ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
何も見えない闇の中。
方向感覚どころか重力も感じられない。
そんな不気味な空間で漂いながら、俺は俺が何者なのかを思い出した。
あの日、力を手にした日。
俺は人間じゃなくなった。
この力はウルトラマンから与えられたと思っていたが、ソレは違っていた。
与えられたんじゃない、俺は奪ったんだ。俺を殺そうとした連中から。
小型ゾイガ―に襲われた瞬間。
俺はあの時、最期まで抵抗した。
向かって来るゾイガー共を殺し、最期は奴らに食い殺された。
あの時、あの瞬間。殺されて全てを奪われようとした刹那。
俺は奴らから逆に全てを奪い取ったんだ。
俺は転生者だ。
前世の魂と今世の魂、二つの魂を持つ。
次に人間らしい負の感情。
殺意と憎悪などの闇の感情が奴らのソレを上回っていた。
最後に俺自身が闇との親和性が高く、食った奴らの力と融合し易かった。
二つの魂。闇の感情。そして闇との親和性。
これらはゾイガー共にとって大きなイレギュラーに、俺にとっては最大の幸運となった。
先ず、死して尚残った俺の魂。
コレが俺を喰ったゾイガ―の身体を乗っ取った。
次に、闇の感情と闇との親和性。
コレらが乗っ取った身体にあった闇の力と融合し、力を完全に制御化に置いた。
ゾイガーの身体と力と命。
俺は俺を殺した奴らから全てを奪ったのだ。
闇の中で復活した俺は更なる力を求めた。
死体から闇に還りながら怨念を発するゾイガ―共を贄にして。
前世の俺は憧れていたヒーローの力を、今世の俺は現状を打破できる最強の力を。
求めた力のイメージに闇の力を吹き込み、ソレは具現化された。
ウルトラマンティガ。
救いと光を求めた俺がイメージした最強のヒーロー。
闇の力によって再現した結果、ソレは黒く闇に染まったティガダークとなった。
そうだ、この力は………俺はウルトラマンではない。
むしろその逆。闇によって造られた贋作。
もっと言えば超古代怪獣に近い。
最初からウルトラマンなんていなかった。
怪獣同士殺し合っていただけ。
要は共食いだ。
だが、ソレがなんだっていうんだ。
力は力。
道具に過ぎない。
第一、ウルトラマンも怪獣も人間から見れば同じだ。
やることは変わらない。
敵と戦い、勝利して食らう。
これまでと同じように、俺は奪い続ける。
「先ずはお前からだ」
闇の中、俺は手を伸ばす。
握った瞬間、手の中に何かを掴み取った。
「ッ!!?」
突如、ティガダークが飛び出した。
ファイブキングの背中にある紫色の結晶体から。
囚われた筈の彼が、力尽きて倒れたはずの彼が、闇を奪って復活した。
新たな姿と力を手にして。
赤青紫三色の眼。
三つに増えたカラータイマー。
其々赤青紫と三つの形態のソレになり、三つ巴型となっている。
所々に施された金の装飾。
金色の手甲や脛当。
頭部からは三本の金色の角のようなものが生えている。
ティガダークトリニティ。
イーヴルティガやキリエロイドから吸収した光と炎の力をベースに、ファイブキングから奪った闇の力によって、自由と同時に獲得した新たな形態である。
闇の吸収能力。
コレによってティガダーク…否、この超古代怪獣は強くなってきた。
本来タイプチェンジ出来ない筈のティガダークが形態を変えられたのもコレのおかげである。
通常体はゾイガーから、剛力体はゴルザから、敏捷体はメルバから。
其々倒すと同時に吸収した闇の力から特性も取り込み、タイプチェンジを獲得。
ティガの姿を模倣する事で能力や技を再現。使いやすくしてきた。
だが、彼の進化はそこまで。ティガから逸脱した力はイメージの限界によって出来ずにいた。
ティガの姿は模倣でしかない。
理想と憧れの力を再現する為にティガをモデルにしただけ。
本来の彼はティガどころかウルトラマンですらない。
そのイメージによって助けられた点もあるが、ある意味ではウルトラマンという幻想に縛られていたと言ってもいい。
だから自身が超古代怪獣であることを自覚する事で、そのイメージから脱却。
ティガという枠組みから外れ、元から持つ力を発展させる。
ソレこそが今の姿。吸収した力から自己強化する能力で、彼は新たな姿と力を手にしたのだ。
ファイブキングは再びティガダークを捕らえようと攻撃を仕掛ける。
背中にある闇の力を凝縮した結晶体を全て奪われた。
ソレは俺の力。俺が奪う側でお前が奪われる側だ。
分からないのならその身でもう一度知らしめる!
ファイブキングの一斉放射。
攻撃範囲を重視したソレは正しく光弾の大津波。
比喩表現なしに町を覆い尽くさんとするほどの規模だった。
避けるティガダーク。
敏捷体以上のスピードで。
急加速、急停止、急上昇、急下降。
速度を維持して縦横無尽に飛び交い、光弾や光線の大津波を突っ切る。
「ッ!?」
いつの間にかティガダークが接近してきた。
接近戦はマズい。そう判断したファイブキングは距離を取ろうと両腕から光弾を連射しながら高速移動を開始する。
外見からは想像できない程の超スピード。
重鈍そう見えるが、ファイブキングの飛行速度は音速を優に超える。
合体元の怪獣の能力とスペックを併せ持ち、且つその上をいく。
超合体怪獣の名は伊達ではないのだ。
空中チェイス。
両者共に音速を超えて。
暗雲の中、二体の超古代怪獣は激戦を繰り広げた。
「ッ!!?」
空中戦の勝者はティガダーク。
ファイブキングの皮膜を貫いた。
右は投擲した光輪で、左は直接突っ込んで。
翼の皮膜を破壊されたファイブキングは速度を維持したまま墜落した。
堕ちたまま一斉射撃するファイブキング。
今度は本気中の本気。
背中の結晶体が無いせいで再生も補給も出来ないが、体内のエネルギーは十分にある。
弾切れを気にすることなく、ファイブキングはありったけの質と量をぶつけた。
バリアを張るティガダーク。
全身を包み込む金色の光。
ソレは豪雨や流星群の如く降り注ぐ光弾や光線を全て防御。
攻撃が止むと同時に解除。傷一つないティガダークが姿を見せた。
地面に激突するファイブキング。
しかし大したダメージは無い。
すぐさま立ち上がろうとした
その隙にティガダークは攻撃に移る。
分身。
通常体、剛力体、敏捷体。
金色の光と黒い闇を纏う三体のティガダークの分身。
三人は各々の必殺技をファイブキングに繰り出した。
ランバルト光弾がガンQ部分を、デラシウム光流がレイキュバス部分を、スペシウム光線がスーパーコッヴ部分を。
溜め無しのスペシウム光線がスーパーコッヴ部分を破壊し、遅れてランバルト光弾とデラシウム光流が命中。
ファイブキングを構成する怪獣部位を破壊した。
「デュア!」
ティガダーク本体が飛び蹴りを繰り出す。
飛行と落下速度で付けた勢いを乗せた跳び蹴り。
ソレはメルバ部分だけでなくゴルザの角をまとめて一撃で破壊した。
ファイブキングも応戦。
部位を破壊されたせいで光弾や光線は使えなくなったが、スペックは健在。
五体分以上のパワーを駆使して肉弾戦に応じる。
「ッ!!?」
格闘戦の勝者はティガダーク。
剛力体以上のパワーと耐久力。
ソレを持ち前の格闘技術で更に効力を発揮。
合体分以上のパワーを誇るファイブキングを圧倒した。
ティガダークの後ろ回し蹴り。
直に食らって数十m程蹴り飛ばされる。
しかし彼らの巨体からすれば少しの距離。
すぐさま体勢を整えて反撃する。
ファイブキングの尾撃。
身体を回転させて体重とパワーの乗った一撃を繰り出す。
ティガダークはソレを難なく止めてみせた。
接触する際、力を受け流しながら抱き抱える。
剛力体以上のパワーと耐久力だけでなく、持ち前の技術もあってダメージはゼロ。
そのまま回転しながらぶん回し、5万5千tもの巨体を高く投げ飛ばした。
圧倒的。
あのファイブキングを圧倒している。
たった一人の戦力で。
コレならどんな敵でも倒せる!
圭吾がそう思った瞬間、ティガダークトリニティのカラータイマーが鳴った。
三つ巴型のカラータイマーが一斉に鳴りだす。
同時、強烈な疲労が彼に襲い掛かった。
「(ッ!? ッチ、やっぱ代償無しとはいかねえか!ソレよりも早く決着を!)」
エネルギーをチャージするティガダーク。
両腕を腰の位置までグッと引き、両手を伸ばながら胸の前に突き出して交差。
まっすぐ両腕を左右に開き、エネルギーを中心に集約させる。
金色と黒の光のラインがその軌道に沿って描かれた。
黒と金色の光線による奔流。
ゼペリオン光線・トリニティ。
通常体のソレを軽く凌駕するほどの威力を発揮。
投げられて無防備とはいえ、吹っ飛んでいたファイブキングを一撃で破壊した。
大爆発を起こしながら、凄まじい闇の暴流が起きる。
「デュアァァァ」
通常体に戻ってソレを吸収するティガダーク。
普段倒している超古代怪獣より明らかに数段多大な闇。
ソレを吸収しきったというのに、ティガダークのカラータイマが点滅を止めることはなかった。
「デュ…ァァ………」
力なく膝を付いて、闇となって消えるティガダーク。
その場で変身が解除され、圭吾に戻った彼は疲労のあまり倒れた。
ティガダークの復活に人類は気づけないままだった。
理由は単純、その場には人間が既にいなかったから。
ファイブキングはティガダークを撃破した後、ターゲットを町に変更。
圧倒的な火力と手数で近隣の町を短時間で破壊し尽くした。
辺り一帯に刻まれる破壊の痕。
町は最早町として機能せず、人間どころか生物すら存在しない。
ティガダークを求める者はいた。
願い通りティガダークは復活し、怪獣を倒した。
しかし遅かった。
何もかも破壊され、殺され尽くした後。
故に、誰もティガダークが復活し、怪獣を倒す瞬間を目撃出来なかった。
数日もすれば気づくだろうが、また別の問題が発生した。
町を………世界を攻撃する怪獣は一体だけではなかった。
超古代尖兵怪獣ゾイガー。
日本だけでなく全国各地に出現。
町を破壊し、人々を逆虐殺し、次々と闇を拡げていった。
世界規模で起きた怪獣パニック。
ここまで来るともうティガダークだけではどうしようもない。
世界は闇に覆われた。
この闇を晴らす存在は、未だに現れない。
ハイ、主人公はウルトラマンですらありませんでした。
ウルトラマンの姿はあくまで模しているだけで分類上は超古代怪獣と一緒です。
ゾイガ―から身体と力を奪ったという点から、どちらかというと漫画版デビルマンに近い感じですね。
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
-
いる
-
いらない
-
ご自由に