ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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今思えばこの主人公、前世ではいじりの標的にされて、今世ではいじめの被害者助けた結果で学校の不祥事世間に流して廃校に追い込んで、里帰りする途中でゾイガーの襲撃受けたんですよね。


食事会

 

 とある中華料理店。

 回転テーブルがある本格的な店。

 その上値段もリーズナブルで味も良い。

 しかし立地条件が悪いのか昼時を過ぎているとはいえ客が疎らだった。

 圭吾たちはそのうちの一席の食卓を囲っていた。

 

「お前…早速食うのかよ?」

「いいじゃん別に。俺の金なんだから」

 

 出された料理に早速手をつける圭吾。

 ソレに触発されたのか、ガイやジャグラーも食べだした。

 

「う、うめぇ…!見てくれは一緒なのに、こうも違うのか!?」

「コレが地球の料理…!最高だ!」

 

 バクバクと食べだす二人。

 そんな様子に呆れつつ、他のウルトラ戦士たちも箸に手を伸ばす。

 

「なあ圭吾、今回は随分カノンに入れ込んでいたな」

「そうか?俺はそんなつもりないんだけどな」

「もしかして、故郷の二の舞にならないようにしたかったのか?」

「………」

 

 圭吾の箸が止まった。

 

「別に、そんなつもりはない。俺がいた地球は滅ぶべくして滅んだ。そのことに思うことは何もない」

 

 圭吾がいた地球の文明は一度滅んだ。

 確かに元凶はガタノゾーアだが、人類の愚かさが招いたという点もある。

 例えば国の上層部が我先に逃げたり、他国にいる怪獣が自国に入る前にミサイルを撃ったり、民衆を避難させるどころか囮にして大量破壊兵器を使用したりなど、協力することなく己の事ばかり考えていた。

 他にもティガダークが倒した怪獣の死体やデータを独占して他国を出し抜こうとしたり、ティガダークが来ない国は恩恵を受けている国を妨害する等、人類存亡の危機であるというのに協力することはなかった。

 もし全ての国が一致団結していたら、もし資料やデータを余すことなく全て公開して情報交換出来ていたら、結果は変わっていたかもしれない。

 

「けどあの星は全てが揃ってる。俺がいた地球と違ってな」

 

 対する惑星カノンはどうか。

 全世界が一つの国に統一され、圭吾がいた地球を遥かに上回る科学技術を持ち、女王の元に全ての人々は統制されている。

 もし戦神でも勝てない敵が来ても、彼らなら圭吾がいた地球と違って、TVで散々見た防衛隊のように立ち回れるかもしれない。

 

「やらないならそれでいい。俺にはもう関係ない話だ」

 

 そう言って圭吾は食事を再開した。

 

「けど女王の言う事も分かる。兵器を増やす事は悪人にソレが渡る可能性は十分あるし、折角作った兵器を奪われて悪用される可能性も十分考えられる。だから女王の懸念もある意味正解だ」

「なら何であそこまで強く言ったんだ?」

 

 ガイが質問する。

 一応先輩だがウルトラ戦士ではないと本人が言ったし、年下に見えたので敬語は使わなかった。

 

「だとしても必要だと思ったから。物事は一長一短でままならないモンだ。為政者はソレを厳しく吟味して国と民衆を守らなくちゃいけない。…まあ、だからそのリスクやデメリットをどうやって解消しようか考え、踏み倒す為に強くなろうとするんだけどな」

「ソレは光の戦士や闇の戦士も同じか?」

 

 ジャグラーの質問に、一斉に視線が向いた。

 

 

「当然だ。あの時は光の戦士の限界って言ったけど、否定したわけじゃない。むしろ文明に干渉しないって点は正しいとさえ思ってる。けど、俺は正しいことじゃなくてやりたいことをやる。ソレが俺のやり方だ」

 

「俺は正直あの星の未来なんてどうでもいい。ただやりたいからやっただけで、その先の事は知らん。誰から見ても正しくて理想的な選択は光の戦士がやればいい。アンタらは今のままで十分だ」

 

 

 

「ったく、ひねくれている奴だ。そう言っておいてザイゴーグなんてヤバい奴と戦ったんだろ?」

「俺は奴の力が欲しかっただけだ。星を守ったのは序でに過ぎない」

「その序でが大きいんだよ」

 

 これが圭吾のスタンス。

 あくまでも自分のため。他はその序でのようなもの。

 誰にも指図されることもなく、誰にも咎められる謂れはない。

 もし仮に他者が行く手を阻もうが、自身の行為を責められようが知った事ではない。

 その時は声を大にして言う、テメエらのルールなんざ知るかと。俺のやりたいことを貫くと。

 そして、その報いは自分に返る。

 たとえ傷つき倒れてもソレは自分の為であり、自分の責任であり、自分の生き様だ。

 

「お前の言う通り、俺たちのやり方には限界がある。けどいつかはその限界も超えて、ベストな選択肢が作れる筈だ。いや、作ってみせる」

「だから君も君のままでいてほしい。ひねくれているけど誰かに手を差し伸べて、誰かの為に動ける君のままで。あ、序でのままでもいいからね」

 

 圭吾を知っているウルトラマンは彼を信じる。

 別に圭吾がソレに応える必要はない。

 それでもやる男が鞠川圭吾だから。

 

「君の考えには一理あるね。政治でも生物でもそうだけど、様々な要素があるからこそ世の中は成り立っている。光の戦士だけじゃなく君のような違う視点の戦士も必要だね」

「遺伝的アルゴリズムで突然変異をたまには起こさないといけないからな。停滞は破滅を招く。だからお前みたいな奴がテコ入れしてくれると面白い事になりそうだ」

 

 彼を知らない地球産のウルトラマンは彼を評価する。

 科学者である彼らは違う意見を歓迎し、議論を通して理解しようとする。

 自身たちの知らないものを知ろうとする事に喜びを見出すのが科学者という人種だ。

 

「そういう考えもあるのか………」

「ちょっと…いや大分乱暴だな」

 

 新人ウルトラマンと戦士はそういうものかと納得する。

 彼らはまだ歩き始めたばかり。

 気が遠くなる程の年月を通して学んでいく。

 

 ソレから彼らは食べながら話をする。

 

「じゃあお前にとっての平和って何だ?」

「極論言えば戦争や内戦じゃない状況。最低限の法律や規範が保たれてる状況だ。富が金持ちに集中して貧乏人が飢え死にしようが、独裁で民衆が虐げられようが、戦争の被害が無ければ最低限の平和だ」

「本当に最低限だな。その理屈だと、どれだけ人が死んでも戦争じゃないなら平和って事になるだろ」

「あくまで戦争っていうトラブルが無い状況が平和だ。程度の差はあれど、どんなに平和な世の中でもトラブルは起きるし、犯罪や事故の被害が出る。幸せな状況が平和だっていうのは理想高すぎだと俺は思う。…どれだけ平和に見えてる世界でも、裏じゃ誰かが泣いてるモンだ」

 

 そこまで言われてガイとジャグラーは旅の途中で寄った国を思い出した。

 弾圧と搾取を行う政府、略奪や犯罪が陰ながら民衆の間で横行している。

 ここまで聞くと末期だが戦争も内戦も起こっておらず、最低限のルールは保たれていた。

 まあ、内戦一歩手前なので平和とは言い難いかもしれないが。

 

 別の国でも一見平和そうでも、ソレを維持するために裏では薄暗いものがった。

 ディストピアはあってもユートピアは存在しない。

 どれだけ平和で幸せそうでもどこかで不幸がある。

 

 

「ウルトラマンがあまり人間に手出ししない方が良いってのは同意だ。ウルトラマンを捕まえて支配しようっていう輩が絶対出てくる。俺のいた地球は一度滅んだが、もし生きてたら家族なり級友なりを人質にして俺をとっ捕まえて実験動物や兵器にしてただろうな。断言出来る」

「俺のところがそうだったぜ。正体がお偉いさんにバレて人造ウルトラマン計画の実験台にされた。一応俺の命は慮ってたし、参謀も悪人じゃなかったんだが…もし悪党ならどうなったか」

「まだ星…いや、国を守るための戦力ならマシだ。他国への侵略兵器にしたり、この力を背景に脅して富や権力を独占し、私有化して独するだろうな。そうなったら俺は完全に道具扱い。最期まで搾取されるだろうな。いや絶対していた」

「君が大人しくそうなる姿を想像できないんだけど」

「ああ、そうなったら俺が人類を滅ぼしていた。だから文明がリセットされたのは助かったといってもいい」

「………炭治郎からは聞いてたけど、そこまで言わせる程か」

 

 ウルトラマンの文明過干渉はこういったリスクもある。

 正体がバレて担ぎ上げられるならまだいい方。大体は危険視されて殺されるか、捕獲されていいように利用される。

 

「そう言われたら僕たちは大分恵まれていたんだね」

「俺も恩赦で今までの罪を無かったことにしてもらえたからな。罪自体は消えないが」

 

 この二人のように民衆に知られても無事なパターンの方が奇跡である。

 

 

 

 

「俺は環境保護ってあんま好きじゃねえんだ。そもそも環境を変えるのは人間だけじゃない。動物だって巣を作ったり食料を得る為に環境を破壊する。人間はその規模がデカいだけで根本は変わらねえと俺は思ってる」

「面白い考えだね。確かに生存の為に環境を破壊する動物はいる。怪獣だってそうだ。彼ら自身に悪気はないけど生きるには仕方ない。けどその結果現地の生物や人たちが被害を受けるけど、ソレはどう思う?」

「当然抗う権利はある。生きとし生けるもの全てが生きる権利があり、ソレがぶつかった結果争いが起きる。自然界じゃ日常茶飯事。だから弱肉強食ってルールが出来た。…まぁ、権利自体が勝手に知的生命体が作った概念だけど」

 

 

「そもそも生命自体ただの現象だ。有機物が偶然活動して、精神という複雑な自律活動をするようになった。ソレだけで意味はない。石ころがそこにあって何でコイツは石で何でそこにあるんだろうって言ってるようなモンだ」

「ならお前は生命が生まれようが滅びようがどうでもいいってことか?」

「ソレは当人が決めればいい。意味ってのはあるものじゃない。付けるものだ。観測して判断する者がいて初めて意味ってのは成立する」

 

 

「で、俺は自分に近い人類を優先する。そっちの方が気持ち良いからな」

「怪獣にも怪獣なりの事情があるけど、その時はどうするんだ?」

「俺が正しいと思い、気持ちよく戦える方に付く。けど俺は出来るだけ人間の方を優先するな。人間の癖に人間の都合を考えず、怪獣や自然の味方ばかりして被害に遭った人たちを考えねえのは人間なんて辞めた方が良いと俺は思ってる」

「「………」」

 

 約二名、自分のやらかしや発言を振り返って被弾した者がいた。

 

 

 

「さっきから俺も偉そうに言ったけど、答えなんて物事に何処にもないんだよ。何かした後で何かしらの結果が出る。ソレがいいか悪いかはその時しか分からん。しかも、ソレを誰がどんな視点と価値観で判断するかで大分変わるからな」

「けど、だからといって動かないってのは無しだ。どうしようもないだろ」

「え?立たなきゃ転ばないだろ?」

「そう来たか…」

 

 

「お前の言う事も分かる。俺らも何度も不安になったし、何度も迷いまくった。本当に正しい選択をしたのか、本当にウルトラマンに相応しいのか考えまくって今にあたるからな」

「結局、一回信じたことを最後まで走り切るしかないだよね僕たちは。答えはその先にあると、きっと良くなると信じて。これがけっこうしんどいんだよ?」

「だろうな。俺も周囲に振り回されることあるし。愚直に貫くのも才能と努力がいるってことだ」

 

「けどずっと同じやり方だと行き止まりになることもあると思うんだよね。生物も一見完璧そうに見える種から滅んでいくし」

「そん時は切り替えろ。タイプチェンジみたいにな。一つの戦い方だけじゃ行き詰るように、生き方や考え方も一つだけじゃ詰む。時にはコロコロ変える事も必要じゃねえの?」

 

 

「まぁ、各々が決めた道を行けばいいって事だ。俺は好きにする。だからアンタらも好きにしろってことだな」

「そうさせてもらうよ。僕たちは僕たちの信じた道を行く。けど君が間違ったらと僕たちが判断したら正させてもらうよ。ソレも君の言う自由だろ?」

 

 

 互いに話し合って理解を深め合う。

 最初は圭吾を探ろうとする雰囲気だったが、次第に普通の食事会となっていった。

 

 

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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