ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

4 / 70
本来のティガダークってどれだけ強かったんだろう。


衝動

 

「ハァ…ハァ…ハァ………!」

 

 夜明け前の山道。

 俺は重りを足に付け、舗装されてない道を選んで走っていた。

 夏場は虫に注意する必要があるが、なかなかいいトレーニングになる。

 

 山頂に就いたタイミングで夜が明ける。

 日が昇り、夜の闇が照らされていく。

 この光景を見ながら今日一日どう過ごすか考えるのが俺の日課だ。

 

 昨日の戦い。

 出来るだけ安パイを取った戦闘だというのに、それなりに消耗してしまった。

 

 大した消耗はしていない筈だ。

 戦いも出来るだけ体力を温存して効率的にやった。

 現に、さっきの戦いは二対一だというのにノーダメで完封した。

 町の被害を一切考慮しないやり方になったが、俺が出なきゃどの道ああなったのだ。

 住民には悪いが諦めてもらうしかない。

 

「(今回も十分な収穫を得られた。今後に活かそう)」

  

 俺はブラックスパークレンスを眺める。

 あの時手にした力。

 コイツで俺はティガダークに変身し、ゾイガー共を皆殺しにした。

 

 俺の変身するティガダークには原作にはない力がある。

 怪獣の闇を吸収して自身の力にする能力。

 コイツのおかげで本来なら三分という時間制限を延長する事が出来る上に、次の変身ではより強くなれる。

 現に最初はタイプチェンジ出来なかったのに、今は本家と同じくパワータイプとスカイタイプが使えるようになった。

 

「問題は闇の衝動だな」

 

 破壊衝動。

 光ではなく闇の巨人として甦ったティガが、子供を殺そうとしたシーン。

 劇中では幻覚で終わったが、あのダイゴでさえ闇の衝動に耐えられず、そうなる危険性を示唆していた。

 そんなものに俺が耐えられない。というか、耐えようとすらしなかった。

 

 闇の破壊衝動が気持ち良い。

 なにせ俺は似たような衝動を満たす為に格闘技をやっているようなものだから。

 

 向けられる敵意とソレを叩き潰す快感。

 戦いの度に強くなれたと感じる達成感。

 自分が相手より強いと実感する満足感。

 

 コイツらを得るために俺は格闘技を続けられるのだ。

 前世では痛くて辛くて怖くて辞めたが、今世は違う。

 ハードな練習やキツいトレーニングも目的の為なら耐えられる。

 むしろキツければキツい程、辛ければ辛い程、強くなったと実感して楽しくなる。

 

 痛みや苦しみは耐えられる。

 いや、耐えるのではなく無視できる。

 アドレナリンが出てキツさそのものを忘れられる。

 キツさに勝る快感と得られるものがあれば、俺は戦える。

 だが、逆は無理だ。ご褒美である衝動を満たす行為を我慢しながら戦うなんて俺には出来ない。

 

 俺は闇の衝動を否定しない。

 だから原作のティガダークよりも強い。

 本来なら超古代戦士最強だったティガダーク。

 しかし心は光のままだったせいで弱体化してしまった。

 だが、元から心が闇の俺はむしろティガダークの方が強くなれる。

 

 原作でのティガダークは弱かった。

 カーミラから渡されたブラックスパークレンスで変身した彼は、本編のティガより弱体化していた。

 設定上では最強の闇の戦士とあったが、光の戦士として戦ってきたダイゴとは相性が合わず、力を引き出せなかったとかそういった設定だった筈だ。

 要は無理やり闇に染めようとした結果、逆に弱体化してしまったという事だ。

 そのせいか、ティガダークの外見は本来のティガを黒く塗っただけだが、黒くなったというより黒く色褪せただけのように見えてしまった。

 クウガでいうグローイングフォームみたいなものだ。

 だが、俺のは違う。

 

 黒といぶし銀の色合いの身体。

 タイプチェンジごとに変わる目とカラータイマーの色。

 元からそうだったと思わせるソレらは、闇の巨人こそ相応しいと俺に実感させる。

 

 所詮はまがい物ということ。

 俺は光の戦士じゃない。

 

「………早く来てくれ」

 

 一体、何時になったら光の戦士は来てくれるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ちょっと勝手すぎやしないか?」

 

 その日の午後、何時も通り鍛錬を終わらせてゆっくりしてると、炭治郎とその友達が来た。

 特に拒む理由が無かったので家に入れたのだが、テレビを勝手につけて寛ぎだした。

 やっぱコイツとんでもねえ方の炭治郎だ。

 

「やっぱあの巨人かっこいいな!あの巨大な生きモンをすぐ倒しちまったぜ!」

「うんうん!まるで正義の味方みたいだね!戦い方は少し乱暴だけど」

「え~そう?あの巨人も巨大生物なんだろ?いつこっちに牙向けるかわかんないじゃん」

 

 話は闇の巨人―――ティガダークの話に変わる。

 テレビで映されているのはティガダークの活躍…ではなくその破壊の痕。 

 怪獣共が暴れ、俺が被害そっちのけで怪獣を倒した戦ったせいで完全に破壊され尽くした町。

 某国の首都はその機能を完全に停止。

 国民は怪獣も巨人も恨んでおり、軍は両方とも現れ次第殲滅する方針を取っている。

 

「いやいやいや!明らかに巨人は国を守ったでしょ!?だってあの二体倒さないと国滅んでたじゃん!」 

「そうだぜ!あの巨人は人間を助けたヒーローだ!」

「いや、ソレは違う」

「「「え?」」」

 

 聞いていられなくて俺は口を出した。

 途端、三人は意外そうな目でこちらを見る。

 

「おそらくあの巨人は怪獣…巨大生物が邪魔だったんだ」

「邪魔?どう邪魔なんだ?」

「ソレは分からない。縄張りに入りかけたからなのか、それとも単に怪獣が気に入らなかったのか…。兎に角、奴らを放っておきたくないから他所の庭にいるうちに始末しただけだろ」

「ふーん、面白い発想だね。けど正義の味方だったり救世主とかよりよっぽど信じられるわ」

「? 何だソレ?」

 

 善逸が気になる事を言ってきたので聞いてみた。

 

「知らない?あの巨人の正体について今すっごい話題になってるんだよ。で、今有力視されてるのが救世主説。あの巨大生物、君が言う怪獣を倒す為に降臨したって説だよ」

「何だそりゃ。まるで聖書だな。じゃああの二体の怪獣はベヒーモスとリヴァイアサンで、巨人は神様ってか?」

「終末論だね。まあ似たような解釈されてるよ。ソレでネットは大盛り上がり」

「そう、下らねえな」

「同感」

 

 本当にくだらない。

 俺はあの怪獣が邪魔だから始末した。

 日本で暴れられたらこっちにも経済的な被害が出るから。

 だから他所の国で気兼ねなく暴れて倒した。ソレだけだ。

 まあ、衝動が制御出来ず必要以上に暴れてしまうというのもあるが。

 

「けど君の意見がしっくりくるね。もしかしたら巨人は日本を縄張りにして、自分以外の巨大生物が邪魔だから倒してくれたのかも」

「どっちにしても俺らを守ってくれるんでしょ?ソレなら正義の味方に変わりないじゃん」

「いや全然違う。結果的に人間が救われただけで巨人自身にその意図はない。だから、もし状況が代われば巨人が敵対する事だってあり得る」

「例えば?そりゃあ人間の攻撃が巨人に当たれば怒ると思うけど」

 

 炭治郎が聞いて来たので軽くもしもの状況を考える。

 

「そうだな…。例えば巨人と怪獣の戦いの邪魔をしたりとか? 戦闘機が蠅みたいに鬱陶しく飛び回るのが嫌だから払い落とす可能性はあると思うぞ」

 

 ウルトラマンオーブに有ったシーン。

 闇の力を使ったオーブが、戦闘機を邪魔だと言わんばかりに払って墜落させ、怪獣に向かったシーン。

 似たような事を俺がしないという保証はない。なにせ闇の衝動を楽しみ、闇の巨人として戦っているのだから。

 

「あ~そりゃ十分あり得る!俺だって蠅がブンブン飛んでると払いたくなるもん!」

「じゃあアレだね。政府は巨人を出来るだけ刺激ないように様子見するのがいいかも」

「さっきテレビで両方とも現れたら倒すって言ったぞ!だから巨人ごと爆弾落とすのかもな!」

 

 普通はそうするな。

 伊之助の言う通りだ。

 

「あの巨人、明らかに戦い楽しんでるだろ。衝動的というかなんというか」

「別にいいんじゃない、衝動的で。あとはソレをどうコントロールするかだと俺は思う」

「どういう意味だ?」

 

 炭治郎の含みのある発言が気になって質問した。

 

「衝動ってそんなに悪いものじゃないと思うんだ。だって、必要なものだから求めているんだろ?ソレを我慢するのって良くないと俺は思う。大事なのは衝動が暴走しないようにコントロールする事。抑えるんじゃなくて方向性を与えて衝動の向きを操るんだ」

 

「竈と一緒だよ。炎を燃やすだけじゃ何でもかんでも燃やして最後は消えちゃうけど、竈みたいに炎の向きや威力を操ることで料理だったり色んな事に使えるようになる。衝動も似たようなことが出来ればすごく強い武器になると俺は思うな」

 

 

「炭治郎…いきなり饒舌になるの少し気持ち悪いぞ」

「え!? 折角いいこと言ったのに!?」

 

 炭治郎は善逸たちと内輪もめに戻った。

 しかし衝動の方向性…竈と同じねぇ。

 ちょっとやってみようかな。

 

 




衝動とかティガダークの弱体化の理由は自分の独自解釈も入ってます。
だからソースはとか聞かないでください。

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

  • いる
  • いらない
  • ご自由に
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。