ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
こっちは転生者だって知ってますけど、何も知らない人から見たら…ね?
『炭治郎、あのティガダークはやっぱり危険だ』
圭吾くんが帰って来るより大分前、俺はアスカさんに警告された。
「またその話?アスカさんの世界じゃどうかは知らないけど、俺らの世界ではティガダークが最初のウルトラマンなんだよ」
『ああ、ソレは分かってる。闇の巨人なのに皆の為に戦っていたのはすげえと思う。けど、やっぱアイツは危険だ』
「なんでさ?」
俺は聞き返した。
アスカさんの世界の闇の巨人が悪い奴だって事は聞いた。
けどここでは違う。ティガダークが最初に立ち上がった巨人で最後まで戦ったヒーローだ。
そのことをアスカさんに知ってもらう為に過去の戦闘記録も見せた。
『アイツの戦い方は邪悪だ。ただ敵を殺す為だけに力を振るっている』
「………まあ、うん。けど、戦うためには仕方ないんじゃない? 早く倒した方が町に被害も出ないし」
守るために戦っているとはいえ俺達は怪獣を殺している。
えげつないとは思うけど必要な事だ。………俺は出来ないけど。
『ソレだけじゃない。アイツは戦いを楽しんでる。炭治郎、お前と違ってな』
「・・・」
俺は、戦うのが嫌いだ。
痛いし怖いし疲れるし、何より俺は暴力が嫌いだ。
殴るという行為自体に躊躇してしまう。だから弱いんだって分かってるんだけど。
『だからアイツに憧れるのはやめろ。お前にはお前の戦い方がある筈だ』
「………うん」
確かに、圭吾くんの戦い方は怖い。
残酷だし暴力的だし、時々獣みたいに吠えるし。
けど、俺より断然強いし、俺よりスマートに戦っている。
やっぱり圭吾くんこそウルトラマンに相応しいんじゃないか?
かつて、圭吾の実家だった廃屋。
圭吾は奇跡的にも無事だった自室のベッドに寝転がっていた。
「やっぱここにいたか鞠川」
「………冨岡先生?」
かつての恩師、冨岡義勇。
彼は壊れた扉を壊れないように開けた。
「聞いたぜ、炭治郎と喧嘩したんだって?」
「ッハ、喧嘩なんかしませんよ。俺とじゃ成立しない」
「だろうな。お前と炭治郎とじゃ経験が違う。戦士としてはお前が断然優秀だ」
含みある言い方。
ソレに反応して圭吾は上体を起こして義勇の方を向く。
「お前は夢から覚めた俺達の努力を全否定したそうじゃないか。酷いな、かなりキツかったんだぞ」
「だったらそのまま寝ていればよかったんだ。無理して辛い現実に生きる必要なんてない」
「そうだな、お前はそう言う人間だ」
義勇が更に近付く。
「お前にとって努力は手段に過ぎない。だから他に確実で楽な方法があるならソレに切り替えられる」
「ああそうだ。ソレの何がいけない?」
「いけないことはない。むしろ美点だ。その徹底した合理主義とシンプルな思想があるからお前は成功したんだろう。…だが、行き過ぎている」
「………」
無言。圭吾は再び横になる
「手段が目的になることはよくある。ソレがキッカケで失敗する事もな。だからお前はソレを悪だと考えているようだが…人生はそうシンプルじゃない。生き方なんて成長したり年取れば変わる。目的もな。だから…」
「………別に、俺はアンタらの夢や希望を馬鹿にする気はない」
圭吾がベッドから立ち上がった。
「俺はその夢や希望を押し付ける奴らが嫌いなんだよ。人間の大半はそんなに強くない。強欲で傲慢なくせに怠惰。自分のことで手いっぱいな幼稚で無力な奴らだ。だからアンタらみたいな眩しい奴は、傍にいるだけで眼が痛くなる」
「………まるで、お前自身が光を出していないような言い方だな」
はあ~と、義勇はため息をついた。
「鞠川、あの時は言えなかったがハッキリ言う。お前は自分の暗い部分ばかりではなく光の部分も見るべきだ」
「………腕っぷしは強いと認識している」
「そんな表層部分じゃない。お前自身何がやりたいか。本当は誰を助けたいかだ」
「………」
忌々しそうな目を圭吾は向けた。
「お前は何故今まで戦ってきた?本当に自分の生活を守る為か?なら何で関係ない人や国も護った?」
「あの時代の経済は複雑だった。怪獣が暴れて経済が滞れば俺の生活にも影響が出る」
「ガタノゾーアとかいう神のような存在が相手でもソレを言えたか?」
「………」
無言。しかし義勇を睨みつける目が物語っている。
「お前は自分を騙すのが上手い。理屈捏ねて露悪的に考えたがる。だが勘もいいお前なら気付いている筈だろ?」
「もう少し自分に正直になれ。馬鹿になれ。感情的になれ。そこにきっと答えがある筈だ」
「………何だよ答えって。ソレが出て何が変わる?」
「変わらないかもしれない。けどお前が今抱えているモヤは晴れるかもしれないぞ?」
「そんなもの俺にはない。俺は戦いたいから戦っている。誰かを助けるのはその序で。気分良く勝つ為の手段にすぎない」
「………そうか」
「ごめん炭治郎、やっぱ逃げられた」
炭治郎が経営するパン屋。
カフェにもなっている席で義勇はコーヒーを啜る。
「いえ、こっちこそすいません。変な事頼んじゃって」
「生徒の悩みを聞くのは教師の務めだ。ソレにケンカして顔を合わせにくいのは分かる。お前とアイツでは思想も価値観も違うからな」
カップをテーブルに置きながら義勇は炭治郎の方を向いた。
「………アイツは効率厨だ。より楽で確実な手段があればそっちに飛びつく。そう言う奴だってことはお前も知ってるだろ?」
「ハイ、でも………」
言い淀む炭治郎。
「辛いか?自分の頑張りをアイツに否定されて」
「………ハイ、けどそれ以上に辛いのは………一緒に過ごした事を否定された事です」
目を伏せる炭治郎。
彼にとって圭吾は正体を知る前から憧れであり友であった。
だが、圭吾は偽りの夢であるギジェラを肯定した。
まるで今までの日常など価値が無いと言わんばかりに。
ソレが、彼にとっては耐え難い。
「あまり真に受けるな。いつもの捻くれだ。アイツはアイツ自身が思う程冷たい人間じゃない。そのことはお前がよくわかっているだろ?」
「……圭吾くんはやっぱ、ギジェラ派なんですかね?」
ギジェラ派。
凶悪怪獣や侵略宇宙人が活発化した時期から生まれた思想。
ギジェラの夢から覚めたことは間違いであり、人類は再びギジェラの元に還るべきという考え方である。
特に社会的弱者に多い考え方であり、来訪者たちはコレを無くそうと弾圧している。
「どうだろうな。アイツは凄まじい経歴を持つ上に精神力も強い。だがアンバランスな事に、思想は弱者寄りだ。だから使う使わないは置いておいて、ギジェラを肯定するだろうな。弱い者の味方のギジェラを」
「………あんなに強いのに」
圭吾はティガダークになる前から強者側だった。
学校でも模試でも常にトップの成績、中学生でありながら異例の格闘技大会優勝。
ソレだけでも目覚ましい活躍だというのに、腐り切った自称進学校の悪事をたった一人で暴き出して廃校に追い込んだという。
まるで漫画の主人公みたいな高校生だ。
だからこそ、彼こそがティガダークだと納得した。
「………俺なんかより、よっぽど相応しい」
「炭治郎、今この地球を守っているのはお前だ。現に、お前は怪獣に圭吾無しで勝ってきたじゃないか」
炭治郎はダイナとして戦い、勝利してきた。
ティガダークのように華々しく効率的に倒してきたわけではない。
泥臭くてギリギリな戦い。
だからこそ人々はダイナを応援し、勝利を願ってエールを送る。
「(逆にティガダークは強すぎるんだよ。アイツ、今まで誰の手も借りずに倒してきたし)」
来訪者たちの技術によって設立された防衛隊。
彼らの中には地球人もおり、ダイナと共に怪獣や侵略者たちと戦ってきた。
民間人も地球人来訪者問わずダイナを応援し、時には助けてきた。
だが、ティガダークにはソレが無い。
最初は乱暴だった。
ビルを盾や武器にしたり、町の被害を考えずに暴れていた。
だがソレも改善され、今では被害を出すことなく敵にのみ最大限のダメージを与え倒している。
あそこまでいくと屠殺や処理などの作業に近い。
「(普段から可愛げが無いが、ティガダークとしてのアイツは完成されている。神聖視されているのもその一つだな)」
ティガダークは決して無敵ではない。
ファイブキングやガタノゾーアに彼は敗北した。
だが、自力でファイブキングから力を奪って脱出し、ガタノ戦はそもそも全員知らない。
だから思ってしまうのだ、ティガダークは独りで戦えてしまう戦士だと。
「気分が晴れない時は鍛錬に集中して忘れろ。じゃあ炭治郎、今日のメニューは少し強めにやってみるか」
「う”ぇ!?」
Q:オリ主は特訓とかしたことあるの?
A:ありません。普段から鍛錬とシミュレーションしてるので今更する必要がありません。
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
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いる
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いらない
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ご自由に