ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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思えば、ウルトラマンの宇宙人って知能が高い奴の方が悪いことしてますね。
知能や能力は高ければ高い程いいってもんじゃないってことでしょうか。
というか、ウルトラマンより強い異星人もいるからなあの宇宙。
ウルトラ世界の宇宙マジ怖すぎる。


クイーンベゼルブ

 

「アンタは知恵や自由意志そのものが悪という。ソレはある意味正しい。大半の文明は争いと破壊の為にその叡智を使っている。現に、悪とされる知的生物は強かった。クイーンモネラにサンドロス、強く知能が高い種は悪が多かった」

「「「………」」」

 

 ウルトラマンたちは目を逸らした。

 確かにそうだ、ウルトラマンを苦しめた侵略者というのは高い知能と文明を誇る。

 そうであるがゆえに驕り、悪の道に走った。

 闘争と破壊と暴力。悪とされるものを通して彼らは強くなった。

 

「だから知能を奪う。子供から危険物を取り上げるように、悪用するぐらいなら無い方がいいという考えは理解できる」

「き、君には分かるのかい!?僕の言っている事が!?」

 

 歓喜するサイキ。

 しかしソレにウルトラマン達が待ったをかける。

 

「だからといって全員の心を奪うことはねえだろ。何も悪用ばかりとは限らねえ」

「そうだよ、ソレは刃物が危険だからって料理人からも奪うようなものだよ?」

「確かにな。けどサイキの文明は料理人すら殺しの為に使ったようなところだ。だからこういう発想になるんだろう」

「うんまあ、そこは同情するけど…だからといって自由意志を奪う権利はない筈だ」

「フン、やはり君たちには理解出来ないか。まあいい、一人でも賛同者が現れてくれたからね」

「やったねマーイフレンド!」

「だが致命的な穴がある」

 

 喜ぶサイキに今度は圭吾が待ったをかけた。

 

「穴だと?僕とクイーンの計画に?また自由意志がどうこうとでも言うつもりかい?」

「いや違う。思想面ではなく計画としてだ。ソレを今から言う」

 

 ウルトラマン達とは違いサイキの考えを理解する圭吾の言葉。

 だからサイキも耳を貸した。

 

「サイキは自分だけクグツにならずにクイーンベゼルブと波長を合わせ、クグツにした全ての知的生命体を操って争いをなくそうとしてるんだよな?」

「な、何故それを…?」

「アンタの作戦はクイーンありきの作戦だ。けどそのクイーンを信用出来るのか?」

「ど、どういう意味だ?」 

「クイーンには相手の気持ちを反響させてあたかも自分と考えは同じだと錯覚させる能力がある。どうだ?クイーンベゼルブが時折自分の意志とは違う行動を取ったりしてなかったか?」

「………」

 

 サイキの顔が険しくなった。

 どうやら心当たりがあるらしい。

 

「二つ目、仮にクイーンがアンタに賛同していたとしても、本当にその世界を達成できるのか?ウルトラマンすら倒せないアンタが」

「何を言っている?ウルトラマンは最強の戦士の筈だろ?」

「ソレは違うぞサイキ」

 

 今度はアスカが反論する。

 

「ウルトラマンは最強なんかじゃない。現に俺は何度も負けたし、今の俺よりも強い怪獣や宇宙人はいくらでもいる」

「エンペラ星人にハイパーゼットンにガタノゾーア…。ウルトラマンより強い生物は存在する。しかもそんな奴に限って軍勢を率いているんだ。そんな奴を相手にクグツを打ち込めるのか?俺すら倒せないアンタらが」

「………」

 

 更に重々しく険しい顔をするサイキ。

 パーテルが励ますがあまり聞こえている様子ではなかった。

 

「ソレが本当に全ての生物に効くのか?」

「何を当たり前の事を言っている!?」

 

 声を荒げるサイキ。

 圭吾はソレを無視して机の上にあった試験管の薬物を飲んだ。

 薬物の正体はベゼルブの毒。クグツにするための毒だ。

 飲んだ後、闇の波動をまき散らす。

 毒を無効化したのだ。

 

「お、おい圭吾!?正気か!?」

「ああ正気だ。この通りピンピンしている」

 

 毒の影響を受けた様子はない。

 完全に解毒に成功していた。

 

「こんな風に闇の力を応用すれば毒を消せる。エネルギー体生物の俺だから出来ることだ。多分ウルトラ戦士も似たようなこと出来るんじゃねえのか?他の生物と一体化したら無理そうだが」

「そ、そんなことが出来るのか…?」

「ああできる。まだ成長途中の俺でさえ出来るんだから俺より強い筈のエンペラ星人やベリアルやダークザギならもっとスムーズに出来るだろうな」

 

 闇の巨人たちの名前。

 彼らの悪行はサイキたちも知っている。

 そしてその強さも。

 

「だが闇の巨人は君以外滅んだ」

「闇あるところに闇の巨人は復活する。一度殺した程度で死ぬと思ってるのか?」

「………」

「もし仮に復活しなくてもまた新しい闇の巨人が現れる。その時クグツの世界はどうなるかな?」

「じゃあどうすればいいんだ!?」

 

 遂に我慢できずにサイキが怒鳴った。

 

「あんな思いはもう沢山なんだ!どうすれば争いを無くせるっていうんだ!?」

「何故争いを無くす必要がある?」

「………え?」

 

 思わぬ返答にサイキの怒りは一瞬萎んだ。

 

「何でお前はわざわざ争いしかしない野蛮な生物の為に争いを無くそうとしている?お前にはもう関係ないだろ?」

「ぼ、僕は…二度と悲劇を、見たくないんだ」

「もう誰もいないのに?」

「ッ!!?」

 

 サイキの顔が歪む。

 悲しみと絶望、様々な感情が混ざった表情に。

 

「アンタはその争いで全てを無くしたんだよな?ならまた争いが起きても無くすものはない筈だ。適当なところに隠れて野蛮な連中と関わらないのがベストだろ。なのに何故ソレをしない?」

「ぼ、僕…は………」

「アンタには関係ない話の筈だ。この宇宙で争いが起ころうと何があろうと。なのに何故関わろうとする?何故嫌ってる筈の野蛮な生物たちのために争いを無くさせようとする?」

「関係…ない………?」

 

 目から光を無くして俯くサイキ。

 もう何も言えなくなった。

 しかしソレでも圭吾は容赦しない。

 

「平和や安寧は生きる為の手段に過ぎない。幸せに生きる為のな。…なあサイキ、お前は争いが無くなった世界で幸せになった自分を想像できるか? 争いによって奪われた物の代用品になる程の幸せか?」

 

 

「あ…ああああああああああああああああああ!!!?」

 

 サイキは狂乱気味に叫んだ。

 

 

「戻ってこない…!もう何も…無くしたものは、修復できない!僕にはもう…何もないんだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 悲痛な叫び。

 喪失感、絶望、悲しみ、怒りや憎しみ…。

 今まで押し隠してきた様々な負の感情が爆発するかのようにあふれ出す。

 パーテルが何とか慰めるが、収まる気配はない。

 ウルトラマン達はその様子を黙って見ることしか出来なかった。

 

「サイキ、お前は…」

 

 かける言葉が見つからない。

 相手は侵略者。どんな理由があってもそのことに変わりはない。

 光の戦士として倒さなくてはいけない悪。その筈だった。

 しか今のサイキはどうだ?子供のように泣き叫ぶ彼を見て、ガイの闘志が揺らいだ。

 

「圭吾、お前まさか知っててわざと…」

「何時かは直視せざるを得ないものだ。あのまま行けば遅かれ早かれ気づく事になる。むしろ成功した後で気づいた方が悲惨だぞ」

「それはそうだけど…」

 

 蹲って泣くサイキの姿。

 ウルトラマンたちは黙って見る事しか出来なかった。

 

「行くぞ。サイキを無力化した今がチャンスだ」

 

 あくまでも彼は闇の戦士として冷徹に動く。

 しかし一切の慈悲がないわけではない。

 去り際にせめての情け―――一輪の花をサイキへ送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クイーンベゼルブが地球に向かう。

 サイキが使い物にならなくなった以上、自分たちの手でやるしかない。

 全兵力で地球にある命の木を狙って進軍する。

 ソレをウルトラマンたちは阻止すべく立ち上がった。

 

 戦場は宇宙。

 被害が及ぶ心配はない場。

 だからウルトラマンたちは全力で戦う事が出来る。

 特にキルスコアが高いのはティガダーク。

 普段から殲滅戦が得意な彼は思う存分暴れ、殺していた。

 

 

 貫手で首を貫く。

 甲殻がない柔かな部位であり急所の首。

 貫かれたベゼルブは一瞬で意識を無くした。 

 更に、ソレを盾にして火炎弾を防ぎながら接近。

 加速した勢いを乗せたシールドバッシュで一匹叩き潰した。

 同時、盾にしていた死体が駄目になったので投げ捨てる。

 

 首を捻じって殺す。

 捕まえたベゼルブを仲間の攻撃の盾にして怯ませる。

 その隙に首を捻じって殺し、新たな武器を入手した。

 盾に利用しながら振り回して敵を迎撃。

 鋭い嘴で他のベゼルブを貫き、尻尾の毒針を突き刺す。

 そこまで使ってボロボロになったので別の武器を確保した。

 

 尻尾を利用して縊り殺す。

 背後から尻尾の毒針を打ち込もうとしたベゼルブ。

 咄嗟に受け流して勢いを殺し、尻尾をキャッチ。

 そのまま掴んで他のベゼルブに突き刺した。

 動きを封じた武器を二体確保。

 敵の攻撃の盾にしながら敵本陣に突進。

 ボロボロになって使いものにならなくなったら捨てた。

 

「………アイツ、えげつないな」

 

 ベゼルブに対処しながらオーブがぽつりと零す。

 敵を盾に使い、武器に使い、道具として消費する。

 効率は良いが冷酷で非情。敵相手とは言えここまでするか。

 しかしだからこそ強い。光の戦士にはない強みだ。

 

 一番厄介で強いティガダークにベゼルブが集まる。

 次に多いのがダイナで、逆に一番少ないのは新人ウルトラ戦士のオーブ。

 

 厄介な順に多く集まっている。

 しかしソレを逆に利用される。

 その上で誘われていると知らずに。

 

「(ここだ!)」

 

 ティガダークがテレパシーを送る。

 同時、ウルトラマンたちは一斉に光線を撃ち出した。

 必殺光線は射程上のベゼルブ達を焼き尽くし、突破口を開く。

 そこを一番近くまで接近していたオーブが独走した。

 

「いけオーブ!美味しいとこ持っていきな!」

「ああティガダークさん!」

 

 作戦通り。

 ティガダークが派手に暴れる事で注意を引きつけ、一番注目されてないオーブがこっそり接近。

 タイミングを見計らって突破口を全員で開き、一気に決着を付ける。

 ティガダークの目論見は上手くいった。後は仕留めるのみ。

 

「シュワッ!」

 

 オリジウム光線。

 踏ん張りがきかずに自分も少し吹っ飛ばされたが、確かに光線は命中した。

 顔面ど真ん中。威力不足は否めないが確かにダメージを与えられた。

 追撃を掛けようとパワーをチャージする…。

 

「ッウ!?」

 

 しかし止まってしまった。

 クイーンの反響能力。

 光線で痛ましい姿になったクイーンを少し哀れんでしまったせいで、その感情を反響されてしまった。

 思ってしまう時点でアウトなのだ。能力を知っても防ぎようがない。

 

 これが圭吾ならそうはならなかっただろう。

 非情に徹し、むしろ暴力を楽しめる。

 そんな彼なら追撃を躊躇わない。

 

 オーブの隙を突いて尾を伸ばすクイーン。

 そのままクグツの毒を打ち込もうとした瞬間…。

 

「させるかッ!」

 

 ジャグラーの一閃。

 尻尾を切り落としてオーブを守った。

 

「ジャグラー!?」

「何してる!?撃てウルトラマンオーブ!」

 

 ジャグラーの激励で戦意を取り戻したガイ。

 再びオリジウム光線を撃ち出してクイーンに命中させた。

 

「ッ!?!?!?」

 

 爆散。

 傷口を抉りながら内部まで浸透。

 体内まで侵入した光線が爆発する事で誘爆を引き起こし、大爆発した。

 

「よし、これで一件落着だな」

 

 クイーンが消滅したのを見届けたティガダーク。

 そのまま方向転換して帰ろうとした途端…。

 

「まあまあ。折角だからちょっと話さない?」

「色々聞かせてくれよ。闇の戦士の話をよ」

 

 先輩たちにウザ絡みされた。

 

 





サイキクイーン出番無し!
パーテルもサイキと共に機能停止しました。
これで一件落着ですね!

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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