ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
しかし余計な事を言って炭治郎に心配かけたくないので黙っており、彼だけがティガダークを警戒しています。
そういやネオフロンティアの住民ってティガがかつては闇の巨人だって知ってるのか?
希望の象徴のティガに余計なイメージが付かないように秘密にされてそう。
復興した町の郊外。
ギジェラが覆う廃墟地帯。
その中でも大きな廃工場が研究所にリフォームされていた。
研究内容はギジェラの一掃とギジェラに眠らされた人々の解放。
しかしソレは建前で本命は麻薬の研究。ギジェラの成分を悪用して人々を洗脳し、奴隷として使役することである。
その企みがバレたのか、ティガダークによって襲撃されていた。
ティガダークは人間大のサイズになって研究所内で破壊活動を行う。
「な、何でティガダークがここに!?」
「ちくしょう!味方じゃねえのかよ!」
「ヒイィィィ!こ、殺されるうぅぅ!」
逃げる研究所内の者達。
研究員も警備員も、地球人も来訪者も。
誰もがティガダークが暴れ始めたと同時、我先に逃げ出した。
ティガダークは強いだけではない。
ウルトラマンと違って残忍姓や冷酷さも兼ね備えている。
彼と敵対して無惨な死に方をした宇宙人はいくらでもいるのだ。
やって来た時点で逃げる以外の選択肢は無い。
「(何をしてるんだ圭吾くん!?)」
ただ一人、ウルトラマンダイナを除いて。
テレポートでティガダークの眼前に現れたダイナ。
一瞬ティガダークは破壊の手を止めるが、無視してすぐに再開した。
「(やめるんだ圭吾くん!何でこんなことをするんだ!?)」
「(何でここにいるのが分かった?町から大分離れてる筈だぞ)」
「(伊之助から連絡があった!ティガダークが暴れてるって!)」
伊之助は防衛隊に就職した。
自衛隊を目指して鍛えていた彼は合格し、今ではパイロットまでしている。
「(今度は君が答える番だ!何でこんなことをしている!?)」
「(ここはギジェラを駆除して眠ってる人間を無理やり目覚めさせようとと研究してる。だから壊してるだけだ)」
ギジェラを拒んだり自分から目覚めるのはいいが、無理やり目を覚まさせるのは許さない。
彼にとってソレは侵略行為にあたる。故にこうして潰しに来たのだ。
「(町の復興はギジェラが生い茂った廃墟にまで伸びている。だからギジェラから文明を取り戻す必要があるんだ)」
「(その発想自体が侵略的だ。先住民がいるから駆除して土地も財産も奪い、奴隷にしようとしてるって言ってるのと同じだぞ)」
開発とは侵略とも言い換えられる。
開墾は自然を侵略し、元々いた動植物から奪う行為でもある。
町開発の立ち退きも想い出ある場を奪うという意味では侵略行為ともいえる。
「(目覚めた人の中には、まだ眠っている人に会いたがっている人もいる!俺の知り合いに、子供がまだ眠ったままだから取り戻したい親御さんがいるんだ!)」
「(だからといって子供の権利を奪うと? その子供は目覚めないのを選んだ。なら親として引くのが道理じゃないのか?)」
逆もある。
愛ゆえの行為。
しかし求めない者にとっては押し付けであり、愛という一見きれいなイメージの言葉を使うから尚タチが悪い。
愛で全てが許されるならストーカーや無理心中もOKになる。ふざけんな。
「(文明は戻り始めている。受け入れる準備も整っている。なら、夢から覚めて現実を見るべきなんじゃ…)」
「(ソレはお前らの理屈だろ。眠ってる人たちには知ったこっちゃない。押し付けるな)」
何とか反論しようとする炭治郎。
ティガダークは会話中も破壊活動をこっそり続行。
炭治郎が黙った瞬間、光線技の溜めポーズをとる。
「ッ!!?」
咄嗟に迎撃しようとソルジェント光線を放つダイナ。
ティガダークは上体を逸らして避けながらゼペリオン光線を発射。
ダイナの横スレスレで通り過ぎ、壁や床をぶち抜きながら射程内の機材を爆散させていった。
また、ダイナの標的を外したソルジェント光線も機材を破壊しながら壁を突破し、部屋内部を破壊した。
全てティガダークの思惑通り。
思わぬ第三者の力も利用して目標を達した。
「(お前らは正しいと思ってやってるが、俺から見れば正しさを押し付ける侵略行為だ)」
最後にそうテレパシーを送ってその場を去ろうとするティガダーク。
対するダイナはその場で俯いて動こうとしない。
「(クソ、こんな時に…!!?)」
次の瞬間、ティガダークは胸を抑えてその場に蹲った。
しかも不幸は連続する。
突然研究所が揺れ、怪獣の気配が発生。
ウルトラマン二人は揃ってその方向に目を向ける。
近い。というか研究所と隣接している。
「(ああもうクソ!)」
その気配目掛け、ティガダークはテレポートした。
前触れも無く怪獣が現れた。
蝙蝠のような翼と先の尖った短い尻尾、鋭い爪と牙を持ち恐ろしい形相といった万人が想像するな悪魔のような姿。
恐怖エネルギー魔体モルヴァイア。
この研究所でギジェラと同じく研究されていた地球外植物、メージヲグによって誕生した怪獣。
ティガダークが暴れて機械を破壊したことで暴走。
人間の恐怖心を投影した素粒子が集中することで実体化してしまった。
モルヴァイアは得物を求めて町に向かう。
人々の恐怖から生み出さた、生まれ持っての邪悪。
その行動も当然悪。己をより確実な存在にする為に恐怖という悪感情を集めようとする。
まあ、奴ならその行動もタダの捕食行動に過ぎない、自分達と同じだと言うだろうが。
しかしだからといって許すこともない。
「デュア!」
黒い光と共に現れたティガダーク。
登場と共に彼はモルヴァイアに鋭い跳び蹴りをかます。
「イテェ!?」
吹っ飛ぶモルヴァイア。
着地して敵に向き直って構えるティガダーク。
その瞬間にはモルヴァイアは立ち直り、突如現れた邪魔者を睨みつける。
「デュアアアアアアアアアアアア!!!」
ティガダークが咆哮をあげる。
まるで初めて町にその姿を顕した時のように。
「ディアッ!」
ティガダークがジャブを繰り出す。
速さと命中性を優先した牽制用のボクシングジャブ連撃。
モルヴァイアはソレを軽々と避け、カウンターの頭突きを繰り出した。
「デュア!?」
角の一撃でダメージを追うティガダーク。
しかし彼は痛みで怯まない。
むしろ怒りが闘争心を更に燃え上がらせ、すぐ様反撃に出る。
彼は回し蹴りで蹴り飛ばすことで距離を稼いだ。
その隙にタイプチェンジ。
モルヴァイアの敏捷性に対抗すべくここは敏捷体…ではなかった。
「デュア!」
剛力体。
スピードを犠牲にしたパワープレイが得意な形態。
ティガダークはその場で防御の構えを取り、ジッと敵の攻撃を待つ。
一見すれば悪手。選択ミスに思える。
だが、一旦頭を冷やした圭吾は、これこそが最善手だと判断した。
モルヴァイアが攻撃を仕掛ける。
猿のような身軽さで翻弄しようとアクロバットを決め、死角に潜り込む。
バク宙の勢いを付けた踵落としをティガダークに炸裂させる。
「ッ!?」
耐えるティガダーク。
打点をズラす事でダメージは抑えた。
元より耐久力が高い形態。小細工無しても耐えられる。
ティガダークは防御の構えを維持して次の攻撃に備えた。
モルヴァイアが再び攻撃を仕掛ける。
耐えるティガダーク。
すぐさま離脱するモルヴィア。
先程の焼き増し。
ソレが何手か繰り返され、そのまま続くかと思いきや…。
ガシッ!
「っ!?」
ティガダークの右手がモルヴァイアを捕らえた。
モルヴァイアの三本指を掴み、折れんばかりの握力で確保。
足掛けして体を浮かせ、力ずくで地面に叩きつけた。
「ッ!?!?!?」
背中から走る痛み。
投げられた勢いで折るれた指の激痛。
ソレらに怯んでモルヴァイアの動きが止まる。
その間にティガダークはモルヴァイアの両角を掴み、無理やり上体だけ立たせた。
連続膝蹴り。
角をハンドルのように持って両膝を交互に叩きつける。
剛力体の怪力による蹴りを連続で浴びせられ、ゴリゴリと削られていくモルヴァイアの体力。
気が済むまで蹴り続け、カラータイマーが鳴り始めたところで再び力ずくでモルヴァイアを放り投げた。
「ディ…ハァ!!」
両腕を大きく斜め下に広げ、エネルギーをかき集めるかのように回して胸の前で左右の掌を向かい合わせる。
デラシウム光流。
モルヴァイア目掛けてあの投げられたソレを、モルヴァイアはその場を跳躍して避ける。
「!!?」
再びデラシウム光流が飛んできた。
外れた球体が地面にリバウンドして跳ね上がったのだ。
空中に跳んで逃げ道のないモルヴァイア。
自慢の敏捷性も足場が無ければ意味を為さない。
球体はモルヴァイアに命中し大爆発。
爆発が晴れた事には素粒子ごと完全に消滅していた。
「………」
モルヴァイアを倒しきったティガダークは通常体へと戻り、その場から飛び去った。
「・・・やっぱ強い」
『ああ、まさか相性の悪い筈のパワータイプで倒しちまうとはな』
炭治郎は店でティガダークの戦いを眺めていた。
恐怖エネルギー魔体モルヴァイア。
アスカが以前の地球で戦った怪獣の一体。
あの時は素早い動きに翻弄され、スーパーガッツの援護があって倒すことが出来た。
弱点の白い花のエキスが入ったMK-2ミサイルを撃ち込む事で弱体化。
しかし、今回は白い花らしきものがない。
かなり致命的な違いだったが、彼はソレを覆した。
『デマゴーグといいモルヴァイアといい、俺達が協力して倒した怪獣をたった一人で倒しやがった。…なんか気に食わねえな』
アスカは力なく炭治郎の脳内でぼやく。
何も悪いことじゃない。むしろいいことだ。
だが、こうも自分たちが協力して為した成果をたった一人で塗り替えられると…何か思うものがある。
『ていうかさっきは好き勝手言いやがって!何が侵略行為だ!だったらそっちは人の未来を閉ざす侵略者だろうが!』
本人が聞けば鼻で笑うであろう。
未来や可能性は当人が選ぶものであり、楽な方を選んで閉ざすのもまた自由だと。
明るい未来だの、明日はきっと良くなるだの、夢は必ず叶うだの、おキレイな言葉を誘蛾灯のように使うなと。
「おかしい。…いつもと戦い方が違う」
『ん?何が?』
炭治郎の疑問にアスカが聞き返す。
「いつもみたいにクールじゃない。獣みたいに吠えたり、力ずくで放り投げたり…いつもの圭吾くんっぽくない。もっと格闘家っぽい戦い方するのに………?」
『そうか?最後のリバウンドボールとかメチャクチャ頭脳プレイじゃねえか』
「………」
付き合いのないアスカは何も思わないが、炭治郎は何か引っかかるものがあるらしい。
もしかしたらさっきのやり取りが原因かもしれない。
謝るつもりはないが、ソレでも何か言うべきだ。
炭治郎はそう考えて圭吾に会いに行く。
場所は分かっている。
黒い光が圭吾の元家に飛んでいくのが見えた。
炭治郎は店を飛び出して光の先へと向かう。
「圭吾くーん、入るよ」
廃屋になった圭吾の家に入る炭治郎。
圭吾はベッドに横になっている。
声が聞こえる事から寝てはいない。
苦しそうな声。まるで痛みに耐えているような声だった。
「圭吾くん? …どうしたの圭吾くん!?」
『よせ炭治郎! 近付くな!』
圭吾に駆け寄ろうとした炭治郎を止めるアスカ。
アスカの制止を炭治郎は反射的に聞き、そのおかげで圭吾の異変に気付けた。
圭吾の身体の所々に浮かび上がる模様。
青く発光しているソレの正体をアスカは知っている。
『何でお前からスフィアの気配がするんだ!?』
重鈍そうなキャラが敏捷な敵を捕らえて叩きつけるとかのシーンが好き。
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
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いる
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いらない
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ご自由に