ティガダーク~やはり俺は光の巨人になれない~   作:大枝豆もやし

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グランドキング

 

「ムハハハハハハハハ! ウルトラ戦士たちよ!我が野望を打ち砕いたと思ったか!?」

 

 青空が突然発生した暗雲に覆われ、スクールのようにジュダの顔が映された。

 

「ジュダ!?まだ復活して無い筈では!?」

「バカめ!ヤプールは陽動に過ぎぬ!俺様自身はとっくに復活済みだ!」

 

 暗雲から一体の怪獣が現れる。

 スーパーグランドキング・スペクター。

 ソレは歪な機械音を立てながらゆっくり動き出す。

 

「後はソイツから闇の力を奪えば完全復活だ!」

「俺?」

 

 ソレを聞いてまだ完全には復活出来ていないと全員理解した。

 圭吾の膨大な闇のエネルギーが必要であり、ソレを防げばチャンスはあると。

 そして、ジュダを倒して圭吾が闇を吸収すれば、今回の復活を阻止するだけでなく暫く封印出来ると。

 

「面白ぇ。だったら逆に闇のエネルギー奪われても文句は言えねえぞ!」

 

 ブラックスパークレンスを掲げる。

 ウルトラマンたちも各々の変身アイテムを向け、同時に変身した。

 

 ウルトラマン同時変身。 

 光の戦士の中に黒い闇の巨人が紛れているという妙な状況だが。

 

「ゆくぞ!」

「ハイ!」

 

 全員で一斉に向かうウルトラ兄弟達。

 瞬間、グランドキングの腹部から赤い破壊光線が繰り出される。

 スーパーグランドブラスター。

 劇中でも似た技を繰り出して一度にウルトラ兄弟達を吹っ飛ばした。

 

「「「ぐわああああああああああ!!?」」」」

 

 今回も同様。

 その破壊力の前にウルトラ兄弟達は怯んだ。

 

「ッグ! スペシウム光線!」

 

 一番最初に立ち直ったのはウルトラマン。

 必殺光線をノーモーションで敵に放つ。

 対するグランドキングは無防備でソレを食らった。

 

「ワイドショット!」

「シネラマショット!」

「メタリウム光線!」

「ストリウム光線!」

「メビュームシュート!」

 

 次々と撃ち出される必殺技。

 直撃した光線が大爆発を起こし、グランドキングを覆い隠す。

 怒涛の連続必殺の前にグランドキングも…。

 

「フハハハハハ!なんだその弱弱しい光線は!?」

 

 無傷。

 爆発が晴れて現した姿は俄然変わりなかった。

 

「………」

「? ティガダーク、君は何をしてるんだ?」

「いない。肝心のジュダが何処にもいないぞ」

「え?」

 

 一人だけ何もしないティガを怪訝に思い質問するメビウス。

 しかし返って来た答えにメビウスは更に困惑した。

 

 ティガダークはジュダを倒すつもりだった。

 劇中でスーパーグランドキング・スペクターは真っ向では倒せず、ジュダを倒す事で弱体化させた。

 よってティガダークもジュダを狙っていたのだが、その肝心のジュダが何処にもいない。

 

「フン、鈍いな。ここにいるだろう」

「なるほど、グランドキングの中に魂だけ入ってるってことか」

 

 ジュダは完全に復活したわけではない。

 まだ肉体は出来ておらず、ソレを構成する為のエネルギーも使いきってしまった。

 よってグランドキングに取り憑き、ティガダークの闇の力を狙っているのだ。

 

「(マジかよ、打つ手なしか)」

 

 原作での攻略法が使えない。

 グランドキングの中にジュダがいる以上、弱体化を狙えない。

 肉体が無いという弱みをグランドキングに取り憑く事で強みに変えられた。

 完全復活でない以上おそらく多少の出力不足はあるだろうが、スーパーグランドキング・スペクターとして維持できる以上、相応の戦闘力を有しているであろう。

 

「詰んだな」

「やっと理解したか!?貴様らに未来はない!ここで滅びるのだ!」

 

 グランドキングがエネルギーをチャージする。

 一気に勝負を付けるつもりだ。

 

「ウルトラ兄弟、ここは俺に任せて行ってくれ」

「な、何を言ってるんだ!?」

「あんな怪物に一人で向かう気か!?」

「早まるな!いくら闇の戦士でも看過できん!」

 

 ティガダークが前に出る。

 しかしウルトラ兄弟達はメビウスを除いて止めようとした。

 

「そうはいってもアンタら限界なんだろ?戦いっぱなしでエネルギーが尽きかけている」

「「「………」」」

 

 先程まで怪獣軍団やギガキマイラと連戦していたのだ。

 いくら精鋭であるウルトラ兄弟でも疲労と消耗が蓄積される。

 

「だから俺がやる」

「フン、若造…いや、子供一人に何が出来る!?既にチェックメイトだ!」

「ああそうだな。だから…」

 

 

 

「だからゲーム盤をひっくり返させてもらう」

 

 一瞬でアーマードダークネスを纏うティガダーク。

 途端、闇の力が漏れ出し、余剰エネルギーが波動のように拡がった。

 ソレによってウルトラマン達だけでなくグランドキングでさえ一瞬よろける。

 

「ッ!!?ま、まさかアレは!?」

「バカな…!? アレを纏って平気なのか!?」

「しかし形が違う!だがあの気配は間違いない!」

 

 戦慄するウルトラマン達。

 正体を知ってるメビウスを除いて、ウルトラ兄弟たちは恐怖心に近い感情をその鎧姿に抱く。

 

「これは僥倖。まさかアーマードダークネスまで持っていたとは!ソレを肉体にすれば宇宙を手にしたも同然だ!」

「なるほどソイツは完璧な作戦だなァ。不可能って点に目を瞑ればよぉ~~~!」

 

 ぶつかり合う両者。

 ティガダークはトリニティハルバードを、グランドキングは巨大な両腕を。

 

 スーパーグランアーム。

 ジュダの愛刀、バットキャリバーを連想させる巨大な剣のような右腕。

 左腕は巨大な鉤爪になっており、超高層ビル群も粉々に粉砕するスーパーデストロイングパンチを繰り出せる。

 ソレらはあらゆるものを切り裂き、粉砕するという。

 しかしトリニティハルバードには該当しない。

 なにせコレを破壊出来るのは同じ鎧の武器だけなのだから。

 

「ッグ!そう簡単にはいかねえか!」

 

 ソレは鎧にも言える。

 グランドキングの攻撃をモロに受けるも、少しよろめく程度で耐えるティガダーク。

 もし鎧が無ければその一撃で木っ端微塵になっていたであろう。 

 

「おのれぇ!」

 

 グランドキングの電撃。

 スーパーサンダーブレイク

 頭部の角から発せられたソレを、トリニティハルバードで防ぐ。

 穂先に電気エネルギーを吸収させながら回し、電撃をかき集める。

 電撃が止んだ瞬間にソレを叩きつける事で逆にダメージを与えた。

 

 グランドキングの緑色連射光弾

 スーパーグランレーザー。

 頭部のランプから発射されるソレをトリニティハルバードで防ぐ。

 槍を回転させて弾き飛ばしていった。

 

 グランドキングの熱線。

 スーパーグランビーム。

 口から放たれたソレを、跳んで避けた。

 標的を失って何十何百㎞も離れた山脈に命中。

 着弾した箇所全てを吹っ飛ばして威力を物語った。

 

 グランドキングの盾。

 背中の角、スーパーグランスパインが分離して十字の陣形を組む。

 スパインイレーザー。

 一度は攻撃を防げたが、弾き飛ばされて無力化。

 次の斬撃を受けて大きくよろめいた。

 

 グランドキングの破壊光線

 スーパーグランブラスター。

 胸の発光部から放たれたビームをティガダークは回避。

 トリニティハルバードの石突を地面に突き刺し、柄を伸ばしながら棒高跳びの要領で飛び越える。

 柄を戻しながら持ち替え、上から体重をかけて槍を突き出した。

 

「ぐおおおおおお!!?」

 

 ダメージを受けるグランドキング。

 中にいるジュダも当然痛みが走る。

 あれだけウルトラ兄弟たちを追い詰めたグランドキングが。

 ジュダによって更に恐ろしく強化されたスーパーグランドキング・スペクターが。

 ウルトラ一族の宿敵であるエンペラ星人の武装、アーマードダークネスを装着している闇の巨人によって押されている。

 

 光の戦士にとっては正反対である闇の存在。

 ジュダにとっては同類である闇の力。

 ウルトラ一族にとっては宿敵である皇帝の鎧(アーマードダークネス)

 ソレが今、逆転している。

 

 その様はまるで、エンペラ星人が怪獣からウルトラ一族を守っているかのように見えた。

 

「………奇妙なこともあるのだな」

 

 ポツリと、ウルトラマンが溢した。

 

 

「何故だ!?何故貴様がウルトラ戦士の味方をする!?闇の存在でありながら!」

「あ?闇だの光だの、どうでもいいだろ。俺は味方したい方に味方する。ソレだけだ!」

 

 ティガダークが二本の武器を振るう。

 トリニティハルバードとミツドモエノツルギ。

 ソレは闇のオーラを纏ってグランドキングを切り裂いた。

 

 ツインダークスラッシュ。

 ゲーム版での技にはなるが、エンペラ星人が使用してた技。

 データでエンペラ星人の剣技を見たことがあるウルトラ兄弟達は、益々エンペラ星人を連想させた。

 

「(トドメだ!)」

 

 武器を投擲するティガダーク。

 バチバチと電流が刀身と穂先に集中しながら飛来。

 グランドキングは両手の武器でソレゾレ防ぎ、接触したと同時に流れる電撃にも耐えた。

 だがそれでいい。真の目的は隙を作る事。ソレが達成された今、ティガダークは必殺光線のチャージに入る。

 左右に引き延ばした両手が紫と黒のラインを描き、L字に両腕を構えた。

 

 レゾリューム・ゼペリオン光線。

 その威力は今更言うまでもない。

 自身に宿る闇の力と鎧の力をより使いこなせるようになった今、その威力は以前よりもエンペラ星人に近付いた。

 

「そ、その技は………ま、まさか!!?」

 

 連想したのはジュダも同じ。

 かつて、宇宙で覇を競い合った皇帝の姿を幻視した。

 

「ええい!なめるな!」

 

 迎え撃つジュダ。

 宇宙の皇帝はこの我だ。

 そう言いたげに彼は全力のビームを撃ち出した。

 数秒程のチャージを経て撃ち出されるグランドキングの、スーパーグランドキング・スペクターの必殺光線。

 スーパーデストロイドビーム。

 地球と火星と木星を串刺しにした上でまとめて爆発させられるグランレーザー。

 ソレすらも超える威力の必殺光線が、レゾリューム・ゼペリオンと真正面から激突する。 

 

「「ぐ…おおおおお!」」

 

 拮抗する二つの必殺光線。

 両者共に敵を打ち滅ぼさんと全ての力を賭ける。

 全身全霊、最大出力で。

 ありったけの力をぶつける。

 反動か、或いはあまりの高威力のせいか。

 ティガダークもグランドキングも、身体が悲鳴をあげる。

 

「(めっちゃ痛え!身体が内から引き裂かれそうだ!けど、ここで負けるわけにはいかねえ!死んでも止めねえからな!!!)」

 

 ソレでも耐える。

 ソレでも撃ち続ける。

 ソレでも立ち向かい戦う。

 ソレこそティガダークだから。

 

 そんな時だった。

 ティガダークの隣で光線が飛んできたのは。

 

「ここまで来て何もしないってのは無しだからね」

「君の戦いぶり見させてもらった!私たちも応えよう!」

「新参者に任せっきりというのは大人として情けないからな」

 

 ウルトラ兄弟達。

 彼らもティガダークと並んで必殺光線を放つ。

 エネルギー切れも近いというのに、その威力は先ほどより数段上がっていた。

 

 かつての憧れと並んでいるのだ。

 情けない真似は出来ない。

 

「ッ!!?」

 

 闇と光のビームが合わさり、スーパーデストロイドビームを突破。

 スーパーグランドキング・スペクダーを貫いた。

 

「ぐわああああああああああああああああああ!!!」

 

 消滅。

 文字通り消えて逝く。

 砂が零れ落ちるかのように粒子となって。

 黄金の装甲か、各パーツの武器が、肉体そのものが。

 スーパーグランドキング・スペクターごとジュダの魂も消滅しようとした。

 

「ぐ、おお! 未だだ!このジュダは滅びん!宇宙の悪意そのもの!如何なる手段でも我を滅ぼせんのだ!」

「それはどうかな?」

 

 魂を鷲掴みにするティガダーク。

 彼はそのまま宇宙の悪意、マイナスエネルギーごと吸収した。

 

「何!? ま、まさか…貴様、我を…悪意を呑み込むというのか!?」

「そうだ。本当は闇の力が好物なんだが」

 

「これでお前はしばらく復活出来ない。封印より確実にな」

「そんな…そんな馬鹿なアアアアアアアア!!!」

 

 消えて逝くジュダ。

 その怨嗟の声を肴にして、ティガダークはジュダの全てを奪った。

 

「次もご馳走になるぜ。その時は一人でやってやる」

 

 

 

 

 疲れた。

 メッチャ疲れた。

 これ以上もう戦えそうにない。

 

 鎧を解除する。

 パーツごとに分裂して異空間に戻っていく。

 仕様も相まって牙狼の鎧みたいだ。

 

 カラータイマーが鳴る。

 滅茶苦茶ダルくなってきた。

 まあ、流石にあんな怪物と戦ったらこうなるか。

 

 人間態に戻って寝よう。

 今回はジュダの闇も吸収して大分ギリギリだ。

 

 その場で眼を閉じる。

 身体が石みたいになっていくのが分かる。

 微睡みが強くなり、俺を深い眠りに誘う。

 

「え、ちょ…ここで寝るの!?」

「おやすみ」

 

 メビウスが何か言ってるが気にしない。

 俺は眼を閉じて深い眠りについた。

 

他のウルトラマンとの絡み外伝とかでいる?

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