ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
こんな筈ではなかったのに。
突然、光と闇がティガダークに向かった。
かつて、巨人だった石像たち。
光の巨人も闇の巨人も。
全ての石像に残った僅かな力が次々と集結した。
黄金の光と漆黒の闇。
相反する二つの力がティガダークに宿っていく。
「ッ!!?」
その光景にガタノゾーアは驚きを隠せなかった。
バカな、ありえない。
これは何の冗談だ。
既に光の巨人らは息絶えたはず。なのに何故力が残っている。
そもそも何故光の巨人たちが自身の眷属である奴に力を貸す。
その力を自身のものに出来るのか?光から闇になった巨人なら兎も、奴は元から闇の存在だぞ。
闇の巨人たちも何故力を貸す。お前たちにそんな殊勝な心は無い筈だろ。
疑問が次々と湧いてくる。
どれもこれもあり得ない奇跡のようなもの。
ソレが立て続けにこうも起きているのだ。
不条理。
あり得ない。
こんなことがあっていい筈がない!
ガタノゾーアのそんな思いとは裏腹に、事は既に進み始める。
呆然と、このあり得ない奇跡の連続のせいでガタノゾーアが停止した。
もしここでガタノゾーアが動き出せば、また違った結末になったのかもしれない。
だがもう遅い。賽は投げられ運命は流れだした。もう止める事は出来ない。
「デュアッ!」
ティガダークが再び立ち上がる。
否、ソレはもうティガダークではなかった。
ウルトラマンティガに近い風貌。
マルチタイプとほぼ同じカラーリング。
金色のプロテクターや身体の各部にティガダークのような黒い模様が入り、頭部にはタトゥーのように黒いラインが描かれている。
光と闇の調和がとれているようで、よりティガに近い姿となった。
しかし、ソレは本物のティガでは無い。
ティガトゥルース。
ウルトラマン達からの力を借りたティガダークが至った形態。
光と闇の力を同時に行使する事で、主であるガタノゾーアを討たんとする。
ガタノゾーアがやっと動き出す。
繰り出される特殊なシャドウミスト。
闇を吸収して更に巨大化するこの闇によって、ティガダークはその力を封じられた。
ソレでティガトゥルースを再び封殺しようとする…。
「デュア!」
ティガトゥルースが闇を切り裂く。
黄金の光と暗黒の闇を纏った回し蹴り。
ソレはシャドウミストを裂くだけでなく、吸収して己の力に変換した。
「ッ!?」
驚愕するガタノゾーア。
しかしそれは一瞬だけ。
すぐさま別の攻撃に移る。
そうだ、あり得ない。
闇の強さは断然こちらが上。
力負けして奪われるなどあり得ない。
そんな不条理、許されてはならないのだ!
「バァオオオオオオン!!」
触手を伸ばし、先端から光線を放つ。
一発一発は口から放つソレと比べたら弱いが、ウルトラマン一人をやるに十分な威力はある。
これでさっきと同じく嬲り殺しにしてやる!
「デュア!」
バリアを張るティガダーク。
黄金の光と暗黒の闇が入り混じった防壁。
光がガタノゾーアの攻撃を遮断し、闇が勢いを無くしたビームを吸収していく。
やっとガタノゾーアは気づいた。
いや、認めざるを得なくなった。
この巨人は自身の闇を光で晴らし、闇で吸収していると。
これこそティガトゥルースの特性。
金色の光で闇を晴らし、黒い闇で闇を吸収する。
逆も可能だが、今は関係ない。
重要なのは、この特性によってガタノゾーアにとっての天敵に至ったということである。
闇はガタノゾーアにとっての支配域。
よって闇で吸収しようとしても力負けする。
光はガタノゾーアにとって毒。
しかし光でかき消そうとしても押し負ける。
なら二つならどうだろうか。
相反する光と闇。
光で闇を晴らしつつ、闇で闇を吸収する。
本来ならあり得ない現象。
超古代の戦士たちが力を託す事で起きた奇跡。
コレによって格下であるティガが対ガタノゾーア
光の毒と闇の牙。
二つが揃った毒牙が、ガタノゾーア特攻となったのだ。
「さっきも思ったが、けっこう美味いなあテメエの闇!これならいくらでもいけるぜ!」
光と闇の空間で好戦的な笑みをうかべる圭吾。
これこそ彼の本性。
戦いを楽しみ、苦痛だけでなく己の死さえも意に介さない。
「俺がテメエの闇食って回復…!俺がビーム出して出た闇をまた食う!んで俺は光の力でテメエの闇吸収を無効化!永久機関が完成しちまったなアア~!!これでノーベル賞は俺んモンだぜ~!!」
『『『この子(アイツ)こんな感じで今まで戦っていたのか』』』
狂気的かつ獰猛な笑みとは対照的に、ティガダークは冷静に対処していく。
闇を光で祓い、闇で吸収し。その力でまた祓う。
その繰り返しで追い詰めていく。
「バァオオオオオオン!!」
ガタノゾーアが触手の量を増やす。
相手の能力が厄介なら物量で潰せばいい。
力自体は自身の方が上。ならば問題は無い!
だがこの時、ガタノゾーアは失念していた。
ティガトゥルースの強さと厄介さのせいで。
先程とは違い一人では無いということに。
『スピードなら俺だな!』
ヒュドラが力を貸す。
敏捷体以上のスピードを発揮。
触手を避けつつ光の刃で敵の触手を切り裂いていく。
『体捌きはすげえが切断技自体は普通だな』
「そりゃどうも」
圭吾のセンスに関してヒュドラが感想を呟く。
そうしている間に敵の懐に飛び込み、格闘戦を仕掛けた。
『パワーは俺の出番だ!』
ダーラムが力を貸す。
剛力以上のパワーを発揮。
巨大鋏を受け流しつ怪力で打撃を叩き込んでいく。
『お前やるな!腕っぷしは完璧じゃねえか!』
「まあな」
圭吾の格闘技術に舌を巻くダーラム。
そうしている間に敵は大技を使ってきたので一旦下がった。
『光線技は僕らに任せろ!』
『しっかりやるんだよ!』
ティガとカーミラが力を貸す。
通常体以上の光線技を発揮。
敵の光線を避けながら光弾を放って牽制する。
『遠距離戦は合わないのかい? ダーラムみたいな筋肉バカってわけじゃないのに』
『光線系は苦手みたいだね。けど得手不得手は誰にでもあるから仕方ないよ』
「うるさいですね」
圭吾の光線技に苦言を呈する二人。
とはいってもそこまで強い言い方ではないのだが、圭吾は気に入らなかったようだ。
『よしいいぞ!ここで決める!』
「ああ、やってやるぜ!」
シュッ!
両手を腰の位置までグッと引き、ピンと伸ばしながら胸の前に突き出して交差させる。
瞬間、右手には暗黒の闇が、左手には黄金の光が宿った。
シュピィィィン!
伸ばした両腕を大きく左右に開きながら、二つのエネルギーを中心に集約。
横一文字に光と闇のラインが描かれ、カラータイマーを中心に黄金の光と暗黒の闇が重なり合いながら円を描く。
ジュビィィィィィ!!!!
両腕をL字に構え、右腕に圧縮させたエネルギーを一気に解き放つ。
ティガダークのゼペリオン光線に黄金の光と暗黒の闇が渦巻いたような光線。
幾重にも光と闇の輪を展開しながらガタノゾーアへと向かって行く。
神々しく流動的な光に闇が一部を侵食した環
禍々しく隆起的な闇に光が一部を照らした環。
二つの力が混じり合う事で一部が歪化した環。
左右非対称なソレらを描き、その中心を通過しながら。
ティガトゥルースに力を貸す巨人たち。
彼らは決して互いを許し合ったわけでもなければ、ティガダークを認めたわけでもない。
ただ互いの都合がいいから一時的に協力し合っているだけ。
これらの輪はその事実を表しているかのようであった。
しかしソレで良い。ソレで良いのだ。
今、この場において大事なのは、互いの都合の為に協力し合っているという一点のみ。
ソレだけで十分だ。
「オァァァァァァァン!!!!」
ガタノゾーアの放つ怒りと憎悪が籠もった貫通光線。
ティガトゥルースの放つ巨人たちの力が籠められた金と黒のゼペリオン光線。
二つの光線はぶつかり合って一瞬だけ拮抗。
ゼペリオン光線がガタノゾーアの光線を呑み込み、切り裂きながら前進していく。
「ッ!!?」
光線がガタノゾーアを貫く。
堅い外殻を破壊し、内部の触手を引き裂き、筋肉や臓物を抉って。
やがて身体の中心部まで辿り着き、隅々まで光が浸蝕し、闇が喰らい尽くし、大爆発を引き起こした。
派手に爆裂粉砕。
あまりにも巨大規模のソレは辺り一帯を巻き込む。
ティガトゥルースも例外ではなく、その勢いで吹っ飛ばされた。
同時に暗雲が晴れる。
主であるガタノゾーアが滅んだ証だ。
これで世界は救われた。
世界各所で暴れているゾイガ―も主を失った今、活動を停止して闇に還るであろう…。
『まだだ!まだ邪神の闇は残っている!これを全部吸収するんだ!』
爆発の中で渦巻く闇。
膨大なソレは爆発を突き破って出現。
大海を侵食し、空に拡がろうとしている。
ガタノゾーアの闇。
死して尚残るソレは怨念と呪詛を孕みながら世界を闇で覆わんとする。
そうはさせない。
ティガトゥルースに宿る巨人たちの魂は防ごうと己が力で抑え込もうとする。
圭吾は巻き込めない。
彼はもう十分戦ってくれた。
残りはこの邪神を放って争い、滅んでしまった愚かな
「おっと、俺も残るぜ」
圭吾から分離しようとするダイゴ達。
しかしソレを圭吾は拒絶し、魂たちと共に闇を抑えることを選んだ。
「乗りかかった船だ。俺は最後までやらないと気が済まないタチでね」
『………そうか』
圭吾はティガトゥルースの要だ。
彼を媒体とすることで魂たちが集まって力を発揮出来る。
残留思念とはいえ相手は邪神、しかもついさっきまで万全であった。
魂だけの状態で抑え込めるとは限らない。
「デュアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
ガタノゾーアの闇を一身に受けて抑え込むティガトゥルース。
ソレを巨人たちの魂が補助。
膨大な闇がティガトゥルースに流れ込み、伴う激痛が圭吾を襲う。
「ヒャハハハハハハッ! この痛みも新たな力を手に入れる為って思えば心地いいぜ!」
『『『(・・・早まったか?)』』』
激痛と猛烈な苦しみの中、圭吾は獰猛に笑い狂う。
その凶悪な相貌を見たダイゴたちは自分たちの選択に少し疑問を抱いた。
ルルイエが沈んでいく。
主であるガタノゾーアが滅んだせいか。
ティガトゥルースもソレに巻き込まれる形で海に浸かっていく。
ガタノゾーアの大量の闇を吸収し、ソレを制御しきれない彼は動けず、ルルイエと運命を共にすることになってしまった。
結局グリッターっぽい展開で無難に終わっちまったよ!
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
-
いる
-
いらない
-
ご自由に