ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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特撮最大の敵は大人の事情。
この前には如何なる強大な敵やチートラマンも勝てない。


ガタノゾーア

 

 黒い光となって目的地に飛ぶ。

 光速でたどり着いたと同時、ティガダークの姿になって辺りを見渡す。

 

「(まさかここにルルイエがあったなんてな)」

 

 俺が乗ってた船が沈んだ海域。

 しかも難破した箇所から大分離れてるじゃねえか。

 一応日本の海域だが、ここまで原作と違う上に関わりない場所気づかないぞ。

 何でこんなに原作乖離してんだよ。余計な苦労かかせるな。

 そんなことを考えながら下の景色を眺める。

 

 ルルイエは戦士たちの墓場という有様だった。

 至る所に落ちている石像の一部。

 おそらく光或いは闇の戦士のものだろう。

 原作より量が多いような気がするが、それだけ光と闇の激戦が凄まじかったということか。

 いや、今はそんな事はどうでもいい。奴が完全に目覚める前に、ぶっ殺し………。

 

「ッ!!?」

 

 咄嗟に回避。

 途端、俺がいた点に紫色の光線が通り過ぎた。

 間違いない、ガタノゾーアの光線だ。

 

 光線目掛けて突っ込む。

 反撃はしない。

 撃っても無駄なのは原作知識で知っている。

 得意分野の肉弾戦であの巨大アンモナイトを潰してやる。

 

 敏捷体に切り替えてビームや触手を避けながら接近。

 落下しながら、スピードを加速させて勢いを付ける。

 

「デュア!」

 

 剛力体に切り替えて全力の飛び蹴りをぶちかます。

 加速と落下による重力の乗った全力蹴り。

 ドロップキックの要領で全ての力を一点に集結させた。

 

「(やっぱダメか)」

 

 これ以上ない完璧な蹴り。

 通常ならこの一発でケリがつくのだが、相手はあのガタノゾーア。

 少し怯んだ程度で大したダメージがあるようには見えなかった。

 

 ガタノゾーアの反撃。

 口から黒い霧を吐き出しながら触手で俺を捕らえようとする。

 ソレに対抗して俺は敏捷体にまた変化し、空を飛んでソレらから逃れた。

 

「(だったら!)」

 

 トリニティにタイプチェンジ。

 黄金の闇を纏いながら炎と光の力が追加される。

 ソレらをコントロールしながら、俺は強化形態に移行した。

 

「デュアッ!」

 

 トリニティになったと同時に分身を行使。

 本体入れて四人がかりでガタノゾーアリンチにかかる。

 

 通常体(マルチタイプ)—――シャドウミストに対応。

 触れた生物や機械を停止させ、射程も無限のチート攻撃。

 そのチート攻撃を吸収することで自身の力に変換し、本体に受け渡す。

 

 敏捷体(スカイタイプ)—――触手に対応。

 パワータイプ並の怪力を誇るソレが何十本も襲い掛かる。

 それらをスピードで翻弄し、攪乱しながら時に切り落とす事で援護。

 

 剛力体(パワータイプ)—――巨大爪に対応。

 巨人を軽々と掴める程のパワーとサイズを持つ四本の爪。

 それらを受け流し、時に反撃やカウンターをぶち込む事で牽制。

 

 強化体(トリニティタイプ)—――ガタノゾーアと対峙。

 分身のサポートを万全に受けて戦闘に集中。攻撃しまくる。

 敏捷体越えのスピードで、剛力体越えのパワーで、通常体越えの光線で。

 全身全霊を敵にぶつけ、命を削る勢いで攻撃を続ける。

 

 いい感じだ。

 原作以上にガタノゾーアとやり合えている。

 トリニティという強化形態、敵が寝起きという状態、そして原作知識。

 これだけ好条件がそろっているのだから当然だが、ソレを考慮してもいい感じに進んでいる。

 

 やってやる!

 グリッター無しでコイツをぶっ倒す!

 

 

 

 

 そう考えていた瞬間、本当の悪夢が始まった。

 

 

 

 

 ティガダークは奮闘していた。

 彼自体に落ち度はない。

 持てるものを、己が出来ること全てを万全に出せていた。

 だが、相手が悪かった。

 

 ティガダーク—――圭吾は今まで原作知識を元に戦ってきた。

 前世で視聴したウルトラマンの情報を元に戦い方を模索、立案して実行。

 彼自身の格闘能力も相まって、本来ならティガ一人では勝てない敵も封殺し、倒す事に成功した。

 予想外の行動や攻撃をした相手や、知識があろうがどうしようもない相手もいたが、ソレでも原作知識が通じる相手だった。

 だが、コイツは………ガタノゾーアは違った。

 

 ガタノゾーア第二形態。

 原作では大人の事情で登場しなかった姿。

 制約がない世界でその力を存分に発揮した。

 

 増えた触手。

 そこから撃ち出される石化光線。

 一発一発が必殺技のソレを、ティガダークは必死に避ける。

 敏捷体以上の速度を誇るトリニティ。

 ソレでも尚、全ての触手から放たれる光線を避けるのは至難。

 その上、トリニティは消耗が激しく一分しか持たない。

 

 強化体………トリニティの制限時間は一分。

 ソレを過ぎると変身自体が解除してしまう。

 この欠点はたとえ闇を吸収してエネルギーを回復しても解決できない。

 何故ならコレはエネルギー不足では無く、変身者である圭吾の体力の問題だから。

 もっと言えば反動に近い。

 トリニティはその強さ故に変身者に負担が掛かり、活動限界が一分になっている。

 まあ、使用エネルギーが膨大なのでエネルギー問題もあるのだが。

 

 ガタノゾーア第二形態、トリニティの活動限界、そしてもう一つの問題点。

 ソレはガタノゾーアがティガダークの闇を吸収し始めた事だ。

 

 このティガダークはガタノゾーアの眷属にあたる。

 独り歩きして大分特殊な個体となったが、元を正せばガタノゾーアの一端に過ぎない。

 ティガダークが元来持つ闇の吸収能力はガタノゾーアから発祥したもの。

 当然、その力関係は発祥元であるガタノゾーアが優先される。

 

 闇ではガタノゾーアに勝てない。

 同じ土俵で戦うには、闇の支配者であるガタノゾーアはあまりにも分が悪すぎた。

 

「デュアッ!!?」

 

 カラータイマーが鳴る。

 ビームが掠りだして激痛が走る。

 疲労が蓄積し動きに鈍りが出始める。

 

 猶予はない。

 大分悪い賭けだが、張るしか選択肢はない。

 

 ゼペリオン光線の構えに入りながら接近。

 黒と金色のラインを描きながら、光線をぶちかまそうとする。

 同時、ガタノゾーアも口から極大の暗黒石化光線を放った。

 

 ぶつかり合う光線。

 黒と金の光線と、暗黒の光線。

 一瞬だけ拮抗したかと思いきや、ソレはほんの数秒で崩れる。

 

「ッ!!?」

 

 ガタノゾーアの光線がティガダークのカラータイマーを撃ち貫く。

 三つとも纏めて。

 闇が抜けて強化体から通常体に戻り、全身から力が抜ける。

 

「(ちく…しょう………)」

 

 落下していくティガダーク。

 空中で徐々に石化しながら海に墜落。

 着水した瞬間に完全な石像となり、ゆっくりと沈んでいった。

 

「バァオオオオオオン!!」

 

 ガタノゾーアが勝ち鬨をあげる。

 腹の底から響く甲高いも不気味な声。

 闇を通じて世界中に何度も何度も響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めると、俺は妙な空間にいた。

 

 暖かい光と涼しい闇が混在する空間。

 本来なら矛盾する筈の二つが相殺することなく共存している。

 

 何だここは。

 何故俺はこんなところにいる。

 確か俺はガタノゾーアに挑んで、そして………。

 

『やあ、思った以上に早いお目覚めだね』

「!? 誰だ!?」

 

 声のした方に振り返る。

 そこにいた人物を見て、俺は一瞬頭が真っ白になった。

 

「………ダイゴ?」

『うん。君の言うダイゴではないけどね』

 

 マドカ・ダイゴ。

 ウルトラマンティガの変身者。

 本物の光――本物のウルトラマンティガだ。

 

 彼だけじゃない。

 他にもカーミラやヒュドラやダーラム等、闇の巨人たちがいた。

 いや、闇の巨人だけじゃなく光の巨人らしき光もいる。

 

 何だ、何でこの人たちがいる?

 もしかして俺、死んだのか?

 

『単刀直入に言う。僕らは君に力を託しに来たんだ』

「託す?負けた俺に?」

『そう。けど君はあそこまでガタノゾーアと戦えた。だから君に光と闇の力…僕らのやり残した事を託したいんだ』

「………いいのか?俺は闇の勢力…もっといえば奴の配下だ。そんな奴と光の戦士(ウルトラマン)サマが手を組んでいいのか?」

 

 この人たちは俺とは違う。

 闇に堕ちたとはいえ元を正せば光の戦士。

 偽物の俺と違ってウルトラマン本人から直々に選ばれた。

 俺みたいに自分の都合だけ考えてるような奴とは違う…。

 

『いや、恋人を守りたいって願ったら選ばれただけなんだけど。別に人類とかそんなの関係ないし』

 

 おい、ソレで良いのかウルトラマン。

 

『私もダイゴと一緒にいたいって願ったら勝手に認められたわ』

『俺は強くなりたいって願ったらくれた』

『仕事でしてたらいつの間にかウルトラマンになれた』

 

 おいおい、理由テキトー過ぎやしねえか。

 ウルトラマンっていったら惑星一つをどうこう出来る力だぞ。

 ソレをそんな理由でポンポンと。

 

『俺は好きな人に振り向いてほしかったから光の戦士になった。まあ、その人はとっくに誰かのモノだったけど』

『私は家族を守る為。けど息子が殺されて闇の戦士に堕ちたの』

『俺は最初金のためだった。けどそのうちやりがい覚えていつの間にか光の戦士に誇りを持つようになったな』

『僕は英雄に憧れて志願したんだ。けど、恩知らずな民衆を見てたら馬鹿らしくなって、ある日我慢出来なくて闇に堕ちちゃった』

 

 おいおい、一見崇高そうな奴ほど闇に堕ちてるじゃねえか。

 そんなんでいいのかよマジで。

 

『人間なんて昔も今も、おそらくこの先もそんなものさ。結局皆自分の都合の為に戦っている。………君と同じだよ』

 

 ダイゴがそういうと周囲の光や闇も賛同した。

 

『その通り。だからといって闇に堕ちた者の手を借りるのは業腹だが』

『こっちの台詞だ。誰が腐敗した政府の犬に成り下がった貴様らなど』

『何が腐敗だ。気に入らないからといっていちいち反抗すれば国は成り立たんだろ』

『ソレはお前らが割を食わなかったらだろ。もし同じ立場なら同じこと言えたの?』

 

 おいおいおいおい、何か喧嘩しだしたぞ。

 ここって俺の中でいいんだよな?

 なのに家主である俺を差し置いて何盛り上がってんだよ。

 

『さっきも言ったけど、僕も彼らも立場や価値観が違うからね。こうなるのは仕方ないさ。まして、僕たち光と闇は敵同士だから。…僕も僕で光陣営には言いたいこといっぱいあるし』

 

 もしかしてウルトラマンが大体一人なのってこういう争いを避ける為か?

 

「案外低俗なんだな、光の戦士も」

『何度でも言うよ、そんなものさ』

 

 ダイゴは俺に手を差し伸べる。

 

『言い方を変える。あの邪神は僕たちがやり残した問題だ。だから僕たちは君の力を利用したい』

 

『確かに光と闇は敵同士だ。だけど各々の護りたいものの為に協力し合う………いや、其々の都合の為に利用し合う事もあるんだ』

 

『僕たちは僕たちの都合の為に君を利用する。だから君も君の都合の為に僕たちを利用してくれ』

 

「そういうことか。じゃあいいぜ。付き合ってやる」

 

 俺はその手を取った。

 

 





平成や令和のウルトラマンって結構簡単に光と闇が裏返りますね。その逆も然り。
映画版でティガダークが闇を光に反転させて取り込んで徐々に光を取り戻したり、ウルトラマンヒカリが復讐の鎧から勇者の鎧に変わったり。
光と闇はコインの裏表みたいだけどそのコイン自体は意外とすんなり変えられるってことですかね。

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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