ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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私の中でティガの印象的なシーンの一つに、キリエロイドⅡ戦があります。
市民たちがティガのピンチに駆けつけ、光を翳すことで復活するシーン。
キリエロイドⅡを倒した後はグッドサインして飛び立つ。
言葉も交わさず何者かもわからないのに、心が通じ合っているようですごくいいシーンだと当時も今も思っています。
ただ、このssでソレを出す気はありません。
ここの人類はあそこまで民度高くないので。


キリエロイドⅡ

 

 キリエロイドが姿を変えた。

 通常形態から怪力戦タイプへと。

 初めて対峙するタイプチェンジを使う敵。

 ティガダークは一瞬驚くが、すぐさま切り替えて自身も剛力体へと姿を変える…。

 

「ジュビィ!」

 

 キリエロイドが巨岩を投げつけた。

 偶然腰ぐらいの位置にあった小山の岩を、ノーモーションで片手で投擲。

 ティガダークは咄嗟に上体を逸らして避けたがそのせいでタイプチェンジし損ねた。

 

 タイプチェンジの妨害。

 キリエロイドは自身に優位な形態のまま戦わせようとしている。

 そのことに気づいたティガダークは敢えてキリエロイドの思惑に乗って迎え撃った。

 

 ティガダーク目掛けて腕の刃を振るう。

 上体を逸らして避けるティガダーク。

 先程までのスピードは無いが、そのパワーと武器が脅威になっている。

 一発でも当たればアウトという緊張感の中、ティガダークは冷静に対処していく。

 

 防御するティガダーク。

 敵の攻撃を捌き、フットワークで回避。

 隙を見て攻撃し、受け流して反撃を重ねる。

 一発一発は大した威力も無い上、相手がタフでダメージが入りにくい。

 しかも相手もカウンターや急所を警戒してガード固めている。

 だが、決して無駄な行動ではないのだ。

 

「ギギィ…!」

 

 キリエロイドが苛立ったような声を出した。

 自分の攻撃が当たらず、ティアダークのだけばかり当たる事に焦りだしたのだ。

 たとえ効いてなくても、何度も殴られると腹が立つもの。

 焦りや怒りはミスを招き、ミスはティガダークの勝機となる。

 そこを狙うのだ。

 

「ジュビッ!? …キリキリィ!」

 

 キリエロイドの顔面にティガダークの光弾が当たった。

 威力の無い速度優先の嫌がらせ技。

 だがソレが逆にキリエロイドの逆鱗に触れた。

 

 ティガダーク目掛けて炎を放とうとする。

 獄炎弾。

 右手に炎をチャージし、炎の弾を数発放った。

 

「デュア!」

 

 バリアを張るティガダーク。

 紫と黒の円形の防御壁を前面に展開。

 ソレを回転させてキリエロイドに跳ね返した。

 

「ギビィ!?」

 

 跳ね返された自身の攻撃。

 ソレを食らったダメージか、それとも跳ね返された事へのショックか。

 キリエロイドは一瞬動きを止めてしまい、隙を晒してしまった。

 その間にティガダークはキリエロイドに飛び掛かりながらタイプチェンジを行う。

 

「デュアッ!!」

 

 ティガダーク剛力体のドロップキック。

 通常体でスピードを付け、剛力体のパワーを付けた一撃。

 ソレによってキリエロイドは吹っ飛ばされて小山に背を叩きつけられ、ダメージを受けて怯む。

 その間にティガダークが接近し、左手で小山に押さえつけ、反対の手で殴りまくり、膝を一発入れた。

 

「ジュビッ!」

 

 再び数発殴ったところでキリエロイドが抵抗。

 右腕を掴み、反対の手で殴り掛かる。

 それを受け止め、小山に叩きつけるように押し付けて拘束。

 同時、キリエロイドが無理やり前蹴りを行ってティガダークを引き離そうとした。

 だが体勢のせいで上手く力が入らず、蹴り飛ばしきれない。

 結果、ティガダークと揉み合いになって転がり、今度はキリエロイドが馬乗りになった。

 

 絶好のチャンス。

 マウントポジションのままティガダークを殴ろうと拳を振りかざす。

 だが、そうは問屋が許さない。

 

「デュアッ!」

 

 ティガダークの抵抗。

 馬乗りになっているキリエロイドの後腰部を膝で押してバランスを崩し、相手が手を地面に付ける。

 瞬間、キリエロイドの頭部のひれのような部分を掴み何度もヘッドバットを食らわせた。

 

「ジュビ……!」

 

 キリエロイドがティガダークの頭部を掴む。

 これ以上頭突きされて堪るかと。

 力ずくで振りほどこうとしてティガダークと拮抗。

 怪力にものを言わせようと更に力を入れ、全力でティガダークを振り払おうとする。

 瞬間、ティガダークは待ってましたとばかりに力を抜いた。

 

「デュア!」

 

 吹っ飛ぶティガダーク。

 いや、吹っ飛ばしてもらった。

 ティガダークはキリエロイドの力を利用して距離を取ったのだ。

 更に、空中でタイプチェンジを行って着地。

 立ち上がろとするキリエロイド目掛けて光弾を放った。

 

「ジュビッ!?」

 

 たたら踏むキリエロイド。

 怯みながらも次の形態へと姿を変え、空目掛けて飛び立つ。

 ソレを追う形でティガダークも飛行した。

 

 ティガダーク敏捷体。

 キリエロイド飛行戦タイプ。

 細身の体形となったティガダークと翼を生やして飛行能力を獲得したキリエロイド。

 巨体に見合わない速度で巨人たちはぶつかり合い、光弾と炎弾を撃ち合う。

 

 ティガダークは必殺以外の光線系の技が苦手。

 しかし経験があり相手の性格を理解している。

 スペックはキリエロイドが上。

 しかし散々殴られて支障をきたしている。

 これらの差が空中戦の勝敗を分ける事になる。

 

「ッ!?」

 

 ティガダークのカラータイマーが鳴る。

 ウルトラマンは三分しか戦えない。

 このルールはウルトラマンを象っているティガダークにも当てはまる。

 

『ふ…フハハハハハ!君はもうタイムリミットが近いようだね!だが、我らキリエル人にそんなものはない!このまま粘れば…』

『させねえよ』

『フン、その程度で!』

 

 ティガダークの光弾が繰り出される。

 威力も射程もキリエロイドが上。

 当たっても大したダメージは無い。

 そんなことはティガダークも承知している。

 だから、苦手な部分は工夫と経験で補う。

 

「ッ!!?」

 

 待ち構えていたかのように、キリエロイドの回避先に光弾が投擲された。

 余裕そうに避けるキリエロイド。

 優位性をアピールして煽るかのように無駄なアクロバティックな動作で回避。

 ソレが罠だと知らずに。

 

『な!?』

 

 光弾が網状に展開された。

 捕縛されるキリエロイド。

 光の縄が絡まり、速度が急降下。

 焦って抜け出そうとした瞬間、ティガダークの蹴りが炸裂した。

 加速が乗った蹴り。

 ソレによって片翼を切り裂かれ、バランスを崩したキリエロイドは墜落した。

 絶好のチャンス。

 ティガダークは胸のカラータイマーが鳴る中、通常体へと戻りながら着地した。

 

「ギュビィ……!!?」

 

 ティガダークがキリエロイドの左胸の発光体を掴む。

 途端、キリエロイドの力がティガダークへと流れ込んできた。

 

『やはりな。前回出来たから似たようなこれも成功するか』

『き…貴様!? なに、を………!!?』

 

 ティガダークは弱弱しく抵抗するキリエロイドを無視して更にエネルギーを吸収していく。

 

 グシャッ!

 

 そして発光体を引き千切り、手の平の中で握り潰した。

 途端にティガダークの身体に流れ出す炎のようなエネルギー。

 その充足感に満足しながら、ティガダークはキリエロイドを空高く放り投げた。

 

 いつの間にか現れた物々しい門。

 そこに叩きつけられ、磔のような状態になる。

 

 ティガダークが必殺の構えに入る。

 光のラインが横水平を描いた。

 

「っデュア!」

 

 放たれるゼペリオン光線。

 ソレは夜を照らしながら墜落したキリエロイドに命中。

 大爆発を起こしてキリエロイドを本来の姿である獄炎に還した。

 

『あばよ、惰弱な救世主サマ』

 

 ソレだけ言い残してティガダークはその場から飛び去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、正体は分からず仕舞いか」

 

 キリエル人からこの力の正体を聞き出せなかった。

 いや、正確に言うなら奴も知らなかった。

 

 この力はティガではない。

 そもそもウルトラマンですらない。

 姿や能力が似てようが、ソレは真似ているだけの偽物。

 なら、コイツの正体は一体何なんだ?

 

「………いや、どうでもいいか」

 

 俺は考えるのを一旦やめた。

 そうだ、どうでもいい。俺がやる事に変わりないのだから。

 

 力は力。

 ただの道具だ。

 使えるならそれでいい。

 コレがティガの偽物だろうが、邪悪な闇由来の物だろうが。

 必要に迫られるなら使う。ソレでいい。

 むしろウルトラマンじゃないと分かって重荷が降りた気分だ。

 

 今までと変わらない。

 俺は俺の為に戦い、敵を倒す。それだけだ。

 

「で、今回も一人で倒しちまったな」

 

 キリエロイドⅡ。

 ティガ怪獣の中でも強豪中の強豪。

 初代キリエロイドの数倍の戦闘力を誇り、ティガ同様のタイプチェンジを獲得。コレを駆使してティガを圧倒した。

 しかし人々がティガに光を与え、声援と祈りの力を受けてティガは復活。再び挑んでティガは勝利した。

 だが、原作と違って俺は自力のみでコイツを倒してしまった。

 

 ウルトラマンは決して一人だけで戦うんじゃない。

 地球人と共に戦う。

 けど、俺はずっと一人。

 そんな状況で強豪相手に勝ち続けてきた。

 

 

 ファルドン。

 分身能力は厄介だが本体も分身も紙装甲だ。

 スピード戦だから敏捷体になり、クソ雑魚光弾を散弾みたいにしてぶち当てて本物を探り当て、ランバルト光弾で倒した。

 町中でウルトラマンが散弾ばら蒔くとクラスター弾みたいになるが、俺の光線下手が功を奏した。

 

 エノメナ。

 電磁波食らって破壊衝動を引き起こされたが、元から俺は衝動が武器だ。

 恐怖を怒りや殺意に変換するのに慣れているし、ソレをコントロールして戦ってきた。

 怒りを存分にぶつける為に剛力体になり、殴りまくった後、デラシウム光流で倒した。

 

 キュラノスと夜の一族。

 原作通りの場所にいたから奇襲を仕掛ける。

 ティガダークになって潜伏先のディスコを日中に破壊して無理やり勝負の土台に引きずり込んだ。

 相手は闇の種族だが俺も闇。闇を吸収して力に変え、牙をぶち折って目に突き刺す。

 後はじっくり料理してやった後、ゼペリオン光線で倒した。

 

 とまあ、原作知識による攻略だったり、闇の巨人ならではの強みを生かして倒した。

 そう、俺は闇側の人間。だから今回も勝てた。

 

「(それに、闇の力だけじゃないしな)」

 

 反転した光の力と獄炎の力。

 イーヴィルティガから奪ったものと、今回キリエロイドから奪ったモノだ。

 キリエロイドの胸の発光体がカラータイマーに似てたから前回同様の事が出来るんじゃないかと試したが、まさか成功するとは思ってなかった。

 やった俺が言うのも何だが、十中八九駄目だろうって思ってやったからな。

 

 今のところ特に何もない。

 力を奪って満たされた感覚はあるのだが、それを利用する術を知らないのだ。

 漫画のように奪った力を使ったり、パワーアップしたりとかの展開はなさそうだ。

 だが、確信めいたものが俺にはある。

 奪った力はいつか俺の物になると。

 

 ガタノゾーアは闇の王。

 同じ分野のみで勝てる相手ではない。

 だから、奪った力をものにする必要がある。

 

 今まで一人で戦ってきたのだ。

 もう、ウルトラマンなんて求めていいい状況ではない。

 

「覚悟決めなきゃな…」

 

 敵に勝つ。

 それしか俺が生きる方法は無いのだから。

 





主人公が必殺技以外の光線が苦手な理由も彼が変身するティガダークに絡んでます。
ソレは後程に。

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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