ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
知っての通り時系列メチャクチャなんで。
命の木
王立惑星カノン。
一人の女王が収める平和で緑豊かな惑星。
この惑星のシンボルたる大木、命の木が聳え立っていた。
命の木。
惑星カノンの全ての命を生み出したとされる神秘的な木。
この木を狙って宇宙悪魔ベゼルブと、ソレに操られるクグツ怪獣たちがこの星に襲来した。
迎え撃つウルトラマン達。
ダイナ、コスモス、オーブ。
ウルトラマンが三人がかりで戦うが、圧倒的に人手が足りない。
カノンの軍隊も立ち向かう。
人間サイズの、2m程のベゼルブ。
一対一なら対処可能だが、数が尋常では無かった。
ベゼルブを何度も倒しても、次から次へと新たなベゼルブが湧いてくる。
オーブの付き添いについて来たジャグラーが加勢に入った。
同じく付いて来たミコット達も応戦。
ベゼルブ共を斬り倒していく。
だが、彼女たちはまだ戦士として未熟。
隙を晒してしまった。
「よせっ、ミコット!」
呼び止めるジャグラー。
しかし時既に遅し。
ベゼルブの爪が彼女の腹部を貫く…。
『ヴアアアアアアアアアアア!!!!!』
瞬間、凄まじい咆哮が響き渡った。
ビリビリと大気が震える程の大音量。
音を媒介にして闇の波動が行き渡る。
ソレを浴び聞いた者の恐怖心を強制的に掻き立てた。
人間も怪獣もウルトラマンも例外ではない。
皆等しく動きを止めた。
「な…何だ?」
誰の言葉であろうか。
震えるか細い声で誰かが呟く。
その答えを知る前に、彼らは次の衝撃を経験する。
ボッ!
突如、命の木が燃えた。
「「「ッ!!!?」」」
全員が驚きのあまり再び動きを止めた。
何処からか飛んできた闇の破壊光線。
ソレは木の幹に命中し、瞬く間に炎が拡がった。
数秒足らずで木の全体が燃え上がる。
「そ、そんな…命の木が!?」
襲撃者である筈のサイキが嘆き悲しみ、失意のあまりその場で膝を崩す。
彼らの目的は戦神と命の木。
ソレを目指してここまで来たのだ。
ゴール目前で目的が無くなったのだから当然の反応といえよう。
「誰だ…誰がこんなことを!?」
『俺』
ウルトラマンの一人、コスモスが辺りを見渡す。
ソレに応えて彼の脳内にテレパシーを何者かが送った。
「デュアッ!」
ティガダーク。
黒い光から人型に成りながら、通り過ぎ様にベゼルブを切り裂いた。
「ッ!? アイツ…ティガダーク!?」
顔見知りのダイナが一瞬驚く。
そうしている間にティガダークは次々と敵を屠っていく。
相手の動きが止まっている隙に出来るだけダメージを与える。
彼らしいやり方だ。
次々と敵を殺していく。
切り裂き、引き千切り、光線で焼き殺して。
ベゼルブ達が状況を呑み込めない内に、出来るだけ多く殺していった。
『ま、マズいよマーイフレンド!あれはティガダーク!悪党とはいえ侵略軍団を皆殺しにしただけじゃなく、首晒しにしたり逆さ吊りにした超危険なウルトラマンだよ!』
『あ、アレがティガダーク………! 噂以上に野蛮で残忍な奴だ!』
そんなことを言ってる間にティガダークはサイキの宇宙船まで接近して光線の構えに入る。
しかしゼペリオン光線を放つギリギリのタイミングでベゼルブ達が再起動。
宇宙船を守るかのように間へ割って入り、盾となって爆散した。
『逃げるよッ!命の木が無くなった以上こんなところに用は無い!』
『そうだよッ!アイツに捕まったら生きたまま解体ショーにされるよ!』
飛び去って行くサイキの宇宙船。
ティガダークもソレを追おうとするが、ベゼルブ共が妨害しつつ後退。
これ以上は無駄だと諦めてティガダークも引く。
「ッチ、そんなうまくはいかないか」
サイキの宇宙船が見えなくなるまで飛んでいった。
ソレを見届けたティガダークは警戒を解いてゆっくりと地上に降り立つ。
そしてその場で人としての姿、鞠川圭吾の姿に戻った。
「アレが君のやり方かい?」
「力があれば何したっていいわけじゃねえぞ」
人間に戻ったウルトラマン達。
彼らは圭吾を責めるような目を向ける。
対して本人はどこ吹く風。
スタスタと歩いていく。
「誰がソレを決める?」
「………何?」
悪ぶることなくあっけらかんと言う圭吾。
その様子にアスカは怒りを見せた。
「ルールはいつも強者が決める。力がある者、金がある者、或いは権力者。時代が変わっても力ある者が法律やルールを決めている。自分の都合にいいようにな。俺のいた地球はそうだった」
「………力がお前の正義か?」
「違う。この世の摂理だ」
「弱い奴は負け方すら選べない。矜持も護るべきものも生殺与奪の権限も、何もかも蹂躙され奪われる。だからせめて負け方を選べる内は、切り捨てられる何かを選ばざるを得ないんだよ」
パチンと、指を鳴らす圭吾。
瞬間、命の木を燃やしていた炎が突如消えた。
中から現れる無傷の命の木。
うっすらと黒い膜みたいなものが覆っている以外は無事だった。
「闇の力を応用した幻覚だ。膜は命の木とクイーンベゼルブのリンクを誤魔化す効果がある。けどこんな小細工は長く続かない。すぐに気づいて再び攻めてくるぞ」
圭吾は戦姫から戻ったアマテに目を向ける。
「お久しぶりですね、闇の巨人様。以前お会いしたのは母が健在だった頃でしょうか」
「ああ、相変わらず下手クソな戦いしてるなお前ら一族は」
「圭吾、お前!?」
女王相手に無礼な態度をとる圭吾を注意しようとするアスカ。
圭吾はソレを無視して通り過ぎた。
「ハッキリ言う、俺が協力してもあの木を守れる保証はない。だから信仰を捨てるか否か選択する必要があることも念頭に置け」
「………貴方ほどの戦士でも弱音を吐くのですか?」
「俺は楽観的な希望を抱かせる程無責任じゃないんでな」
チラリと、圭吾はウルトラマンの方に目をやった。
「嫌なら全力で抵抗しろ。敵を確実に殺す工夫をしろ。効率の良い武器や兵器を作れ。アンタらの戦いには必死さが無い」
「相変わらず、貴方は力を正義だというのですね」
女王の言葉を圭吾は鼻で笑った。
「正義ではない。だが他を黙らせて正義と言わせる事は出来る。ソレもまた一つの平和の作り方だ」
「………争いは平和をうまない。その信念を否定する事は、私の心を殺すも同然です」
「なら殺されるだけだ。奴らはお前らの信念も事情も知ったこっちゃない。邪魔な虫を潰すのに遠慮しねえだろ。力の無い邪魔者なんざ、虫ケラ同然だ」
「言い過ぎだぞ圭吾!女王の気持ちを知らずに!」
流石に看過できずにアスカが割って入る。
「ならどうする?アンタらが代わりに光の戦士を辞めてこの星の守護者になるか?戦いを嫌がる女王の代わりに?だがソレはこの星の未来に干渉する行為だぞ?」
「そ、それは………」
「だよな。ソレがアンタらの限界だ」
「アンタらが間に合わずに出た被害者や、知らないところでどれだけの星や文明がこの宇宙で心無い暴力や卑劣な手に潰されたと思ってる?」
「「「………」」」
光の戦士たちは反論する事が出来なかった。
彼らは知っている、その理不尽による悲劇を。
遊星ジュラン。
緑豊かな星だったがサンドロス率いるスコーピスによって滅ぼされた。
ダイス星人。
ギャビッシュの卑劣な手によって星を無茶苦茶にされ、娘を殺された。
これらは一例に過ぎない。
今もどこかで心無き暴力や卑劣な手によって悲劇が繰り返されているであろう。
もし彼らに抗う力があれば、戦う事が出来たなら結果は変わったかもしれない。
「アンタらもだ防衛軍。女王様は戦いを拒んでるのに何でソレに代わる武器を作らない?ソレだけの科学力があるなら出来る筈だ。ガーゴルゴンごときにアンタらの戦神サマがやられかけたのを忘れたのか?」
「!? なりません!武器を持つことは争いに…」
「戦えないウルトラマン擬きは引っ込んでろ! お前が信念を持つのは勝手だが、ソレで犠牲になるのは民なんだぞ! テメエの個人的正義に巻き込むな!」
怒鳴って女王の発言を遮る圭吾。
その様子にアスカ達は違和感を覚えた。
「どうしたんだ圭吾くん?どうしてそこまで干渉する?何があるんだ?」
「お前はそこまで他者に関心がある奴じゃないだろ?何か知ってるのか?」
「事態はアンタらが考えてる以上にマズい」
圭吾は伝えた。
クイーンの目的を、その能力と生態を、原作どうこうは伏せて。
「で、では…。あの時の対話の意識は…」
「アンタの対話したいって思いを反響させたんだろうな。奴自身は思っちゃいねえ。だからあの隙を突いてクグツにしようとしたんだ」
クイーンには相手の意思を反響する能力がある。
コレによって、さも相手共感したかのように見せかけていた。
騙されたのはアマテだけではない。サイキも手玉にしている。
「分かったろ、事態は深刻だ。この星だけじゃなく宇宙にまで及ぶ。お前らだけの問題じゃないんだよ」
クイーンの目的は全ての生物の知恵と意思を無くすこと。
戦神にクグツを注入。その体内でクグツを過剰生成させて急膨張。爆発するように破裂させることで全宇宙へクグツを拡散させる。
文明などの知恵によって生み出されたもの全てが滅び、意思を失った元知的生命体が呻き蠢くだけの世界。
ソレがクイーンの望む世界だ。
「関係ない話だが、俺は倒した敵の闇を食う事で俺の力に変えられる。知識とかもな」
嘘は言ってない。
実際にその能力は持っているし、関係ないと一応言っている。
クイーンに関する知識を持つ怪獣を食らってなくても、何ら問題は無い。
「言いたいことも伝えたいことも全部吐けた。もうここには用は無い」
ブラックスパークレンスを展開させる圭吾。
黒い光が彼を包み込み、再びティガダークに変身した。
「(弱い分際で、何もない癖に、選択権があるなんて考えは捨てろ。お前らが何も出来ず、選べないなら俺がやる)」
全員に聞こえるテレパシーを送るティガダーク。
ソレだけ言い残して彼は飛び立った。
「アイツ力貸してくれないのかよ………」
「協力してくれるなら心強いんだけど………」
ぽつりと零すアスカとムサシ。
ソレに返答するモノは既にいない。
私はジャグラーが木を切って責められるシーンみて少しモヤッとしました。
確かに他文明の文明に干渉する行為は光の戦士としてはNGですが、軍人としては正解かと。
要は焦土作戦みたいなもので敵の手に渡って滅ぼされるならその前に破壊する。
ベストではないがベターな選択肢。負け戦でマシな負け方を選び、誰かが泥を被らざるを得ない状況でした。
キレイ事であの宇宙は守れません。実際にキレイ事を貫こうとしてルーゴサイトに負けたウルトラマンいますし。
まあウルトラマンはオリ主と違って焦土作戦とかの発想自体無さそうなので無理だと思いますが。
そこがウルトラマンの限界というか、ベストしか選択できないというか…。
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
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いる
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いらない
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ご自由に