ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~ 作:大枝豆もやし
大人になったら大変そうだけど。
あと、原作あるなら原作知識も有効ですね。
頼りすぎると足元掬われそうですが。
転生者である俺は、周囲から神童と持てはやされた。
当然だ、俺には前世の記憶がある。
一度やった人生をやり直すのだから、よほどのことが無い限り失敗はしない。
自分が何の為に勉強や練習をしているかすらよくわかっていないガキの群れに混ざり、自分は前世の記憶を元にして効率的に進める。
中身が大人な俺にとっては周囲のガキ共より上手くやるのは超余裕だった。
世代の違いはあるが現代日本。
答えを見ながらテストするのとほぼ同じだ。
ズルい自覚はあるがやめる気はない。
答案用紙があるうちはな。
子供時代は上手くいくだろう。
だがその先、社会に出てからは通じない。
学校では答えが用意されてあるが、社会では自分で見つけ出す或いは作らなくてはいけないのだから。
十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人。
本物の天才なら何とか出来るだろうが、前世の記憶があるだけの凡人はいつかそうなる。
だからその日まで経験値を溜めていい感じの人生をおくろうと思っていた。
けど俺はやり過ぎてしまった。
ある日、俺は先輩から目を付けられた。
先輩曰く調子に乗っていると。
神童とか何とか言われて、モテている俺が生意気だといちゃもん付けてきやがった。
最初は逃げた。
人気のないとこに来いとか言われたり置手紙があったが全部無視。
むしろ証拠を集めていつでも訴えれるようにしていた。
けど、俺は我慢できず手を出してしまった。
突然の闇討ち。
遅くなった帰り道、俺は人気のない道で襲撃を受けた。
勿論全員返り討ちにしてやった。
警察に突き出して事件は無事解決。
けど、そこで俺は俺の本性を知ってしまった。
俺は暴力を楽しめる人間だ。
楽しかった。
敵を殴り倒し、ひれ伏せさせるのが。
試合や練習じゃ出来ない対戦形式。
その度に俺の方が強いと実感し、優越感に充たされる。
楽しかった。
人体を破壊し、急所を潰すのが。
試合や練習じゃ出来ない技。
その度に俺の技が効いてると実感し、達成感に充たされる。
楽しかった。
尊厳を否定し、暴力と恐怖におびえる姿が。
試合や練習じゃ見れない顔。
その度に俺の方が優れていると実感し、万能感に充たされる。
全員病院送りにして中にはトラウマを負った奴もいる。
けど俺は罪悪感なんで抱かなかった。
むしろその逆。ざまあみろといった感じだ。
命を取らないだけありがたいと思え。
いや、練習に付き合ってくれたんだから命と後遺症は流石に勘弁してやるか。
けどまあ“事故”で潰れたタマはどうにもならないけどな!
こういうことを思える人間なんだ、俺は。
俺はウルトラマンに相応しくない。
だから早く来てくれ。
じゃないと俺が全部ぶっ殺しちゃうぞ。
日本とは別の国の首都。
少子化が叫ばれる昨今だが、都会となると人が雑多してその気配は感じられない。
特にこの時間は帰宅ラッシュも相まって道は車と人で溢れかえり、歩くことすら困難であった。
少しぐらい人口なんて減った方がいいんじゃないか。
そんな不謹慎なことを考える者は何人かいたであろう。
だからだろうか、ソレが叶う事になるなんて誰も思わなかった。
「ぎゃああ!!?」
「た、助けてくれぇぇぇ!!?」
突如現れた巨大生物が人を食らっていた。
エイやペンギンを連想させる妙に愛嬌のあるボディに、凶悪な悪魔のような面構えの異質なデザイン。
ガゾート。
電磁波の影響で雲の中にいる空中棲息生物、クリッターが合体変異した巨大生物である。
ガゾートの目的は食事。
巨大な入道雲から現れ地上に降り立ったと同時、町に溢れかえる人々を次々と食らった。
逃げ惑う人々を食らう。
まるで魚の大群のように集まる人間を喰うのはガゾートにとって楽なものだった。
建物内の人々を食らう。
まるでお菓子の箱を開けるかのようにビルやマンションを破壊するのはガゾートにとって朝飯前だった。
食らう食らう食らう。
大量の人間を次々と。
完全に入れ食い状態だ。
『食い過ぎだペンギン擬きがッ!』
突如現れたティガダーク。
彼は背後からガゾートを蹴り飛ばし、獲物を奪い取った。
その後、ゆっくりと獲物だった少女を地面に降ろす。
「あ、ありがとう…」
蚊が泣くようなか細い声のお礼。
しかし彼の耳にはしっかりと届いた。
ティガダークは少女に向かって頷き、立ち上がってガゾートと向かい合う。
『トモダチ!』
ティガダークの脳内に声が響く。
子供のように甲高い声。
ガゾートの声がテレパシーとなってティガダークに届いたのだ。
友達。
一見すれば友好的な単語だが、ガゾートのソレは人類のそれとは程遠い。
ガゾートの元となったクリッターは共食いの習性があり、友達とは食料を意味する。
ソレを知識としてしっていたティガダークはテレパシーには驚きつつも友達認定にはあまり動揺しなかった。
むしろそっちの方が好都合だといわんばかりの態度だ。
「デュア!」
『ッ? 待って!』
ティガダークは敏捷体へと姿を変え、ガゾートの突進を避けながら飛行。
背を向けて逃げるかのように飛び立つティガダーク。
ソレを追いかける形でガゾートも空へ飛び立つ。
逃がさん。そう言いたげに吠えながら。
口からプラズマ光弾を放つガゾート。
ティガダークを撃ち落とそうとするが、その全てをティガダークは避ける。
空中で身をよじって、高度や進路を変えて、旋回して光弾を回避。
空中チェイス。逃げるティガダークと追うガゾート。
防戦すらしていないティガダーク。
ただ逃げ惑うだけで振り向きすらしない。
距離もジリジリと追い付き、確実に接近している。
自身の優位を実感したガゾートは口角をあげた。
全てティガダークの思惑通りに行っていると知らずに。
「ギャアッ!?」
突如、ティガダークが動き出した。
近接戦が出来る距離まで近づき、ガゾートが光弾を撃ち出そうとした瞬間、ティガダークがオーバーヘッドキックを繰り出す。
カウンター気味に繰り出された一撃。
威力こそないが、予期せぬ反撃を直に食らってしまった。
蹴りを食らって墜落するガゾート。
下は大地では無く海になっている。
派手な音を立てて着水し、その勢いで波が発生した。
深さはそれほどないせいで沈むことはなく、波もそれほど高くない上に、町にも被害が出ていない。
巨体の怪物が戦うのに絶好の場。
ここなら町にも被害は出ない。
誘われていたのだ。
被害が及ばない戦地まで。
ガゾートがティガダークによって。
これで思う存分戦うことが出来る。
しかしそれだけ。
ガゾートに大したダメージを受けた様子はなく、すぐさま立ち上がろうとする。
だが、そうは問屋が許さない。
ティガダークは通常体に戻って次の行動に出る。
「ディアッ!」
ティガダークがガゾートを蹴り飛ばした。
膝立ちのガゾートにサッカーボールキックが炸裂。
立ち上がろうと意識を集中させたガゾートは反応出来ず直撃し、ゴロゴロと転がる。
そして更にティガダークは体重を乗せた踵落としを倒れているガゾートに食らわせた。
ガゾートの反撃。
ティガダークの蹴り足を噛みつこうとする。
咄嗟に足を引っ込めるティガダーク。
相手が自身の血肉を求めているなら噛みつくのは想定内。
だから回避が間に合った。
『トモダチトモダチトモダチ…』
立ち上がりティガダークに向かって来るガゾート。
左右のフリッパーで殴り掛かる。
ティガダークは交互に両腕で止めるが、そのせいで腕を取られてしまった。
そのままガゾートはティガダークの首筋目掛けて鋭い牙で噛みつく…。
「デュア!」
ティガダークのヘッドバットが炸裂。
噛みつこうとした勢いと頭突きの威力が相まってガゾートにダメージを与えた。
しかしそれでも噛みつきをやめないガゾート。
更に勢いと体重をかけてティガダークに噛みつこうとする。
だがソレが仇となった。
「ッ!!?」
投げ飛ばされるガゾート。
柔道の巴投げ。
ガゾートの勢いを利用し、ティガダークが頭から地面に叩きつけたのだ。
予想外の攻撃に大ダメージを受けて怯むガゾート。
その間にティガダークはガゾートの眼に手を伸ばし…。
ブリュッ。
「ッ!?!?」
ガゾートの左目を潰した。
人差し指と中指に光を集中させて威力を倍増。
指を突っ込んだ後、ぐりゅんと回して眼球を抉り取った。
目を抑えて、もだえ苦しむガゾート。
その間にティガダークは立ち上がってエネルギーをチャージ。
力を集約させる動作を行い、必殺技の構えに入った。
「デュアッ!」
放たれる必殺技、ゼペリオン光線。
命中したガゾートはその場で爆発四散。
悲鳴をあげる間もなく息絶えた。
敵を完全に殺したことを確認した後、ティガダークは警戒を解いて空に飛び立った。
ここ最近、怪獣が活発になってきた。
ティガで登場する怪獣は何も闇の勢力だけじゃない。
元から地球に生息する怪獣、人間の影響で怪獣化したもの、侵略性宇宙人や妖怪だっている。
今月でもう十体ぐらいは相手した。
怪獣という未知の存在。
いくらティガダークの力があるとはいえ、所詮は凡人。
前世の記憶があるだけの俺では苦戦は免れない。
だが、俺には原作知識という強力な武器がある。
寄生怪獣マグニア。
力の源である隕石を予め破壊して弱体化させて倒した。
恐竜兵器ウェポナイザー。
1号と2号が接触して合体しようとしたタイミングで変身し、中性子爆弾を強奪。
宇宙人ナーガの宇宙船目掛けて投げ返して一掃した。
妖怪宿那鬼。
刀を使われる前に隠し場所から刀を奪って首を刎ねた。
首だけで襲い掛かるがそのことを知ってた俺はカウンターで目を貫いてやった。
そういや景竜の霊は復活しなかったな。
まあいなくても倒せたけど。
とまあ、こんな感じで原作知識を使って怪獣を倒している。
やっぱ原作知識ってチートだわ。攻略本見ながらやってるようなものだからな。
けど、それが通じるのも中盤までだ。
ここから先は敵もインフレする。
例えばゴブニュやシルバゴン。
パワータイプ以上の怪力を誇る奴を倒すにはガッツの協力が不可欠。
しかしこの世界にはガッツは存在しない。
自力でなんとかするしかないが、そんな根性は俺にはない。
早く来いウルトラマン。
ちゃんと序盤で経験値稼がないと泣きを見るのはお前だぞ。
この主人公は原作知識こそ自身の武器だと思ってますが違います。
一番の武器は主人公の暴力性です。
怪獣に殺意を向けられても動じず、効率的な戦い方を実行出来る精神性。
これがあるから格闘技やってる癖に反則技も実戦では躊躇せず使い、殺されそうになっても怯まず戦闘を続行、瞬時に計算して周りの環境さえも利用して咄嗟に最善行動をとれる。
暴力性という心の闇を武器に出来る人間だからティガダークになれたといってもいいです。
こういうヤバい人間も時には必要なのではないでしょうか。
まあ、平時の現代社会には居場所ないですが。
他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?
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いる
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いらない
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ご自由に