病院送りにしたあの日から両親とはしばらくぎくしゃくしていたが、最近はまたそうなった。

 

 先日の難破事件。

 唯一の生き残りである俺は後遺症やメンタルを危惧して自宅療養を学校から許されている。

 おかげで堂々と不登校出来る。

 まあ、本当は心身共にすこぶる健康だが。

 

「圭吾、明日は大きな病院で診察してもらうぞ」

「ああ」

 

 ハイ、会話終了。

 シャワーを浴び、プロテイン飲んで部屋に戻る。

 平日の真昼間から筋トレやジョギングして、学校に行かなくてもいい生活。

 最高だ。ずっとこんな暮らしが出来ればいいのに。

 

 テレビを付けてアニメの再放送を見る。

 内容は異世界転生チートハーレムものだ。

 事故で死んだ主人公が神様に特典を貰って異世界に転生し、サクサクと事件を解決してその度にハーレムが増えていくというありふれたものだ。

 今世では深夜アニメを昼間に最放送されているのだから驚きだ。

 

「(俺も出来たらこんな世界に転生したかったな………)」

 

 俺はあまりこの主人公が好きではない。

 何の努力や工夫もせず、何の代償や痛みもなく、運よく力を貰っただけの主人公。

 そんな奴の何処に魅力を感じろというのだ。

 

 生まれ変わっただけで特典が得られる?

 特典があるから何でも解決できる?

 解決したから報酬が得られる?

 そんなワケないだろうが。

 異世界転生舐め過ぎだ。

 

 

 

“転生した俺に、受けるべき特典を渡せよ!!”

 

 

 

 本当に、笑っちまうよ………。

 

「ん?」

 

 そんなことを考えてると、家のチャイムが鳴った。

 今日は父さんが非番だから出てくれると思ったが、さっき買い物に行くって言ってたわ。

 インターホンのカメラから相手を確認する。

 ソコにいたのは俺と同じぐらいの高校男子生徒だった。

 

「どちらさんですか?」

『あ、はい!お…僕、竈門炭治郎といいます!鞠川圭吾(まりかけいご)くんのクラスメイトでプリントとかを届けに来ました!』

 

 鞠川圭吾。

 今世の俺の名前だ。

 マリカって名だけどマリオカートは得意じゃない。

 だって俺ぼっちだし。

 外見も某俺ガイルの主人公に似てる。特に目の腐り具合が。

 まあ、俺は猫背じゃないし、あんなに細くないが。

 

「(しっかし炭治郎か…この世界は鬼滅の世界ともクロスしているのか?)」

 

 一瞬そう思うがすぐに別の可能性に気づく。

 キメツ学園物語。

 鬼滅キャラ達の現代或いは学園パロ作品で、本編とは全く関係のない平和な世界だ。

 多分この世界も人物(キャラ)だけ同じで別人なんだろう。

 だが、ソレでも彼は主人公だ。

 原作では圧倒的に絶望的な状況でも諦めず立ち向かい、どんな時でも人を救おうとした。

 もし原作通りの人間なら、彼にこそ光は相応しい。

 俺のように我可愛さに弱い人たちをすぐ見捨て、絶望して喚き散らした俺と違ってな。

 

「ありがとうございます。ポストに入れて置いたら後で回収します」

『いや、そういうわけにはいかないんだ。先生に様子見て来いって言われててさ、もうすでに受け取るモン取っちゃったんだ』

 

 俺が同級生と知ってため口になりながら、カメラ越しにお金のポーズをとる炭治郎。

 あ、ダメだこりゃ。とんでもねえ方の炭治郎だ。

 

『なあ頼むよ~。ここで嘘言うと折角返してもらった押収されたエロ本、また没収されちまうんだよ~』

 

 炭治郎の姿か、コレが?

 いや、俺の知ってるのはあくまで鬼滅の炭治郎だからな。

 ただのそっくりさんみたいなものだ。

 原作と違うなんてこの間思い知らされたばかりだろ。

 

「分かった、じゃあ少しだけだぞ」

『あざ~す』

 

 炭治郎を家に上げて軽く雑談する。

 俺が入る筈だったクラスの近況、アニメや流行りの音楽の話、そんなどうでもいい話だ。

 ある程度したら気が済んだのか炭治郎はそくさと帰っていった。

 

「じゃ、圭吾は元気だったって先生に伝えとくよ」

 

 もう下の名呼び捨てかよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕方頃、炭治郎は一人で帰路を歩く。

 その道中、友人にばったりと遭遇した。

 我妻善逸と嘴平伊之助。

 彼らは炭治郎の存在に気づくと同時に駆け寄る。

 

「大丈夫だった炭治郎!?あの歌舞伎町の龍に何かやられた!?」

「ソイツに何かされたか!?もしやられたんならやり返すぞ!」

 

 ひどく心配した様子で問い詰める二人を炭治郎はソレを笑いながら宥める。

 

「二人とも心配しすぎ。圭吾くんは普通の子だったよ」

 

 鞠川圭吾。

 彼は転校して一度も登校したことが無い。

 所謂引きこもりといったもの。

 だが、有名なのはソレが原因ではなかった。

 

 圭吾は前の学校から有名人だった。

 模試試験は常に上位をキープ、所属している総合格闘技ジムでは全国大会で優勝。

 しかし度々問題を起こしており、遂に事件となって謹慎処分。

 取り押さえにきた警察官をも返り討ちにしたという。

 更に、謹慎中に裏格闘技大会に出たと噂されており、現に治安の悪い歓楽街に屯(たむろ)していた写真が幾つもある。

 

 文武共に秀でた高いスペック。

 全国大会で優勝し、大人の格闘経験者も圧倒する強さ。

 この二つが普通なら笑い飛ばしてしまいそうな漫画染みた黒い噂を真実だと思わせてしまう。

 

「アイツ絶対ヤバいよ!だってあの狛治殿でさえ勝てなかったんでしょ!まだ高校生になる前から強すぎるよ!」

「それは決めつけだよ善逸。圭吾くんが強くても暴力を振るってるとは限らないだろ?ソレに、事故に巻き込まれた被害者をそんな風に言うものじゃないと思うよ?」

「うッ!そ、ソレは…」

 

 事故というワードを聞いた途端、善逸は黙った。

 

 先日発生した難破事故。

 圭吾はその唯一の生き残りだ。

 これもまた彼が有名人である理由の一つ。

 ニュースでも連日この内容が取り上げられており、知らない者は日本にまずいない。

 実名こそ伏せられたが、転校の時機と何処からか漏れた個人情報、そして元から有名人という事から特定されてしまった。

 

「本人は何も悪いことしてないのに周りがはやし立てるなんてどうかしてると思うよ俺は!」

 

 何十人も死んだ事故を経験し、自分一人だけ助かってしまったのだ。

 その心の傷は計り知れない。

 

「噂を聞いた時は俺も怖かったけど、そんな目に遭った人を悪くは言えない。ソレに、決めつけもよくないからね」

「そ、そうだな。俺、悪い噂を馬鹿正直に信じまったよ」

「炭治郎が無事なら俺は何も言わねえ!ソレよりも俺は“黒い巨人”のことが気になる」

 

 圭吾の話を打ち切って次の話題に変える。

 

「黒い巨人?」

「ああ、最近流行ってる都市伝説なんだけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 炭治郎が帰った後、俺は再びテレビを付けた。

 内容はさっきとほぼ同じ。

 また敵を倒してハーレムを作ってるシーンだ。

 そこで急に映像が切り替わる。

 

『緊急速報です!先ほどアジア大陸を横断している謎の飛行物体は日本に向かう可能性ありと…』

 

 テレビを消す。

 この調子だとアニメはもう流れそうにない。

 だったらもっと有意義なことに時間を使おう。

 日本以外に怪獣が出ても知った事ではない。

 

「(いや、日本に向かう可能性ありと言ってたな)」

 

 俺は勉強机の引き出しを開けてブラックスパークレンスを取り出した。

 

「………」

 

 無言で掲げる。

 その名は俺には荷が重すぎる。

 俺はウルトラマンでも、ましてティガでもない。

 

 ブラックスパークレンスが展開される。

 紫と黒の稲妻に包まれながら、俺は黒い光となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 某大陸の大都市。

 突然、二体の巨大な生物が姿を見せ暴れ出した。

 

 ゴルザ。

 地中から出現した巨大生物。

 二足直立の恐竜のような、マッシブで筋肉質なシルエット。

 地表を掘り進めながら、顔の外側から喉元を覆う兜の額部から紫色の光線を発射して町を破壊していく。

 

 メルバ。

 天上から出現した巨大生物。

 ドラゴンと鳥を掛け合わせたような、スラッとしたシャープなシルエット。

 肩口から伸びる突起から巨大な飛膜の翼を広げて高速で飛行しながら、眼から発射する山吹色の破壊光弾で町を破壊していく。

 

 二体の巨大生物によって町は破壊されていった。

 家が、ビルが、道路が。頑強な筈のソレらがアッサリと崩壊される。

 まるで、砂で作った城を子供が崩すかのように。

 

 逃げ惑う人たち。

 二体の生物はソレを積極的に踏み潰し、各々の光線を出して吹き飛ばしていく。

 まるで、小さな虫の大群を潰し、殺虫剤を散布するかのように。

 

 ゴルザが地に潜る。

 その度に大地が割れ、巻き込まれた建物が地中へ沈んでいく。

 

 メルバが空を飛ぶ。

 その度に大気を裂き、真空波によって町が巻き込まれていく。

 

 ただ移動するだけで甚大な被害を及ぼす。

 その上で積極的に人間或いは人工物を破壊していく。

 二体が現れてからほんの数分で、栄華を極めていた筈の大都市は見るも無残な瓦礫の廃墟と化していった。

 

 巨大生物たちは進む。

 町を破壊し、人々を殺戮しながら。

 

「………おしまいだ」

 

 ある者が呟く。

 その国の言葉。

 しかしおそらく意味は誰もが理解できるだろう。

 言葉に込められた絶望によって。

 

 周囲の者も大半は同じ反応。

 ある者はその場で蹲り、またある者は呆然と立ち尽くす。

 

 この世の終わり。

 その場にいる者誰もがそう思った…。

 

 

 

 瞬間、世界を黒い光が照らした。

 

 

 紫電を纏う光。

 ソレは降り立つと同時に人のシルエットへと変わる。

 ゴルザも、メルバも、人々も、揃ってその瞬間を凝視する。

 

 筋肉質な黒いボディに銀色のライン。

 胸元の紫色の結晶体と紫色の眼が妖しく光る。

 

「ウゥ…デュアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 完全に姿を現した巨人―――ティガダーク。

 彼は二体の巨大生物目掛け、身の毛がよだつ程に雄々しい咆哮をあげた。

 





気づいてる人いると思いますけど、この主人公ヤバいところあります。
だからこそ闇の巨人になり、その力を使えるのですが。

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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