ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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惑星カノンは戦神しかマトモな戦力がいない上に、その女王は不戦を信念としていました。
もしかして女王が負けかけたのって戦い慣れてないせいではないのでしょうか?
話は変わりますが初代マンの防衛隊はすごいですね。ウルトラマンを何度も助けた上、最後は自力であのゼットンを倒しました。
あとXio。現地の人間がウルトラマンのアーマー開発するとか凄すぎ。
やっぱ現地の戦力って大事ですね。


ザイゴーグ

 

 惑星カノンに地獄が這い上がった。

 

 閻魔獣ザイゴーグ。

 何の前触れもなく突如復活した地獄の使者。

 惑星カノンを地獄に変えるべく、町や村々を焼いていく。

 勿論、王立惑星側もだまってやられるだけではない。

 

「ハアッ!」

 

 立ち上がる戦神。

 巨大化した女王はザイゴーグ目掛けて突進を繰り出した。

 何度も黒い巨人に救われたが、いつも来てくれるとは限らない。

 この星の未来はこの星の者が守るべきだ。

 たとえ相手がどれだけ強大でも。

 しかしその矜持はあっさりと潰された。

 

 ボース=アインシュタイン凝縮による頑丈な体表。

 戦神の光線も両手の手甲剣でもかすり傷一つ付けられない。

 額からの必殺光線も全く意味を為さなかった。

 

 棍棒のような形状の右腕、ゴーグレグジス。

 ただ殴るだけで大ダメージを与え、巨体を軽くふっ飛ばす。

 戦神のバリアも易々と破壊し、力ずくで叩き伏せた。

 

 胸から放つ火炎弾ヘルズレリーブ。

 ザイゴーグからすれば軽く放った程度の攻撃。

 しかしソレは戦神の迎撃光線を軽く撃ち落とすに留まらず全弾命中した。 

 

 わずか数分。

 唯一の戦力である戦神が全く歯が立たなかった。

 

 強すぎる。

 生物としての格が違う。

 地獄の魔王のように君臨した最強怪獣。

 いや、地獄そのものが命を持って顕現したような存在であった。

 

「―――!!?」

 

 口から血のように赤い光を見せるザイゴーグ。

 破壊光線ブラディフラッディング。

 戦神ごと終わらせる気だ。

 

 戦神は戦えない。

 逃げるどころか立つ力さえ残っていない。

 

 もう終わりだ。

 この星は滅ぼされる。

 地獄に変えられて死の星となる。

 誰もがそう思った…。

 

「デュア!!」

 

 再び現れたティガダーク。

 否、ティガダークトリニティ。

 右手に持つダークネスブロードでザイゴーグに斬撃を食らわせた。

 

「ッ!!」

 

 突然の新手に一瞬戸惑いを見せるザイゴーグ。

 しかし自身の身体を傷つけられたせいか、すぐに立ち直って敵意を向けた。

 金切声と高笑いが混ざったような咆哮をあげながらターゲットをティガダークに変更。

 両者は同時に動き出す。

 

「デュアッ!」

 

 先手はティガダーク。

 ザイゴーグの左側を陣取って斬撃や刺突を繰り出す。

 敵のメイン武器である棍棒は右手にしかない。

 ならば無防備な側を陣取るのは当然の事。

 間合いを確保して着実にダメージを与える。

 

「ッ!!?」

 

 押されている。

 閻魔獣ザイゴーグが、地獄の魔王の如き大怪獣が。

 先程の敵とは違うことを理解した彼は、遊び感覚を辞めて本気を出した。

 ティガダークもソレを察知。両者共に分身を創り出す。

 

 生み出される分身。

 ゴーグダイゲルン、ゴーググドン、ゴーグアントラ―。

 ティガダーク通常体、敏捷体、剛力体。

 三人と三体の分身がぶつかり合う。

 その間もその主たちは激戦を続けた。

 

 ボース=アインシュタイン凝縮による頑丈な体表。

 鋭利且つ頑強なダークネスブロードはソレに深々と傷を刻み付ける。

 袈裟切り、逆袈裟、刺突と。ザイゴーグにダメージを与えた。

 

 ゴーグレグジス。

 飛び込むタイミングをずらして回避。

 返しのカチ上げもダークネスブロードで払い打って受け流し。

 その反動を利用して斬撃を叩き込んだ。

 

 ヘルズレリーブ。

 斬撃の威力に押され、追撃を防ぐために放った牽制弾。

 ティガダークはダークネスブロードの一太刀で切り伏せた。

 爆炎を真っ二つに切り裂きながら、ティガダークが中から姿を見せる。

 

 ブラディフラッディング。

 ティガダークの姿を確認したと同時に放った赤い破壊光線。

 予測していたティガダークはソレをサイドステップで回避した。

 

 触手攻撃。

 胸を展開して触手を伸ばすが、ソレも剣で切り払う。

 予め予測済み。攻撃手段はある程度知っている。

 実行出来る力があれば問題ない。

 

「ッ!!?」

 

 続けて攻撃を仕掛けようとするザイゴーグ。

 しかし次の瞬間、何処からか光弾が飛んできた。

 強力な威力の光弾が二発。遅れて膨大な黒い光線が直撃した。

 

 ティガダークの分身たち。

 各々の敵を倒し終え、本体に加勢に来たのだ。

 

 

 ゴーグダイゲルン。

 攻撃をバリアで防ぎ、スウェーで回避するティガダーク通常体にイラつき、尻尾で捕らえようとしたが、ソレを逆に利用された。

 尻尾を掴まれ首に巻きつけられ、そのまま縊り殺された。

 

 ゴーググドン。

 両手の鞭を振るってティガダーク敏捷体を攻撃するが、持ち前のスピードで回避。鞭を受け流して減速させた後に捕らえ、結んで無力化。

 身動きが取れない内にランバルト光弾を撃ち込んだ。

 

 ゴーグアントラ―。

 自慢の大顎をティガダーク剛力体の怪力で破壊。蟹の腕を捥ぐように、大顎の関節部をへし折る。

 更に捥いだ大顎を傷口に差し込み、てこの原理で頭の甲羅を割って脳を潰した。

 

 各々が分身怪獣を倒した。

 次は本体を仕留める為、一斉に必殺技を繰り出した。

 

 ランバルト光弾が顎を、デラシウム光流が右腕を、ゼペリオン光線が胸を焼き、ソレゾレの器官を破壊。

 ブラディフラッディング、ゴーグレグジス、ヘルズレリーブと触手攻撃の無力化に成功した。

 

「ッ!?!?」

 

 

 ザイゴーグは唯一生きている武装である背中の棘をミサイルのように射出。

 辺り一帯を爆撃しようとするが、ソレをティガダークの分身が迎撃。

 上空が爆発に包まれる中、本体は必殺の準備にかかった。

 

 ダークネスブロードを脇構えにして呼吸を整える。

 彼に呼応して闇のエネルギーが刀身に集中。

 圧縮させて制御しつつ、増大させていく。

 

「デュアッ!!!」

 

 一刀両断。

 裂帛の気合を込めて振り下ろされた刃。

 限界まで圧縮された闇の力は、距離を無視してザイゴーグを切り裂いた。

 

「ッ!?!?!?」

 

 大爆発。

 ザイゴーグの半身がズルッと滑り落ちる。

 瞬間、ザイゴーグの体内から凄まじい熱量が暴走。

 地獄のパワーが辺り一帯に溢れ、爆炎と爆風によってティガダークも吹っ飛ばされた。

 

 ガタノゾーア程ではないが尋常ではないエネルギー量。

 死して尚残るソレはこの星を地獄に変えんとする。

 ティガダークはソレを吸収し、封印して己の力に変換しようとする。

 

「デュ…ァア!」

 

 その場で膝を付くティガダーク。

 トリニティフォームが強制解除され、カラータイマーを鳴らした。

 ガタノゾーアが深淵の海の如き重々しい闇なら、ザイゴーグのソレは地獄の炎の如き荒々しい闇。

 質の違う闇のエネルギーはガタノゾーアを継いだティガダークを以てしても完全には制御しきれない。

 吸収した闇は地獄の炎の如く燃え盛り、ティガダークを灼く。

 

「デュア………」

 

 力が抜けるように倒れながらティガダークが消える。

 巨体を維持できなくなったのだ。

 

「!? 巨人が人の姿になったぞ!確認急げ!」

 

 姿を確認しようとカナンの防衛隊たちと女王は駆け寄る。

 今まで惑星を救ってくれた巨人の正体。

 一目見たいと思うのは当然だった。

 

「―――ッグ! クソ、一筋縄じゃ…いかねえか!」

 

 胸を抑えて蹲る一人の少年。

 ティガダークの正体である鞠川圭吾。

 闇の存在となった時点で彼は成長が止まっている。

 つまり高校生のままの姿だった。

 

「(彼があの巨人だと?まだ子供ではないか!?)」

 

 誰が最初にそう思っただろうか。

 全員程度に差はあれど似たような感想を抱いた。

 

「………貴方が、あの巨人なのですか?」

「ああそうだ。こんなガキでガッカリしたか?」

 

 苦しみを紛らわせるかのように笑う圭吾。

 見空かれている事に面々は動揺するが態度には出さずに話を続ける。

 

「貴方のおかげであの恐ろしき怪獣は滅びました。この星を代表して礼を…」

「何で女王以外戦わなかった?」

 

 女王の発言を遮る圭吾。

 原作知識がある彼は女王が国どころか星の最高権力者であることは知っている。

 だがそのことを知らない女王たちは無知故の無礼と捉えて流すことにした。

 第一、相手は何度も星を救った英雄だ。

 この程度の無礼では咎められない。

 

「こ、この星では女王である私が…」

「知ってる。だがその頼みの綱があのザマだったんだぞ?なのに何故誰も戦おうとしない?」

 

 敢えて舐めた口を叩きながら圭吾は周囲に目をやった。

 お前ら全員馬鹿かとでも言いたげな目を。

 

「俺は今まで様々な怪獣や宇宙人を倒し、その死体や武器を敢えて残した。で、ソレらを解剖するなり分解するなりして研究すれば相応の武器を作れた筈だ。お前らの技術力なら可能だろ?」

「無用な力は災いを呼びます。ですから有事の際は女王が戦うと…」

「だから女王に武力を集中させると? 武力の集中化は独裁を招くぞ」

「………どういう意味でしょうか」

 

 ここでやっと女王が怒りの感情を見せた。

 

「お前らは女王を絶対視するが、ソイツも人間だ。欲も心も当然ある。体調だって常に万全とは限らない。女王が乱心したら?戦いが怖くて逃げ出したら?病気か何かで戦えない時に脅威が出たら? 所詮は個人の戦力だ。何かしらの理由で戦えなくなることはある筈だ」

 

「仮にコイツが人間味ないスーパーマンでも今後はどうだ? 今まで女王の教育が成功しても、何時かは失敗したりこれまでのやり方が通じないエラーがいつ必ず出る。その時が来て暴君と化した女王を誰が止める? ただ平伏するだけか?ソレなら侵略者に支配されたのと変わりないだろ」

 

「第一、俺が来なくちゃ女王もやられていただろ。女王の次はこんな何処の誰とも分からないようなガキを頼る気か? もしそうならお前らの未来は決まったも同然だ。女王より強い奴はこの宇宙にいくらでもいる。やがて戦力を分析されて女王は殺されるだろうな」

 

 

 

「き、貴様…!黙って聞いていれば!」

 

 兵士の一人が行動を起こす。

 ソレに追随するかのように他の兵士たちも圭吾を囲んだ。

 しかしそれだけ。槍や剣を向けるが、一定以上の距離から動かない。

 

「ッハ。そんな粗末な武器で俺を止められると?アンタらの女王さまより強い俺を?」

「「「………」」」

 

 そういう事だ。

 人間状態でも女王ごとこの場の兵士を皆殺しに出来る。

 こんな弱った状態でも一番強いのは彼であり、必要ならいつでもやる。

 ソレを理解しているから彼らは動けずにいた。

 

「俺がいた星は一度滅んだ。俺が怪獣と戦ってる間に他の怪獣が滅ぼしたんだ。…お前らより強い俺がいたのに滅んだんだぞ?ソレで守り切れると思うか?」

 

 ノーモーションで変身。

 人間大程のサイズのティガダークとなりその場を飛び去った。

 

 

 

 

 

 

「ああ言っておきながら手ェ出しちまったな」

 

 とある山小屋。

 圭吾は深い眠りにつく前の出来事を思い出す。

 目が覚めたら丁度原作が始まるとこだったのでつい首を突っ込んでしまった。

 原作キャラに会えて気分が上がったせいか、余計なアドバイスまでしてしまった。

 だがまあいい。折角だ、原作のイベントに関われるなら出来るところまでやってしまおう。

 

 外に出て空を見上げる。

 彼の驚異的な視力は宇宙に旅立つ飛行船の存在を捉えていた。

 





一見余裕そうにザイゴーグ倒したように見えますが、結構危ない状況でした。
闇を呑み込んだ後は弱体化しており、今にも眠ってしまいそうな状態です。
だからこれ以上侵略者が来ないよう、案山子を用意する必要がありました。

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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