ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
閲覧注意。今回は主人公が拷問するシーンがあります。
ある星の都市が一夜で滅んだ。
一体の怪獣の手によって。
吸血怪獣ギマイラ。
奴は町の人たちの血を吸い尽くし、生き残りも無残に殺していった。
吸った人間の思考能力を低下させて思うがままに操るホワイトスモーク。
生物を怪物化させる怪光線。
ギマイラはそれらを駆使して人間を玩具のようにして遊んだ。
人間をゾンビにして、まだ生きている人間を追いかけさせる。
捕まった人間はゾンビに生きたまま食われ、その様を怪獣は嗤って見ていた。
人間を怪獣に変え、その家族や友人らしき人物を食わせる。
踊り食いされながら聞こえる悲痛な叫びと断末魔を肴に、怪獣は血を啜った。
極悪。
まさに鬼畜の所業。
誰もこの怪獣の宴を止める事は出来ない。
「デュアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
ただ一人、
雄叫びと共に現れたティガダーク。
彼は足元から黒い霧を発生させ、町の人たちを呑み込んでいった。
シャドウミスト。
かつて、ガタノゾーアが彼のいた地球を滅ぼす為に使用した技。
コレによって彼は追い詰められ、人類を守れず文明もリセットされた。
そして今回、憎き技であるソレを、怨敵の技だったソレをティガダークが使った。
「やめて…やめて!まだパパもママも死んでないのに!」
「あ、ありが…と」
「嫌だ嫌だ嫌だ!死にたくない!」
「い、痛いの…消え、た………」
シャドウミストに飲み込まれる人々。
否、もう彼らは人ではない。
怪獣或いは操り人形。
もう二度と人に戻ることはない。
せめてもの情け。
人としての尊厳を守るための。
二度と苦しまないよう、穏やかな闇の中で。
皮肉にも、散々人類を苦しめた邪悪な闇によって彼らは救われた。
「………テメエは嬲り殺しだ」
ドスの効いた声。
氷のように冷たい殺気。
溢れる墨のように黒い闇のオーラ。
鬼気迫るその威圧感にギマイラは気圧された。
しかしソレは一瞬。
次の瞬間に恐怖は怒りに変わった。
なまじ知性がある分、余計なプライドが生まれる。
自身は強いと、弱者や餌を玩具にする権利があると。
傲慢なその考えは時に知性を阻害し、非合理な行動を誘発する。
攻撃を仕掛けるギマイラ。
伸縮自在の触手のような舌を伸ばす。
主な使用法は獲物の吸血だが、相手を絡め取って高圧電流を流すこともできる。
ギマイラ最大の武器。
しかしティガダークはコレを知っていた。
「ッ!?」
斬られた。
伸ばされた舌をいつの間にか持っていた光輪で切断。
身体の影に隠した右腕にエネルギーをチャージして光輪を形成。
伸ばさされたと同時に持っている光輪で切断し、続けて投擲。
光輪は回転しながら飛来してギマイラの舌を切り裂いていった。
「デュアッ!」
ティガダークが急接近。
光輪がギマイラの舌を切り裂いている間に距離を詰めた。
ギマイラが怯んでいる間にその鼻角に手を伸ばし、掴んで跳び膝蹴り。
続けて鼻角を掴んで下を向かせ、頚椎に手刀を入れた。
「ギュオッ!」
ダメージを受けながらも抵抗するギマイラ。
ティガダークを振り払って一歩下がり、格闘戦を仕掛ける。
対するティガダークも剛力体にタイプチェンジして受けて立った。
原作ではウルトラマン80を上回る怪力と格闘能力を披露したギマイラ。
この個体もティガダークと互角に渡り合っている。
だが、相手が悪かった。
ボキッ!
指を折られた。
掴みかかろうとした瞬間、ギマイラの指を取った。
手首に手を添える事で力の逃げ場を無くし、掴みかかる威力を利用しながら体重をかけてへし折る。
本当は手首の関節を外して腕もぶち折りたかったのだが、流石は怪獣の骨格。
フルパワーを以てしても指を折る程度に留まる程頑丈だった。
だがそれでも敵の部位破壊には成功した。
続けて戦力を削いでいく。
目を潰す。
無駄にデカい目に指を突っ込み、電流のようにエネルギーを流し込む。
激痛がギマイラの眼球に走り、視神経をズタズタにしていった。
尾を切る。
ティガダークを吹っ飛ばそうと振り回した尾を、逆に切断された。
振るう勢いを利用してカウンター。
光輪でズタズタにしながら切り落とした。
鼻角を折る。
怪光線を放とうとした瞬間、光輪で切りつける。
ティガダークの予想以上に堅いせいで光輪が砕けたが、切れ目を入れつつ光線の妨害には成功。
力ずくでへし折り、顎の下部分に突き刺して口を開けられなくした。
全身を串刺しにする。
以前、トロンガーに使用した技。
あの時は全身を超速移動する心臓を阻害しつつ動きを封じるために使ったが今回は違う。
能力と動きを封じることで嬲り易くするために使った。
「~~~~~!!?」
藻掻くギマイラ。
出来ることはソレだけ。
武器を奪われ、視覚を奪われ、身体の自由を奪われ。
まるで死刑執行を待つ囚人のように、恐怖と痛みに震える事しか出来なかった。
しかしコイツに下される刑罰は死刑なんて生温いものではない。
拷問惨殺だ。
「ッ!?!?!?!?!?」
ギマイラに激痛が走る。
ティガダークがギマイラの腹に光輪を差し込んだ。
残忍解体作業の開始だ。
拷問用の光輪。
敢えて切れ味を落とした光輪の刃。
敢えて音声を大きくした光輪の駆動音。
敢えて効率性を落とした光輪の切り込み方。
苦痛を与えることに特化した光輪で刑罰を執行する…。
「ッ!!?」
突然、飛来した蒼と黒の光線。
ソレによってティガダークは吹っ飛ばされた。
ギマイラへの拷問に意識が向きすぎて奇襲に気づけなかった。
警戒心が強く冷静さを失わない圭吾らしくない失敗。
ソレだけギマイラへの怒りが強かった証拠である。
「可哀そうに。今解放してあげよう」
虚空が歪み、蒼と黒の巨人が現れる。
ウルトラマントレギア。
彼は現れると同時にエネルギーを両腕に集め、赤黒い稲妻をギマイラに撃ち出した。
光線を食らって爆散するギマイラ。
元からボロボロだったのだ。
抵抗らしい抵抗は終始見せなかった。
満足そうに頷きながら今度は右方向に手を伸ばす。
途端、暗い蒼のバリアが形成された。
「誰だ…ぶっ殺すぞ!」
ノーモーションで光線をトレギアに放ったティガダーク。
マルチ・スペシウム光線。
折角のお楽しみを邪魔した挙句、獲物を奪い取った下手人を罰する為に。
しかしソレは易々と防がれた。
「やあティガダーク。君の噂は兼ねがね聞いてるよ。私の名はトレギア。混沌と未知を探求する科学者だ」
「ああそう。じゃあ死ね!」
再び放たれる光線。
トレギアをソレを片手で防ぎつつ、馬鹿にするかのような態度を取ってティガダークに話しかける。
「おいおい余裕が無いなぁ。もっと会話を楽しもうじゃないか。私は君に興味があるのだよ」
「あん?そうか、生憎俺は機嫌が悪いんだよ。サンドバッグ取り上げられてなァ!」
今度は肉弾戦。
スラッシュ系の技で牽制しつつ接近。
ジャブを数発放って視線を誘導してローキック。
見事に戦術が嵌り、トレギアは痛がる素振りを見せた。
しかし続けて畳みかけようとした途端、トレギアは少し離れた場所に瞬間移動した。
「やはり君は闇の存在だな。普段はウルトラマンの真似をして誤魔化しているが、都合が悪くなれば本性を見せる。ティガダーク、ハッキリ言うよ。君はウルトラマンじゃない。光の戦士じゃない」
「あ?何今更言ってやがる?俺はウルトラマンじゃねえし、正義の味方を気取る気も無い。この姿だってただ模倣してるだけのニセモンだ」
ティガダークの返答に意外そうな反応を見せるトレギア。
しかしソレも一瞬だけ。
すぐさまティガダークを煽るような素振りに戻った。
「なら何故ウルトラマンを真似する? 彼らは宇宙全土の正義を司り、宇宙の平和と秩序を守る光の番人だ。君のような闇の存在が汚していいものじゃない」
心にもないことを平然と口にするトレギア。
一般論を敢えて言う事でティガダークがどんな反応をするか楽しんでいる。
さて、ティガダークはどう答えるやら…。
「知るかんなもん。ウルトラマン皆が正義とは限らねえだろ。第一、何が正義と平和と秩序だ。光が善で闇が悪って言ってるのは光の国が勝手に言ってることだろうが。俺は知らんしその通りにするつもりもない。俺の自由にさせてもらう」
「(………おっ!)」
返って来たのは自身と似たような答え。
この宇宙には光も闇も無い。光が正義なんてものは傲慢にも光の国が勝手に言ってるだけ。そんなものは存在しない。
ソレに気づいたものがまさか自分以外にもいたとは。
一瞬親近感が沸くも、次の瞬間に霧散した。
「正義や悪なんてものは個人や社会の都合によって変わる曖昧なモンだ。だから俺も勝手に決める。俺のやる事が正義で俺の邪魔をする者は悪だ。俺の中ではソレが全てだ」
「………」
トレギアの中で色んな感情が湧き出た。
単純すぎる答えに対する落胆か、それともやはり自分とは違う考えであった事の失望か。ソレ自体はトレギアにも分からない。
ただ一つ分かった事は、やはりこのウルトラマン擬きも光の国と同じような奴だったということだ。
そして、そんなトレギアの心境を察してか、ティガダークはぺらを回し始める。
「アンタもしかして、この世界にはどこかに真実の正義があり、確固たる価値あるものが存在しててるって思ってるわけ?もしそうなら………光の国の奴らと同じだな」
「………は?」
相手のことを分かっていながら、あえて逆鱗に触れた。
トレギアさんは闇堕ち阻止出来ませんでした。
いくら何でも昔過ぎるし、具体的な瞬間が無いので。
まあ、ジャグラーと違って主人公や一般人助けたりしなかったんで諦めてください。
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
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いる
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いらない
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ご自由に